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お客様との出会いで知った、島からの絶景~にっぽん丸で訪問・秋の生口島①~ [旅のアルバム]

カバー画像生口島.jpg


小型船で向かう島

2021年10月半ば、客船にっぽん丸の「週末利用クルーズ」に乗船の筆者。

航海3日目は、瀬戸内海に浮かぶ生口島に寄港。

朝食メニューからにゆー.jpg
抹茶フレーバーのフレンチトースト・ふわふわのオムレツにミートローフの朝食をいただき、エネルギー充填100%。


午前7時・オプショナルツアーご参加のお客様に先駆けて、自由行動の人が上陸可能に。

沖に錨泊したにっぽん丸から島までは、小型の通船で移動。
早朝から運行の第2便は定員に充分余裕があったので、私も乗ることができましたに。


今回はにっぽん丸搭載のテンダーボートでなく、現地の小型船が送迎してくれます。
通船乗り場.jpg

通船乗り場から振り返って見る、にっぽん丸の船腹。
にっぽん丸なめる.jpg
小型通船(それでも30人以上乗れる)と比べると、その大きさをあらためて実感。


早朝の船着き場に到着

「にっぽん丸が見えるよー」
通船乗るこまち.jpg
通船から見るにっぽん丸.jpg
波を蹴立てて島へ向かう通船の中で、ご機嫌のこまち。


午前8時前、朝日がきらめく小岸壁に到着。
船着き場.jpg


私たちが乗ってきた船と入れ違いに、ほかの島との連絡船が出航…。したかと思ったら、バックしてまた船着き場へ。
親切な船頭さん.jpg
タッチの差で乗り遅れた人が岸壁にいるのに気づいた船頭さんが、わざわざ船を戻してくれたのです。

こういうところも、都会と違ってのどかでいいですね。


島と言えば、「坂道」!

生口島の住所表記は、「広島県尾道市瀬戸田町」。

瀬戸内の島と言えば、坂道が付きもの。

私の大好きな大林宣彦監督の尾道を舞台とした作品には、坂道が印象的なシーンがたくさん出て来ます。

この島にもありました。
民家の脇に伸びる、島頂へと向かう石段。
急な坂道.jpg
これを上り切った先には、国宝の三重塔が建つ名刹・向上寺が。


辿り着いた三重塔
しかしまだその先が…

向上寺への石段.jpg

けっこう勾配がきつい石段を上っていくと、朝の空気はひんやりしているのに汗が流れてきます。

(どこまで続くんだこの石段…)
私と同じように、途中で不安になる方が多いんでしょうね。
道半ばに、こんな看板が。
向上寺立札.jpg

これに励まされ、汗を拭いつつえっちらおっちら先へ進むと…。
遠景三重塔.jpg
ようやく、三重塔のてっぺんが見えてきました!

ここまで来れば、あとひと息。

一気に上りきると、正面に
”室町時代初期の建築物としては、最も美しい物の一つ”
と称えられる和様・唐様折衷の鮮やかかつ荘厳な塔の全容が!
正面三重塔.jpg


頭を垂れ両手を合わせてから、近くによってアップで撮影。
アップ三重塔.jpg
澄み切った秋空に、朱色の破風がよく映えます。

(ああ、いい物を拝ませてもらった。汗かいて上ってきた甲斐があった)
いい写真も撮れたことだし、そろそろ下りるか…。

塔に背を向けて歩き出そうとした私に、下から上がって来た女性が声をかけてくれます。
「一番上まで、お上りになりましたか?」

え、ええーっ!
頑張って上ってきて、まださらにこの先があるの?!


お客様が教えてくれた
生口島の絶景スポット

私に話しかけてくださったのは、七十代くらいかなと思われる元気なお母様とご一緒の女性=にっぽん丸のお客様。

以前にもクルーズで生口島に来たことがあり、島の一番高いところまでお上りになったのだそうです。

その時のご経験から
☆あとほんの少し上るだけで、塔を見下ろす高台に出られること。
☆そこから見た風景は、地元出身の平山郁夫画伯の絵に描かれていること。
☆三重塔越しに、錨泊しているにっぽん丸も臨めること。
を、丁寧に教えてくださいました。

