SSブログ

緊急事態宣言下の東京 夜の街での恐怖体験 [日々雑感]


近所で怖い思いを…


昨夜、恐ろしいものを見てしまいました。
今思い出しただけで、肩口から水を浴びせられたようにぞーっとします。
ああ、怖かった


本来このブログでは、
噺家らしい切り口で世情をスケッチ。
こんなご時世だから、少しでも明るく前向きな話題をご提供。

これを看板にここまで記事を重ねてきたつもりです。


つらい話・ネガティブなエピソードなどは、極力避けなければとも思っております。
ですから本当なら私も、こんな体験は皆様にお伝えしたくはないのです。

でもひとりで抱えて言わないでいるといつまでも怖いままなので、やっぱりここで書いちゃおう。


怖い思いを共有してくれてる人が多いと、恐怖心がいくらか薄れますからね。

勝手に納得して、話を進めさせていただきます。
令和2年4月の半ば我が家の近所で遭遇した、世にも恐ろしい体験


夜の道を疾走する〇〇


高座の仕事がまるでない私は、その日朝からうちにこもって噺の稽古やブログの準備などしておりました。


しかしあまり根を詰めて一人きりの作業を続けているとまた


の記事のような症状が出るといけません。
ちょうど私にとっての最優先生活必需品の一つ・缶チューハイが切れかかっていたので、足腰を伸ばしがてら近所の小型スーパーへ。


4月10日改装オープンしたばかりの、イオングループの「まいばすけっと」。スーパーと同じ商品をコンビニ感覚で買えるので、以前からお気に入りの店舗。

テナントで入っていたビルの建て替えで10か月ほど休んでいる間中、再開を心待ちにしておりました。


時刻は18時40分
通常より閉店時間を早めていることでもあり、なんかいい見切り品でもあったら贅沢して買っちゃおうかな。


エコバッグ持参で表へ出ると、冷たい春の雨が降りしきる空はもう真夜中のように真っ暗
日曜ですが人通りはほとんどありません。


少し歩くと普段はかなり車の行き来が激しい2車線の方南通り、横断歩道を渡ったはす向かいがお目当ての店。

3日ぶりの買い物に胸躍らせながら信号待ちしている私の目に、その時信じられない光景が飛び込んできました。


新宿方面からやって来る1台の路線バス。
近づくにつれ見えてきた、[バス]前面の行き先表示は「永福町」。
この路線の終点で、いつものこの時間なら平日は仕事帰り・土日は買い物や行楽の乗客をいっぱい乗せてこのあたりを走りぬけるはず。


それが「えっ、これ回送バスか?」と一瞬思ったほど、あかあかと灯りに照らされた車内は空っぽ。
運転手さんのほかは、見事に誰ひとりお客さんが乗っていません。


雨にけむり、ひっそり静まった夜の街を疾走する無人バス
緊急事態宣言下だからこそ見られるシュールな光景。
歩行者信号が青になったのにも気づかず、バスのテールランプをしばし見送っていました。


でもこれだけだったら、別にそう怖い話ではありません。
誰も運転していなかったとか、猿や猫や免許とりたての中川翔子さんがハンドル握ってたというわけではないのですから。
都民がよく外出を控えているな、という一つの証左。

このバスが恐ろしくなったのは、買い物をすませてうちへ帰ってからです。


最初は晩酌のネタだったのに


私が買って来た30%オフの豚小間をカミさんが手際よく調理して、家族3人と猫1匹でささやかながら和やかに夕餉の膳を囲みます。


今日も都内の感染者数最多更新したね、というニュースは知識として必要ですがせめてひと時楽しく食事をという場ではあまり話題にしたくないもの。

私も食卓では罪のない笑えるエピソードや楽しい話を振るように意識してますが、空っぽのバスはあまりにインパクトが強かったんで「さっきそこでさ、永福町行のバス見かけたんだけど」と話を切り出しました。


へぇ、普段あんなに混むバスがねぇとひとしきりこの話題が続くうち倅が
「そういう時運転手さん、車内アナウンスどうしてんのかな」


よその路線でもやってらっしゃるかどうか、京王バスでは停留所案内や扉開閉時の注意など運転手さんがインカムを使い自分で喋って車内放送をしています。

ごくまれに大雨でより運転に集中することが必要・喉を痛めて声が出しづらいという時は、発車時に「こういう事情で機械音アナウンスにさせていただきます」運転手さんがわざわざ断るほど徹底された習慣。
会社の指導方針なのでしょうね。


