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人生節目の誕生日、知人から頂いた素敵なプレゼント! [日々雑感]


呑気ブログで駄文連ねているうち、いつの間にやら「還暦」という人生の節目にさしかかった筆者。
その私60回目誕生日に、大学同期の方から素敵な贈り物を頂戴しました!
箱とのし紙.jpg

謹んで、開封の儀

この還暦祝いをくださった鈴木さん(男性)からは、これまでも落語会への差し入れなどとても心のこもったセンスあるプレゼントをいただいております。

さて、今回の贈り物は何かな?
横19cmx縦10cm
の白木の箱、蓋を開けると中から飛び出してきたのは…。
いきなりマスコットたち.jpg
当ブログではお馴染み、ヤマト運輸マスコットのクロヤマさんとシロヤマさん!

おっと、
失礼しました。

あなたたちの出番はもうちょっと後なので、それまで向こうで待っててね。

えへへアイコン.jpg

あらためまして鈴木さんからの還暦祝い、開封の儀。
祝杯開封の儀.jpg
箱の中に鎮座しているのは、富士山を形どった江戸切子の盃。

江戸川区の指定伝統工芸品・田島窯製の祝杯、箱から出して眺めるとさらに色の深みが増します。
並べた祝杯.jpg

真上からマクロ撮影すると、手のひらサイズの盃がまるで小宇宙のよう。
切子の宇宙.jpg

盃を伏せれば、小さくとも堂々とした富士山の趣き。
伏せた祝杯.jpg
マスコットたちも、感心して眺めています。

さっそく、
お酒を飲んでみよう!

ひと通り撮影が終わったところで、盃ですからやはり実際にお酒を酌んでみたいですね。
でもまだ午前中なので、いくら酒好きの私でもこの時間から日本酒でいい心持ちになるのはちょっと気がひけます。
ここはクロヤマさんとシロヤマさんに、代理で飲んでもらいましょう。

クロヤマさんは男だから青・女性のシロヤマさんは赤の富士山。
それぞれの盃になみなみと酌んだお酒を、さぁ遠慮なく召し上がれ。
飲むマスコットたち.jpg
グイグイ、ぐーい。
ひっくり返るマスコットたち.jpg
おやおや、二人とも一気に飲んでひっくり返っちゃいましたね。

人間には手のひらサイズでもマスコットたちには一升入り大盃ですから、無理もないかと。

続いて
リアル猫の反応は

猫マスコットに続いて、共同執筆猫こまちにも富士山盃見せてあげましょう。
リアル猫はクロヤマさんシロヤマさんのように撮影指示に従ってくれませんから、こちらからこまちのいるところへ盃を持参します。

さて、反応はどうかな?
祝杯見るこまち.jpg
(ん、何だこれは) よそ者に対して、警戒の眼差し向けるこまち。

やっぱり、あまり喜ばないかな、盃が入っていた箱の方がいいのかな…。
思いながら撮影していると、こまちも(これは日本一の富士のお山じゃないか!)気づいたのでしょうか。

贅沢な暮らしはできなくとも、志は富士山の頂きのようでありたい!
思いをこめて、
輝く目で高みを見上げる黒猫。
高みを目指す.jpg



さぁ、猫たちの協力で撮影会は無事終了。
二つの盃をざっと洗って水切り籠に上げて。

夜になったら、とっておきの純米吟醸酒を酌んで今度こそ本当の祝杯あげるとしますか。
酒のお供にはちょっといい刺身を、近所の魚屋さんで仕入れてくるとしましょう。
撮影協力のお礼で、こまちにも少しだけ盛り合わせであげるからね。
お刺身盛り合わせとこまち.jpg
※鈴木さんから頂いたセンスあふれるプレゼントについては、
☆『友人からの真心こもった差し入れに、わが家の猫たちも大喜び!
誕生日にまつわるエピソードは
☆『師匠・扇橋の想い出と猫で祝う、特別な記念日 
でも綴っております。

蔦飾り線.png

ご精読ありがとうございます。
またのご訪問、お待ち申し上げております。
入船亭扇治拝

タグ:猫 写真
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燗酒が恋しい季節に思い出す、大看板噺家と日本酒”冷や”を巡る物語 [落語情報]