これを聞いて、先へ進まないわけにはいきません。

お客様方にお礼申し上げて、さらなる頂きを目指します。

こま正面アイコン基本形.jpg


写真を撮ったところから島頂までの道のりは、さほどではありませんでした。

ただ距離は短くても、ススキや蜘蛛の巣が道まで進出してきており大変に歩きにくい。
山頂への道.jpg
なんだかインディ・ジョーンズになったような心持ちで生い茂る草をかき分け上って行くと…。
拒否する道.jpg


出ました、
絶景スポットに!
絶景三重塔.jpg

お客様が教えてくださった通りの風景が、そこに広がっています。

時折りトンボが行き交う青い空をバックにそびえる、長い年月に渡り島を見守ってきた三重塔。

その彼方には、優雅な客船が浮かぶ海。

時を忘れ見とれる私の周りには、今誰もいません。

朝の秋風に吹かれながら、絶景スポット独り占め。
近撮三重塔.jpg

ああ、あのご婦人のおかげで本当にいい体験ができた。

こういうお客様との交流があるのも、船旅のいいところ。

こま正面アイコン笑い.jpg


坂道を下りる途中でもう一度振り返り、三重塔名残の一枚をパチリ。
振り返る三重塔.jpg


さぁ下ではそろそろ、瀬戸田の街も目覚め始めているでしょう。

それじゃ今度は、海沿いの道を散策するとしますか。


波の罫線.png


お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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あなたは手紙を 書きたくなる~あの名作アニメ、特別編集版・OVAがテレビ地上波初放送!~ [お気に入り・おすすめ]


10月29日から、北海道へ行く筆者。
期日前投票.jpg
共同執筆猫と一緒に、衆議院選挙の期日前投票を済ませてきました。


投票と同じくらい、
忘れてはいけないのは…

正式名称”投票所入場整理券”を背に、布団の上で
「国民の権利、ちゃんと行使せいよ」
と厳しい目(?)でこちらを見るこまち。
投票券とこまち.jpg
単に、眠くて目つき悪いだけのようにも見えますが。

こま右向きアイコン.png


こまちに言われなくても、選挙の一票は大事に投ずるべきもの。

仕事で留守にするから棄権なんて、もってのほか。

ぎりぎりにはなりましたが、忘れないで冒頭イラストの通り投票は完了。

これで安心して、北の大地を目指すことができます。




そしてもう一つ・旅に出る前の私には、やっておかなければならない重要なミッションが。

それは、10月29日(土)21時からの『金曜ロードショー』を録画予約すること。

当日この番組枠で放送されるテレビアニメ「特別編集版」は、私にとっての好きな女性アニメキャラクター歴代ベスト3に入るヒロインが登場する作品。

そう、彼女の名は
ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
劇場版ヴァイオレットエヴァ―ガーデン.jpg


涙腺崩壊必至、
「京アニ」の名作

『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』は、数々の名作アニメを世に送り出している「京都アニメーション」の製作。

2018年1月から、同年4月にかけてTOKYO MX等で放送されました。全13話、のちにOVAと劇場版が1作ずつ作られています。

コロナ禍で延期になった劇場版は、2020年9月に公開。前掲の画像は私9月28日新宿TOHOシネマズへ観に行った時、ロビーで撮ったもの。

こま正面アイコン基本形.jpg


この完結編映画も号泣ものでしたが、数奇な運命を辿るヒロインの人生をまた一から新しく観られる『金曜ロードショー』でのテレビシリーズ特別編集版と、OVA。

2週続けて、涙腺崩壊間違いなしの傑作。

ご鑑賞時には、ハンカチ・タオルのご用意お忘れなく。

ヴァイオレットエヴァ―ガーデン放送.jpg

※『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 特別編集版』放送日:2021年10月29日(金) 21:00~

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』 放送日:2021年11月5日(金) 21:00~


「手紙」が育む
ヒロインの感情

幼い頃から戦争のための”武器”として、感情を殺して育てられた少女。
戦場を離れた彼女は日常生活の中で様々な人と触れ合ううち、「戦闘マシーン」から徐々に「人間」としての感情を獲得していく…。

正直こういったシチュエーションは、過去に枚挙いとまがないほどアニメや特撮ドラマでは多く使われてきました。

でも『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』という作品のほかにはない”肝”は、
退役後のヒロインが職を得るのが 、郵便社での代筆業
であるという設定。


落語『手紙無筆』のように字が書けない人が多い、『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』の作品世界。

