旅先で突然の事故に遭遇!~4時間に及ぶ“新幹線カンヅメ”体験記~ [日々雑感]
人類の産んだ偉大な発明の一つ、缶詰。
その缶詰を手に随喜の涙と涎を流す、貧乏噺家と食いしん坊猫。
できたら勘弁
ありがたくない‶缶詰”
ありがたくない‶缶詰”
チョコボールで当たる『おもちゃのカンヅメ』。
風邪ひいた時くらいしか開けてもらえなかった、シロップ漬けみかん。
風邪ひいた時くらいしか開けてもらえなかった、シロップ漬けみかん。
子どもの頃、憧れた缶詰たちです。
でも世間にあまたある缶詰の中で、誰もがこれは勘弁してもらいたいというのが
という意味での「カンヅメ」。
締切が間近に迫った小説家や漫画家が、編集者監視のもと一室にこもって執筆したりするのをこう呼びますね。
不慮の事故でエレベーターや運行中の交通機関に閉じ込められるのも、‶ありがたくないカンヅメ”の一つ。
筆者は先日、
そんな現場に遭遇。
そんな現場に遭遇。
順調な航海のあとに…
降ってわいた災難
降ってわいた災難
令和3年10月半ば、客船にっぽん丸の「別府・生口島クルーズ」に乗船した私。
好天と良いお客様に恵まれ、3泊4日で8回公演を無事務めあげることができました。
10月18日午前11時、船は神戸港に着岸。
お客様に続いて私も下船、スタッフ・乗組員の方々にお礼と再会の約束を述べて港を後にします。
お客様に続いて私も下船、スタッフ・乗組員の方々にお礼と再会の約束を述べて港を後にします。
その足で新神戸駅12時30分発ののぞみ号に乗車、東京までは2時間44分。
本を読んだりタブレットに入れた映画を観ているうちに、あっという間に着いてしまう…はずだったのに。
当日12時54分・豊橋駅で発生した人身事故の影響をもろに受け。
13時20分頃岐阜羽島駅の行き違い線に退避した新幹線車内で、しばし我慢の時を過ごすことになったのです。
運行再開したのは、16時50分。
約4時間の、新幹線カンヅメ生活の始まり。
約4時間の、新幹線カンヅメ生活の始まり。
落ち着いていた
待機中の車内
待機中の車内
岐阜羽島で一旦停止した直後は、携帯電話をかけにデッキへ出る人や席でスマホを操作する方たちで慌ただしかった車内。
でも1時間もしないうちに、私を含め乗客の様子はすっかり落ち着きました。
JR東海側にはまるで非のない、避けようのなかった人身事故。
各方面への連絡がひと段落すると、皆さんそういった思いで背もたれに身体を預け体力を温存。
何人か乗っていた小さいお子さん方も、親御さんや乗務員の方の気遣いで皆おとなしく大人と一緒に運行再開を待っています。
事故発生直後から車掌室より
事細かに車内放送で情報提供があったのも、乗客の不安を軽減するのに役立ちました。
当日は家に帰るだけの私も、気持ちを落ち着けてカンヅメ生活に備えます。
スマホ・タブレット・ノイズキャンセリングイヤフォンを車内のコンセントに繋いでフル充電、ポケットWi-FiでAmazonPrimeVideoの映画を2本ダウンロード。
まだ3分の1しか読んでない本もあるし、アニソンのプレイリストもたっぷりタブレットに蓄えてあります。
これなら数時間の車中カンヅメでも、退屈することはないでしょう。
これなら数時間の車中カンヅメでも、退屈することはないでしょう。
こまちも音楽聴きながら『動物のお医者さん』を読み、CIAOちゅ~るをつまんでご機嫌。
デッキの風景に
よみがえる師との想い出
よみがえる師との想い出
こうして皆さん比較的平常心のまま、穏やかに過ぎていった新幹線カンヅメの時間。
ぽっかり空いた、
この時の流れの中で。
この時の流れの中で。
読書や映画鑑賞の合間、私は30年以上前のある出来事を思い出しました。
足腰を伸ばしがてら立ったデッキで見た風景が呼び覚ます、噺家見習い時代の師匠との想い出。
※旅先の楽屋にて、大ファンだった島倉千代子さんの写真を前に色紙を書く入船亭扇橋(この時思い出した話とは、関係ありません)。
※旅先の楽屋にて、大ファンだった島倉千代子さんの写真を前に色紙を書く入船亭扇橋(この時思い出した話とは、関係ありません)。
そのエピソードについては、次回の記事で詳しく触れたいと思います。
※「にっぽん丸別府・生口島クルーズ」乗船記は、
☆湯煙たなびく別府を一望、無料の展望スポット~客船にっぽん丸秋のクルーズ別府(前編)~
にてお読みいただけます。
お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
湯煙たなびく別府を一望、無料の展望スポット~客船にっぽん丸秋のクルーズ別府(前編)~ [旅のアルバム]
約半年ぶりに乗った客船にっぽん丸、ダイニングはもう秋の装い。
ハロウィンの魔女猫も、特別参加。
よし、
「観光」するぞ!
