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視野いっぱいの大画面と、迫力の音響に包まれる映像体験~IMAX上映初鑑賞記~ [日々雑感]

映画館入り口.jpg

桜咲く春の一日、新宿の映画館にやってきた黒猫こまち。


迫力の映像空間
IMAX上映方式

今回私とこまちがTOHOシネマズ新宿で鑑賞する映画は、「IMAXレーザー」で上映されるバージョン。
IMAXプロジェクター.jpg

☆革新的な4Kレーザー投影システム
☆最新の12Chサウンドシステム
☆人体工学に基づいて設計された、映画鑑賞に最適の場内設備
により通常の上映方式より鮮明で大きな画面・迫力ある音質・ゆったりと映像に没入できる環境を実現する、IMAXレーザー。
上映方式.jpg

”爆音上映”を可能にする音響システム「Dolby Atmos」・画面から飛び出す3D映像+椅子の振動等の特殊効果「MX4D」などと並び、劇場ならではの映画体験が堪能できるこのシステム。

配信サービス普及により、家庭で映画を観る機会が多くなった現代。それとは違った映画館独自の魅力を前面に打ち出したIMAX、その対応劇場はこの10年ほどで徐々に増えてきています。


いざ、
IMAX初体験へ

専用プロジェクターや大きなスクリーンを必要とするIMAXは、3D上映などと同じく割増鑑賞料金が必要。

TOHOシネマズではIMAXレーザーでの上映だと一般当日1900円の鑑賞料金プラス、600円が上乗せされます。
合計2500円。
小市民で貧乏性の私は今までこの差額を払うのが恐ろしくて、今日までIMAX未体験のままでした。

今回は観たい映画の通常上映が平日は朝夕2回しかないこともあり、ブログ記事用の取材を兼ねて清水の舞台から飛び降りた気になってIMAX上映の券を購入。

果たしてIMAXレーザーには、追加料金600円払うだけの値打ちがあるのでしょうか?

ドキドキしながら来館の私を尻目に、いたって平常心の共同執筆猫。
立ち寄る映画館売店にて.jpg
劇場に着いたらさっそく映画鑑賞のお楽しみ・ポップコーンと飲み物を買ってきましたよ。
購入映画館売店にて.jpg

IMAX設備が整ったスクリーンは、シネコン総合ロビーから2フロア上に。
エスカレーターで上へ.jpg
その10番スクリーンの前に青白く光る大きな「IMAX with Laser」の文字が、映画へのワクワク感をさらにかきたてます。
スクリーン10入り口前.jpg


映像と音に
包み込まれる

場内に入ると、もう開映前のお知らせが始まっていました。
開映前スクリーン.jpg
なるほど通常上映よりはるかに大きな壁いっぱいのスクリーンは、大迫力!※場内がまだ明るいうちの数枚なら可と、係の方から許可をいただいて撮影

客席の勾配もかなり急になっており、最後列でもスクリーンがすぐ目の前に広がっているように感じられます。
椅子の構造や配置も身体のことがよく考えられており、3時間近い映画を鑑賞しても疲れるようなことは一切ありませんでした。



そして今回IMAX初体験で感動したのが、12ch大型スピーカーでの音響。
「針の落ちる音から飛行機の爆音まで繊細に再現」
がIMAX方式売りの一つですが、まさにその通り。

雨音などは柔らかく、車の轟音等は厚みのある音で耳に響いてきます。

劇中で大きな爆発シーンがあった時は、場内の空気が震えこちらの腹の底にドーンと来るクリアで迫力ある大音響!
大迫力スピーカービリビリ.jpg
1980年代のアメリカ映画などでいっとき流行った「センサラウンド方式」を思い出しました。

大スクリーンの映像とリアルな音に包み込まれる体験、これはなかなかのものですよ。


画面の鮮やかさは
いま一つ実感できず

しかし、じゃあ私がこれから通常版とIMAX版が同時上映されているケースで常に後者を選ぶのかと聞かれたら…。
答えは「NO」。

その理由はまず
通常上映よりはるかに明るくて深みがある画面!
というTOHOシネマズの謳い文句ほど、スクリーンに映し出された映像の鮮やかさを、私は実感できなかったから。
予告編少しぼける.jpg

もちろん個人によって感じ方の差はあるでしょうが…。
IMAX比較.jpg
ここまではっきり画像の色味・コントラストが違うとは、IMAX画面を観ているだけだと感じられなかったのです。