そういった人たちに代わってタイプライターを打つ「自動手記人形=ドール」は、この世界では花形職業の一つ。

卓越した身体能力と頭脳の持ち主である主人公ヴァイオレットは、驚異的なスピードで代筆の仕事に習熟。たちまち引く手あまたの、売れっ子ドールに。

そして依頼される、
親から子への
愛する者どうしの
気持ちを伝える手紙。

タイプライター.jpg

古文書の写本や舞台劇の後述筆記といった仕事もこなしながら、日々多くの手紙を代筆するうちに。

その手紙に込められた差出人たちの想いが、冷たく固まっていた戦うことしか知らない少女の心を柔らかく溶かしていく。

原作者・暁佳奈さんのオリジナルコンセプトを、京アニのスタッフが丁寧に繊細に織り上げた『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』。

初見の方もファンの皆様も、ぜひこの機会に手紙と言葉が紡ぐ素敵なドラマ。
満喫していただきたいと思います。
私も当日北海道の宿にて、『金曜ロードショー』観る予定ですよ。




テレビシリーズのオープニング曲「Sincerely」の歌詞に
言葉はいつでも
語るでもなくて

そこにあるばかり
つのるばかり

わたしはあなたに
会いたくなる
とありますが…。

ヴァイオレットの物語に触れたあと、あなたはきっと
誰かに、メールではなく手紙を
書いてみたくなることでしょう。

こまちの手紙.jpg

蔦飾り線.png

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入船亭扇治拝

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進化し続けるスマホ カメラ、旧端末との機能差にびっくり [日々雑感]


10月も末、近所の美容室に飾られたタペストリーを新しいスマホカメラで撮影。
美容室のハロウィン.jpg
少し離れたところからでもけっこう細かいところまで撮れており、ジャック・オー・ランタンや黒猫たちも嬉しそう。


"親切な現像”に
助けられた紙焼き写真

誰もが気軽に「スマホで撮影」できるようになるなんて、想像もしなかった頃。

私たちはカメラで撮った風景や子ども・ペットなどの大切な写真を、紙焼きで現像してもらっていました。

そして町の良心的な写真屋さんは工程を全部機械任せにしないで、細かいところは手作業で現像。

素人が撮った逆光やピンぼけのネガを、できるだけきれいに補正してくれているのだそうです
現像するこまち.jpg




スマホ撮影でその「親切なDPE」を行うのは、端末に内蔵された小さなCPUチップ。

デジタル撮影した画像を、集積回路がスピーディーにかつ丁寧に処理。
シャッター押したらリアルタイムで、美しい1枚に仕上げて画面に表示。

ほんとに、便利な世の中になったものです。


高性能チップで
写真の画質ぐっとアップ

私の愛用しているiphoneだと、1年おきに新世代チップ搭載の新機種が登場して話題に。

この度2年半活躍してくれたiphone8(無印)から昨年モデルiphone12miniに機種変更して、写真の画質がぐっと向上しているのに感動。

たとえば客船にっぽん丸の、舳先なめで臨む海と島。

小豆島臨む.jpg
8で撮影。
生口島12で撮影.jpg
12miniで撮影。

どちらもweb用にサイズと解像度はかなり落としていますが、8に比べて12miniの方がよりシャープで細やかな仕事がしてあるなと感じました。


楽しいから、
どんどん撮っちゃう!

新調iphoneのカメラ機能を使いたくていても立ってもいられず、スマホ握りしめて方々撮影してまわる筆者。

手始めに、見慣れたうちの庭のツワブキをパチリ。
つわぶきつぼみ接写.jpg
外付けマクロレンズ装着して接写すると、今まで見たことのない光景が眼前に。
虫とつわぶき接写.jpg


近所の公園に咲く、ランタナの花手毬。
ランタナ.jpg
自動的に背景をぼかしてくれる「ポートレートモード」が、いい感じにしてくれています。

そのモードでカメラを向けると、普段やんちゃなこまちもちょっとおすまし。
こまちアップぼかし.jpg


多彩な機能で
広がる撮影モード

私の新しい相棒は、旅先でも実力を発揮してくれています。


これまではかなり離れないとファインダーに入りきらなかった船体が、12miniの超広角レンズを使うと近距離からでもかなりの範囲をフレーム内におさめることが可能に。
広角で撮るにっぽん丸.jpg


さらに感動したのは、iphoneの「ナイトモード」。

昨年11月にっぽん丸に乗った時撮った、夜の瀬戸大橋。
ぼけぼけ瀬戸大橋.jpg
七色にライトアップしたレアな姿なので、なんとか記録に残したかったのですが…。

その時は風のせいで手ブレ激しく、乏しい光量と通常レンズではこんなのしか撮れませんでした。

それが今回のクルーズで、光感度アップした超広角レンズとナイトモードの合わせ技を使うと…。
瀬戸大橋ナイトモード.jpg
夜の灯りだけで、こんなに鮮やかにアップで撮影することに成功!

