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ポイントカードのモバイル化で、もっとお得に!特典がつくキャンペーンも、随時開催中。 [お役立ち情報]


買い物するたび、ポイントが貯まる「~カード」。

何枚もお財布に入れてらっしゃる方、多いと思います。

その大切なTポイントカードを持たずに、コンビニへおやつを買いに行った黒猫こまち。

モバイルTカードでファミマ.jpg

急いで後を追いかけ、渡してあげようとしたら…。

既にスマホへ、
モバイルTカードを装備。


用意のいい、ブログ共同執筆猫なのでありました。


最近の社会情勢が求めた、
ポイントカードのモバイル化

クレジットカードや身分証などすべてそうですが、プラスチック製の実カードは紛失や破損が心配。

ポイントを発行している各社は時代に応じて、カード情報のモバイル化に順次対応してきました。

スマホにポイントカードの情報を入れて、アプリでセンターと通信するシステム。
Android版「nanacoカード」が、そのはしりでしょうか。



顧客のポイント情報管理の効率化もはかれることに加え、次の要因もポイントカードモバイル化を後押ししました。

①大勢の海外観光客を迎える東京オリンピックへ向けて、キャッシュレス決済普及策を積極的に推進した当時の安倍政権。

②新型コロナウイルス感染拡大防止のための、できる限りの人どうしの接触回避。


手から手への受け渡しをなくす、カードリーダーの設置と並行して。
着々と各ポイントカードは、私たちのスマホの中へ格納されつつあります。


見過ごしていた、
お得キャンペーン

先ほど自宅から徒歩25秒・近所のファミリーマートへ、お昼ご飯を買いに行った時。

このポスターが、目に留まりました。
ポイント2倍.jpg

スマホアプリでTカード提示すると、通常200円ごとに1ポイント付与が2倍に。
2021年1月12日~3月31日までの、期間限定キャンペーン。
※「Tポイントサイト」での事前エントリーが必要。


今日まで気がなくて、この告知がまるで目に入っていなかった私。
キャンペーン開始から、2か月も出遅れてしまいました。

猫おやつ・CIAOちゅ~るを巡る、熾烈な闘いの記事に書きましたように、私はタイムサービス・値引きなど「セコく得をする」のが大好き人間でもあります。

これは急いでモバイルTカードの手続きしなくてはと、弁当買うのはいったん延期して店内でスマホの操作にとりかかりました。


簡単操作ですぐ完了、
カードのモバイル化

私が普段使いで貯めている、「楽天Rポイント」「Pontaポイント」はもうモバイル化してあります。

モバイルTカードだけは、開始直後「当時のiPhone非対応」・「肝心のファミリーマートで使えない」ことがネックで見送っていました。

今ではその2点も解消されて、便利でお得なものだとわかってはいるのですが…。

誰にもある「なんでもないのに、苦手なこと」で触れました、人間の得手不得手。
それとは別に、加齢とともに「なんでもないことが、面倒になってくる」傾向。
皆様も、ご経験おありかと。

夏冬の衣服入れ替えとか、お世話になった方へのお礼状とか…

モバイルTカードも、そんなぞろっぺさゆえ今日まで装備しないまま。

いいきっかけなので、記事用の撮影しながら実装作業続けていきます。



私のiPhoneには既に「Tポイントアプリ」は入れてありますから、それにカード情報を連携させてやるだけ。

Tポイントアプリトップの、「モバイルTカード」のアイコンから登録画面へと。

Tポイント連携.jpg

ログイン情報だけでなく、電話での認証が必要。
フリーダイヤルでなく、有料のナビダイヤルで電話しなくてはいけません。

通話自体は一瞬ですみましたが、スマホからなので20秒10円かかっています。

Tポイント2倍にするため、10円の先行投資。

今後1000円の買い物で、元をとれる計算に。
いちいちこんなみみっちい勘定するなんて、われながら小市民だなぁ…。


えっ、ポイント2倍じゃない!

ここまできたら、自らのセコさをもう一つカミングアウトしてしまいましょう。

店頭で無事、モバイルTカードの手続きすませた私。
Tポイントアプリ下部中央のボタンで、カード情報を提示できるようになっています。

Tポイントアプリ ボタン.jpg

意気揚々とそのスマホをレジで見せ、温めてもらったお弁当を受け取り。
同時に、レシートを詳細にチェック。

本当に、ポイント2倍付与されているか?