考えるアイコン.jpg

確かにIMAXレーザープロジェクターは高機能ですから、通常上映方式の映写機より大きなスクリーンに高精度で投影可能。

でもここで肝心なのは、「上映されるデジタルデータ自体の解像度が高くなっているわけではない」ということ。

たとえば従来のデジタル上映方式2K画質に対しMAXレーザーは4Kと倍の高画質ですが、それは”投影する際、どれだけ鮮やかに映し出せるか”の違い。

その違いが私にとっては”普通の大きさのスクリーンで通常上映で観るのがもう耐えられない”ほど、劇的なものではなかったというのが当面の感想。

こま右向きアイコン.png

また私は、映画はスクリーン全体が一度に視野に収まる・俯瞰できる席で観るのが好きなたち。

IMAXのように眼前すべてがスクリーンというのは確かに迫力はあるのですが、落ち着いて映画と向き合うためにはもっと距離があった方が私には合っています。

だから通常上映を普通にやっているのなら、毎回お金を足してIMAXで観なくてもいいかな。その割増の分貯めといて、もう1本ほかの映画観た方がいいな…。 これが現時点での、IMAXに対する私のスタンス。

逆に大画面大音響を求める方にとっては、IMAXは差額600円を払う価値はじゅうぶんにある上映方式と言えるでしょう。


映画の魅力 
「大画面」もさまざま

配信サービス全盛の、今よりはるか以前。
家庭へ急速に普及するテレビに対抗するため、映画はその独自の魅力の一つ「大画面化」をさまざまな形で進化させてきました。

横と縦の比率が1.33:1と、ほとんど正方形の「スタンダードサイズ」から、1.66:1と横に広がった「ビスタビジョンサイズ」へ。
そしてさらに横長2:1以上の、「ワイドスクリーン」の登場。これは20世紀フォックス社製の商標『シネマスコープ(シネスコ)』の名称が、わが国では一般的な呼び名として定着していますね。

そして画面の大型化だけでなく画質のアップも目指し、従来のフィルム幅を2倍にした70mm映画も作られるように。
IMAXも本来は、フィルムでの70mm上映方式の一つ。 それをデジタル化したものが、現在シネコンで使われているIMAX。

そんな70mm上映方式の一つが、これ。
シネラマ上映方式.jpg
私と同世代以上の方々には懐かしい、『シネラマ』。 初期のシネラマはこの図解のように3分割した画面を、3台の映写機で投影していました。

後には1台のみで映写できるようになりましたが、いずれにしてもシネラマの特徴は横25m・縦9m以上というスクリーンの大きさ!
あまりにも横に広いので、極端に画面が湾曲しているのもシネラマならでは。

名古屋のシネラマ対応劇場で『さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦士たち』を観た時。初回は混んでいて座れず、客席端の方から立ち見していたら…。
シネラマ画面.jpg
ヤマトがムンクの『叫び』みたいに歪んで見えたのを、今でも覚えています。

こま正面アイコン笑い.jpg

そうそう、宇宙戦艦ヤマトと言えば。 1980年公開の劇場版第3作『ヤマトよ永遠に』では、劇中に「ワープディメンション」という上映上の仕掛けが施されていました。

物語が3分の2ほど進んだところ、ヤマトがワープ空間から未知の宙域へとジャンプするシーン。
ヤマトのワープアウトのタイミングに合わせて、それまでビスタサイズだった画面が横にみゅみゅ―ッと広がってシネスコサイズに!
そして音響もモノラルから4chステレオサウンドに、劇中の透過光の質感も変わる。

「ワープディメンション」という名称だけで実態は公開まで秘せられていたこの仕掛け、初めて観た私は大感動。
名古屋駅前地区では一番大きな劇場でこれを体験できたのは、本当にいい想い出です。

後にもっと小さな劇場で観直したら迫力は初見の比ではなく、ましてやDVDでは”単に画面の比率が変わる”だけになってしまっているのでまことに残念。

そこでワープディメンション初体験の感動を少しでもお伝えできればと、こんなGIFを拵えてみましたよ。

ワープディメンション.gif

こまち3連アイコン.png

自宅でのんびり、配信やレンタルで観るのももちろんいいけれど。
やはり劇場でゆったり大画面と大音響に浸るのもいいなと再認識した、筆者のIMAX初体験記でした。

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お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

タグ: 映画
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地元で接種、三回目新型コロナウイルスワクチン体験記~『黒猫こまちを探せ!』画像クイズもあり~ [日々雑感]