(これから飲むぞ)という時、吞兵衛の頭にまず浮かぶのは「キンキンに冷えた生ビール」だった夏から。
小ぬる燗こまち.jpg
今年も時は巡り、お燗した日本酒が恋しい季節になってきました。

微妙なお燗で
楽しむ日本酒

わが国では奈良・平安時代から室町時代あたりまで、お酒は貴族か高級武士の口にしか入らない超贅沢品。

飲酒が冬場に限定されていた時期も長く、その頃はアルコール嗜好品というより身体を温め血行を良くする薬用飲料としてお酒を飲む人が多かったそうです。

寒い時に暖をとるための飲料ですから、稲作の開始とほとんど同時発生と言われるわが国のお酒は最初から温めて飲むものでした。
ホットワインやウイスキー・中国の一部の酒などを例外として、世界でも珍しい「アルコール飲料を温めて飲む」習慣。
かのフランシスコ・ザビエルが母国に送った書簡の中で、
「われわれは冷やした酒を珍重するが、日本人は温かい酒を好む」
と驚いて報告したほど。

こま右向きアイコン.png

その「お燗」という習慣は、庶民たちが気軽に飲酒できる時代になるとさらに日本酒とは切っても切れないものになっていきます。
口が奢った町人階級の客が多い都市部の居酒屋では板場に調理人とは別に「お燗番」を置き、注文に応じて絶妙の温度に温めた燗酒を提供していました。
小お燗番.jpg

当時の酒の燗の種類は、55度から5度刻みで5段階。
飛び切り燗:55度
熱燗:50度
上燗:45度
ぬる燗:40度
人肌燗:35度
日向燗:30度

温度計などない時代、自分の感覚と経験から寸分の狂いもなく客の注文通りに酒を温めるのはまさに職人芸
腕のいいお燗番のいる居酒屋には評判を聞いた遠方からの客も詰めかけ、連日繁盛していたそうです。

現代のお燗器と
「ちろり」

前項掲載の図版・下部真ん中部分で酒を飲んでいる客たちに注目してみてください。
連れに酌をしようとしている男が持っている器は、「ちろり」
小江戸のちろり.jpg
熱伝導率の高い銅や錫でできており、居酒屋ではこのちろりでお燗をつけそのまま客に提供。

ちょっと気取った料理屋では銚子に移し替えることが多かったようですが、庶民のオアシス居酒屋では燗をして即客へ出せるちろりが大活躍。
地方でちろりに代わりよく使われだした厚手の「燗徳利」が江戸でも一般化したのは、幕末に近い時期になってからでした。

ちろりは今もおでん屋さんなどで見かけられ、個人で持っている方もけっこういらっしゃるようです。

ネット通販でも扱われており、たとえば楽天市場で見かけた錫製の2合入りちろり。
小ちろり.jpg
こちらはお値段、税込20900円
う~ん、趣味で買うにはけっこう勇気のいるプライス。
やはり基本的には、業務用ということなのですね。



ちろりを見たついでに、お燗をつける機械もネットで探してみました。
いろんな型のが複数の会社から出ていますが、筆者が個人的に気に入ったのはこちら。
小良燗さん.jpg
株式会社サンシン製RE-1、
商品名『良燗』さん。

いいネーミングセンスじゃありませんか。
78400円という価格でなければ、つい買ってみたくなっちゃいます。

サンシン社のホームページでこの良燗さんを見たら、仕様説明欄のおしまいに
「RE-1は、考える頭脳をもった酒燗器です」
という売り文句が。

”IC制御で細かく温度管理できますよ”というような意味だと思いますが、それにしても「考える酒燗器」とは言い得て妙じゃありませんか。
江戸居酒屋のお燗番の技術は、この良燗さんに受け継がれているのかもしれません。

えっ、老舗そば屋で
酒の○○が通じない?

