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あの人気噺家と、web川柳対決! [落語情報]


ひと記事で、3度おいしい


今回の記事は、自分で言うのもなんですがお得感満載でお届け。


噺家からの生メッセージに川柳、猫のイラスト。
落語ファンも川柳マニアも猫好きも、まんべんなくお楽しみいただける豪華詰め合わせ


最初は雑俳の会情報、猫は後半出てきます。
皆様も気がせかれるでしょうが、ものには順番。


猫好きの方は、前半飛ばさないで。
落語・雑俳目当てのお客様もどうぞお開きまで。
お付き合いくださいましな。
決して、ご損はかけません。


本題の前に、あらためまして『web版言の葉落語会』のご案内。

『web版言の葉落語会』
お客様からのご投句を4月26日23時59分まで賑々しく受付中!
詳細は
※投句先等の応募要項への直接リンクは
をご覧ください。


満を持して…あの噺家参戦!


噺家と一緒に、インターネット上で楽しく遊ぼう!
『web版言の葉落語会』、当ブログ上にて、噺家たちから皆様にご参加・ご投句のお誘いさせていただいております。






さて今回も引き続き参加メンバーより、撮影されたばかりホヤホヤ新着動画でのご挨拶が届きました。
先日全国配信のテレワーク落語で、多くの落語ロスのお客様方の渇きを癒したばかりのあの売れっ子登場。


それではお待たせしました、
柳家三三より、口上申し上げます!


以下のリンクより、ご覧ください。
※再生開始まで時間がかかる場合がございます。
※ブラウザの広告ブロック機能をお使いの場合、再生できないことがあります。機能をいったん停止してお試しください。





いかがでしたでしょうか。
現在世界中の人々がこれのために苦労している「コロナ」を、あえてお題にして川柳の笑いに昇華させる


いや感服いたしました。
やっぱり売れる人はひと味違うね。
ありがとう、三三師。


まさに『web版言の葉落語会』のキャッチコピー
コロナよ、これが洒落の底力。
を体現してくれました。

言の葉web 中.png


ここで負けじと…


しかしブログ主として、感心しているだけでは能がない。
芸の良し悪しはともかく、噺家の世界での私は先輩でもあります。


ここで後輩に負けじと、私も「折句」の川柳で遊んでみたいと思います。
さあ柳家三三よ、雑俳で尋常の勝負だ!!


でも同じ「コロナ」だとうまいヘタすぐわかっちゃうから、違う題でやろう(我ながらしっこしがない)。


「…お前、卑怯なやっちゃな」~末次由紀『ちはやふる』~。


まぁ、洒落の世界ですから固いこと言わないで。
私はうちの飼い猫の名前
こ・ま・ち
を五七五に織り込んで、川柳をこしらえてみましょう。

こま指差しアタシ.png


そう、あなたの名前です。
頼むよこまち。


では、まず小手調べ。


 転んでも
 また起き上がる
 地球びと


ウン、川柳でも天下国家を視野に入れた句は位が高いと宗匠が言ってた。
出来はともかく、スケールだけは世界規模


地球コロナ退治.jpg



続いては


 古希迎え
 まだこれからと
 力こぶ


そうだよこまち、お前の先代猫「こにぼし」は17年生きたからね。
どうかそれにあやかって、丈夫で長生きしておくれ。


老人こまち.jpg



あまり長いは野暮ですから、こまち自身の心の声をおしまいに。


 来ぬ人を
 待つ日重ねし
 忠義者



忠猫こまち.png



スクランブル交差点が、また人で溢れかえるその日が戻りますよう。
その時はもう、少々肩がぶつかったくらいで文句は言いませんから。


蔦飾り線.png


こんな具合に、気軽に遊べるのが「雑俳」。
web上でお客様と噺家が双方向、言葉のキャッチボールで楽しめたらと日々運営中。


現時点での投句締切は
4月26日23時59分。

ひとりでも大勢の方と遊びたいと、選者一同首を長くして待ちわびています。


ご一緒に、楽しく賑やかにやりましょうよ。
ご投句、お待ち申し上げております。


私の師匠・扇橋との想い出や、こまちの写真・イラストはこんな記事でご覧いただけます。





よろしければお時間の許す限り、ご回遊いただけましたら。

お開きまでお付き合いくださいまして、まことにありがとうございます。
またのご訪問、お待ちいたしております。


入船亭扇治


※イラスト制作に際し、下記の方々の作品を使用させていただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。
・地球元絵:イラストAC掲載「YDO」様
・渋谷スクランブル交差点写真:写真AC「phon-ta」様