好天のもとサンプラザへ.jpg

うららかな春の日、
中野サンプラザへ向かう黒猫こまち。



華やぐ
地元接種会場

「いい意味で値段相応、お手頃価格のワイヤレスノイズキャンセリングイヤフォンを使ってみた!」で綴りましたコスパ最強イヤフォンで音楽を聴きながらも、こまちはただ散歩しているわけではありません。

三回目の新型コロナウイルスワクチンを接種する私の、お供でついてきてくれたのです。

こま正面アイコン笑い.jpg


今回は地元・中野区で充分ワクチン在庫が確保されているということなので、取材を兼ねて一番大きい会場で接種を受けてみることに。

接種クーポン・予診票・身分証明書の3点セットを揃え、こまちにも点検してもらいます。
接種3点セット.jpg
問題ないとお墨付きが出たので、いざ出発。

中野区民にとっては心のランドマークタワー・サンプラザに近づくと、玄関口がなにやら華やいでいるのに気づきます。
華やぐサンプラザ前.jpg
危ないよこまち、ちゃんと横断歩道渡りなさい。

サンプラザ前では袴姿・スーツ姿の若い男女が、和やかに談笑しています。
サンプラザ前袴姿.jpg
サンプラザホールで今日これから、どこかの卒業式が執り行われるんですね。

サンプラザ滑り台.gif

ホール入り口を覗いてみると、中野区内にキャンパスがある東京工芸大学の学位授与式でした。
東京工芸大学卒業式.jpg
コロナ禍にめげず、しっかり学業を修め晴れの日を迎えられた皆様。
私が今日ここへ来合わせたのも何かのご縁と、心よりお祝い申し上げる次第です。


宴会場での
ワクチン接種

サンプラ入り口看板.jpg
玄関先の案内板に従って、久しぶりにサンプラザのロビーに足を踏み入れます。

正面奥には、館内イベントのご案内が。
お花見弁当おいしそう.jpg
おいしそうなお花見弁当のディスプレイ、舌なめずりして眺める食いしん坊猫。

その隣には、各会場での催しの案内板。
アップ案内板.jpg
”宴会場でワクチン接種”というのも、なかなかにシュールな文字列。

エレベーターで6階の会場へ。
接種会場入り口.jpg
コロナ禍以前には、様々なパーティ・会合・イベントが行われた大宴会場。
毎年夏恒例・キリンビール協賛のビアバイキングに、家族や友人と来たのを思い出します。

こま正面アイコン基本形.jpg

受付前のパーティションに、こんな貼り紙。
飲酒注意事項.jpg
ふーむ、接種は予約制で打ちに来る日はわかっているのに。わざわざ、お酒飲んで来る人っているんでしょうか。



接種会場ここから先は撮影禁止になっており、画像をお見せすることができずすいません。

まぁ会場は違っても接種ブースなどの様子は、過去二回とそれほど変わるものではありませんから。

あえて特記事項をあげるとすれば、今回私がやらかした予診票に記入する日付
午前中の接種で朝ちょっと慌ただしいので、私は前日に予診票に必要事項を記入。その日付をうっかり書いてしまったのですが、これは接種当日の日付でないといけません。
予診票日付間違い.jpg
間違えても、訂正印無しで係の人が直してくれますが。
できるだけそういった余計な手間を省くよう、これから接種なさる方は気をつけてください。



サンプラザ会場には2フロアに各3ブースが設置され、接種はいたってスムーズに進行。
私が受けた日は6階真ん中のブースの担当医が、とてもきれいな女性の先生! そっちに入れるといいなと楽しみにしていたのですが、世の中そううまくは行きませんでした。



今回私の接種後副反応は、二回目とほとんど同じ。

注射を打ってから数時間後に腕がしびれ出し、3日たった今でもまだ少し痛みが残っています。※日常生活に支障は無し。

接種翌朝に39度近い熱が出ましたが、前回も経験しているので落ち着いて即解熱剤を服用。 3時間ほどですっかり熱は下がり、午後からは普通にパソコン作業などすることができました。


開き始めた桜と
黒猫の画像クイズ

時間を巻き戻して、サンプラザからの帰り道。
つぼみの桜.jpg
近所の公園では、桜がほころび始めています。
花開く桜.jpg

齢を重ねた巨木の、幹からじかに咲いているような花も。
弥生公園の桜.jpg

背中に感じる暖かさに振り仰げば、木漏れ日が柔らかくもまばゆい。
光射す桜.jpg

私だけでなく、多くの人々に希望を与える桜の花。
そんな近所の公園の花を、
「ロビーに咲く花・まごころの楽屋見舞いで元気100倍!~『扇治・貞友二人会』お開き御礼」
寒さ厳しかった2022年冬の東京も、そろそろ春の装い~お馴染み「こまちを探せ」クイズもあり!~」
などに掲載の『黒猫こまちを探せ!』画像クイズにしてみました。

桜の花画像の中に、イラストこまちが末広がりの8体隠れています。
こまちもそうそう簡単に見つけられたくはないので、何体かは擬態・保護色で隠れんぼ。

さぁあなたはどれくらいの時間で、すべて見つけることができるでしょうか?