ここまではお燗について綴ってきましたが、日本酒には温めない「冷や」という飲み方ももちろんあります。

江戸時代に燗をしないで飲むのはよほど切羽詰まった吞兵衛か、味のわからない飲んだくれくらいだったそうですが。
醸造技術が進歩し日本酒の味わいも幅広くなった現代では、たとえば辛口の本醸酒などは燗をしないで飲みたい時も。

そのための「冷や」なのですが、一時の吟醸酒ブーム以降この注文が通りにくいことが増えてきました。
冷やして飲むことが前提の「冷酒」、これを”冷や”だと理解しているお店・店員さんが多いのです。

こういう店で冷酒ではない冷や酒を注文するには「常温のお酒」という色っぽくない言い方をしなくてはならず、「野暮でヤだねー」とお嘆きの方々も大勢いらっしゃることでしょう。

2001年惜しまれつつ世を去った落語会大看板・古今亭志ん朝もその一人でした。



ある日の昼下がり、銀座で仕事を終えた志ん朝師匠が馴染みのそば屋・室町砂場を訪れた時のこと。

奥まったテーブル席の隅に座り、まずは小瓶のビールで喉湿し。
そのあとは蒲鉾にアサリの佃煮など小鉢をつつきながら、日本酒をちびちび。
締めはお腹とも相談して、天ざるあたりをツルツル。

食事の綿密な運営計画を立てた仕事帰りの大看板、いいご機嫌で店の女性を呼び止め「あぁお姉さん、お酒冷やで一本ください」と注文。

「はい、少々お待ちください」テキパキと返事する、感じのいい若い店員さん。
すぐにお酒が運ばれてきましたが、見ると盆の上に乗っているのはガラスの猪口とよく冷えた吟醸酒の一合瓶
小志ん朝師匠と冷酒.jpg

志ん朝師匠が「ごめんねお姉さん、僕が頼んだのはこれじゃない”冷や”なんだよ」言うと「あ、そうでしたか。申し訳ございません」厨房にとって返した店員さんが持ってきたのは、さっきとは違う銘柄の冷蔵純米酒ガラス一合瓶。

(まだ入ったばかりのアルバイトさんで、”冷や”がわからないんだな)気づいた、心優しい大看板。

「えーっとね、僕が飲みたいのはね、こういう冷蔵庫から出してくるのじゃなくて。
ホラあなたの店にある普通のというか、みんながよく頼むお酒ね。
あれをお燗しないで、そのままで持ってきてもらいたいんだけど」。

噛んで含めるように説明すると店員さん 「ああ、わかりました。常温のお酒ですね!」 ようやく納得して、冷やのお酒持ってきれくれましたが…。

気軽に頼んだつもりの冷や酒が、出てくるまでに思いのほか手間がかかった。
店員さんについ力を入れて説明(冷蔵庫の扉を開ける・お燗するなどの仕草付き)した疲れもあったんでしょう。

(こういう老舗の店でも、働いている若い子には”常温”って言わないと伝わらないようになってんのか…)。
不世出の名人が時代の流れに思いを馳せながら飲む冷や酒は、実に複雑な味わいだったそうです。

考えるアイコン.jpg

※全ての落語ファン・芸人から慕われた古今亭志ん朝師匠のエピソードは、
☆『名人古今亭志ん朝のお宝エピソード
☆『テレワークで落語の稽古?
でも綴っております。

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 お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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作者と受け手、言葉のキャッチボール~雑俳『物者附』の魅力その③~ [web雑俳]


「観てまわったウィーン」。
『2022秋スピリッツ』雑俳物者附での、筆者拙吟。

表の意は、「ウィーン観光旅行」。
裏にはある”丸いもの”が隠されています。
それは…。
第三の猫.jpg
映画『第三の男』でも有名な、オーストリアはプラーター公園の大観覧車。

筆者拙吟
裏とともにご紹介

今回の兼題「物者附 丸くてあるするものは」で筆者がひねり出したのは、冒頭ご紹介作を含め以下の10句。
※数字は投句一覧「地巻」での通し番号。

11 ためこんだ火種
14 ニューフェイスのヒーロー
34 化けた菊
40 観てまわったウィーン
44 泣かせた刻み
54 穴を埋めた重鎮
68 子らの集団
84 線を引いた手
124 分けた明暗
131 裏表のあった堅物

続いてそれぞれの裏もご紹介しますがその前に、隠された丸いものがおわかりにならない句がある時はもう一度だけ考えてみてください。

考えるアイコン.jpg

さぁ、シンキングタイム終了でよろしいですか?