「観光」するぞ!
宿泊施設ごと、いろんな土地を訪れて観光できる。
クルーズならではの魅力です。
私は仕事で乗らせてもらっているので、時間的な制限からあまり寄港地で本格的な観光をしたことがありません。
しかし2021年10月半ばに乗船した航海、最初の寄港は別府。
港の眼前には、「地獄めぐり」で有名な鉄輪温泉街が広がっています。
港の眼前には、「地獄めぐり」で有名な鉄輪温泉街が広がっています。
徒歩圏内・自由行動時間内で手軽に観光できる、うってつけの環境。
無精な私も今回は、重い腰を上げることにしました。
無精な私も今回は、重い腰を上げることにしました。
早起きして朝食をいただいているうちに、船は別府港へと近づいていきます。
大型フェリー「さんふらわぁ」号の姿や岸壁上の観光バスの列を見ると、上陸への期待で胸がワクワク。
さあ、今日は気合い入れて観光するぞ!
道草しながら
目指す展望台
目指す展望台
10月16日午前8時、にっぽん丸は別府に入港・着岸。
下船の準備が整い、自由行動のお客様に続いて私も午前9時過ぎ別府に上陸。
下船の準備が整い、自由行動のお客様に続いて私も午前9時過ぎ別府に上陸。
広い緑地の向こうは、九州横断道路。そこを湯布院方面へ上がると、徒歩40分ほどで温泉街。
私がまず目指したのは、大観山地区の高台にある市営の「湯けむり展望台」。
Googleマップで調べると、現地まで徒歩33分。「現在この施設は、普段より混雑しています」との表示が出ています。
その日は土曜でしたから、観光客の方がけっこう訪れているのでしょうか。
その日は土曜でしたから、観光客の方がけっこう訪れているのでしょうか。
大通りを歩き出すと、右手に大衆食堂の大きなメニューが。
カツ丼600円、
ラーメン500円。
ラーメン500円。
確かに東京ではあまりない値段設定で気になりますが、まだお店は営業時間前。
それにお父さんはこれから「観光」で先を急ぐんだから、こまちもそんなとこで座り込んでないで早く歩きなさい。
少し行くと、今度は民家の庭に大きな柿の木が。
木の根方には熟れた実がいくつか皿に盛られ、
「ご自由にどうぞ!!」
うーん、これにもそそられるけれど…。 まずは観光、展望台へ向かわなければ。
後ろ髪引かれる思いで、庭先の柿に別れを告げ足を早める私。
親切な道案内と
窓辺の姿に癒され
窓辺の姿に癒され
湯けむり展望台へは大通りから右に曲がってさらに坂道を上がっていくのですが、方向音痴な私はその分岐点を間違えてしまいました。
住宅街の中に迷い込み、あっちをウロウロこっちでキョロキョロ。
誰か土地の人に道を尋ねたいのに、間が悪いことに誰とも行き会わず。
時間にして10分以上・範囲は150メートル四方くらい歩いたのに、表には人っ子ひとりいません。
あたり一帯がシーンと静まり返って、なんだかエイリアンに侵略された町のごとく。
ようやく車を動かしに出てきたご婦人の姿を目にし、(やれありがたや!)そばに行って声をかけます。
日本の方ではないらしいその女の人は、見ず知らずの私にとても親切丁寧に道案内してくださいました。
そしてご婦人の言葉を聞いているうち、背後の窓に何やら動くものが。