2022年桜クイズ.jpg

※答えは、記事のいちばんおしまいに掲載してあります。


開き始めた桜に
感じる希望の光

思えば、これがコロナ禍始まってから三回目の春。
2020年の自粛期間では、長い長い開店休業状態を強いられました。
2021年多少高座の仕事は戻ってきましたが、まだまだ以前通りには程遠い。

そしてまさか今年に入ってからもまだ「事業復活支援金」や「三回目のワクチン接種」の記事を書くことになろうとは、二年半前には思いもよりませんでした。

正直あまりにも長いコロナとの闘いに、最近力尽きて膝を折りそうになったことも何度かあります。

でも呑気ブログを書き継いだりしながらなんとか自分を鼓舞していると、世の中逆風ばかり吹いているわけではありませんでした。

ふとした巡り合わせから大好きなアニソンのラジオ番組に出演させてもらったり、そのご縁をくれた方と念願の二人会を開催できたりと。
「憧れのラジオ番組『アニソン・アカデミー』に出演させていただきました!」
「『アニソン・アカデミー』出演と、そのご縁をくれた方との二人会お知らせ!」

少しずつですが、ものごとがいい方向へ向かいそうな手応えを感じられている今日この頃。
あとはそれをしっかりつかまえて、
自分自身で前に進もうとしなくては。

(コロナだからしょうがない)と腐っていても、何も始まらない。
身体だけでなく心にもワクチンを接種してもらったかのような、サンプラザからの帰り道でした。



☆『黒猫こまちを探せ!』2022年桜編 答え
答え2022年桜クイズ.jpg

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。 入船亭扇治拝

タグ:落語 猫
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まるで上質ミステリの読後感!キレ味抜群、落語『試し酒』の落ち [落語情報]

試し酒賞状.jpg

数ある落語の落ち(サゲ)の中で、見事優秀賞に選ばれ喜ぶ『試し酒』さん。


落語で一番多い
地口落ち

「間抜け落ち」「見立て落ち」「トタン落ち」など、様々な種類がある落語の落ち。

その中で 一番数が多いのは、なんといっても「地口落ち」。
言葉の語呂合わせで落ちになるもので、わかりやすい反面落ちの面白さ・完成度という点では若干格下とされています。

『牛ほめ』の「穴が隠れて、屁の(火の)用心になります」、『錦名竹』の「いいえ、買わず(かわず)」など。前座噺や軽い演目なら、地口でも収まりがいいのですが…。

三遊亭圓朝作『鰍沢』のような大作のラストが地口落ちだと、なんだか肩すかしをくらったように感じるお客様が多いようです。

落語『鰍沢』あらすじ

お祖師様への参詣の帰り・吹雪の身延山中、道に迷った旅人が一夜の宿を請うた山家。
そこに住む首に傷のある訳ありの美しい年増女が、ずいぶん前に吉原で会った花魁だと気づく旅人。
無心に再会を喜ぶ旅人とは裏腹に、あわよくば昔の客の道中巻きから金を奪ってやろうと画策する年増=実は毒婦「月の輪のお熊」。

しびれ薬の入った玉子酒を飲まされた旅人は帰ってきた亭主とお熊の会話を漏れ聞き、きかない身体を引きずってなんとか逃げようとする。
しかしそれに気づいたお熊が、鉄砲に火を入れて追いかけてきた!

クライマックスは、雪景色の富士川・釜ヶ淵の急流。
川にもやってあった材木を組んだ筏で逃げる旅人、しかしあちこちの岩にぶつかるたびに結んであった縄が切れ筏はバラバラに。

たった1本残った材木にしがみつきお題目を唱える旅人目がけじゅうぶんに狙い定めて放ったお熊の鉄砲の弾はわずかに逸れ、旅人の髷っぷしをかすめて後ろの岩角にカチーン!