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江戸言葉遊び「雑俳」選者より口上 [お気に入り・おすすめ]


増えた在宅時間の有効活用、頭の体操で脳内リフレッシュ。
当ブログで展開しております『web版言の葉落語会』
お客様からのご投句を4月26日23時59分まで賑々しく受付中!


詳細は



※投句先等の応募要項への直接リンクは


をご覧ください。




4月18日付記事

あの実力派真打から声のご挨拶と、ちょっと素敵なエピソード
に続きまして。
今回は選者を務める噺家のうち3名から、皆様へのご挨拶と投句へのお誘いの口上、申し述べさせていただきます。


それぞれの人となり・芸風などは


にて簡単に触れておりますし、落語協会ホームページでもご覧いただけます。


「うまいね!」の例題と華麗な踊り


落語だけでなく色んな芸をこなす器用な三遊亭金八師、今回雑俳の兼題
・「おめでたい物事を頭に置いての洒落」
・「は・な・し」か「し・な・は」を五七五の最初の文字に置いての川柳


それぞれについて、「ヨッ、うまいね!座布団1枚!」とお声がかかるような例句を披露してくれてます。

締切まで告知してくれる細やかな配慮、番頭として嬉しいかぎり。


そしておしまいには立ち上がってお賑やかに、寄席の踊りを大サービス!

浅草演芸ホールで毎年8月中旬に開催される名物企画『住吉踊り』の主要メンバーである金八師、踊りの前の鉢巻をする場面もお見逃しなく!


手作り感あふれる楽しい口上、こちらのリンクからご覧ください。



誠意あふれる口上と、雑俳関連の貴重な画像

私の弟弟子にあたる入船亭扇里師「苦しいけれどこんな時こそ」の想いが伝わる穏やかな口調。



私はブログにアップするため音質調整しながら思わず「ウンウンそうだね、大変な時だけどお互いお客様に喜んでいただけるよう、頑張ろうな」とうなずいてしまいました。


横浜ベイスターズファンの熱狂的ファンである扇里師、私は地元中部フランチャイズ7年連続Bクラスチームの贔屓。


今年のプロ野球開幕がいつになるか、そもそもペナントレース自体できるのかどうか

先行きまるで見えませんが、もし無事開幕できたら12球団まんべんなく応援するつもりです。




扇里師からは、雑俳の魅力の一端が伺えるこんな写真も送ってもらいました。

天の位.jpg

これは雑俳の「開き」(俳句の「句会」に同じ)で、宗匠の篝火舎芯亭師匠が選んだ句をしたためた
「本巻(ほんまき)」
というもの。


宗匠選最高位の天に抜けると、この本巻が記念品としていただける。
雑俳連衆には、何よりの名誉




扇里師、本巻もらえてうらやましいな。


兼題は「古今有名ことわざの地口附」でしょうね。
※洒落る言葉を必ず語・文章の冒頭に置くのが決まりの「洒落附」に対し、「地口附」は本文(ほんもん。元の語・文章)のどこをどう変えてもいいのが特徴。


宗匠選の奥100点、天に叶う玉賞に輝いた供鞄持こと入船亭扇里吟。
「ウォンよりユーロ」
本文、「論より証拠」
なるほど、弟弟子ながら秀句麗句。


『web版言の葉落語会』でもこれだけ立派な本巻とまではいきませんが、選者が天にとらせていただいた方には
なんらかの形で記念になるもの
を贈呈できればと考えております。