何だろうと見ると、そのお宅の猫ちゃん! 奥様にはちゃんとお断りして、写真撮らせていただきました。
好天の秋晴れのもと、迷子で焦りながら汗びっしょりで歩き回っていた私。
この出会いでおおいに癒され、先へ進む元気が復活。
小さくても
眺望は雄大
眺望は雄大
かなりきつい坂道を上がって登って。
ようやく、目的の「湯けむり展望台」に到着。
ようやく、目的の「湯けむり展望台」に到着。
「倉田紘丈」氏の句碑が立つ、こぢんまりした見晴らしスポット。
展望台自体もさほど大きくなく、私は最初(うちの近所の公園の、遊具みたいだな)思ったほど。
でも小さくてもちゃんと展望台の役は果たしており、眼下には湯煙たなびく別府の街が一望できます。
さらに雄大さを出すため、新調iPhoneの超広角レンズでパチリ!
夜はライトアップした温泉街を見ることができ、「日本夜景遺産」にも認定されているそうですよ。
展望台からの景色を堪能したところで…。
さぁそれではもう少し足を延ばして、「観光」を続けるとしますか。
この続きは、記事を改めまして。
※過去のにっぽん丸乗船記は、
でご覧いただけます。
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入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
タグ:にっぽん丸 クルーズ 猫
iphoneでの写真撮影を楽しくする、無料アプリ「Focos」ご紹介 [お気に入り・おすすめ]
2020年夏の終わり、
網走湖畔での記念撮影。
網走湖畔での記念撮影。
元は同じ画像ですが、
大きく違うのは…?
大きく違うのは…?
iphoneSEは人間のみ
「ポートレートモード」
「ポートレートモード」
違いはもちろんこの2点ですが、
今回のテーマは②。
今回のテーマは②。
一眼レフやミラーレスカメラでないとできなかった「ぼかし撮影」が最近ではスマホでもある程度可能に。
iPhoneだと7Plus以降のデュアルレンズ機種と、SE第2世代がをこの機能に対応。
ただSEはシングルカメラ機なので、
本来の「ポートレートモード」ではありません。
スマホの中の小さい人が、
やり方なので、基本的に人間を撮影する時しかポートレートモードは機能しません。
やり方なので、基本的に人間を撮影する時しかポートレートモードは機能しません。
こんな商品レビューを、けっこう目にします。
SEを次の買い替え候補の一つに考えている私にとって、これは重要な課題。
無料アプリで
ポートレートが可能に!
ポートレートが可能に!
未だに無印iPhone8を使っている私、SNSの投稿にあるポートレート画像が羨ましくてなりません。
バッテリーもヘタってきたのを機に性能と価格のバランスがとれたSEに変えようと思っているのに、こまちの写真が今まで通りにしか撮れないのはちょっと残念だ。
☆非対応iPhoneでも、“ナイトモード撮影”が可能に!~夜景や暗所での撮影に、おすすめアプリご紹介~で試してみたナイトモードと同じように、なんとかペットも取れる‶疑似ポートレートモード”にすることはできないか?
