春爛漫の3月、入船亭扇治の出演情報 [落語情報]
一日ごとに春の気配が深まる3月。
新年度への希望に満ちたこの時期、入船亭扇治は二つのまとまった高座機会でお目通り。
新年度への希望に満ちたこの時期、入船亭扇治は二つのまとまった高座機会でお目通り。
特別興行で
久々の定席主任
久々の定席主任
今年で誕生100年の節目を迎えた一般社団法人落語協会。
日頃のご贔屓に感謝して寄席を中心に様々な記念イベントを展開、その一環が新宿末廣亭3月中席興行。 ※解説面が付いたチラシのPDFファイルはこちら、落語協会HPの詳細ページはこちらからご覧ください。
日頃のご贔屓に感謝して寄席を中心に様々な記念イベントを展開、その一環が新宿末廣亭3月中席興行。 ※解説面が付いたチラシのPDFファイルはこちら、落語協会HPの詳細ページはこちらからご覧ください。
100年イベントにふさわしく、昼夜の日替り主任が「百」にちなんだ噺を口演するという趣向。
扇治は19日(火)昼の部を担当、『百年目』でお客様のご機嫌を伺います。
扇治は19日(火)昼の部を担当、『百年目』でお客様のご機嫌を伺います。
花満開の桜の名所と大店を舞台に、笑いの中にも人情味を感じさせる春の大作。「江戸時代の奉公制度に学ぶ、会社組織のあり方と経営者の心構え」なんてテーマで、企業のセミナーなどでも取り上げられたりする演目です。
そんな名作で8年ぶりに定席でのトリを務める3月19日末廣亭昼の部興行、どうぞお花見気分でお出かけくださいませ。
人気講談師との会、
今年も開催
今年も開催
そしてもう一つご案内は、過去2回開催しご好評をいただきました声優でもある女流講談師・一龍斎貞友師匠との二人会。
※実寸大チラシ画像は、こちら。
同じ話芸でもそれぞれ異なる味わいがある落語と講談・さらに男女の語り口の違いも活かして、二人で二席ずつの高座をお客様が飽きないよう精一杯務める所存でございます。
こちらも皆様お誘い合わての賑々しきご来場、心よりお待ち申し上げております。
入船亭扇治・記
タグ:入船亭扇治 落語
墨跡褪せぬ、業績と思い出~寄席文字・橘左近師匠追悼~ [落語情報]
2023年12月12日に雲の向こうへ旅立った、寄席文字の大家・橘左近師匠。
その偲ぶ会は霧雨の降る2024年2月23日午後、日暮里のホテルラングウッド白鳥の間にて執り行われました。
しめやかな中にも
和やかな笑いが
和やかな笑いが
長野県飯田市出身の左近師匠は明治大学商学部進学のため出てきた東京で落語・寄席に魅せられ、学業半ばにして演芸の世界に身を投じることに。
でも選んだ道は噺家ではなく、寄席文字橘流創始者の一番弟子になることでした。
芝居や相撲の宣伝で使われる文字とルーツを同じくする落語の「ビラ字」に独自の工夫を凝らし「寄席文字」という体系を確立したのは、噺家から書家に転身した橘右近師匠。
余白を少なく墨黒々と、まろやかでデザイン性に優れた書体で書かれた看板やめくり等は、寄席・落語会を盛り上げる重要なアイテムの一つとなっています。
1961年に入門した左近師匠は師・右近亡き後の一門を確かな技量と懐深い人間性でしっかりまとめあげ、ご自身も多くの業績を残されました。
そんな橘流ナンバー2の思い出を語りつつ盃を酌み交わす席には、表でそぼ降る雨のようにしめやかな雰囲気の中にも和やかな談笑が溢れて。
そんな橘流ナンバー2の思い出を語りつつ盃を酌み交わす席には、表でそぼ降る雨のようにしめやかな雰囲気の中にも和やかな談笑が溢れて。
正面祭壇の、弔事にふさわしく薄墨で書かれためくり。
こういうところにも、演芸関係の方をお見送りするという風情が感じられます。
お別れのご挨拶で壇上に立ったのは、
『笑点』でお馴染み三遊亭好楽師匠 講談人間国宝の神田松鯉先生 などなど錚々たる顔ぶれ。
『笑点』でお馴染み三遊亭好楽師匠 講談人間国宝の神田松鯉先生 などなど錚々たる顔ぶれ。