だからお客さんが一人もいない時はさすがに機械に切り替えるかアナウンス自体ないんじゃないか、いや会社の規則だし自分でも気が紛れるだろうから運転手さんやっぱり自分で喋ってんじゃないのとまた話が広がっているうちはよかったんですが…。


聞かなければよかった!ひと言でいきなりホラーに


うんこれ、高座やブログのネタになるなと私が内心思っていいるといきなりカミさんが




運転手さんが喋んのか機械かわかんないけど、「次の停留所は~でございます。お降りの方は降車ボタンでお知らせください」って言ったら後ろでだーれも乗ってないのに
ピンポーン!
鳴ったら怖いよね




当人は笑い話のつもり、私も聞いた瞬間は「ああそうだな、そんなことあったらびっくりするよな」なんて呑気に思ってましたが…。
その光景を頭の中でしみじみ想像してみたら、なんだかじわじわ怖くなってきたのです。


人の姿がほとんどない夜の道。
そぼ降る雨をついて、近づいてくるバス。
青白くLEDライトに照らされ闇に浮かび上がる車内には、一人の乗客の姿すら見えない。


運転手は口を真一文字に結び機械的にハンドルを操りつつ、無人とわかっていながら習慣で次の停留所名を告げる。

次は南台図書館前、南台図書館まえ。お降りの方はお手近のボタンを押して…


と誰もいないはずの背後で


…ピンポ~ン


うわ、自分で書いててめちゃめちゃ怖い
高校の部活でバスケやってて身長180センチ近くあるくせに超ビビりの倅は「ちょっとお母さん、なんでそんな話するんだよ!あー聞かなきゃよかった」と食事もそこそこに自室に引っ込んでしまいました。


ましてや私は、暗闇からぬっと現れたあの無人バス(運転手さん以外)をこの目でみているからそくそく迫る恐ろしさもひとしお。
怖くて怖くて眠れない


そうだ、あんまり怖いからうちの猫のイラストを描こう。
そうすりゃ気も紛れるだろうから、サラサラサラ…




こまちバス無人.png


ひえ~、もっと怖くなってきちゃったよー。


お口直しに小噺をおひとつ


私がこの話をして怖がるのは自己責任ですが、ここまで辛抱して読んでくださったお客様方までゾクゾクさせたままじゃ申し訳ない。


怪談の名手だった林家彦六は寄席のトリで怖い噺をやったあと
「お客様を陰のままお返ししちゃいけないんで、ここいらでご陽気に立ち上がりまして」

♪チャンチャラカチャカチャカスッチャラカチャンチャン
とかっぽれや奴さんを踊るのが常でした。


それに倣って、「ピンポーン」という音が地口になっている小噺をご披露。楽屋に昔から伝わるネタの一つです。




えー、只今では色んな品物をうちまで届けてくれるサービスが増えて、本当に助かりますな。


お歳暮お中元なんてのは昔は新巻ジャケやビールの詰め合わせを紫の風呂敷に包んで挨拶がてら先方さんに持参したもんですが、今じゃお互い訪ねたりうちで待ってる時間もったいないというんで宅配で送るってのが当たり前になりました。


宅配のご商売のの中でこれはクロネコヤマトのお兄さん。
今日も荷物を抱えてお宅の前に立つとインターフォンを
ピンポーン


主婦「ハイ、どちら様?」
お兄さん「宅急(卓球)便です」


これだけ。

洒落、おわかりですよね。

初めやった時はポカンとしてる方多いと思うんで、「これ宅急便の小噺だからね」と念を押してもう1回やるとわかった人がクスクス。


「わかんない方いるんでもう1回、たっきゅう便ですからねいいですか」

ピ・ン・ポー・ン
どちら様ですか?
たっ・きゅう・びん です!

3回くらい押してみて、それでもわかんない方は放っときましょう。


こういう時こそ、落語の笑いで前向きに。
お宅に居ながらにして、江戸言葉遊びで噺家と一緒に楽しもうという企画進行中。


4月15日までには正式発表できるよう努めます。
よろしければまたご訪問ください。


お開きまでお付き合いくださいまして、まことにありがとうございます。
入船亭扇治






nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感