ああ、書いていて自分で歯がゆくてしょうがない。
そんな確認、うちへ帰ってからにすればいいじゃないか。歩いて25秒なんだから。

でもその辛抱をできないのが、小心者の小市民たる所以。
レジの脇で弁当抱え、空いた手でレシートを隅から隅まで精査します。

ほーら、案の定!
レシート確認.jpg

この買い物なら4ポイントもらわなくちゃいけないのに、2ポイントしか付いてないじゃないか!

その場で店員さんに掛け合っていると弁当が冷めてしまうので、いったん自宅へ撤退。

贔屓の中日ドラゴンズ負け試合の新聞記事読みながら、優雅な昼食終了。
あらためて、ポイントが半分しかもらえていない現状についての調査に着手。



すぐ、事情は判明。
「ポイント2倍キャンペーン」の詳細説明ページに、ちゃんと記載があります

※お会計時付与される通常ポイントと同数のキャンペーンポイントを、後日進呈。

※本キャンペーンの特典ポイントは、レシートには記載されません


ほーら、だからちゃんと落ち着いて調べなくちゃ。
さっきレジんとこで、店員さんに食ってかからなくてよかった…。


リアルカードも、
まだまだ現役!

先のみずほ銀トラブルのように、すべてデジタル頼みの危うさもありますので。用心のためプラスチックカードも、大事に保管してはおきますが。

これからはスマホでTカード提示することが増え、実カードはぐっと出番が減るでしょう。

思えばこのTカードは、幼いわが子たちに観せるビデオ借りるため「TUTAYA」で作ったもの。
あの頃は本当によく、中野新橋と方南町の店舗へ通ったなぁ…。

今ではその2軒のTUTAYA、両方とも閉店してしまいました。

そんなところにも、
時の移ろいを感じます。



それではお世話になったカードと、こまちで記念撮影。
Tカードと昼寝(1).jpg

Tカードと昼寝(2).jpg

昼寝中の当猫は、
迷惑そうですが…。

桜罫線淡い760.png

お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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ヴィクトリア朝時代のロンドンと、現代日本を舞台に。巧緻に作られた暗号ミステリ2編ご紹介。 [お気に入り・おすすめ]


波を蹴立てて、宝物が眠る島へと向かう海賊船。

海賊宝探し.jpg

舳先で宝の地図を、余念なく眺めるキャプテンこまち。
この地図は、難しい「暗号」で書かれているのです。


寛ぐ猫が、形作る文字

今回暗号を取り上げようと思ったきっかけは、こちらの画像。

踊る人形 (1).jpg

ダイニングテーブル下のホットカーペットで、寛ぐこまち。

肉球全開.jpg

肉球、全開。

その寝姿を撮影していると、「あ、これ文字みたいにも見えるな」気づきました。

踊る人形A.jpg

投げ出した脚が形作る、「猫文字」。

さらにここから、シャーロック・ホームズの短編『踊る人形』へと。

ホームズこまち.jpg

連想がつながっていくのでした。


不滅の名探偵が挑む、
不気味な暗号

『踊る人形』

ノーフォーク州の豊かな荘園主の妻を、”死人のように青ざめ”させるほど脅かした絵文字。

愛する伴侶を救ってほしいと、荘園主から依頼されたホームズ。
人形の絵文字は、妻の過去に関係がある暗号と推理。

英語のある特徴を利用して、一文字ずつ解読を進めて行く。


この暗号の原理と解法は、エドガー・アラン・ポー先行作品と同じもの。

しかしそこはさすが、今なおファンの胸に生き続けるベーカー街221Bの名探偵を産み出したサー・アーサー・コナン・ドイル。

どこかユーモラスな人形の絵が伝える、不気味なメッセージ。
踊る人形と猫.jpg

そのギャップから、独特の雰囲気を醸し出す短編に仕上げています。



格調高い延原謙翻訳の新潮文庫版のほか、さまざまな出版社で版を重ねている不滅のホームズ譚。

陽気のいいこの時期、柔らかい陽が差す窓辺で本を広げ。

ひと時、ヴィクトリア朝のイギリスに遊んでみられてはいかがでしょう。


マジシャン作家の、
巧緻な手作り暗号

暗号を扱った日本の作品として、泡坂妻夫先生の『亜愛一郎シリーズ』からこの作品をご紹介。

『掘り出された童話』

商売ひと筋の実業家が、喜寿の祝いを前に自費出版した絵本。

それまで本にはまるで縁のない、大企業の創立者。
いったい何を意図して、不思議な詩めいた文章を綴ったのか?

