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コロナ疲れを粋な洒落で吹き飛ばそう! [落語情報]


ウイルスよ、これが人間の底力だ!


日本全国で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため個人の行動の制限が要請されています。
できるだけ人どうしの至近距離での接触をさけ、物理的に感染を抑え込もうという人類の力技

そりゃ不便だし気持ちも沈みがちですが、とにかくまるで素性のわからない「未知」のウイルスが相手。




余談ですが「ウイルス」って細胞・細胞膜を持たないので
生物ではない
とする学説もあるそうです。

そもそも鼻で息していない生き物と、なかなかわかり合えるものではありません。




ここは新型ウイルスの性質と対抗策が明らかになるまで、じっとこらえて人間の底力を見せつけてやろうではありませんか!

そのためのツールの一つとしてご提案するのが、江戸の粋で愉快な言葉の遊戯
「雑俳」

免疫力アップや脳への刺激・在宅での時間を有効に活用という記事も、未読の方ご参考までに。





ネットに少ない雑俳の情報


雑俳の歴史的成り立ち・作り方のルールについては、柳家小ゑん師匠の丁寧な『雑俳式目(作法の約束事)集』というページがインターネット上で公開されていました。

ただ残念ながら4月10日の時点で確認したら、すでに削除されたあと。ずいぶん前に管理人さんが閉じたサイト中の記事ですから、今まで見られていたのが運がよかったのですね。


【4月14日追記】

その管理人さんが他へ移動してくださっていたURLを、小ゑん師匠から教えていただきました。


・『うまいねどぉ~も川柳道場』全作品



Google先生に聞いてみると「雑俳」で検索上位に現れるのが
・「コトバンク」など辞典サイトでの語句説明。
・落語『雑俳』の解説や動画のある場所。
などが5件ほど。


そのあといきなり
・「合流式・分流式水道」とは
・『浄化槽での雑排水の効率的な処理方法』
というのが並んでます。


私が最初パソコンで雑俳の会のチラシを作る時に「ざっぱ」と何度も打ち込んでいると「雑俳」に学習自動変換されるように。
おおなんてうちのマシンは賢い子なんだろうと、バリバリ版下を作って印刷会社に発注。


仲間にチラシを送ってさてひと息と思ったら出演者のひとりから
「アニさん、もらったチラシの「雑俳」が全部「雑排」になってんだけど」。


あーッ、ほんとだ!![がく~(落胆した顔)]
急いで作り直し。
「ざっぱ」と打つと今でも「雑排水」「雑排水槽」が変換候補上位に出てきますから、ネット上ではちょっと「雑俳」は語句としてはあまりメジャーな存在ではないようです。


「雑俳」を辞書で引いてみる


皆様をお誘いするにはまず「雑俳とは何ぞや?」を説明しなくてはいけません。
私がいい加減なことを言ってもいけないので、辞書に当たってみましょう。図書館が利用できないので、辞典サイト「weblio辞書」で三省堂大辞林(第三版)を引いてみると…。
こまち辞書.jpg
おっと、「猫」を引いてどうすんだいこまち。「雑俳」でしょ。


ざっぱい【ざっぱい】
[雑体の俳諧]
前句付け・笠付け・沓付け・折句など、多様な短詩形の庶民文芸の総称。
もっぱら機知を楽しむ点に特色がある。

江戸中期から用いられた語。→川柳


このをクリックしたら、噺家の川柳川柳のページに飛んだりして。


さすがは大辞林先生、ちょっと無愛想だけど簡潔にして的確な説明。
でも最初の[雑体]って何だろう。
気になったので、ついでにそっちも調べてみました。


ざったい【雑体】
?「雑体詩に同じ」。
②「ざってい(雑体)」に同じ。


ふむ、「ざってい」とも読むのか。

興味がわいてきて②を先に調べると

ざってい【雑体】
?[古今集の部立てにあることから]和歌の部類の一。長歌・旋頭歌。
②和歌の一体として、連歌を呼ぶ語。


といきなり難しいことをのたまわり始めたので、慌てて「雑体詩」に戻りました。

ざったいし【雑体詩】
⇒雑言体


お、出たぞ老舗辞書お得意のたらい回し。
時間はたっぷりあるので、ここまで来たらそっちも見てみましょう。

ざつごんたい【雑言体】
中国の古典詩のうち、正統詩体の様式からはずれた、一種の文字遊びに似た詩体。雑体。


ふぅ、最後は中国まで連れてこられました。皆さんもお疲れ様です。
"正統詩体からはずれた”という言い回しに、真面目な大辞林先生がちょっと厳しい顔をしているのが目に浮かびます。


でもそれは逆に言うと雑俳は
堅苦しいことはあっちへ置いといて、とにかく粋に楽しく言葉で遊ぼうよ!
という意味なんです。


「俳諧から派生した、機知に富んだ言葉遊びの総称」と会のチラシではうたっており、笑点でおなじみの川柳や謎かけも含まれる。
誰でもすぐ作ることができて、楽しく言葉で遊べて慣れてくると奥が深い。それが雑俳なんです!