あらためて、故人が演芸界でいかに大きな存在だったかを感じる偲ぶ会でした。
個人的にも
ひとかたならぬお世話に
ひとかたならぬお世話に
私が学生時代アルバイトさせてもらっていた頃の新宿末廣亭では、左近師匠が看板関係を一手に引き受けていました。10日のうち1日か2日末廣亭に通って来て、2階の仏間でトリの大きな一枚看板や出演者一覧などを一気に書き上げる。
お席亭に言われて休憩中の左近師匠のところへお昼ご飯やお茶を運んでいくと、「おっ児山君、ご苦労さん」と寄席文字大家を前に緊張している私に気さくに声をかけてくれたものです。
半年間だけ通った御徒町の画材店『キンカ堂』での寄席文字教室で、左近師匠が私の後ろに回り手を取って指導してくださったのも懐かしい思い出。
そして噺家になってからは、さらにいろんな形で左近師匠にお世話になることに。
まず二ツ目昇進時には、手拭いのデザインをお願いしました。
私の芸名に因んだ扇子を散りばめ、一門の紋・蔦の葉を配した素敵な絵柄。
毎年色変わりで拵えていたので、(来年はどんな色にするかなー)考えるのが楽しみでしたね。
手拭いを包むたとう紙も、別誂えで作っていただきました。
のしのデザインは、左近師匠オリジナルです。
そして真打になる時は、名入りの扇子を。
こちらの暴れのし、先ほどの手拭いとはまた違った意匠のものになっています。
真打披露限定の手拭い。
この漢字「入」と帆掛け船の絵を組み合わせた文様は、「入船扇蔵」を名乗っていたことのある二代目扇橋ゆかりのものだそうです。
噺家の系図調査をライフワークにしていた左近師匠は、様々な文献にあたって歴史的な事物についての造詣も大変深い方でした。
長年に渡る調査研究の集大成である労作、『東都噺家系圖』(1991年・筑摩書房)。
この本の出版記念会に出席する機会を得たのも、思い出の一つ。
話戻りまして、新しい扇子と手拭いを支度しての真打披露パーティ。2001年秋に椿山荘で開催した私のその披露目で、左近師匠には口上にも並んでいただきました。
※画像左より敬称略にて 入船亭扇遊・橘左近・扇治・九代目扇橋・末廣亭北村幾夫社長(現会長)。
胸に墨黒々と
刻まれる思い出
刻まれる思い出
こちらからお仕事として依頼した手拭いや扇子のほかにも、左近師匠からのご好意で頂戴したものがあります。
落語協会員が真打になる時には橘流ご一門がお祝いとして贈ってくださる、塗りの「招き」。
披露口上のお礼に薄謝をお包みしたところ、そのさらにお返しにと個人的に書いてくださった表札。
末廣亭の表に掲げる招き看板。
毎年暮れには表にかんなをかけ新しい字を書き直すのですが、「もう何度も使って板自体薄くなってるし、よかったら記念でうちに置いときなよ」と持たせてくれたもの。
そして何よりも、私が一番左近師匠お心遣いを感じたのは。 末廣亭でトリをとった時、二階へ仕事に来ていた師匠が客席後方・桟敷の影でずっと私の高座を見守っていてくれた姿。
暮れには私からのささやかな歳暮への返礼とともに、その時の高座についての感想と励ましのお言葉を添えた直筆のお手紙もいただきました。
演芸界への多大な貢献と、私の胸にもたくさんの思い出を残して旅立った橘左近。
締めのご挨拶で、ご子息がとても良いことをおっしゃっていました。
本当に、その通りだと思います。
右近左近師弟が力を合わせた看板が掲げられる「天国名人寄席」の風景思い浮かべ、謹んで寄席文字大家のご冥福をお祈り申し上げる次第でございます。
※x(旧Twitter)への投稿より。
※x(旧Twitter)への投稿より。
入船亭扇治・記
タグ:入船亭扇治 落語
元気な猫にパワーもらって、ヒマな時こそ勉強会! [落語情報]
天気のいい冬の一日、池袋駅前で落語会のチラシを配る黒猫こまち。
二八(にっぱち)は不景気。
上期・下期の決算月の前にあたる2月と8月は、年末年始の反動や夏休みお盆休暇の影響などで商売の売り上げが低迷する。