それではまとめてご紹介、それぞれの裏。

11 ガスタンク
14 アンパンマン
34 アンモナイトの化石
40 大観覧車
44 玉ねぎ
54 マンホールの蓋
68 団子
84 山手線
124 カメラ・映写機のレンズ
131 硬貨

かなり苦しいのも多くて、せっかく考えていただいた方には申し訳ございません。

ごめんなさいアイコン.jpg

反省を兼ね
自作を再検証

今後また物者附やる時に備え、反省を兼ねて自作を何句か振り返っておきましょう。

順不同で、まず124 番「分けた明暗」。

この句は最初「光と影の記録」と詠んだのですが、なんだか説明っぽいと思ったので投句作のように変えました。
分けた明暗.jpg
”カメラのレンズが明るいところと暗い部分を分けて処理するから、写真や映画が撮れる…”という原理を言いたかったのですが、かなり無理がありましたかね。



14番「ニューフェイスのヒーロー」。

表は映画会社の新人オーディションでデビュー、すぐに主役を射止めた銀幕のスターたち。
東宝第1期ニューフェイス出身の三船敏郎はじめ、日活では小林旭・東映なら高倉健などなど。

そして裏はもちろん、やなせたかし先生が産んだ国民的ヒーロー。
ニューフェイスのヒーロー.jpg
日本人で『アンパンマン』をまるで知らない人はいないだろうから、(こりゃいい句ができたわい)とほくそ笑んでいたのですが…。

①「ニューフェイス」が「新しい顔」の言い換えであること。
②『アンパンマン』の世界を介しないと表から裏が想起できない「おとなり」句であること。
以上2点は”間違い”ではありませんが雑俳としての評価が下がる減点ポイント

みごとそこに引っかかってしまったこの句は、やはりどなたの選にもは入れてもらえませんでした。

自信作だったのに…

前項で取り上げた2句などはこうして読み直してみると、われながら(こんなんじゃダメだなー、これが人の句だったら俺も抜かないもんな)と思います。
でも実は10句の中には密かにちょっと自信があったのに、まるで坊主だった残念作も。

その代表作が
44番「泣かせた刻み」。

この句は裏の”刻んでいると涙が出る玉ねぎ”がわかるかどうか以前に、そもそも表がどうも皆さんにご理解いただけなかったよう。

作者としては、表は”感動的な歌舞伎の幕切れ”のつもり。
幕開き・幕切れにチョーン・チョンチョンチョンチョン…と柝を細かく打つのを、芝居では「刻み」と言います。

たとえば『菅原伝授手習鑑 寺子屋の段』なんぞを見物して、舞台上で見得を切る役者に拍手を送りながら。
閉まる幕に合わせ絶妙の間で打たれる刻みの柝に、感極まって客席一同滂沱の涙…といった情景を詠んだ句。
泣かせた刻み.jpg

自分ではちゃんと表も立っているし裏には玉ねぎも隠してあるしと、いい句のつもりだったんですが…。
まず選に入らないことには、どうにもなりません。

違う解釈で
選に入った句も

ここまでご披露したのはすべて選外の句でしたが、ここでお客様が抜いてくださった作もひとつご紹介。

34番「化けた菊」。
化けた菊.jpg
表は言うまでもなく『皿屋敷』お菊さんの幽霊。
裏は和名を「菊石」とも言うので「アンモナイトの化石」。

…のつもりだったのですが、抜いてくださった方は裏が
噺家の二代目・古今亭圓菊師匠
というご解釈でした。

二ツ目時代~真打ち昇進後しばらくは不遇だった二代目の師匠は、やがて独特のフラがある高座がお客様・お席亭・評論家に認められ大ブレイク。
だから裏が、
”芸人として化けた圓菊”。

こういう具合に作者の意図とは違った解釈の裏で選に入ることがあるのも、雑俳物者附の面白さ。

☆『正解はひとつ!じゃない!!~雑俳『物者附』の魅力その②~
では筆者互選結果のうちこのケースに該当する句をいくつかご紹介していますので、未読の方は覗いてみてください。

こま正面アイコン基本形.jpg

作者と受け手が表裏の解釈を巡って、頭の中で言葉のキャッチボールをする。
この双方向性が、物者附が雑俳の中でも遊びの要素をより濃くしているのではないでしょうか。

ほかの題に比べるとちょっととっつきにくいところもありますが、慣れてくると作るのが楽しくなる雑俳物者附。
折りにふれ、また記事にて取り上げていきたいと思います。

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入船亭扇治拝

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正解はひとつ!じゃない!!~雑俳『物者附』の魅力その②~ [web雑俳]