旅人「ああ助かった、お材木(お題目)のおかげ」

鰍沢.jpg

・・・。
息詰まる展開の最後に待っていた、まさかの脱力系ラスト

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長野の落語会で私の師匠・扇橋が『鰍沢』をやった時。
終演後にお客様が訪ねてきて、 「師匠、さっきの噺の落ちには、どんな意味があるんでしょうか」 真剣に質問されたことが。

その方は
(これだけ内容が濃い噺の落ちなんだから、ただの駄洒落のはずはない)
お思いになったんでしょうね。

ただの駄洒落なんです、
どうもすいません。



ごめんなさいアイコン.jpg


落ちのキレの良さ
上位入賞間違いなし

しかし「地口落ち」が低俗だとかくだらないというわけでは、もちろんありませんよ。
落語の落ちはあくまでも「ハイ、この噺はここでおしまいでーす」という区切りをつけるためのものなので、駄洒落で終わっても一向に差し支えない。

ただ地口よりはるかにキレのいい落ちのついた噺は、やはり落語としての格がぐっと上がるのも事実。

冒頭のような「いい落ちコンテスト」が開催されたら『芝浜』『粗忽長屋』『井戸の茶碗』などと並び上位入賞間違いなしなのが、『試し酒』

『試し酒』あらすじ

長患いで無沙汰していた飲み友達・近江屋が久しぶりで来てくれるというので、酒肴を支度して迎える酒好きの商家主人。

近江屋が供に連れてきた奉公人が大変に酒が強く「いちどきに五升飲むんじゃないか」と聞いた主人はその山出し男の奉公人を呼んで酒を振る舞い、本当に五升飲めるかどうかで賭けをすることに。

旦那衆ふたりが見守る中、久蔵という酒好きの奉公人は見事五升飲み干すことができるか否や?

※ここからの文章では『試し酒』のさらに具体的な内容について触れております。
まだお聴きになっていなくて興を削がれたくないという方は、『試し酒』ご鑑賞後にお読みください。

こまち3連アイコン.png

この噺の落ちは、こうなっています。

途中苦労しながらも五升たいらげた久蔵に、こう尋ねる主人。
「お前さんほら、これやる前に考えたいとしばらく表へ行きなさった。そこに仕掛けがあるんじゃないかい?こんなまじないをかけてきたとか、いい薬を処方してもらったとか。だから五升なんて大酒が飲めたのかい?」

これに久蔵答えていわく、
「いやぁさっきのはそうでねぇだよ。オラ今までこうと決めて酒飲んだことがねぇ。飲めるかどうか心配で心配でなんねぇから、さっき表の酒屋で試しに五升飲んできた!」

五升を二回.jpg



名作『試し酒』
演出上の”肝”は?

『試し酒』は、落語速記者・研究家の今村信雄が中国の古い笑話から創作した比較的歴史の新しい演目です。

インパクト抜群の落ちだけでなく、久蔵が大盃で一升また一升と酒を飲む様子など見せ場が多いこの噺。
本当に大勢の噺家が高座にかけていますが、私が生で聴いた中での最高峰はなんといっても五代目柳家小さんの名演。

長野の老舗旅館での落語会で小さん師匠がこれを演じるのを、前座時代の私は至近距離の舞台袖で聴かせてもらったことが。
その時(凄いなー!)と唸ったのは、久蔵が一升飲むごとに顔へポーっと赤みがさしてくること。
小さん師匠試し酒.jpg

息のつめ方で自在に顔色を変えることができた、五代目ならではの至芸。



私はその小さん師匠から、生前直接に『試し酒』演出上の重要ポイントを教わったことが。

「テレワークで落語の稽古?」で触れている『二ツ目勉強会』、その終演後合評会の席だったと記憶しております。

当日私が演じた『試し酒』について
・飲むに従って酔いが回っていく、久蔵の口調や態度の変化
・酒を飲む久蔵の様子だけでなく、前で見ている旦那衆の反応を描写して噺にメリハリを付ける。
等々貴重なアドバイスを、孫弟子である私にしてくれた人間国宝。

その小さんが最後に、あの狸みたいな顔を近づけ私の目を真正面から見据えて「この噺で、一番大事なとこはな」 と『試し酒』をやるうえでの”肝”についても教えてくれました。