この1枚を撮れただけでも、今の機種にした価値はあったというもの。




非対応iPhoneでも、“ナイトモード撮影”が可能に!~夜景や暗所での撮影に、おすすめアプリご紹介~で触れた、ナイトモード非対応機でも夜間撮影できる「Neuralcam NightMode」

この有料アプリもある程度まで光量の少ないところでの撮影を可能にしてくれますが、やはり純正ナイトモードと比べると若干精度と仕上がりは落ちます。
※両者の比較画像は、別記事にて掲載予定。


畳と何とかは、
新しい方が…。

手の出しやすい価格ながら高性能の、iphoneSE第二世代。
そちらより2万円程度お高い、iphone12mini。

どっちにするか、本当に悩みましたが…。
実機を手にした今は、(この子にしてよかった!)しみじみ思います。

2万円節約してカメラ性能に差がある機種を選択したら、スマホで写真撮るたびに(やっぱりケチらないで、あっちにしときゃよかった)くよくよしたことでしょうから。

こま正面アイコン笑い.jpg


物を大事にするのはいいことですが、現代人の必需品で日常酷使するスマートフォン。
私の場合は、2年半〜3年ほどで機種変更するのが頃合い。


畳とスマホ.jpg
なんだか暮れの名作落語『芝浜』主人公みたいなことを言っているこまち。

私も新しい洋服や靴などを買った時と同じように、新調iphoneで外出先での撮影が楽しくて仕方ありません。

さあ、今日はどこへ行って何を撮ろうか!。
なんてことを思いながら出かけた、岐阜での学校公演。

帰りに名古屋駅で珍しい「ドクターイエロー」新幹線に遭遇!

急いで撮ろうとしたのですが、顔認証でロック外すのに手間取っているうちに遠ざかってしまいました。
ドクターイエロー.jpg

ああ、今度は望遠機能も欲しい…。

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”地獄”で満喫する「極楽気分」~客船にっぽん丸秋のクルーズ別府(後編)~ [旅のアルバム]

血の池地獄でゆったり.jpg


熱い”地獄の煙”
眺めるだけでも温泉気分

湯煙たなびく別府を一望、無料の展望スポット~客船にっぽん丸秋のクルーズ別府(前編)~で訪れた別府の地、空き時間を使って少し”観光”らしきことをしながら散策中の筆者。

高台の展望台から温泉街を一望したあと、そこからほど近い鉄輪(かんなわ)地区へと足を延ばします。


鉄輪温泉と言えば、
「地獄めぐり」で有名。

湧出箇所によって泉質が異なることから、お湯の色が赤かったり白かったり・大きな泡がポコポコ湧いていたり。

それぞれの源泉は「血の池」「白池」「鬼石坊主」などの”地獄”と名付けられ、独立した七つのミニ温泉健康ランドになっています。

1か所の入浴料金は大人400円程度、七地獄共通券は2000円。
そんなにお高くないしどれか一つくらいは実際に入ってみてもよかったのですが、夕方からにっぽん丸船内で高座がありますのでお昼過ぎには帰っていたい。

ちょっと時間的に慌ただしいので、私は街のあちこちにたなびいている湯けむりを眺めるだけにしておきました。

温泉マークの罫線.jpg

代わりにイラストこまちには、地獄の中でも一番有名な「血の池」に入ってもらうことに。
血の池地獄入り口.jpg
”地獄”にいそいそと行くというのも、別府ならでは。


ついでにもう一つの地獄、「かまど」で記念撮影。
大かまど記念撮影.jpg


私の方は街のあちこちから噴き出している”地獄の煙”を見るだけでも、けっこう温泉気分は味わうことができましたよ。
街角の湯けむり.jpg

公園の中にある、湯けむり吹き出し口。
無料湯けむり.jpg
近づくとかなり熱く、煙にあたると本当に温泉に入っているような気がします。

蒸気越しに眺める空もきれいだったので、編集した動画を10月24日付Twitterに上げておきました。よろしければ覗いてみてください。
https://twitter.com/senjitonaraban1/status/1452175390546350082