「空」「光る」「落語」などの題に沿ったものごとを〈裏〉に隠し、それとはできるだけかけ離れた意の〈表〉を詠む雑俳『物者附』。
作り手だけではなく受け手の方も(この句の裏には何が隠れてるんだろう?)と推理・理解しないと、作品の面白さが成立しない。
1裏を見抜く名探偵.jpg

こういうところが、物者附が雑俳ほかの題に比べ遊戯性・頭の体操的要素がより強いと言われる所以。
またそれが、
物者附の魅力でもあります。

ブログ主の選ご披露

☆『雑俳のラスボス『物者附』あなたはこの「裏」がわかるか?
でご紹介した、『2022年秋スピリッツその⑨』投句全作品。
会当日の互選会での筆者の選と軸(自句)、謹んで以下に披露させていただきます。
※各句あとの()内には、野暮を承知で裏に隠れているものごとを記しておきました。

2022年秋スピリッツその⑨
兼題:物者附 丸くてあるするものは
扇仮名女・選



客の一
効き 光に映えて緑艶やか
20 ふさふさのカット
(オレンジ・グレープフルーツなど、房のある果物のハーフカット)

客のニ
効き 上がる歓声今日も天晴れ 
42 気っ風がよかった船のり
(風船)

客の三
効き 折れ口慣れて入る手の内
7 くやみの数
(数珠)

客の四
効き 子どもの頃から強い賭け運
8 すくわれた出目
(金魚すくいのポイ)

客の五
効き 忠義を尽くし伏せるハチ公
132 里で見た犬
(八犬伝の霊玉)



 人の位
効き 思いのままに回す独裁
71 手にした世界
(地球儀)

地の位
効き 黄色き身体鳴くも裏声
72 手乗りのウグイス
(山手線)

天の位
効き 地道な調査目指す真実
78 照らした大鏡
(ミラーボール)

雲隠し
効き 今が好機だ隙ありの穴
15 ねらったポケット
(ビリヤードの玉)





破壊された緑
(スイカ)

作者の意図と
違う効きが付くことも

選者が句を選んだ意を表す「効き」、今回自分でも気に入っていたのは71番に付けさせていただいたもの。
2映画独裁者.jpg
ただの地球儀でなく、映画『独裁者』でチャップリンが戯れる地球型風船のイメージも加味してみました。

さてこういった具合に付けた効きで、選者が見抜いた裏は何だったのかも表すことになるのですが…。
”その解釈が、実は作者の意図した裏と違っている” ケースが、物者附ではけっこうあるのです。
今回私が抜かせていただいただけでも、3句がそれに該当。

まずいきなり最初の選から。
客の一に採らせていただいた20番、私は裏が「マスカット」だと思ったのです。
3ふさふさのカット.jpg
だから品種のシャインマスカットからの連想で”光に映えて”という言葉を選び”みどりの黒髪”にもかかっているという、これもまぁ自分では工夫した方の効きのつもり。



続いての解釈違いは、地の位72番。
山手線車両カラーの名称は「緑」ではなく「ウグイス色」ですから、本来真っ先に「裏は山手線!」と気づくべきだったのですが…。

筆者は一度現地に行って見たことがあるので、この句の裏は「インドネシアの50ルピア硬貨」だと思い込んでいたのです!
4手乗りのウグイス.jpg
だから”裏面にコウライウグイスの柄が刻まれた、手のひらに乗る小さな硬貨”という意で採らせていただきました。



天の位も、私の効きは作者の方の句想とは大きくかけ離れたものに。
筆者の解釈はミラーボールではなく、 「カミオカンデのニュートリノ観測装置」
5丸いカミオカンデ.jpg
だからこういう大仰な効きになりましたが、結果は作者の意図する”真実”とははるか遠いところへ着地することに。

物者附の面白さ
複数解釈もあり

しかしこういった選者が作者の意図とは異なる裏を読み取ることは、雑俳という言葉遊びの中では「間違い」ではありません。
むしろ複数の裏が解釈できる句は多くの選者に抜かれ、物者附として面白い・深い作品として評価が上がることも多い。

これは雑俳に限らず、俳句の世界でもそうですね。
作者の意を封じ込めた五七五という限られた文字数の言葉は、受け手側の想像の世界を広げる。
芭蕉の「古池や」のように超有名な句にも10種類以上の解釈が存在し、それが味わいの一つとなっているのだそうです。