昔から言われているこの言葉は、私たち噺家の業界にもあてはまります。
昔から言われているこの言葉は、私たち噺家の業界にもあてはまります。
豆まきや夏の企画興行があったりするので寄席の入りは悪くないのですが、全国的に演芸がらみのイベント・行事はほかの時期よりはやはり少ない。
そうなると私のような弱小噺家へのお声がかりも当然減って、2月は所得税確定申告の作業がメインの仕事みたいなもの。
そうなると私のような弱小噺家へのお声がかりも当然減って、2月は所得税確定申告の作業がメインの仕事みたいなもの。
打ち合わせや用足しのほかは在宅することが多くなると、目につくのが同居猫のふるまい。
あらためて観察すると、猫は本当によく寝ます。
朝は女房の体温が残る布団の花畑で、優雅に二度寝。
窓から日が差し込むようになると、バレリーナのような態勢で丹念に身繕いしてから、
陽だまりでスヤスヤ。
日がかげると私が使っていたミニ電気あんかに乗っかり、余熱を有効活用して寛ぎ。
ひと遊びして晩ご飯もらうと押入れの別荘に入って、夜食の時間まで寝る準備。
持って産まれたネコ科の生き物の特性だし、見ていてかわいいから寝ること自体はいいのですが…。
問題なのは「猫の怠け癖には、伝染性がある」という点。
朝起きる時間になっても猫が布団の中にいると(かわいそうだから、もうちょっと一緒に寝てやるか)とか。
日没とともに猫がいったん活動を休止するのを見て、(稽古は明日でいいや、早めに晩酌にしよっと)と自分を甘やかしてしまったり。
日没とともに猫がいったん活動を休止するのを見て、(稽古は明日でいいや、早めに晩酌にしよっと)と自分を甘やかしてしまったり。
別にこまちが悪いわけではなく、私は意志が強い方ではないのでついつい安きに流されがちになります。
それではいけないのでここはもう一度「芸人はヒマな時こそ稽古だ」との師匠の言葉を思い出し、手作り勉強会をまた開催することにしました。
冒頭画像でこまちが配っていたのは、そのご案内。
冒頭画像でこまちが配っていたのは、そのご案内。
第5回『入船亭扇治 存在証明落語会』
☆日時:2月22日(木)18時30分開演
☆会場:「俳優・声優養成所 ヴォイス&アクターズ道場」稽古場(豊島区東池袋1-36-7 アルテール池袋309) ※池袋駅東口より徒歩5分程度。 駅から会場への行き方は、チラシ記載のQRコードからご覧ください。
※原寸大チラシ画像は、こちらにございます。
☆番組:扇治蔵出し演目2席
☆料金:1500円均一
☆お申込み・お問合せ
090-8455-8996
senji1365@gmail.com
☆日時:2月22日(木)18時30分開演
☆会場:「俳優・声優養成所 ヴォイス&アクターズ道場」稽古場(豊島区東池袋1-36-7 アルテール池袋309) ※池袋駅東口より徒歩5分程度。 駅から会場への行き方は、チラシ記載のQRコードからご覧ください。
※原寸大チラシ画像は、こちらにございます。
☆番組:扇治蔵出し演目2席
☆料金:1500円均一
☆お申込み・お問合せ
090-8455-8996
senji1365@gmail.com
寝ている時ではなく、目を輝かせて夜食を催促するやる気に溢れたこまちからパワーもらって。
2月22日=「猫の日」の勉強会、精一杯務める所存でございます。
よろしければ、覗いてやってくださいまし。
よろしければ、覗いてやってくださいまし。
入船亭扇治・記
タグ:入船亭扇治 落語
「労働」専門の図書館で楽しく学ぶ、江戸の職業斡旋業 [落語情報]
2024年・私にとって都内で最初の落語会は、ちょっと特殊な図書館で行われます。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が運営する「労働図書館」が、その会場。住所は練馬区上石神井4-8-23、西武新宿線上石神井駅北口から徒歩10分程度のところにあります。