一見誤植に思える文字使いや、印刷に使う活字までこだわって完成した絵本には。
のどかな雰囲気の文章とはまるで違う、深い意味が込められていた…。


まるで高級な絹織物のように、巧緻に手作業で作られた『掘り出された童話』の超暗号。

『踊る人形』とは違い、こちらは日本語ならではの特徴を活かし工夫に工夫を重ねた文章。



「先生、今日はどれだけ書けましたか」
編集者から原稿の進み具合を聞かれ、黙って指を3本出す泡坂氏。

(あの遅筆な人が、午前中だけで原稿用紙3枚!凄いハイペースだなぁ。)
編集者は感心しましたが、実は「3行」。

手の込んだ暗号部分を書いているところだったので、1行書き進めるのも大変だった…。

自身のエッセイで、泡坂氏はこう振り返っています。



泡坂氏はまた、プロはだしのマジシャンでもありました。

本名の「厚川正男」名義で、多くのオリジナルマジックを考案。
その名を冠した、マジックの賞も設けられているほど。

ミステリだけでなく普通小説に近い作品も、隅々まで「だましのテクニック」が施されています。

まさにすべてが、
手作りの一品もの。



もともとの本業は、着物に紋を入れる「紋章上絵師」。
江戸っ子で、落語も大好きだった泡坂妻夫氏。

「トリッキー」「粋」「飄々としたユーモア」といった要素が散りばめられ、どの作品にも”気持ちよく騙される”。

今回取り上げた『掘り出された童話』が収録された『亜愛一郎の狼狽』、現在は創元推理文庫に入っています。



「亜愛一郎(あ・あいいちろう)」は、シリーズを通しての探偵役の名。

職業別電話帳の「探偵欄」で、一番最初に掲載されるように。
というのが、命名の由来。
このネーミングにも、「泡坂センス」が感じられますね。


共同執筆猫から、
暗号の挑戦状

この記事書くのを、脇で手伝って(じゃれて邪魔して)いた黒猫こまち。
暗号のことが、いたく気に入ったようです。

こんな文章を考えて、
読者の皆様に挑戦!

怪盗からの挑戦状.gif


こまちの暗号.jpg

こよなく晴れし、
今夜は満月。
小手毬の花咲き、
濃く闇に薫る。

こだま響くごと、
古参の狐狸は。
子から孫に化け方伝え、
渾身の力で虎視眈々。

小屋の灯り、
妖しく揺れる。


暗号の原理は、「キーポイント方式」なんて呼ばれることもある手法。

①文章全体を一度ひらがなに読み下し、鍵になるある文字に注目。

②その文字のそれぞれすぐ下の字を1字ずつ、つなげていただくと。

③共同執筆猫から皆様への、ご精読御礼の言葉になります。

☆鍵の文字、
 ヒントは「こまち」。


さあ、あなたは黒猫怪盗からの挑戦。
何分で、
解けるでしょうか?


桜罫線淡い760.png

お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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「お酒はけっこう!」きっぱり断る未成年~缶ビールと猫の正しい関係 [猫のいる風景]


