コロナとの先の長い戦いに34年の時を越えて届け、噺家からのエール [落語情報]
入船亭扇橋カーテンコール続編
不要不急の外出を控えて、家で過ごす時間が増えています。
週末は映画館・デパートなどがお休み、真打披露が行われている寄席も休み。
鳥貴族に串カツ田中、大手カラオケボックスチェーン等が12日まで臨時休業。
そんな時の気晴らしのひとつになればと、私ども入船亭一門から会中止のお詫びとお客様への御礼をボイスメッセージでお伝えしました。
近日中に1か所へまとめる予定ですが、今は個別記事でご容赦ください。
近日中に1か所へまとめる予定ですが、今は個別記事でご容赦ください。
5人の噺家がご挨拶申し上げたあと、師匠の故・九代目扇橋の声をカーテンコールという形でお届けしております。
入門してひと月たった私に師匠が稽古をつけてくれた『寿限無』。
噺の本筋のあと、私に前座とは何か・芸人としての心構えなどを諄々と教えてくれた語りの部分を抜粋しました。
入門してひと月たった私に師匠が稽古をつけてくれた『寿限無』。
噺の本筋のあと、私に前座とは何か・芸人としての心構えなどを諄々と教えてくれた語りの部分を抜粋しました。
全体で10分以上ありまして、当ブログでは1度に挿入できる音声ファイルが1mb以内という制約があるため4つに分割。
最初の部分は
週末外出自粛 寄席のない土日に、噺家からweb挨拶再び!
にてお聴きいただけます。
続けて、俳人でもあった扇橋が味のある口調でまだ見習いの私に丁寧に教えてくれた語り、お付き合いください。
※おしまいの方で師匠が「トモアキ」と言っているのは、私の本名。まだ見習い期間で高座名がないから本名で呼ぶのですが、どこの一門でもたいてい師匠は弟子を「〇〇君」と姓で君付けあるいは呼び捨て。
※おしまいの方で師匠が「トモアキ」と言っているのは、私の本名。まだ見習い期間で高座名がないから本名で呼ぶのですが、どこの一門でもたいてい師匠は弟子を「〇〇君」と姓で君付けあるいは呼び捨て。
扇橋は「親御さんから、大切な息子をいったんうちの身内としてあずかるのだから」という考えで、下の名前呼びをしておりました。 弟子を家族として扱ってくれた師匠のエピソードなど、懐かしい写真とともにまた少しずつご紹介していく予定。
前振りがまた長くなってしまいました。
それでは34年の時間を経て甦る、お客様には本邦初公開のボーナストラック。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
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楽屋で色紙を書く扇橋を手伝う私、扇治。 自分の出番直前に「落款を押すの手伝ってくれ」と頼まれ、内心(着物に着替える前に言ってくれればいいのに)。
ふくれっ面が、鏡に映ってます。
ふくれっ面が、鏡に映ってます。
今はみんなで、再スタートに備える時
新型ウイルスの感染をこの段階で押さえこめるか、「瀬戸際の状況」と政府・専門家会議は見ています。
そのために国・自治体から出されているのが、今は極力外出を避け、他人との接触を最低限に留めるようにとの要請。
この段階での押さえこみが成功したとして、その結果が新規感染者が減少傾向に転ずるという目に見える形で現れるのはかなり日数がかかるそうです。
押さえこめていなかったら、また次の段階で私たちは新型ウイルスと戦っていかなくてはなりません。
医療関係者や政治家ではない人間ができる戦い方は、
拡大防止のため「密閉」「密集」「密接」を避けること。
外出・イベントの自粛を理解・協力する。 当面はこれに尽きるでしょう。
お聴きいただいた音源での、下積み期間を大きな飛行機の滑走にたとえるのは、扇橋の好きな言い回し。
ところが今は師匠の言う飛び立つ前の飛行機どころか、日本人みんなが滑走路に出られないで駐機場でまだかまだかと待たされている状態。
不安です。
収入が一切なくなった噺家なんて、なおさら心配です。
不安です。
収入が一切なくなった噺家なんて、なおさら心配です。
そんな私は数十年ぶりにこのカセットテープを聴き返して
「仕事なくなって先が見えなくて心細いだろうけど、今はみんなでこらえる時期なんだからしっかりしろ智明。世間がまた普通になった時にそれッとスタートダッシュが切れるよう、くさらないでみっちり稽古しときな」
と師匠から励ましてもらいました。
今の状況をシュミレーションするということなのか、世界中で増刷がかかって読まれているカミュの小説『ペスト』。
作中ではペストは人類に大きな被害をもたらしながらも、9か月で終息。
作中ではペストは人類に大きな被害をもたらしながらも、9か月で終息。
小松左京『復活の日』。
細菌兵器によって人間はわずか数か月のうちに、南極の1万人を残してほぼ全滅というショッキングな展開。
それでも残された人々が協力して新しい文明の再建を目指すという、希望を感じさせる文章で物語の幕は閉じます。
細菌兵器によって人間はわずか数か月のうちに、南極の1万人を残してほぼ全滅というショッキングな展開。
それでも残された人々が協力して新しい文明の再建を目指すという、希望を感じさせる文章で物語の幕は閉じます。
本当に月並な言い方で恐縮ですが、
明けない夜はない
それを今は信じたいと思います。
お開きには、あの名作落語の夜明けの場面を。
おしまいまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
入船亭扇治
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