街のあちこち
あふれる”地獄”

「借金地獄」「薬物地獄」なんてのは、できたら避けて通りたいもの。

国産怪奇幻想短編を集めたアンソロジーの常連、
☆『鏡地獄』江戸川乱歩
☆『瓶詰の地獄』夢野久作
など、読後そくそくと怖い小説もたくさん書かれています。

ことほど左様に、人間にとっては恐ろしいところ「地獄」。

地獄の罫線.jpg

ところが当地別府では、北海道登別と並んで日常風景の中に”地獄”があふれています。

地獄通り.jpg
「地獄めぐり通り」。

バス地獄.jpg
観光客を乗せて走る、「地獄めぐりバス」。

交差点地獄.jpg
交差点の名前にも!

「海地蔵んとこ左に曲がって」とか「かまど地獄そばの喫茶店で待ち合わせ」なんて会話が、地元の方の間では普通に交わされているのでしょう。

地獄の罫線.jpg

いにしえの頃このあたりは熱い湯気と湯泥が噴出して、人間が気軽に近づける場所ではなかったそうです。
そんな恐ろしげな場所だからついた、”地獄”という呼び名。

それを逆手にとって観光資源にという「地獄めぐり」は大正6年(1917年)に始まったと言いますから、長い歴史があるんですね。

”地獄を極楽に変える”このアイディア、私たちが逆境に立ち向かう時の参考になるような気がします


帰り道の
街角スナップ

方々にたなびく湯けむりを眺め、熱い湯気を浴びて別府温泉街散策を満喫した筆者。

さて、そろそろ帰り道にならなくては。


鉄輪温泉街は高台なので海の方角に視線をやれば、すぐ帰るべきにっぽん丸の姿が見つかります。
高台からのぞむにっぽん丸.jpg

方向音痴な私でも道に迷うことはないので、安心して街角のスナップ写真を撮りにちょっと脇道へ入ったり。


「かまど地獄」入り口にいた、招き猫さん。
赤い招き猫.jpg
お湯につかり過ぎたのでしょうか、真っ赤に茹だっています。


お宅の塀に置かれた、忍び返しのボール。
忍び返しこまちもどき.jpg
その一つがイラストこまちにちょっと似ているので、記念にパチリ。

こまち罫線.jpg


九州横断道路沿いにある、かっぱ寿司。
かっぱ寿司駐車場.jpg
最初見た時 (へえー、民家風の店構えか。根津の『はん亭』みたいだな) 思ったのですが、もちろん勘違い。

こちらは駐車場、お店はその脇にありました。
こっちだよ本店かっぱ寿司.jpg


ここまでくれば、港はもうすぐそこ。

さぁ早く帰ってシャワー浴びて、船内でおいしいお昼いただいて。

夜の三回公演に、備えるとしますか。

別府にっぽん丸後ろ姿.jpg


次なる寄港地・瀬戸内海生口島については、また別記事にて。


波の罫線.png


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入船亭扇治拝

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「下げるべき時には、きっちり頭を下げろ」今に生きる、亡き師匠・扇橋の教え [落語情報]