昨年の春先、街の方々で見かけた「コロナに負けるな!567円飲み放題!」の看板。

呑み放題こまち.jpg

ティッシュ・トイレットペーパー品薄と並んで、コロナ禍初期を象徴する風景の一つ。

あれからもう、
1年たつんですね。


掲載時期を逸した画像

冒頭イラスト、本当は2020年4月半ば頃に掲載しようと準備したもの。


新型ウイルスの恐ろしさが周知され出し、客足の落ちたお店が始めた挽回策。

567飲み放題.jpg

東京近辺で「567飲みホ」実施している店舗について、当時はけっこう調べたものです。

資料が集まり、記事製作にとりかかろうとした矢先に…。
あの「第1次緊急事態宣言」、発令。

国民全員が要請された外出自粛に、お店も飲み放題どころではなくなり。
私の記事も、
画像ごとお蔵入り。

ブログ題材として時事風俗を扱う時は、「旬の時期」逃してはいけないということですね。


過去記事からの、
スピンオフ画像


4本で総額738円(税込)の、取材費用がかかっています。
記事1本だけに使うのは、
あまりにももったいない。

そこで黒猫こまちと缶ビールをからませて、別素材も撮影しておきました。
今回はその、過去記事からの「スピンオフ」画像・動画をご披露。

この状態からこまちになんとか、「記念撮影」っぽいポーズとってもらおうという意図なのですが…。

1正面向き缶ビール軍団.jpg


なかなか得られぬ、
モデルの協力

まず缶ビールを並べた台所のテーブルに、こまちに乗ってもらいます。

ビールと並んでのカメラ目線が欲しいのですが、独立独歩の共同執筆猫。
なかなか、こちらの思い通りにはポーズをとってくれません。

2あらぬ彼方.jpg

いきなり、あらぬ彼方をよそ見。

3そっぽ向く.jpg

今度は、露骨にそっぽを向かれました。

4伸びをする.jpg

間もなく昼寝の時間なので、ぐーっと伸びをして。

5迂回する.jpg

缶ビール群をぐるっと迂回して、寝床へと。


なんとか、
それらしき場面撮影

このままこまちに寝られたのでは、738円の元がとれません。
なんとか頼み込んで、もう一度缶ビールたちと並んでもらいます。

6振り返る.jpg


7想いをはせる.jpg

ぐずるのをなだめすかせて、なんとか「記念撮影」らしき場面は撮れましたが…。
8記念撮影.jpg

モデルさん眠いから、
いたって無愛想。

9記念撮影.jpg

しまいには、
「もう、
 いい加減にしてよー」

潤んだ目で訴えますので、撮影会はここまで。



写真と並行して、動画も撮っておきました。
編集したものを、YouTubeからご覧ください。



いつかはできる?
「猫と晩酌」

毎週土曜の回収日、空いたお酒の缶・瓶を大量に出すわが家。
女房も私も揃って、
超がつく呑兵衛ですから。

回収用コンテナからあふれかえる、発泡酒・酎ハイ・格安ワイン等の空き容器。

上に住む大家さんがそれご覧になって、

「児山さんとこはずいぶん大勢お友達呼んで、パーティなさったんですねー」

感心されたことが、あるほど。


そんな私たちと同居しながら、お酒にはまったくと言っていいほど無関心なこまち。

でも今日はこれだけ撮影に協力してもらったから、喉が渇いてんじゃないかい?
取材用に買ったビール、
こまちも一杯どうだい。

ビールはいかが.gif

きっぱり、断られました。

「こまちは、  
 今度の6月で5歳。
 お酒は、
 はたちになってからだよ!」


そうだね、その通り。
じゃあ今日はこのスーパードライ、ありがたく私たちだけでいただこう。

こまちが、20歳過ぎるまで長生きして。
一緒に晩酌できる日が来るのを、楽しみにしているよ。

それまではこちらも、
健康でいなくっちゃね。

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ご精読いただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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何種類ある?缶ビールの大きさ~師匠・扇橋との懐かしい「お酒がらみ」エピソード [日々雑感]