結論、
できました。
それも無料で、SEどころか私のようにiPhone8以前の機種でも可能。
こちらのアプリが、夢を叶えてくれます。 「Focos(フォコス)」。
快適で楽しい使い心地
本当にこまちでも使いこなせるほど、操作方法は直感的で簡単。
わが家の縁起物マスコット、「おねがい猫」で試してみましょう。
オリジナル画像がこちら。
オリジナル画像がこちら。
写真を読み込んだら、ぼかしに関していじる項目は二つだけ。
画像内のピントを合わせたい場所をタップしたら、上の2点をプレビューしながら調整。
☆「フォーカス」、スライダーを右にやると手前・左は奥にぼかす範囲が移動。
☆「サイズ」は絞り。右から左へ、ぼかし度合が変化。
お好みの感じに仕上がったら、右上の矢印マークからメニューを開き
どちらかを選んで出力。
どちらかを選んで出力。
この時注意したいのは、無料プランだと写真のサイズが1280x960に制限されること。
オリジナルサイズで保存したい時は、
で有料会員になる必要があります。
で有料会員になる必要があります。
どうしても高画質でという方には、この精度なら有料でも惜しくはないと思いますが…。
私のようにwebに投稿したり、家族知人とデジタルで見せ合う程度なら無料で充分かと。
自動ゆえに
細部にミスも
細部にミスも
ネット上での評価も高いFocos。
本格的に写真を追求するわけではなく、"一眼レフっぽい絵”が撮れればいいという方には、ぜひおすすめしたい。
ただシングルカメラスマホの場合は、あくまでも"被写界深度データを持っている写真”らしくアプリが加工するわけですから。
たまーに、AIが細かいところでミスをしたりします。
夏に窓辺で庭を眺めるこまちの写真、Focosで後ろ姿にピントを合わせた感じにしてみました。
一見うまくいっているように見えますが、 こまちの頭頂部と背景の区別がついていません。
じゃあやっぱりFocosは本家ポートレートモードには敵わない、入れる価値のないアプリかというと…。
私が使ってみた限りでは、決してそんなことはないと思います。
ミスが発生するのははごく稀ですし、うまくいっていないところは自分で直せばいい。
上の画像のようにぼけ方が足りない時は「画像の一部をぼかす無料アプリ」は沢山ありますから、それを併用すればOK。
私はパソコンに入れて、愛用のGIMPで修正。
これまでは背景ぼかそうと思ったら、 元画像の上にぼかしをかけたレイヤーを置き、くっきりさせたいところは消しゴムでちまちま削っていたのです。
それがFocosの下拵えのおかげで、GIMPのぼかしツールでちょいちょいと直してやるだけで それらしい感じに修正できました!
本家との併用で
さらに楽しさアップ
さらに楽しさアップ
本家ポートレートモードは2枚以上の写真を合成するため、シャッターを切るのに通常撮影より時間がかかります。
静物ならそれでいいのですが、うちのこまちのようなやんちゃ娘だとすぐ動いてしまってなかなかうまくいきません。
どうしてもブレたり、妙なアングルの写真になったりすることも多い。
その名の通り「額縁に入れた人物画」を撮るのが、ポートレートモード本来の目的。
動きのある被写体は通常撮影やビデオで焦点気にせずどんどん撮り、後で必要ならFocosでぼかし加工。その方がずっと快適に、スマホ写撮影が楽しめます。
またポートレートモードで撮影した写真を編集できるのも、Focosのおすすめポイント。
iphoneの写真アプリでも撮影後のf値調整はできますが、Focosの方が細かいところまで直感的に整えられる。
シングルレンズ機での"代用ポートレートモード"としてはもちろん、本家ポートレートお持ちの方も写真編集の幅が広がると思います。
まだの方、ぜひ一度無料版Focosお入れになって。
ひと味違うスマホフォトライフ、ご体験なさってみてはいかがでしょう。
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入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
タグ:写真 猫 おすすめアプリ
思い出深い、二人きりでの豪華な披露口上~不世出の国宝噺家追悼~ [落語情報]
令和3年、10月7日。
落語界の巨星がまた一つ、空の彼方に旅立ちました。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
二人だけの口上?
