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島の親切な図書館員さんが導いてくれた、日本唯一の「図書館文化船」~にっぽん丸で訪問・秋の生口島③~ [旅のアルバム]


生口島・尾道市瀬戸田のおいしいジェラート屋さん、「ドルチェ」

島内に2店舗あるうちの本店前で、一番人気の「伯方の塩ジェラート」買ってもらいご機嫌の黒猫こまち。
ドルチェのジェラート食べる.jpg


島の図書館
訪問してみたが…

「ドルチェ」さんは観光客・サイクリスト・地元の方に愛されている名店だそうですが、私が今目指しているのはここではありません

”ドルチェの角を右に曲がったところにある展示物”を、見に行くところなのです。

港から歩いて2キロの道のり、どうして筆者はそこに向かって歩いているのか? それを説明するには、少し時間を巻き戻さねばなりません。




早朝の生口島で楽しい体験をしながら、しおまち商店街を左に曲がります。

観光案内所脇にあった、大きな柑橘のオブジェ。
柑橘オブジェ.jpg
見ているだけで、口の中に唾液がわいてきそう。

その先の市民会館内にある、瀬戸田図書館が次なる目的地。


曲りなりにも、「司書噺家」を名乗らせてもらっている私。

仕事で訪れた先の港や駅からの徒歩圏内にある図書館は、できる限り訪問するようにしています。

今回もあらかじめ所在地を調べ、日曜の午前9時過ぎに瀬戸田図書館の前に立ちました。

ところが、なんと…!


こまち3連アイコン.png
瀬戸田図書館.jpg


開館前の
親切な対応に感謝!

正面自動ドア前には、赤い字で書かれた「準備中」の文字が。

開館時間の案内を見ると、”10:00~18:00”としてあります。
オープンまで、あと1時間弱。

どうしようかな… 平山郁夫美術館見て、時間つなごうかな。
迷いながらガラス越しに、明かりは点いている館内を覗き込んでいると…。

「何か、ご用ですか?」中からスタッフの女性が出てらして、私に声をかけます。

こま右向きアイコン.png

(しまった、不審者と思われたか!)と一瞬慌てましたが、さにあらず。

うっかり時間外に来た地元利用者かもしれないと、けっこうお若いのに施設長のその女性・Mさんは親切に尋ねてくださったのです。

そこで私も安心して、
☆自分は今沖に泊まっている客船にっぽん丸に乗っている、噺家であること。
☆形だけだけれど司書資格を持っていて本が好きなので、機会があったら旅先の図書館を取材していること。
☆タイトルに「図書館」を冠したブログを運営しているので、可能なら図書館の外観を撮影させてもらいたいこと。
説明してお願いしたところ、Mさんは快く写真撮影を許可してくださいました!

ばかりでなく、まだオープン前の館内を
「私は開館準備がありますのでご案内はできませんが、よろしければご自由にご見学ください」
ともおっしゃってくれたのです。


そのお言葉に甘え、短い時間ですが書架と閲覧スペース見せていただいた瀬戸田図書館。

選書・配架の塩梅、児童書コーナーや企画展のレイアウトなど。細やかな配慮が感じられる、地域密着型の図書館だなぁという印象を受けました。


島々に本を届けた
「図書館船」

そうこうしているうちに図書館の正式オープンの時刻が近づき、お礼を述べて行こうとる私にMさんは
「図書館に興味がおありでしたら、島内にこういう展示物があるんですけど…」
と黄色いリーフレットを渡してくれました。

そこには、 かつて図書館のない島々に本や資料を届けた、
「図書館文化船ひまわり」
のことが書かれています。

※今旅先で現物が手元にないので、「朝日新聞デジタル」のリンクを貼らせていただきます。

本の罫線.jpg

施設から遠いところの住民の方に車で本を届ける「図書館バス」はほかにもたくさんありますが、船でのサービスはこの「ひまわり」号だけ。

浅学にして私は、Mさんに教えていただくまでその存在をまるで知りませんでした。

自分の不勉強を反省するとともに、絶好の機会を与えてくれたMさんに感謝しつつ。
リタイアした「ひまわり」が展示されているB&G財団瀬戸田海洋センターに向って、歩き出す筆者。


道のり遠く
船は歳をとっていても…

「目的地まで片道2キロ強、徒歩だと大変かも…」とMさんは心配してくれましたが、歩くのはまだまだ苦になりません。

秋晴れの空のもと、左手に海・右手に街の風景臨みながらてくてく進んでいきます。
しまなみ海道.jpg
河に揺れる船.jpg


図書館から30分以上歩いたでしょうか、目印のドルチェが見えてきます。

しかしここまで順調だったのですが、しまなみ海道を脇に入ってからがちょっとわかりづらい。

「B&G財団瀬戸田海洋センターって、どっちですか?」尋ねたいのですが、その辺りに歩いている人がいないのです。

やっと畑仕事しているお婆さん見つけて声をかけたら、ご当人耳が遠くてますで通じず。


それでもなんとかリーフレットの地図とGoogleマップを頼りに、ようやくたどり着きました!
ひまわり遠景.jpg

「ひまわり」の船体は、全長14メートル。 ちょうど私をにっぽん丸からここまで運んでくれた、通船と同じくらいでしょうか。


船の向こうに見えているB&G財団瀬戸田海洋センターは普通のスポーツ施設で、特に館内に「ひまわり」号の追加展示があるわけでもありません。

2015年に塗装し直したとはいえ、歳老いたリタイア船。

「ふね遺産」に認定された、日本唯一の図書館文化船!
というイメージで期待し過ぎると、中には実際に見てがっかりする人がいるかもしれません。

でも私がこのアングルから見た「ひまわり」は、『宇宙戦艦ヤマト』にも負けない雄姿と私の目には映りました。
ひまわり近影.jpg


そしてそばにある説明文を読むと、胸に迫るものが。
説明文.jpg
「ひまわり」就航は、1962年(昭和37年)。
この船は、私と同い年だったのです!


図書館船への想いと
レモンの香りに包まれ

1962年代、高度成長期を前に。 まだまだ、現代の豊かさのかけらもなかったあの頃の日本。

本やレコードを好きなだけ買うなんて、よほどのお大尽でなければ無理。

ましてや、本州と違って交通の便が良くない島の暮らし。

文化や娯楽に飢えている人たちのもとへ、
1500冊の図書や映画のフィルムなどを積み、年8回瀬戸の15の島々を巡り、24の市町を訪ね、特に小学校児童を中心に多くの人々に親しまれ、図書館活動に大きな役割を果たした
図書館船ひまわり。


私が大学に入り上京した1981年(昭和56年)に、ひまわりは図書館バスにその役目を譲ったそうです。
船内ひまわり.jpg

多くの島民の方たちに、夢を届け続けた図書館船。
今は、ゆっくりお休み。

こま正面アイコン笑い.jpg


そんな想いを胸にしまなみ海道の脇道を歩けば、畑からはたわわに実るレモンたちのいい香りが。
レモンの実.jpg

せっかく、日本有数のレモンの産地へ来ているのですから。

お土産にレモンケーキとゼリー、レモンのビールとサイダー買って、
生口島お土産.jpg
さぁにっぽん丸も出航の時刻です。
さよなら生口島.jpg

レモンの罫線.jpg


お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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