今わが家にいる、
3匹の黒猫。

黒猫大中小.jpg

同じような毛並みながら、
大きさは「大中小」様々。


形あるものには 「サイズ」が

冒頭像画の(小)、ほんとに小さいのでアップにすると…。

黒猫マグネット.jpg

女房が道に落ちていたのを
「顔つきはふてぶてしいけど、かわいそうだから」
と拾ってきた、
猫型マグネット。

今回3匹並べて、比較写真を撮ろうとしたのですが。
ひとり生身のお嬢様は、そうたやすく協力してはくれません。

ジジとマグ猫を並べた隣へ、こまちにもちょっと顔出してもらいたいだけなのに…。

ジジ マグ猫と一緒.jpg

※こんなのが撮りたい。

しかし結果は、こちら。

ジジとマグ猫撮影失敗.gif

とかく生き物の撮影は、難しい。
岩合光昭さんの凄さ、あらためて実感。



閑話休題。

この世の形ある存在ほぼすべてに適用される、「サイズ」という概念。

洋服の、S・M・L。

こまちはNサイズ.jpg

牛丼なら、並と大盛り。

牛丼迷う.jpg

そしてそれぞれTPOに応じた、「適正サイズ」というものもあります。

大き過ぎる・ツンツルテンの服は、着心地も見た目も良くありません。
牛丼のサイズも、お腹と相談して決めないと後悔します。


ご存知ですか、
缶ビールの各サイズ

まず、こちらの画像をご覧ください。

缶ビール勢ぞろい.jpg

現在販売されているアサヒスーパードライの缶、4サイズ揃い踏み。

左から
①135ml
②250ml
③350ml
④500ml


350mlは「レギュラー缶」・500mlを「ロング缶」と呼びますが、135mlと250mlはまとめて「ミニ缶」ということが多いようです。



本記事のため4種類購入しようとしたのですが、近所のコンビニではミニ缶は発見できず。

そりゃそうでしょう、レギュラーとロングに比べて需要が少ないミニ缶
あんまり売れないのを置いとくのは、冷蔵庫ふさぎですから。

普段買い物しないスーパーまで足を伸ばしたら、4サイズ揃ってました。
ご参考までに(なんの参考?)、各サイズの価格と缶の直径を記載します。

価格:98円
 直径:5.3cm
価格:165円
 直径:6.3cm
価格:178円
 直径:6.4cm
価格:230円
 直径:6.5cm



呑まない師匠宅での、
前座時代の失敗談

話はまた変わりまして、私の師匠・入船亭扇橋との想い出。

生前の扇橋夫妻は、どちらもお酒を呑みませんでした。

師匠の方は、乾杯でビールをグラス半分くらいは付き合うこともありましたが。
おかみさんは正真正銘の下戸、プラス酔っ払い嫌い。

そんなお酒と縁のない二人が、ある夏のこと。
揃ってお歳暮に来た弟子たちに、ビールをふるまったことが。

仲のいい柳家小三治師匠宅でそうしているというのを聞いて、

「いかに自分の弟子とは言っても、暑い時に来てくれんだから。
じゃあ、うちでもひとつやってみるか」

ということになったようです。



二ツ目以上の弟子が、まとまって訪れることになった当日の午前中。

前座だった私は、おかみさんから近所の酒屋で缶ビールを6本買ってくるように言われました。

お使いものでいただいたビール券を渡しながら、おかみさんは私にこう念を押します。

「いいかい、扇べいさん。昼間なんだから、そんなにビールたくさんはいらないんだよ。

普通の大きさのを、6本買ってくりゃいいんだからね。
間違えないように、頼んだよ!」


ビール券握りしめ師匠宅の自転車を駆って、颯爽と酒屋に到着した私。
サッポロ黒ラベルの350mlレギュラー缶を、速やかに購入。

よく冷えて缶の表面に汗をかいた、おいしそうな6本パック。

私はつばを飲みながら、ビールを揺らさないよう気をつけて。
無事、師匠宅まで運搬完了。



「おかみさーん、買ってまいりました」
という言葉を、おしまいまで聞かないで。

「あらまあ、この子は!
あんなに”普通の大きさ”って言ったのに。
こんなでっかいの買ってきちゃって、ダメじゃないの」

えらい剣幕で、
怒るおかみさん。

レギュラー缶でしくじり.jpg

えっ、”普通”ってレギュラー缶じゃないの?

今お読みいただいている方々のほとんどは、そうお思いになるのではないでしょうか。

その時の私も、そう思いました。
なんで350mlのを買ってきて、怒られんだろう。

謝りながら、おかみさんに確認してみると…。


世間とはちょっと違う
師匠宅の缶ビール認識


アルコール類と言ったら、料理酒以外はご存知ない扇橋夫人にとっては。

☆135mlが「普通のサイズ」
☆350mlは「大酒呑み用」
そして
☆500ml=大勢で呑むための、パーティサイズ


という、独特の認識だったのです!