携帯電話の普及に伴い、2021年6月30日をもって完全終了した「新幹線の電話サービス」。
新幹線電話終了.jpg

100円玉握りしめ
「今から帰るんで、CIAOちゅ~る用意しといてね!」
うちへ電話しようとした黒猫こまち、呆然。


思い出す
見習い時代の大しくじり

新幹線開業翌年の1965年から、56年間サービスを続けてきた車内公衆電話。

食堂車の時と同じように、廃止直前には多くの鉄道ファンが写真を撮りに来ていたそうです。

旅先で突然の事故に遭遇!~4時間に及ぶ“新幹線カンヅメ”体験記~で綴りました、4時間に渡る停車中の新幹線車内での待機体験。

そのカンヅメ生活中・お手洗いに立って目にした「サービス終了」の札が貼られた緑の電話機が、私の中の古い記憶を呼び覚まします。

こま正面アイコン笑い.jpg


1986年秋も深まった頃、私が師匠・入船亭扇橋に入門し見習い修業をしていた時のこと。

前座として正式に弟子入りする前に当人の了見や適性を見極めるため、うちの師匠はだいたい半年くらいは見習いの期間を設けていました。

師匠宅の掃除やお使いなどしながら、噺家として最低限必要な礼儀作法と芸の基本を教わる時間。


扇子の罫線.jpg

寄席の楽屋や脇の仕事にはまだ連れて行ってもらえませんが、東京駅や羽田空港までの鞄持ちは任されるようになった頃。

入門三月目で修業生活にもある程度慣れて、ちょうど気の緩む時期だったのでしょう。

静岡での学校公演のため早朝に家を出る師匠を、東京駅まで送っていくことになっていた当日。

前夜の夜更かしがたたった私は、ものの見事に寝坊・遅刻してしまったのです!
寝過ごし扇治.jpg


「クビにするよ」
なんとか挽回を…

その頃はこうやって起こしてくれるこまちはいませんから、窓から差し込む陽の光で目覚めた私。

枕もとの時計を見ると、師匠から「うちに来い」言われた時刻をはるかに過ぎている。

(いけねっ、寝坊した!)
慌てて飛び起きると、顔を洗って身支度をしアパートを飛び出します。


歩いて2分の師匠宅に、30秒で到着。

表の扉は鍵がかかっていなかったので開けて中に入り、玄関先で「すいません、遅刻しました!」土下座していると、奥からおかみさんが出て来ました。

おかみさんアイコン.jpg
「どうしたんだい、言われた時間にあんたが来ないから。お父さんさっき、自分で鞄持ってもう出かけたよ。


怒ってたよ、
あいつはクビだってそう言ってた。


まぁとにかく あたしもこれから少し寝直したいから。
あんたもうち帰って、お父さんは今夜9時過ぎには戻ってるはずだから、そん時もう一回おいで」

おかみさんにそう言われて「申し訳ございません…」頭を下げ肩を落として、師匠宅を後にします。


馬券を買って
汚名挽回?

トボトボと戻ったアパートの四畳半、膝を抱えて
(せっかく入門許されたのに、朝寝坊でクビか…)
しょげている私に追い打ちをかけるように、あることが脳裏にひらめきます。

競馬の罫線.jpg

その日は土曜日で、前日に競馬好きの師匠から
「明日までに予想して、紙に書いたの渡すから。東京駅からの帰りに後楽園の場外馬券売り場で、今日のレースの投票券を買っといてくれ」
頼まれていた私。


競馬熱くなる.jpg

このイラストのように、競馬新聞と馬券を手に目の色変えて馬に声援を送る。
うちの師匠は、そういう殺気だった競馬はやりませんでした。

過去のデータを綿密に分析して、高配当の勝ち馬を当てる
ことより
☆出走馬を枠順に並べて馬名の頭文字をつなげると、あるメッセージになる。
☆地方主催のレースに地元出身騎手が出ていれば、かなりの確率で上位入賞する。
なんて都市伝説を洒落半分で信じながら、100円単位で枠連を何点か買うだけのの~んびりとした遊び方。


それでも俳句と並んで、師匠なりに楽しんでいる趣味の一つ。
鞄持ちが務まらなかっただけでなくその楽しみにしていた馬券まで買い損なったとあれば、これはもうクビ確定です。

こま右向きアイコン.png


しかし逆に言うと、今から師匠に聞いて馬券だけでも買うことができたら…?
ひょっとしたら、いくばくか汚名挽回につながるのではないか。

学校公演事務所から送られてきたコース表を私も見ていましたから、師匠の乗る新幹線の列車名はわかっています。

今思うと浅はかな考えですが、その時は夢中ですから。

すぐアパートの別棟に住んでらっしゃる大家さんに訳を話し、電話を借りて師匠が乗っている新幹線にかけてみたのです!