ぜひ皆様、ご投句ご検討くださいませ。


紅一点から、ミステリアスなメッセージ


さてお開きの口上は、女流の古今亭駒子師
『言の葉落語会』のはるか以前から、落語協会2階スペースで雑俳落語会を積極的に展開しているパイオニアです。


その駒子師から
連日ブログ・Twitter等での宣伝活動ご苦労さまです。
宣伝の足しになればと、写真お送りします。

とのメールとともに、添付されていたのがこの写真。

駒子師花.jpg

正直、最初はちょっと驚きました。
何の説明もなく、この1ショットだけ。


普通「花と乙女」とくれば「可憐・華麗・美しい・可愛い・メルヘンチック・幻想的・食べちゃいたい…」などなどの方向へ連想が働くもの。

ご当人も花もよく撮れていますが。、この写真から何か不穏な空気を感じ取るのは私だけでしょうか。


テレビの2時間サスペンスの1場面みたい。
『山吹殺人事件~花に囲まれた美人女流噺家は何を見た?愛と憎悪の叫びが山中にこだまする!~』
なんて感じでしょうか。


これだけブログに掲載してもちょっとシチュエーションわかりづらいなと「いただいた写真に何かコメントつけてもらえますか」とメールでお願いしたのですが、1日たっても返信がありません。


普段そんな不義理はしない律儀な人なのでおかしいな…と思いながらも、この記事にアップするため写真が添付されているメールをあらためて開いてみると。


なんと!写真のあとにちゃんとコメントがついているではありませんか。


私が使っているスマホの、メールアプリが知らない間にアップデートされていたのです。ある条件下ではメール全文が最初は表示されず、「全て読む」ボタンを押さないと後半が読めない親切のつもりでちょっとお節介な仕様


なんで主に断りもなくこんな「続きはCMの後で!」みたいなことするんだよ。
おかげでこっちは、後輩に催促めいたこと言っちゃったじゃないか。


ちゃんと面白いコメントつけているのに訳のわかんないこと言ってきてなにこの人と、駒子師さぞ不愉快だったことでしょう。

こちらの不注意でした、ごめんなさい。


また、「なんで先輩が頼んでんのにコメントつけないで写真だけ送ってくんだよ」と一瞬でもあなたのことを疑ったこのセリヌンティウスいや扇治をお許しください。


それでは、心して駒子師の口上ご紹介します。
上記の写真と併せて、お読みください。


Web言の葉に参加して
道灌公みたいに、
みんなで歌道に励みましょう〜
皆様に美しい山吹の花をお届けしようと
撮影にでかけたものの、
カラスの縄張りと知らずに踏み入って
攻撃される緊張の一瞬をとらえた写真です


選者からの色んな形のメッセージ、また追加があれば随時掲載予定。


ここでもう一度、投句のお誘い


『web版言の葉落語会』お客様からのご投句締切は、
4月26日(日) 23時59分。

まだまだお時間ございます。


あなたもひと時浮世のことを忘れて、私たち噺家と呑気に遊んでみませんか?
ご投句、選者一同心よりお待ち申し上げております。

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
またのご訪問、お待ちいたしております。


蔦飾り線.png


次回はまた、猫の写真やイラストを掲載予定。
お時間ございましたら



なぞもついでに覗いていってやってください。


入船亭扇治


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あの実力派真打から声のご挨拶と、ちょっと素敵なエピソード [落語情報]


雑俳連衆より、皆様にメッセージ


洒落の力で、コロナを吹き飛ばせ!
江戸言葉遊び「雑俳」へのお誘い、沢山の方にご訪問いただきまことにありがとうございます。




興味を持ってくださった方々・落語ロスをかこっていらっしゃる皆様に、あの噺家からメッセージが届いております。

芸人が雑俳で遊ぶ時の集まり「連」が今3つありますが、中で一番歴史がある『つ花連』のメンバーのあの人。


まずは、お聴きくださいませ。



いかがでしたでしょうか。


今回雑俳の兼題の一つ
「は・な・し」を五七五の最初に置いての川柳
に託してご挨拶申し上げたのは、落語協会理事・入船亭一門の筆頭の
入船亭扇遊


芸歴・略歴は


でも簡単にご紹介しておりますし、落語協会ホームページ・Wikipediaなどでもご覧いただけますので、今回は少年時代の入船亭扇遊・秘蔵エピソードをご紹介いたします。