柳家小三治。
史上3人目の、人間国宝噺家。
先日惜しまれつつ世を去ったこの名人・私にとっては☆名人古今亭志ん朝のお宝エピソードで取り上げた大看板と同じく、憧れのスーパースター。
それでも私の師・扇橋が親しかった関係で、志ん朝師よりは接する機会に恵まれたのはとてもありがたいことです。
今回は2001年秋、私が真打昇進した時のエピソードをご紹介。
10人一緒に昇進した私たち、各寄席披露興行の出番は一日ずつ。
4軒目の池袋演芸場が、最後になります。
4軒目の池袋演芸場が、最後になります。
その池袋での真打披露口上に並んでくれたのは、扇橋と小三治師匠。
本来なら司会が必要なので、最低でも3人は口上に参加できるよう番組編成してあるものなのです。
ちょうど私の担当日は、週末にあたっていたのでしょう。幹部の出演者陣はみな忙しくてお休みか、後半まで残れない方ばかり。
どうしても口上要員が、ひとり足りません。
事前に落語協会事務局から、師匠のところに打診はあったそうです。
それを扇橋が伝えたところ、小三治師匠いわく。
この意見にうちの師匠、
私の意向なぞお構いなしで、すぐ賛同。
私の意向なぞお構いなしで、すぐ賛同。
当時の披露目では珍しい、新真打当人入れて3人での口上が実現することに。
ありがたい、
でも手が痺れる…
でも手が痺れる…
披露目当日は、秋晴れの行楽日和。
個人的に呼んだお客様も含め、客席は満員の盛況。
個人的に呼んだお客様も含め、客席は満員の盛況。
番組は滞りなく進み、休憩後の「クイツキ」でいよいよ口上が始まります。
片シャギリの笛と太鼓で、ゆっくりと幕が開く。
お客席からは、万雷の拍手。
お客席からは、万雷の拍手。
私の右には、師匠・扇橋が控え。
左側すぐ隣には、後の人間国宝。
緊張で胸はドキドキ、
喉はカラカラ。
喉はカラカラ。
そんな私の脇で、司会を兼ねたうちの師匠がまず私を紹介。
続いて、「それでは落語協会理事・私には兄弟子にあたります柳家小三治、口上申し上げます」 の振りで、小三治師匠が口を切ります。
そんな頻繁に接しているわけでもない私のことを、とても丁寧にお客様に伝えてくださいました。
ああ、前座から二ツ目時代・辛いこともあったけれど、辛抱してよかった。
憧れの大看板が今、私のすぐ隣で。親身になって、身に余る言葉を紡いでくれている。
ありがたい、
涙が出るほどありがたい。
ありがたい、のだけれど…。
涙が出るほどありがたい。
ありがたい、のだけれど…。
ずっと平伏しているうち、だんだん両手が痺れてきました。
なにしろ小三治師匠と言えば、『ま・く・ら』というベストセラー本も出しているくらい、冒頭の語り・マクラが得意でお好きな方。
独演会だとマクラ50分なんて当たり前、談志師匠から
毒舌を吐かれるほど。
毒舌を吐かれるほど。
対するうちの師匠も、話がよく脱線する人。
話題がすぐ本筋から枝道へ入ってどんどん長くなり、講演の仕事の時など傍で聞いていてハラハラしたことも一度ならずありました。
その‶話の長い両巨頭”の掛け合いですから、3分や5分で終わるわけありません。 最終的には、20分近く二人でしゃべっていたのでは。
両手をつき頭を下げてかしこまっている私には、その倍くらいに感じられたものです。
披露口上が
やがて世間話に
やがて世間話に
どう長くても話術に長けた二人のこと、お客様は引き込まれて聞き入っています。
ただ隣で聞いていて弱ったのは、うちの師匠の話題が口上からだんだん逸れていくこと。
私の前座時代のことから始まり、永六輔さんプロデュースの旅へ行った時の話になったあたりからその傾向が顕著に。
ここまで来るともはや披露口上でもなんでもなく、ただの世間話。
小三治師匠も初めは苦笑いしながら 「おい橋本(扇橋の本名)、そんなことよりこいつのことをちゃんと言ってやれよ」 軌道修正してくれていたのですが…。