ロング缶はパーティサイズ.jpg

「今から来んのは、弟子たち3人だよ。
扇べいさんは、自分が呑兵衛だからって。
こんなに買ってきたら、
余っちゃうでしょ。  
しょうがないね本当に…」


おかみさんは、ぶつぶつおっしゃってましたが。

その日夏の挨拶に訪れたのは、筆頭弟子の真打・扇遊師。
そして当時は二ツ目だった扇海・先代扇蔵(扇太)各師。

よく楽屋で

「不思議だねぇ、扇橋さんとこは。
自分もおかみさんも呑まないのに、お弟子さんは大酒呑みが揃ってんだから」


感心されるほどの、
入船亭一門。

そういう弟子3人にかかったら、レギュラー缶6本のビールいかほどのものか。

汗をかいて訪ねてきたうわばみ噺家連中、
「うめぇうめぇ、プハーっ」
あっという間に350ml×6=2100mlを飲み干します。

私はあとで扇太兄さんから脇へ呼ばれて

「あれじゃ寝た子を起こしたようなもんで、まるで呑み足んねえじゃねぇかよ。

お前なんで気ぃ利かせて、使いに行った時もっと大きいの買ってこなかったんだよ!」


そっちも、しくじってしまいました。


仕事先では珍しい、
師匠の傍らで缶ビール

こんなエピソードがあるくらい、お酒とは縁遠い扇橋宅でしたが。
忘年会や一門の旅行会などでは、もちろん(常識の範囲で)呑ませてくれました。

今回そういったシチュエーションではなく、仕事先から戻る列車の中で。
師匠を前にして、缶ビール片手にしている私の写真を発掘。
師匠とビール.jpg

乗っているのは、
小田急ロマンスカー?

お客さん方との句会で箱根へ行き、それがとてもうまく行って機嫌が良かった時だったかな。

駅弁開ける前に、

「今日はどうせ、うちへ帰るだけなんだから。
おめぇたちはいいぞ、ビール呑んでも」


後ろに座っている扇辰師と私に、師匠が車内販売で缶ビールを1本ずつ買ってくれたのです!

それも師匠夫妻の常識からすれば「ロング缶」に相当する、350ml「大きい方の缶ビール」。

師匠と車中並んで座っての乾杯なんて、あとにも先にもこの時だけ。

ありがたさかみしめつつ、でも内心「できたら、500mlの買ってもらいたかったな」…。
贅沢なことも考えつつ時間をかけてちびちびと、1本のレギュラー缶いただきました。

感心だな、師匠に買ってもらって感激したから。大事に大事に呑んだんだ。


それもありますけど、呑まない師匠がすぐそばにいる目の前で。

350ml缶を三口で
「ゴクゴクゴク、パーっ!」。

あっという間に空けてしまうわけには、いかないじゃありませんか。

ゆっくりジルジルすすっているとしまいには、すっかりぬるくなってしまったビール。

今その写真を見返していると、こちらの胸もなんだかじんわり温かく。

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入船亭扇治拝

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進級・進学シーズンにおくる、「寺子屋事情」~驚異的な識字率を支えた、江戸庶民の教育機関 [江戸のトリビア]


青空のもと薪を背負って歩きながら、読書に余念ない猫の二宮金次郎。
二宮金次郎.jpg

足元に、気をつけなさいよ。


世界最高水準、
江戸の識字率

パリ・ロンドンに先駆けて、100万人都市となった江戸の街。

その頃日本国民で読み書きができる人の割合も、世界で最高だった時期が。

18世紀後半~19世紀末にかけての、日本人の識字率。

男性:54%
女性:19%
江戸市中に限るとこの数字は、男女合わせて70%まで跳ね上がります。

そしてさらに街の中心部に住む人は、「かなしか読めない」等程度の差こそあれ。
ほぼ100%に近い人が、士農工商とも読み書きができていました!