あの怪獣映画との出会い


昭和36(1961)年、夏。場所は静岡県伊東市。明日から2学期が始まるというのに、当時8歳の岩田茂(扇遊本名)少年はその夜興奮のあまり寝つけませんでした。


観たくて観たくてしょうがなかった映画に、夏休み最終日の今日お母さんが連れて行ってくれたのです。
作品の題名は
『モスラ』


本多猪四郎監督・特技監督円谷英二。
フランキー堺・香川京子・小泉博ら豪華キャスト。
東宝が自社の名を冠した「東宝スコープ」の大画面で贈る、その夏話題の怪獣映画。




南海の孤島・インファントの守り神。羽を広げると全長100メートル余りの巨大な蛾の怪獣、それがモスラ。

悪徳ブローカーに連れ去られたインファント島の妖精・双子の小美人を救うため、卵から孵ったモスラはカイコのような幼虫の状態で海を渡り日本へやって来ます。


巡洋艦や戦車の火器をものともしない幼虫モスラは、日本に上陸。青梅街道(!)を猛進撃して首都圏に入ると、なんと東京タワーに巨大な繭をかけしばし眠りに就く。


これを好機と防衛隊は、原子熱戦砲で繭を攻撃する作戦を展開。
特殊車両の砲口から放たれた灼熱の炎でモスラの白い繭は跡形もなく焼き払われたと思われたその時。


燃え盛る紅蓮の火中から現れたのは、極彩色の羽根を大きく広げたインファントの守護神。
成虫モスラだった!!!




おお、こうして記事を書いているだけで興奮してきたぞ。
このままずっと、あらすじ書いていたいな。


でもそうはまいりませんので、視点を岩田少年の住む海辺の町に戻しましょう。


モスラに、会いたい…!


いい歳をした大人の私が、あらすじだけでこれだけ燃えるのです。
純粋で多感な8歳の少年が、映画を観たその晩寝られるわけはありません。


明日から学校だから早く寝なさいと母親から言われ布団には入りましたが、目は大きく開いたまま。
その目の先の暗闇には、昼間観た映画のあの場面このシーンがまるでスクリーンに投影されているかのように浮かび上がってきます。




双子の小美人の歌とインファント島の住人たちの祈りで、虹色に発光する巨大なモスラの卵。


波を蹴立てて海を進む、幼虫モスラの雄姿。


地上と上空からのサーチライトで照らされた、東京タワー上の大きな白い繭


いよいよ出現した無敵の成虫モスラの羽ばたきで、吹き飛ばされるビルや防衛隊の戦車。


不思議な音とともに、両の羽根から放たれる鱗粉。


さあ人類対巨大蛾怪獣・モスラとの闘いは、これから佳境へと向かって行くのであった!!!!!。




いかん、また我れをわすれてしまった。

落ち着け岩田少年。(落ち着くのはお前だとのツッコミ)


さあその晩の岩田君の頭は、モスラ・モスラ・モスラのことばかり。
ああ自分もモスラに会いたい…。


落語『目黒のさんま』の殿様のようにモスラに恋い焦がれた岩田少年の脳裏に、その時素晴らしい考えが浮かびました。



映画と同じようにすれば…。


インファント島の人たちの祈りの踊りと小美人の歌に呼応して、モスラは卵から孵り海を渡って日本を目指します。


あれと同じことをすれば、モスラは一途な少年の気持ちに答えてこの伊豆の海にきてくれるんじゃないか。
いや、きっと来てくれる。


そう確信した岩田少年、その晩はまんじりともいたしません。
まだ暗いうちから母親に気づかれないようそーっと起きだすと、洋服に着替えて家からすぐの浜辺へと急ぎます。


まだ明けやらぬ東の空。
あたりはまだひっそりと眠りの中、聴こえるのは寄せては返す波の音だけ。
そう、この波は遥か南の彼方インファント島から打ち寄せているのです。


まだ見ぬ絶海の孤島にいるモスラに向けて、岩田少年はモスラ召喚の儀式を始めました。


両手を大きく上げては下ろす、祈りの踊り。
口ずさむは、
作曲:古関裕而
共同作詩:本多猪四郎・関沢新一・田中友幸
小美人役のザ・ピーナッツが歌って大ヒットした『モスラの歌』。