労働法や労働運動などに関する資料を扱うこの図書館、司書落語家である私はその存在は知っていましたが、まさか自分がここで一席申し上げることになるとは夢にも思いませんでした。
こちらの館では、2023年6月から江戸時代の職業斡旋所『千束屋』の看板展示を始めています。担当者の方がその関連情報を調べていて下記私のブログ記事を目に留めていただいたところから話が進み、今回のイベント開催の運びとなりました。
入船亭扇治独演会(落語+ミニ講演)
☆日時:2024年1月16日(火)18時30分開演
☆会場:労働政策・研修機構2階大会議室
☆演目:『引っ越しの夢』ほか一席・江戸の口入屋についてのよもやま話
☆入場無料・事前申し込み定員制
詳細・原寸大ご案内は企画紹介ページをご覧ください。
☆https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html#permanent2023
☆https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html#permanent2023
会場になる大会議室は広くて明るい空間で、ゆったりと落語をお楽しみいただけると思います。
開催日が迫っておりますがまだまだお席に空きがあるかもしれませんので、ご興味おありの方は上記企画紹介ページ申し込みフォーム・または電話03(5991)5032にてお問い合わせください。
当日の落語会だけでなく、千束屋を始めとする江戸の口入稼業についての貴重な資料が常設展示されている労働図書館。本記事をお読みいただいたのをご縁に、ぜひ一度足を運ばれてみてはいかがでしょう。
共同執筆猫こまちからも、伏してお願い申し上げます。
入船亭扇治・記
タグ:落語 入船亭扇治 本
新しい年に向けて、お酉さま熊手と落語会で運気上昇! [落語情報]
記録的に長くて暑かった令和5年日本の夏も、さすがに11月半ばともなるとひと段落。
朝夕は肌寒さを感じ街のあちこちでクリスマスケーキやおせちの予約広告が目立ち始めると、(そろそろ年越しの準備、始めなきゃなー)という気分になってきます。お歳暮の手配・年賀状の準備など、やるべきことはたくさんありますが…。
朝夕は肌寒さを感じ街のあちこちでクリスマスケーキやおせちの予約広告が目立ち始めると、(そろそろ年越しの準備、始めなきゃなー)という気分になってきます。お歳暮の手配・年賀状の準備など、やるべきことはたくさんありますが…。
来るべき新しい年を少しでも良いものにするべく、縁起物をわが家に迎え入れることも大切。
そんなわけで黒猫こまち、商売繁盛・運気上昇を招く熊手を求めて酉の市へとやってきました!
浅草鷲神社の境内にずらり並んだ屋台店ではそれぞれに工夫を凝らした大小さまざまな熊手を扱っており、見ているだけでも運が向いてきそう。
やはり縁起物のヤツガシラ・切山椒のほか縁日定番の食べ物屋台もたくさん出ていて、こまちはそっちが気になるようです。
「良運をかき集める」熊手と一緒に、ダルマや招き猫も買って帰るとさらに運気上昇。
ダルマも猫も欲しいけれど不景気で手元不如意、どっちもいいお値段で両方はちょっと無理だなぁ…という方のためには、こういう縁起物も。
一体で二倍ありがたそうな「招き猫ダルマ」。※黒猫は非売品。
さぁチョコバナナ・鈴カステラ・りんご飴買ってもらって大満足のこまち、締めはお目当ての熊手を購入。
宝船やおかめさんなどの縁起物のほか、猫じゃらしにCIAOちゅ~るとこまちの大好きなものが入った特製品!
そしてもう一つ、とっときの熊手もここでご披露しましょう。
「仕事がヒマな時ほど稽古を」をモットーに開催する、私の勉強会のご案内。
会当日には令和5年二の酉はもう終わっておりますが、11月お酉さまの「トリ」を務めるつもりで精一杯お喋りいたしますよ!
入船亭扇治・記
タグ:入船亭扇治 落語