ちなみに同時期のイギリスは20%、フランスは10%未満(庶民階級の場合)。

この驚異的な江戸の識字率は、どういう要因で達成されたのでしょうか。


読み書きは大事な、
暮らしの防衛手段

徳川家康が綿密な都市開発計画に基づいて、台地を切り開き浜を埋め立てて完成させた将軍様のお膝元・江戸。

新しい街づくりのため、東北地方初め全国各地から大勢の人たちが集まってきます。

地元民より新参者が多い状態からスタートした江戸は、上方よりはるかに「ビジネスライク」な街でもありました。

庶民でも最低限の読み書き算盤くらいはできないと、「生き馬の目を抜く」街では人に後れをとったり手玉にとられたり。

「人情に厚い江戸っ子」とはまた違う側面を持つ、人口過密の大都市。
利に敏い者に食いものにされたりしないためには、ちゃんと字が読めて勘定もできないと。

庶民にとって読み書き算盤は、江戸で生き抜くための「暮らしの防衛手段」でもあったのです。



幕府や奉行所からの告知が、
「高札」
で街の辻々に掲示されることも多かった江戸。

高札は今の街頭ビジョン・回覧板・インターネットを併せたくらいの、重要な情報源。
庶民の暮らしに関わるお触れなど、もたびたび発令されていましたから。

高札眺める.jpg

世の中から置いていかれないよう、町人向けのかな書き高札くらいは読めるようにと。
江戸の親たちはわが子が幼い頃から、けっこう熱心に教育を施していたのです。


「寺子屋」の語源

江戸の高識字率を支えたのは、庶民向けの教育機関「寺子屋」。

最盛期の幕末には、江戸に1500軒・全国で2万軒あったそうです。
これは現代の小学校の総数と、ほぼ同じ。


寺子屋で勉強.jpg

※元イラストは『イラストAC』矢島商店様の作品を使わせていただきました。ありがとうございます。



江戸期以前には寺で読み書きを教わるのが主で、入門することを「寺入り」弟子を「寺子」と称したことから上方では寺子屋と呼ぶように。

江戸では初め、「手習い」「書道・手蹟指南」と言っていました。

後に人形浄瑠璃・歌舞伎『菅原伝授手習鑑』の大ヒットから、江戸でも「寺子屋」の名称が定着します。


親切な個人指導、
寺子屋のシステム

6~7歳で入ってくる子ども達に読み書き算盤・女の子には更に行儀作法や裁縫を教える、実務教育

これが、寺子屋の経営方針。

中には100人以上を抱える大規模校もあったそうですが、多くの寺子屋の生徒数は10~30人くらい

いろは→漢字→短文→手紙の書き方と進んでいく勉強。
その教え方は、
基本的に「個別指導」でした。
手習いの師匠.jpg

きれいな女性の先生などが、こうして手をとって書道教えてくれたら。
覚えも、
ぐっと早くなりますよね。

塾で居眠り.jpg


こまち、
寝てちゃいけません!



紙が貴重だったので、書き方では同じ半紙に何度も重ねて稽古。
5~10日に一度、新しい紙に清書するのが常でした。

お手本無しで書いたり文章を暗唱する「浚い」を経て、年に2回最終発表と授業参観を兼ねた「席書(せきがき)」が行われます。

その当日は盛装した我が子の晴れ姿を見に来る人々を当て込んで、周りに屋台が出るほど賑わう寺子屋もあったそう。
 

教え上手な先生の、
超絶テクニック

書き方指導がうまいと評判の先生は、「倒書(とうしょ)」という技術を持っていました。

今でも書道家の方、こうして教えることあるんではないでしょうか。
生徒と向かい合って、相手に見やすいように先生は上下逆に字を書いていきます。

うまい踊りの師匠や、講習受けたラジオ体操指導員の方がおやりになるテクニック。

不器用な私から見ると、
まさに超絶技巧。

こまち手習い.gif

こらこら、こまち。
せっかく先生が丁寧に教えてくださってんだから、よそ見してちゃいけません。


決して高額ではない、
江戸の教育費。
休日・娯楽も充実。

寺子屋の教育費用は、いくらくらいだったのでしょうか。

☆入門時に師匠に払う「束脩(そくしゅう)」が1朱か2朱(5000円~1万円)+学友たちに煎餅や団子を人数分。

☆筆・硯・文庫・紙などは実費。

☆年5回の謝儀という授業料は、裕福な家の子で1分(約2万円)から豊かでない家庭の200文(約4000円)まで様々。

※1文=20円で計算しています。


他に畳代・炭代などもありましたが、いずれも払わないからといって催促されることは基本的になかったそうです。

後進に学問を授けるのは当然という、「敬学の精神」から。

武士・僧侶・神官・医者・庶民の知識人など、寺子屋の師匠になろうという人たち。
金銭に執着しない、ボランティア精神の人が多かったのですね。



毎日の授業時間は、午前8時~午後2時くらい。
間に自宅へ帰ったり弁当での昼食休憩が入ります。

お休みは毎月5日・15日・25日の「三日(さんじつ)の休み」、正月休みが12月17日~1月16日。


年末年始の休みが長いのは、家の手伝いをする子も多かったからでしょうね。

他に2月初午・鎮守祭・天神講なども休みになり、師匠によっては花見の時期に遠足・七夕の夜には合宿と子ども達を飽きさせない工夫を凝らしていました。

そう聞くと、江戸の寺子屋って。何だか楽しそうじゃありませんか?
私は子どもにかえって、一度通ってみたくなりました。



学生時代後半は落語三昧で、ろくすっぽ大学に行かなかった私。

今になって、
「もう少し、
 勉強しときゃよかったなぁ」

しみじみ思います。

時は春、
進級・進学シーズン。
新しい学習環境に、
胸躍らせている若い人たち。

充実した学びをおさめられますこと、大学生になる倅を持つ親として。
心より、
ご祈念申し上げます。

梅の罫線450.png

お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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