さすがにあたりを憚って踊りの振りと歌声は小さめながら、頭に焼き付いているそのままの儀式を演じきった岩田少年。
この祈りが早くモスラに届くといいな…。
心待ちにしながら朝ご飯の待つ我が家へと帰っていきました。


しかし、4日目に…


あくる日の朝も、その翌日の払暁も。
祈りを3日続けた岩田少年は早起きでかなり疲れていました。
9月の声を聴いてからぐっと朝夕冷え込むようになり、連日冷たい潮風に当たったせいか少し熱っぽいような気も


でもあれだけお願いしたんだから、モスラはきっと今ごろ海を一生懸命泳いで向かって来てくれているはず。
もう、御蔵島あたりを通過したのでしょうか。


うちでご飯を食べていても学校の授業中も、モスラの姿が頭に浮かんで上の空。
なんだか、いやな咳も出るようになって来ました。
本当に風邪をひいてしまったようです。


心配したお母さんから言われて、いつもよりずっと早く床についた岩田少年。
夜が更けるにつれて、熱がどんどん上がって行きます。


それでもうわ言のように、
明日も早起きして、海へ行かなくちゃ。
モスラにお祈りしなくちゃ。


だってモスラは、もうすぐそこまで来てくれているはずだから。


しかし普段からあまり丈夫な方ではなかった岩田少年は祈りを始めて4日目の朝、大変な風邪をひきこんで海へ行くどころか枕から頭が上がらない状態


涙を飲んで、祈りの儀式は中断を余儀なくされたのです。




熱が下がって母親から許しが出た岩田少年は、急いで海へ行ってみました。
自分が寝てる間にモスラはもう伊東に着いて、沖の方で待っててくれるかもしれない。


一縷の望みを胸に浜辺に駆けつけた岩田君の目に映ったのは
いつもと変わらず寄せては返す、
ただひたすらに青く広がる、見慣れた伊豆の海の光景だけでした…。


モスラ幼虫.png



オレは、信じてるよ


こうして憧れのモスラ召喚を志半ばで諦めた伊東の純粋な少年は、やがて落語が好きになり縁あって九代目・入船亭扇橋の一番弟子となります。


その後の活躍は、落語ファンの方ならご存知の通り。
今では各地の落語会からお呼びがかかり、各寄席でも毎年必ずトリを務める実力派。


私もたまに一緒の寄席に使ってもらい、千穐楽などの打ち上げがあると筆頭弟子は2軒目か3軒目で決まって好きなカラオケに行きたがります。


お酒が入って気持ちよく十八番を何曲か歌って、さらに興が乗ると『モスラの歌』振り付きで披露。
さっきまで高座で『芝浜』やってた人と、同一人物とはとても思えません。

でも、当人は本当に気持ち良さそう。


歌い終わると決まって、


「あん時さ、子どもの頃田舎でモスラ呼んだ時。
あれもうちょっとだったんだよな。4日目に風邪ひかないでちゃんと海行ってお祈りしてりゃ、モスラはいつかきっと来てくれたはずなんだ。
オレ今でも、そう信じてる」。


当人は、もちろん酒席での洒落で言ってるんでしょう。
でもそうやってモスラのことを語る筆頭弟子の眼差しは一瞬、紫綬褒章までいただいたベテラン噺家のそれではなく、伊東の純粋な岩田少年に戻っているような気がします。


そんな兄弟子が、先ほど雑俳を1句披露してくれました。


あちらは「は・な・し」の川柳だったので、私の方は天地随意の「し・な・は」を五七五に置いて、うまくはありませんが。


モスラ.JPG




今人類は、モスラより恐ろしい未知のウイルスとの闘いを強いられています。
気軽に外出できない仕事なくなる居酒屋も早く閉まる、不便でストレスを溜めるなと言っても無理


でも、日本あげてコロナ感染抑え込みに挑まねばならない時。

みんなの忍耐の末には必ず閉塞状況の繭を破って、美しく巨大なモスラのように「新しい希望」が羽ばたくことでしょう。


それまで当ブログで少しでも明るい話題お届けできるよう、アンテナ張っておきます。

趣味のデジタルイラストも、日々コツコツ描き足し中。



雨に唄うよ、猫の恋
よろしければ、また覗いてやってください。
お待ちいたしております。



お開きまでお付き合いくださいまして、まことにありがとうございます。


入船亭扇治







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雨に唄うよ、猫の恋 [猫のいる風景]