何度話を戻してもうちの師匠が脱線するので、しまいには諦めて二人で一緒にフリートーク。
大勢のお客様方の前でお辞儀をしながら聞いた、自分の頭越しに交わされる大先輩どうしの世間話。
それに至近距離で触れることができたのですから、まぁ貴重な体験と言えるでしょうか。
今頃、雲の上では
享年、81歳。
持病のリューマチ苦など決して丈夫とは言えない身体で、ここまでお客様を楽しませて来られたのは凄い。
名演に触れることができなくなるのは、もちろん寂しいですが。
楽屋で身体を冷やさないようにする気づかいや、朝から晩まで大量に服用しなければいけない薬からは解放されました。
長い間、本当にお疲れ様です。
今はそう言って、お見送りしたいと思います。
今頃遥か彼方の雲の上で、小三治師匠は。
自身の師匠・五代目小さんにまず挨拶、それから志ん朝・談志・永六輔など錚々たるメンバーと旧交を温めているのでしょう。
そして、私の師匠・扇橋とも再会。
普段ぶっきらぼうに見せているあの表情を、やんちゃ坊主のように破顔させて。
扇橋と肩を並べて行く、柳家小三治の姿。
目を閉じると、見えてくるような気がします。
お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
タグ:落語 イラスト
深まる秋に、扇橋ゆかりの弟子たちが再び集う!~『入船亭一門会』ご案内~ [落語情報]
緊急事態宣言明け、秋晴れの銀座で。
一生懸命、落語会のチラシ配りに精出す黒猫こまち。
一生懸命、落語会のチラシ配りに精出す黒猫こまち。
1年ぶり
池袋での一門会
池袋での一門会
3月開催予定がコロナ禍で11月へと延期された、昨年の『入船亭一門会』。
そのあたりのことは☆春の延期から捲土重来、入船亭一門会開催!にて。
そのあたりのことは☆春の延期から捲土重来、入船亭一門会開催!にて。
今年も芸術・行楽・食欲などお楽しみ盛り沢山の秋、同会場にて開催いたします!
『入船亭一門会~面倒見のいい筆頭と、弟・子・甥たちとの素敵な関係』
血よりも濃い?
芸の縁で繋がる噺家たち
芸の縁で繋がる噺家たち
今回は一門扇の要・扇橋の筆頭弟子扇遊師と、‶芸の上で様々な関係にある後輩たちが一堂に会する落語会”という趣向。
☆あの実力派真打から声のご挨拶と、ちょっと素敵なエピソードで幼い頃をご紹介した、入船亭扇遊。
まだ若かった扇橋に惚れ込んで入門・師匠の教えと芸をしっかり吸収し、今では東京落語界の堂々たる看板の一人。
その扇遊師に、稽古をつけてもらったり・ごちそうになったり・相談に乗ってもらったりしている後輩連。
高座での熱演のほか、後輩それぞれの立場から見た”一門筆頭弟子”を語り合う座談も予定。
楽屋噺から、受勲噺家の意外な一面が明らかになるかも?
今年もあるよ
オリジナルグッズ
オリジナルグッズ
『入船亭一門会』のお楽しみは、もう一つ。
今回も昨年同様、会のオリジナルクリアファイルをご用意しました!
前回は俳人でもあった師匠を偲び、弟子たちが「忘年句会」でもらった短冊をコラージュしたデザイン。
2021年10月のクリアファイルは、出演者たちの写真とサインを散りばめ秋らしく仕上げたつもり。
色んなものを挟んで、普段使いに重宝なクリアファイル。
会当日を前に、当ブログで現物写真を初公開!
こまちさん、皆さんにお見せしてくださいな。
まずは、表。
今回は、裏にもデザインを入れました。
このオリジナルクリアファイルファイル、
☆ご予約なしの方には、当日400円(税込)にて販売予定。
落語ファンならずとも手にしたくなるこのオリジナルグッズ、ぜひともこの機会にゲットしてみませんか?
10月30日(土)18時~、池袋演芸場にて。
大勢さまのお運びを『入船亭一門会』関係者一同、心よりお待ち申し上げております。
お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
タグ:入船亭一門会 落語