考えるアイコン.jpg

人気アニメ『探偵オペラ ミルキィホームズ』オープニング曲タイトルのように、
6正解はひとつ!じゃない!!.jpg
「正解はひとつ!じゃない!!」のも楽しい、雑俳物者附。

次回このシリーズでは、ブログ主の拙吟をまとめてご披露。
☆『作者と受け手、言葉のキャッチボール~雑俳『物者附』の魅力その③~

※シリーズ前記事は

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黒と赤の彩りが、愛猫の撮影を楽しくする! [猫のいる風景]


秋が深まり、朝の冷え込みで布団からなかなか出たくない季節に。

人間がそうなのですから、
まして寒がりの猫に於いてをや。

わが家の黒猫こまち、今朝もご飯すませるといそいそ女房の寝床に戻って優雅に二度寝の態勢。
朝寝の準備.JPG

この布団あげられないと、私は作業机や着物広げづらくて困るのですが…。
無心に寝息たてる丸い生き物を見ていると、とても邪険に起こすことはできません。

そこでこちらが布団の占有権譲るかわりとして、こまちの趣向写真を撮らせてもらいました。
シーサーと黒猫.jpg
琉球の聖地で黒猫神を守護する、阿吽のシーサーたち。

相性抜群
赤いものと黒猫

冒頭の加工写真を作りながらあらためて認識したのが、
黒猫と赤いものって、本当に似合うなぁ
という有史以来の事実。

こま正面アイコン基本形.jpg

黒は無彩色ですから、基本的に他のどんな色とも合わせやすい。
でもこと黒猫に関しては、圧倒的に赤との相性がいいと思います。

SNSで皆さんのお宅の黒猫ちゃんを拝見すると、赤い首輪している子が目立ちますね。
筆者も黒猫と赤いものの取り合わせを見ると、ついカメラのシャッターを切りたくなる。

たとえば、これとか。
ジジとマグねこ.jpg

こういうのとか。
さくらんぼとクロヤマさん.jpg

黒に赤がよく映え、写真の出来はともかく自分で撮ってて楽しい。

リアル黒猫
人気キャラと共演

じっとしていてくれるマスコットと違い、リアル黒猫はこちらの思い通りにポーズとってはくれません。
でもなんとかタイミングが合って撮れた、赤いものとのツーショット写真はそれなりにあります。

その中から今回は、まずこんな1枚をご紹介。
キャキーと.jpg
恐竜好きの女房に私がプレゼントした赤いプテラノドンのぬいぐるみと、黒猫こまちの記念写真。

この翼竜の名は『キャキー』
スチュアート・モスコウィッツ氏デザイン『ディンキーダイノス』シリーズの一体。
ディンキーダイノス.jpg
1999年まで旧さくら銀行のキャラクターに使われ、折りからの恐竜ブームにも乗って当時けっこう人気があったマスコットです。



続いては、この超有名キャラと並んで。
キティちゃんだるまと.jpg
高崎駅名物『だるま弁当』キティちゃんバージョン容器。
平成12年(2000年)初登場、今でも税込1350円で販売されているかわいいお弁当。
ハローキティだるま-thumb-710xauto-784.jpg



3枚目はうちから表へ飛び出し、近所の地下鉄車庫で撮影。
丸の内線と.jpg
鉄道ファンに人気、丸の内線最新車両2000系をバックに。

これも風流
猫にもみじ

本稿を書いているのは、2022年10月半ば過ぎ。
全国各地から、紅葉の便りが聞こえてきています。

花札だと「鹿にもみじ」ですが、黒猫も色づいた木々の葉の下に配するとよく似合うはず。
もみじ狩り.jpg

かと言ってわが家の近所ではまだ紅葉はそんなに進んでいませんし、こまちは完全室内猫ですから本物のもみじ狩りはちょっと無理。
その代わりに、うちに居ながらにしての紅葉見物はどうかな?

この時期店頭を彩る、
秋仕様のビール・発泡酒。

パッケージに舞うもみじを、こまちにも愛でさせてあげましょう。
秋の宴.jpg
おや、下戸の黒猫が珍しく舌をペロリ。

じゃあ今夜はこのもみじ眺めながら、一緒に晩酌するかい?

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