緊急事態宣言の対象が全国に拡大されましたが、人間以外の生き物たちはいたって平常心
鳥はさえずりネズミは残り物を狙い、モグラは日の光に目を細める。


犬を散歩させている人は緊張や自粛疲れの面持ちでも、リードの先の当犬は元気に尻尾を振って歩いています。


猫たちも普段と変わらず…と言いたいのですが、この時期はちょっと様子が違う。
そう、俳句の季語にもなっている「猫の恋」の季節なのです。


中野区南台で、愛を叫ぶ 


うちの近所は飼い主のいない猫が増えないようにと、ボランティアの方々が野良ちゃんを保護して避妊・去勢手術を施す「地域ねこ」活動が盛んな地域。


手術を受けた猫たちは耳のところに目印がついて、いたって穏やかな「空即是色」を会得した様子で表を歩いています。


春は猫が繁殖のために恋の相手を探し出しますので、地域ねこになっていない個体が毎夜毎夜あの独特の声で鳴きながらあたりを徘徊。


幼い子から「ネコちゃんなんであんな声で鳴くの?」と聞かれて、返答に困った親御さん多いことでしょう。


私が住んでいる中野区南台3丁目で発情したメスがいるらしく、反応したオス猫がこのところうちの周りで盛んに愛を訴えて自分をアピールしています。


庭から入ってきてぐるっと我が家の軒下を、
アオオオ~ん
というあの何とも切なげな声をあげながら。


雨の日も風の日も、猫の恋には休みなし


うちの倅はもう高3でそういった大人の事情は何となくわかってきていますから、「ネコちゃんなんで?」とはもう聞きません。
それどころか猫のあの声には、かなりの理解と共感を示しています。


ある雨風の強い晩。
親子三人でつましいけれど和やかな夕餉の膳を囲んでいると、やってきました例の尻尾の生えたロメオが。


あおーン
あおおーン
あおあおあお~ン
あうぐぅあぅあおにゃ~~ん


まるで落語『二番煎じ』の夜まわりのように、声が遠くから次第に近づいてきます。
火の用~心ー、さっしゃいやしょうーっ…。


表は、ぼしゃぼしゃ音をたてて大粒の雨が降っています。
夕方から風も強まり、今では家と塀の間を
ビューっ
うなりを上げて強風が吹きぬけていきます。


人間だったら、こんな夜は一歩だって外へ出たくないでしょう。
そのさなかに「あおお~ん」と愛を叫びながら、濡れネズミいや濡れネコになって表を風に逆らいつつ歩く姿を想像し、
「いくら恋のためとはいえ、大変だなぁ」
私が言うと倅。


「いやお父さん、いくらなんでもこんな晩は、猫も傘さして歩いてんじゃね?


お、我が息子ながらなかなかうまいこと言うじゃないか。


傘さして歩きながら、好きな相手への愛を唄っている猫。


私の脳裏からは、繁殖本能のためずぶ濡れになって徘徊している人間からするとなんだか可哀想な猫の姿は消えて代わりに…。

ジーン・ケリーの、あのミュージカル映画の名シーンが甦ってきたのです。


♪I'm singin' the rain・・・


雨に唄えば.jpg


なんだか、楽しそう。
猫ながら、風流なものだねぇなんていいながら盃を重ねていると…。


その時、風は吹いた


あお~ん
声がちょうど私たちが食事をしている部屋の表へさしかかった時。


グおおおおーんッ!
3階建ての家が揺れるほどひと際強い風が吹いたきたとたん、表で


ふんギャアアアアアーっ


えらい鳴き声をあげながら、猫が走り去っていく様子。
どうしたのでしょう?
「庭の木の枝とか、なんか風に飛ばされてきたものがぶつかったんじゃないか?」と猫を気遣う私に、倅がまたちょっと気の利いたひと言を。


「さしてた傘、飛ばされたりして」

ねこ 傘.jpg


ウン、さっきのと併せてうちの子にしちゃ上出来だ!
ブログのネタに使えるぞ!