それは、「酒を飲む前に表へ考えに行った久蔵が、戻って来た時の様子」。
既に外で五升たいらげてきているのですから、酒が強い久蔵でもそれなりに酔っているはず。

ただあまりにもあからさまに酔っぱらった口調と振る舞いをすると、落ちがお客様に悟られてしまう。
こまち試し酒.jpg

そこを絶妙のさじ加減で演じ、落ちを聴いた方が
あっ、思い返してみるとあの時の久蔵。ちょっと表へ行く前と、様子が違っていたな
感心してくれたら大成功。

よくできたミステリのように、事前に噺の中でさりげなく「伏線」を張っておくのですね。

考えるアイコン.jpg

五代目小さんからの貴重な教え、まだまだ私は実践できてはいませんが…。

大師匠助言のありがたみは常に忘れず、少しずつでも前に進んでいきたいと思います。


試し酒こまち.gif


その『試し酒』を本記事執筆の直近に演じた『扇治・貞友二人会』。

当日いただいた素敵な贈り物について「ロビーに咲く花・まごころの楽屋見舞いで元気100倍!~『扇治・貞友二人会』お開き御礼~」で綴っております。
未読の方、よろしければ覗いてみてください。

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お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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ロビーに咲く花・まごころの楽屋見舞いで元気100倍!~『扇治・貞友二人会』お開き御礼 [落語情報]


2022年3月22日(火)夜・池袋演芸場での『扇治・貞友二人会』、おかげさまで無事お開きにすることができました。
扇治貞友二人会御礼.jpg
お寒い中お運びくださったお客様、応援してくださった皆様。黒猫こまちともども、厚く御礼申し上げます。


ロビーに咲き誇る
サプライズプレゼント

当日は、朝から冷たい雨。
東京電力は管内での急激な暖房需要による、電力逼迫の可能性を警告。

最悪一時停電もあり得るとのこと、何かあっても対処できるよう早めに会場入りした私。 階段で地下2階にある演芸場に下りるといきなり、鮮やかな色が目に飛び込んできました。
照明無しスタンドお花.jpg
昼の部終演後で照明が落とされたロビーの中で、そこだけスポットライトが当たっているかのように明るく咲き誇るスタンド花。

目を上にやると、ピンクの猫ちゃん踊る華やかな札が。
お花の札.jpg
「憧れのラジオ番組『アニソン・アカデミー』に出演させていただきました」の記事で綴りました、『アニソン・アカデミー』からのサプライズプレゼント!


見事な花の中に
黒猫を探せ!

久しぶりの本格的な勉強会を控え緊張・不安でいっぱいの弱小噺家を元気100倍にしてくれた『アニアカ』番組ご関係皆様、ありがとうございます!

感謝しつつ、私の大好きな番組への出演機会を与えてくれた当日共演の一龍斎貞友師匠と記念撮影。
ツーショットお花の前.jpg

ロビーに照明が入ったところで、あらためて全体像をパチリ。
照明あり縦長スタンドお花.jpg
アップでもう1枚。
アップお花.jpg



これから2席ずつ申し上げる出演者たちを和ませ励ます、薫り高い花たち。
せっかくこれだけきれいな花をいただいたのですから、ここで読者の皆様と呑気な画像クイズで遊んでみましょう。

最近だと 「寒さ厳しかった2022年冬の東京も、そろそろ春の装い~お馴染み「こまちを探せ」クイズもあり!」 などで掲載の、当ブログ名物企画「黒猫こまちを探せ!」

『アニソン・アカデミー』様から頂戴したお花の中に、イラストこまちが末広がりの8体隠れています。

さぁあなたはどれくらいの時間で、すべて見つけることができるでしょうか?
クイズアニアカからのお花.jpg
※答えは、記事の最後に。


まごころこもった
楽屋見舞いに感謝

このスタンド花のほかにも、当日は本当にたくさんの方から心のこもった楽屋見舞いを頂戴しました。
当記事文面にて、重ねて御礼申し上げる次第でございます。

そんな嬉しい贈り物の中から、この品をご紹介。
差し入れのお菓子.jpg
おいしそうなシュークリームとチーズケーキ、そして飾り入りの巨大ホワイトチョコレート

その表面にはなんと、私の似顔絵入りで「おめでとうございます」と会へのお祝いメッセージがチョコペンで丁寧に描かれています!
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パティスリーに勤める私の知人お嬢様から、貞友師匠と扇治それぞれへの手作りお菓子のプレゼント。

これをくださった若い女性には、幼い頃ちょっと難しい病気で入通院が必要な日々を長く送られた経験が。

つらい治療生活を送る娘を励ますため、彼女が大好きなアニメの声をやっている貞友師匠からのメッセージをもらえないか。
そう知人から頼まれた私がご当人に頼んでみると、二つ返事・間髪を入れず「病気にまけないで、頑張ってね!」というメッセージを『忍たま乱太郎』しんべヱの声でCDに録音。
それと『ちびまる子ちゃん』や乱太郎のカレンダー・ポスター等のグッズをまとめて、貞友師匠はすぐに知人宅へ送ってくれました。