新幹線の罫線.jpg

2004年でこのサービスは終わっていますが、当時はまだ
オペレーターに電話をかけ列車名と相手の名(わかれば何号車に乗っているか)を伝え、車内放送で手近の新幹線電話まで呼び出してもらう
「列車内着信」ということが可能でした。

けっこう高額なサービス料がかかりますが、今はそんなことを言っていられません。


祈るような気持ちで受話器を握りしめ、新幹線通話センターからの応答を待つクビ寸前の見習い噺家。

1時間以上かけ続けましたが、当然師匠に私の電話がつながることはありませんでした…。


沈黙ののち
師匠が教えてくれたこと

万事休す。

苦肉の挽回策も徒労に終わった私は、その夜9時過ぎに再び師匠宅を訪れました。

インターフォンを押すとおかみさんが出て来て、
おかみさんアイコン.jpg
「お父さんまだ怒ってるみたいけど、話だけは聞いてくれるかもしんないから。とりあず上がんな」

言われた私はおずおずとダイニングキッチンに入り、Pタイルの床に両手をつき
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「今朝は寝坊して、遅刻しました。
  申し訳ございません…」
蚊の鳴くような声で何とかそれだけ言って、あとはただ頭を下げていることしかできません。


テーブルに肩肘ついてテレビを眺めながら、黙ってタバコをふかしている師匠。

タバコの罫線.jpg

沈黙の時間が続いたのは、実際には5分ほどだったでしょうか。

私には無限に感じられる時が流れたあと、ようやくタバコを灰皿で揉み消すと師匠がこちらを向いてくれました。

「お前、今朝遅刻したあとな…」
声を荒らげることなく、静かに語り始める師匠。


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「俺の乗ってる新幹線に、電話かけてきたろ。何度も列車ん中で呼び出しがかかってたよ。お前は俺がもし電話に出てたら、どうするつもりだったんだい?」

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「は、はぁ…。まず今朝の遅刻のお詫びを申し上げて、それからお預かりするはずだった馬券の番号をうかがえればと思いまして、それで電話いたしました…」

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「なるほどな、まぁそんなこったろうと思った。

いいか、お前がしくじったのは寝坊して、仕事に行く師匠のお供ができなかったこと。これに尽きるんだ

競馬なんて遊びなんだし、それを弟子に頼んだこっちもあんまし褒められたもんじゃない。馬のことは、どうでもいいんだよ。


それをお前は、”馬券を買ったら、少しでもしくじりを取り返すことができんじゃないか”。それだけ思って、新幹線にまで電話かけてきたんだろ? そういうとこが、お前なまじ大学を出てるから小賢しいてんだよ。

お前、新幹線の電話ってどうなってるか知ってんのか? 車掌さんから呼び出しがあったら席立って、何車両も離れた電話室まで歩いてかなきゃいけないんだ。

弟子が師匠を呼びつけて、揺れる新幹線の中何十メートルも歩かせる。
これがどんな失礼なことか、電話してる時は考えもしなかったんだろ?


誰だってな、生きてりゃ多かれ少なかれしくじりはある。

そりゃ失敗しないようにするのは大事だけど、もっと大切なのは

”しくじりを素直に認めて、腹の底からとにかく謝る”
”今後同じ失敗は二度としないように肝に銘じる”
 ことなんだよ。

人間、礼を言うべき時と謝らなくちゃいけない時には、きっちり頭を下げる。 この了見さえ忘れなければ、お天道様と米の飯はついて回るもんだ」

懇々と諭してくれたあと師匠は、「今回は初めてだから」というので私のしくじりを許してくれました。


「頭を下げる」
簡単なことだけれど…

なんとか首の皮一枚で、破門を免れた私。

そのあとも細かいしくじりは山とやらかしましたが、師匠とおかみさん・兄弟弟子たちに助けられ1987年3月に正式に前座として落語協会に登録してもらうことができました。

そうなると晴れて駅までの送り迎えだけでなく、旅先までお供することができるように。
師匠との旅.jpg
そんな師匠との旅、扇辰師も一緒。


2001年には、真打に昇進させていただきました。
上野真打楽屋.jpg
※鈴本演芸場楽屋にて。




ごめん寝.jpg
寝ている猫でもできる、「ごめんなさい」のポーズ。
でもそれができない大人が、世間にはたくさんいるのが現実。

私自身も万たびそうできているかというと心もとないですが、できるだけあの時の師匠の教えは守っていきたいと思っています。


頭下げるこまち.gif


※その扇橋の弟子・孫弟子競演の『入船亭一門会』、10月30日18時より池袋演芸場にて開催。
掲載用2021年10月一門会.jpg

☆090-8455-8996
☆senji1365@gmail.com
上記扇治への事前お申込みで、会特製クリアファイルをプレゼント!
穴表クリアファイル画像.jpg

皆様のご来場、心よりお待ち申し上げております。


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入船亭扇治拝

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