目指せPVランキング上位!!はまぁ置いといて。


私は仕事が無くて倅は休校中で家内はその二人を持て余してお疲れの様子でも、こんな他愛のない会話で笑えるのは幸せなことなのでしょう。


笑いやユーモア、こういう時だからこそ大事にしたいとあらためて思った雨の夜のエピソード。


ちなみに、我が家の飼い猫こまちはお年頃の女の子ですが既に手術をすませているので表でロメオがどう騒ごうがいたって平常心。


ゴハンまだ.png



色気より食い気の、うちのお嬢さまなのでありました。


こまちのエピソードは、こんな記事でもご覧いただけます。




ほかの記事でもたいていイラストで登場しているので、お時間ございましたらブログ内回遊してってやってください。


またのご訪問、お待ち申し上げております。
入船亭扇治

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江戸言葉遊び雑俳の魅力「キキ」 [落語情報]



上記でご案内いたしました『web版言の葉落語会』、多くの方にご興味を持っていただけたようで企画者としては望外の喜び。


俳句や和歌より「遊び」を重視するのが雑俳ですから、最低限の約束事だけ押さえてあとはとにかく愉快に楽しく言葉たちと戯れる
それが雑俳の醍醐味。


当記事では知るともっと言葉遊びとしての魅力が広がる、ほかの俳諧にはない雑俳の特徴の一つをご紹介。


元句をぐっと引き立たせる短文


せっかく苦労して考えた句、読みっぱなしではもったいない。
そこで好きな連中が集まって自分たちの作を発表、互選や宗匠選で天・地・人の優秀句を決定。


最高位の天に抜けると賞金・景品が出たりと射幸心をあおって、江戸時代の俳句や雑俳の会は興行としても連日大盛り上がり。


お金や物がもらえるのも嬉しいですが、選者がその句をとる時に「自分はこういう解釈でこれを選んだんだよ」という意を込めて七七の短文(七七の題の時は五七五)をつけ元句の内容をぐっと引き立たせる。


この短文が『キキ』
「気の利いたこと言うね」という意味で『利き』と表記する会もあるそうですが、噺家の連では「効果を上げる」から『効き』またはただ『キキ』と書いています。


誰かが詠んだ句に七七や五七五の短文をつなげるのは俳諧の『連歌』と同じですが、雑俳のキキは元句をさらに洒落として面白く奥の深いものにグレードアップするためのツール。


多少句の内容が平凡でも、うまいキキがつくと印象ががらっと変わって位が高くなる。
選者の方も
「あ、これにはいいキキ思いついたから天にとらせてもらおう」
『キキもらい』という選び方をすることがあるくらい、雑俳のキキと元句は密接な関係にあります。このご時世、「3密」にひっかかるぞというくらいのもので。


じゃあそのキキってどんな具合につけるのかというひとつの例、あまりうまくはありませんが…。

『第1回言の葉落語会』の兼題「ぜいたくは」で始まる川柳、小ゑん師匠が例句として出してくれた
ぜいたくは足腰じょうぶで嫁いびり

これに私が解説用につけさせていただいたキキが
あっちストレスこっちリハビリ

お粗末ながら、キキとはこういうものだと少しでもご理解いただけましたら。


皆様から頂戴した作品から、できるだけ多く噺家の方で選ばせていただき知恵を絞ってキキをつけてまいります!
どうぞ皆様マニュアルをいま一度お目通しのうえ、締切26日までにじっくり熟成させた自信作お寄せくださいませ。


選者一同、心よりお待ち申し上げております。


キキと言えば、黒猫?