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その時のことを忘れないで、寒い中池袋演芸場まで足を運んでくれたN.Nさん。
まさに当日貞友師が高座にかけた1席『徂徠豆腐』のように、「情けは人の為ならず」を実感。

楽屋をほっこりさせてくれる素敵な差し入れを、Nちゃんどうもありがとう!
いただいたお菓子は、上等の紅茶淹れて大事にいただきます。

でも絵入りのチョコの方は、もったいなくてしばらく食べられないなぁ…。


贈り札も
大事な家宝に

アニアカ様からのお花は、終演後花束にしてお客様にお配りしました。

残った贈り札は貞友師のご厚意で、私がありがたくいただくことに。
傷つけないよう大事に持って帰り、留守番のこまちに見せてやります。
ご対面札.jpg

床に置いて、点検。
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「おっ、これは先週ラジオからお父さんの声が聴こえていた、あの番組のだな」わかったかどうかはさておき。

普段撮影にあまり協力的でないこまちが、今回は素直にカメラ目線で映ってくれました。
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ばかりでなく両手をついて「ありがたや~」。
手をついてお礼札.jpg

しょこたん生徒会長直筆サイン入りクリアファイルに続き、また一つわが家に増えたアニアカ記念品。
大事な家宝です。

あんまり嬉しいから、リアルだけでなくイラストこまちもぜひ参加させてあげましょう。

アニアカ札からこんにちは.gif




※「黒猫こまちを探せ!」正解
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入船亭扇治拝

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憧れのラジオ番組『アニソン・アカデミー』に出演させていただきました! [日々雑感]


2022年3月19日、NHK放送センター西口にやって来た黒猫こまち。
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スタジオパークの見学だったら、入り口は反対側だよ。


NHK-FMの
ラジオ番組出演

今日のイラストこまちは、遊びに来たわけではありません。
これからここで仕事をする筆者の、お供でついて来たのです。

NHKのアニソンレギュラー番組と素敵なゲストから、ブログ主に嬉しいプレゼント!
『アニソン・アカデミー』出演と、そのご縁をくれた方との二人会お知らせ!
で綴りましたように、講談の一龍斎貞友師匠のご紹介によりNHK-FMのラジオ番組『アニソン・アカデミー』に出演することになった私。

リモート会議・メールでの打ち合わせを数回、おおよその内容が固まったところでいよいよ放送日を迎えます。

自家用の京王バスに乗って、自宅から20分ほどで到着。
「13時30分を目安に」という入り時間より、かなり早く着いてしまいました。

そこで近所をぶらぶらしながら、番組で話すネタを小声で稽古。
着物姿でぶつぶつ喋りながら歩く、一歩間違うと危ない人です。

幸い通行人の方から警察に通報されることもなく指定の時刻に西口玄関へ戻ると、親切なディレクターさんがもう迎えに来てくれていました。

受付で入館証をもらい、5階の505スタジオへ。

先に入っていた番組パーソナリティ、憧れの中川翔子さん=しょこたんにご挨拶。
もちろん初対面ですから、
ウルトラ超ギザ感激!


楽屋での打ち合わせ
高まる緊張感

14時の開演まで、ゲスト用の楽屋で待機。
アニアカ控室.jpg
こらこらこまち、なにを偉そうに上座でふんぞり返っているんだ。

そこは来週、『ラブライブ!』星空凛ちゃん役などで有名な声優・飯田里穂様がお座りになるところだぞ。
私だって遠慮してそこには座らなかったんだから、こまちもこっちへ来てなさい。

こま正面アイコン基本形.jpg

開演20分前、ディレクターさんともう一人のパーソナリティあべあきら氏=あべしがいらして楽屋で直前の打ち合わせ。

皆さんは毎週のことで慣れてらっしゃるからなんということはないのでしょうが、こちらは初めて出していただく番組。
大好きな『アニソン・アカデミー』だけにあだやおろそかなことは喋れないぞと、だんだん緊張が高まって来ます。


しょこたんと
同じスタジオで!

