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夏に出会った、懸命に生きる地球の仲間たち [日々雑感]


37度の「危険な暑さ」を記録した、8月中旬の東京。
その炎暑の中で見つけた、小さな生命の記録
この世は人間だけで回っているのではないと、あらためて実感。

あれ、これ違う花だったんだ!


借家ながら、庭付きの我が家。

敷地の基礎の上に薄く土を盛っただけ、特に肥料など足してないので「痩せた土地」なんてもんじゃありません。
即身成仏寸前という栄養状態、いずれ引っ越すんですから自分で何か育てようという意欲もあまり湧かず。

でもよくしたもので、風や鳥がどこからか運んできた種が毎年なにかしら花を咲かせたり実をつけたりします。
土地の状態相応でホタルブクロは色薄く、2株あるアジサイは隔年交替でしか咲きませんが。
それでも、なんとなく楽しみなもの。

人間は新型コロナウイルスで落ち着かぬ中、庭の南西側にかわいい花が新しく花を開かせています。
開くハゼラン_R.JPG


ハゼラン
かつては商業園芸植物だったことがあるそうですが、今ではこうして野生化しています。
うちのはやはり通常より、かなり花が小ぶり
でもそれがかえって愛らしいので、写真におさめてTwitterでも見ていただきました。

初めてハゼランを見たあくる日。
朝庭に出てみると、あの可憐で控えめな花が咲いていません
もう枯れちゃったのかな。
いくら痩せ庭でも、ちょっと早すぎるんじゃないか?

怪訝な思いで花のあったあたりを見回すと、別の植物が生えています。

寝ているハゼラン_R.JPG

これって、去年まで庭の北側に生えていたミズヒキじゃないの?
今年はここへ種が飛んできたのかな。

前座の頃、旅先の四国で花に詳しかった師匠・扇橋が教えてくれた花。
ミズヒキ 花.jpg


たしかその時、

草の花いとしや仄かなるゆえに

の句を詠んだんじゃなかったかな。

そんなことを思い出しながら部屋に入り、ひと作業していいるうちに昼下がり。
空気が乾いているので水でもまくかと庭に出ると、あれっ!?
今朝いなかったらハゼランが、何事もなかったかのように戻ってきています
帰ってきたハゼラン.jpg


キツネに化かされたような心持ちでよーく花を観察してみると、今朝ミズヒキだとばかり思っていた植物と葉っぱが同じ


時刻によって、花が咲いたり閉じたりするのがハゼランの特徴。
別名「サンジソウ」というくらいで、午後の日射しに反応して花開く。
植物図鑑を調べ直して、初めて知りました。

北側に生えていた時はほとんど日が射さないので、ハゼランさん花はもっててもつぼみの状態しか私は見たことがなかったのです。
だからついつい、ミズヒキと早合点。
気がついてよかった。

間違えてごめんね、ハゼランさん。

それ以来お昼過ぎまではつぼみを閉じて寝ている花が、午後になるとだんだん起き上がってくるのを見るのが楽しみに。
頭をもたげるハゼラン_R.JPG


本当に「ぐぐーっ」音がするくらいの勢いで、茎が東から西側に立ちあがるんですよ。
こまちと仲良しの、あのカタツムリが手伝っているのかも。
小ハゼランとかたつむり.gif

カタツムリくんの初登場GIFは
写真多用のGIFは、データ量にご注意!
をご覧ください。

もう一つ、空から落ちてきた命


37度の暑さに届く前にと、8月11日午前中用足しに出かけました。
その時点でもう表は35度でしたから、手遅れかもしれませんが。

お気に入りの『ダイエー幡ヶ谷店』で30%オフのお肉やら半額の焼うどんなどの仕入れ、戦利品で膨れあがったマイバッグを抱えての帰り道。
商店街の歩道に、地上での短い生涯を全うした小さな生き物が。
歩道に落ちていた蝉_R.JPG


密を避けながらも人通りが多い道、踏まれてはかわいそうだし少しでも土に戻りやすいようそばの植え込みに移動させました。
和菓子屋さん店先のツワブキに乗せてみると、
今にも飛び立ちそう
ツワブキと蝉_R.JPG


今だんだんと黒く乾きつつある羽根も、幼虫から脱皮した時には透き通るようだったはず。
それから人間界の時間で1週間、その羽根は何万回風を切ったんだい。
遠いところまで、飛んだんだろうね。

光を失った目にも、たくさんの太陽の光・木々の緑が映っていたんだろうね。
お疲れさま、今年成人式の蝉さん。
今はゆっくりお休み。

次に生まれ変わったら、また空を飛ぶ生き物になるのかな?
個人的には、なんかお薦めだよ。

夏の暑い日々を力いっぱい生き抜いた命の入れ物に手を合わせ、真上からの日射しを頭に感じながらその場をあとにしました。

生者必滅、輪廻転生。
時代は回って、明日は明日の風が吹く。
まず、今日を一生懸命生きなくちゃ。
そんな殊勝なことを考えつつ。

うまくはありませんが大学卒業生の句会で詠んだ拙句で、稿を閉じさせていただきます。

落蝉の_R.jpg

蔦飾り線.png

当ページの前記事、


では、今回お休みの黒猫こまちが活躍しておりますので、よろしければ。

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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