さてここからは猫好きの方お待たせしました[exclamation]
あ、雑俳と落語の人も用がすんだからといって帰らないで[exclamation×2]
あと少しだからもう少しゆっくりしてってくださいな。


カタカナで「キキ」と言えば、日本人に限らず世界中の多くの方が頭に思い浮かべるであろうこのキャラクターの名前。


角野栄子さん作の時代を越えて愛され続ける児童文学シリーズ、1989年には宮崎駿監督によるアニメーション映画も大ヒットした
『魔女の宅急便』の主人公、13歳になる魔法使いの女の子キキ。



親元を離れて知らない町へやってきた新米魔法使いの彼女が、失敗して落ち込んでを繰り返しながらも周りの人たちに助けられ前向きに一人前の魔女へと成長していく物語。


小説はうちの子たちが自分で読めるようになるまで、何度も読み聞かせしてあげたものです。
私がまだ独り者の頃観た映画も、
冒頭、旅立つキキがホウキにまたがって危なっかしく飛び立つ場面。
原作にはない、クライマックスの飛行船のアクションシーン。
大好きな場面がいくつも頭に浮かんできます。


そのキキのそばにいるのが、黒猫のジジ
魔法の力でキキと会話することができ、明るい性格で常に彼女を励ます若いオスの猫です。


実は、我が家には「こまち」という4歳になるメスの黒猫がいますがそれとは別にもう一匹、黒猫がいるんです。
それも、『魔女の宅急便』のジジ当人が。

もちろん、ぬいぐるみですが。


スーパースター・ジジと夢のツーショット!


私の家内は、声の仕事もする役者さんを何人か抱えた芸能プロダクションのマネージャーをしております。


カミさんがアニメ『魔女の宅急便』公開前に徳間書店『アニメージュ』編集部に顔を出したら、知り合いのスタッフさんが「映画の宣伝部からこんなの回って来てさ、そっち猫好きだからあげるよ」とくださったもの。


まだ子ども時代のジジという設定の、身長16センチの小さなぬいぐるみ。
ジブリのショップでは、トトロやネコバスと並ぶ人気者。

ではその売れっ子ジジと、我が家の駄猫こまちの貴重なツーショットをご覧いただきましょう。


こまちとジジ大.png

確かに。

今は、こまちも立派な大人猫だからね。

ならば、こまちも子ども時代にタイムリー―プっ!


こまちとジジ小1.png
遠近法だからです。
それではいま一度、ポジショニングを変えて…。
こまちとジジ小2.png

うちに来た時はジジのぬいぐるみと間違えるくらい小さかったのが…。
大きくなったね、こまち。


アニメ『魔女の宅急便』キャスティング裏話


この話、真偽のほどは定かではありません。
ぬいぐるみをくれたアニメージュ編集部の方から、家内が聞いてきたネタ。


作中に、ジジが森で知り合う「ウルスラ」(小説では名前はない)という絵描き志望の少女が登場します。
映画ではこのウルスラの声を、主人公キキと同じ『名探偵コナン』でお馴染みの声優・高山みなみさんが二役で演じていることで当時話題になりました。


この二役になった経緯について編集部スタッフさんが言うには、当初ウルスラ役には宮崎監督の意向で専門の声優さんではない若手の女優さんを起用する予定だったとか。


キキより年上の19歳で芸術家志望らしい繊細で芯のある女性の演技を求めて、監督立ち合いのもと何度も行われたオーディション。


しかし顔出しの役者さんにいきなり声だけの表現を要求するのはハードルが高かったらしく、宮崎監督のお眼鏡にかなう人材がまるで見つからないまま公開初日が近づいてきます。


もうここでアフレコしないと公開に間に合わないデッドラインを前に世界の巨匠・宮崎駿が下した決断が
「どうせスケジュール押さえてんだし、当人の演技力は間違いないんだから、高山にもうひと役やってもらえ!」


鶴のひと声で急きょ決まったキャスティングだといいますが、本当だかどうか…。

しかしいずれにしても、アニメ『魔女の宅急便』での高山みなみさんのお芝居は見事。


私初めて観た時、キキとウルスラの声が同じ人だなんてこれっぽっちも思いませんでした。私だけでなく、エンディングのテロップで二役と知り
えっ[exclamation&question]」と驚いた人、多かったようです。

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声優さんと仕事の内容は違いますが、声を通してお客様に自分を伝えるところは噺家も同じ。
私も高座からまたこうしてwebから、皆様に前向きな話題発信し続けていきたいと思います。


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入船亭扇治


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