14時、生放送開始。
最初にリクエスト曲が2曲流れたところで、ディレクターさんの案内でスタジオ内に設けられたブースへ向かいます。

しょこたんとあべしが並んでいるのを見ると、(これから同じスタジオで仕事するんだ!)さらに胸がドキドキ。
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あらためてお二人にご挨拶して、席に着く私。

「本日の講師は、アニメ・アニソン大好きな落語家さん・入船亭扇治師匠です!」
しょこたんのご紹介を受け、私からまずリスナー皆様へご挨拶の第一声。

いったん声を発してしまうと、スーッと落ち着きました。

妙にウケようと小細工したってしょうがない。 ここは肩に力入れないで、自分の好きなアニメソングについて素直に語ろう。
そう開き直ると、うまく会話をリードしてくれるパーソナリティお二人に導かれて後は一気呵成。

調子に乗ってちょっと喋り過ぎたなと、今になって反省しておりますが…。
その時流していただいた曲はそれぞれに聴きごたえがあり、バラエティにも富んでいたのではないかと自負もいたしております。

そんな私の出演回は、
3月21日(月)正午~28日午前11時59分まで
NHKのネットラジオ「らじるらじる」にて、聴き逃し配信されます。

未聴取の方、お時間ございます時にお耳を傾けていただけたら幸いです。


ステージ上で
嬉しい記念撮影

放送で曲が流れているあいだの時間を使って、番組のカバーイラストを掲示したボード前で出演者一同の記念撮影。

フル編成のオーケストラが乗れる、広いステージ。
『アニソン・アカデミー』にアーティストの方がゲストでいらした時は、よくスタジオライブが行われる場所でもあります。

水木一郎アニキやささきいさお大王さまが立ったステージで記念撮影できるとは、アニメファンとして望外の喜び。

今日まで真面目にヲタクをやって来て、本当に良かった。

こま正面アイコン笑い.jpg

まずはパーソナリティお二人の、間に挟まって一枚。
三人で記念撮影.jpg
しょこたん生徒会長とも、
夢のツーショット!
しょこたんとツーショットマスク.jpg
そしてさらに、マスク無しでももう一枚パチリ!
しょこたんとツーショット顔出し.jpg

3枚目の写真はなんと、 私のスマホをしょこたんが手にとってエアドロップ設定し、ご自分のスマホから転送してくれたもの。

しょこたんが触ってくれたスマホ。
機種変更してもこの端末は下取りに出さないでとっといて、わが家の家宝にしよう。


番組からの
素敵なお土産

私が喋り倒していたので、ゲストコーナーは当初予定の時間を大幅に超過

結局14時10分から15時30分過ぎまで、貴重なアニアカの電波を占有してしまいました。

この日に流れず次週以降に持ち越された曲にリクエストくださった方々、まことに申し訳ございません。

ごめんなさいアイコン.jpg

そんなご迷惑をおかけしてしまった私に、ゲストコーナー終盤で番組からのサプライズプレゼントが!

学校という設定の『アニソン・アカデミー』に将来再来校できる資格「名誉講師」の称号を、私にもくださるというのです。

「好き勝手に喋って番組の時間食いつぶしやがって、あんな弱小噺家もう二度と呼ぶな」
となってもおかしくないのに…。

身に余ることで本来なら辞退すべきところかもしれませんが、私の拙い喋りでもSNSで好意的に反応してくださったリスナーさんもそれなりにいらっしゃったということで。

謹んで、
「名誉語り部」
という講師名、受けさせていただきました。

これからもひたすらヲタク道に邁進し、アニソンの素晴らしさを語りでお伝えできるよう精進する所存でございます。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
よろしくお願いします歌舞伎.gif



番組終了後にはさらに嬉しいお土産を二つもいただきました。

あべしからは、ご自分のCDを。
あべ書房.jpg
ジャケットがかわいいこのアルバム・以前『アニソン・アカデミー』内で何曲か流れたことがありますが、私はまだ未購入。
ありがとうございます、あべし。じっくり、聴かせていただきますね。


そして「お子様方へ」と、番組特製クリアファイルも2枚頂戴しました!
2枚のクリアファイル.jpg
こまちも使っていいけど、爪を立てちゃいけないよ。



※この番組へ出演するご縁をくださった一龍斎貞友師匠との二人会を、以下の通り開催。

『扇治・貞友二人会』
☆3月22日(火)18時開場・18時30分開演
☆会場:池袋演芸場
☆料金:前売り2200円/当日2500円(全席指定)
☆お問合せ・お申込み
 090-8455-8996
 senji1365@gmail.com
 入船亭扇治

お席にはまだ余裕がございますので、よろしければご来場のほどを。
扇治 貞友二人会.jpg

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。 ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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