それでは、選者噺家紹介。


web雑俳の会(仮)では広くお客様からの投句を募り、その中から数名の噺家たち(自分たちも投句します)が優秀作を選んでネット上で公開!という形で進めていく予定。


現在投句方法やお題については、運営メンバーで連絡を取り合い鋭意協議中。詳細まとまり次第当ブログ・メンバーSNS等で告知いたします。

落語ロスや娯楽に飢えている方々に少しでも喜んでいただけるよう、国や自治体に負けない迅速な企画進行心がけますので、どうぞお楽しみに!


正式な告知前に、選を務めさせていただくメンバーをご紹介しましょう。いずれも篝火舎芯亭(かがりや・しんてい)宗匠指導のもと雑俳の連(俳句の結社)を組んで遊んでいる、言葉遊び慣れした噺家たち。




さあ誰が登場するか、ドゥるるるるるる…(ドラムロール)。

まず最初は


天文・鉄道・カメラパソコンと幅広い趣味を持ち、自ら工具を使ってハンダ付けができるスーパー理系噺家。
三遊亭圓丈とともに東京の新作落語シーンを牽引し続ける。
師匠である先代柳家小さんが「あいつの新作は、ちゃんと人や風景が見えてくる」と認めた創作・表現力が産んだ作品は、『ぐつぐつ』『長い夜』など名作揃い。
会では宗匠として出題・指導にもあたります。


柳家小ゑん[雅号:篝火舎小ゑん]
※立机(りっき。俳句の世界で師匠から独立を認められること)後の雅号は上記ですが、それ以前は「半田小手咲(はんだのこてさき)」。


続いて

出身地北海道根室では、地元大物政治家と並ぶ名士。
厳しい金馬門下の内弟子修行でも、常に笑顔を忘れず。
お客様だけでなく仲間うちからも「あいつがいると座が盛り上がる」と愛されるキャラクター。
明るく楽しい高座は落語だけでなく、寄席の踊り・腹話術・獅子舞など多彩な芸でご機嫌をうかがいます。


三遊亭金八[雅号:根室蝦夷前(ねむろのえぞまえ)]


さておあとに控ぇしは

端正な佇まいに飄々とした芸風。
しっかりした土台に支えられた語りは、何があっても揺らぐことはありません。
お客様・お席亭のみならず、人間国宝の師匠当人が認めて後を託した鈴本演芸場正月初席第3部のトリという重責を史上最年少で守り続ける本格派。


柳家三三[雅号:三三時雨(さんざしぐれ)]


どんどん参りましょう。

「これは、あたしにとっちゃ一番おしまいの弟子で。こうして披露目の口上の席に一緒に座って、これで師匠として務めを果たし切ったという満足感と、それから何てんですかね…。
ああ今から末の弟子が巣立って行くんだなぁ…。上野駅のホームで終列車の灯りを見送るような、そんな気持ちも致します…」
真打披露の高座で師匠が万感の想いを込めて語った言葉。
身体が衰えてきた師匠を、しっかり支え続けた体験を雅号に。


入船亭扇里[雅号:供鞄持(とものかばんもち)]


メンバー中の紅一点

男社会の楽屋にあって、一歩も引かない存在感。
やはり女流真打の師匠の薫陶を受けた古典と、三遊亭白鳥らの芸を貪欲に身体へ取り込んだ新作。バランスのとれた高座さばきには、ご常連のファンが多くついています。
黒門亭の運営委員会でも、頼りない男どもを叱咤激励する立場。
雑俳の集まりには自分の所属する連以外にも積極的に参加、腕を磨いています。
落語協会事務局2階スペースでの雑俳落語会『スピリッツ』シリーズのプロデューサーとしても、頼れる存在。


古今亭駒子[雅号:小野駒根乳(おののこまねち)]


そして不肖、私。

入船亭扇治[雅号:扇仮名女(おうぎのかなめ)]

以上が現時点での選者




選句だけでなく、それぞれの音声メッセージや動画の掲載もある、かも
その他「花選」(投句していない上級者が、座に花を添えるために選句すること)で登場する芸人がいるかも…。


今回の企画のイメージをつかんでいただくために、過去に開催した雑俳の会のチラシを掲載します。
言の葉落語会.jpg
第2回言の葉落語会.jpg
ゴールデンスピリッツ案内.jpg

PDFが開けない方のために画像もアップしましたが文字などは見づらいと思いますので、できるだけこちらのリンクの「雑俳」→「これまで開催された雑俳落語会」のフォルダーを開けてご覧ください。



蔦飾り線.png

沢山の方に、賑々しくご参加いただけたら幸いです。

また、覗いてやってくださいね。
お待ち申し上げております。


こういう閉塞感を感じがちな時こそ、ユーモアを。
Twitterのフォロワ―の方が秀逸な落ちをつけてくださった、こんなエピソードもよろしければ。


入船亭扇治




タグ:雑俳 落語
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長久命長助

雑俳の会「~スピリッツ」シリーズで毎回お世話になっている者です。
今年はコロナのせいで「ゴールデンスピリッツ」はないだろうなあと寂しく思っていたのですが、
扇治師匠が「web雑俳の会(仮)」を立ち上げてくださるとのことで、
元気が出ました‼
ぜひ参加させていただきますのでよろしくお願いいたします。
by 長久命長助 (2020-04-14 03:21) 

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