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世界的には少数派・でも日本人の心情に合った「4月からの新学期」 [日々雑感]

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新品のランドセルしょって、
入学式に向かう黒猫こまち。


あなたのお宅では
すき焼きに何入れる?

私が大好きな東海林さだお先生のエッセイに、”すき焼きの具材についての話題”について綴った一編があります。

呑んでいる席などで、「子どもの頃さ、みんなのうちじゃすき焼きに肉のほか何入れてた?」なんて話になった時。

「うちは焼いてない普通の木綿豆腐を入れてたなぁ」
「シラタキじゃなくて、黒くて太い糸コンニャクだったよ」
「春菊は苦くて子どもが嫌がるから、代わりにホウレン草使ってた」
家庭によって具材は様々で、この話題だけで30分くらい座が盛り上がる。

話が弾んでいる中、一人が何気なく「秋のすき焼きにはやっぱり、松茸が欠かせませんよね」発したこの言葉に。
一同、しばし沈黙ののち…。

「ラーメンの具だったらさ、みんな何が好き?」 と急に話題は別の方へ。

すき焼きにちゅーる.jpg

各家庭によって独特の生活習慣があって、それがわが家だけのものだとわかった時に受けるプチカルチャーショック…というテーマ。

東海林先生らしいユーモラスな筆致が笑いを誘う好エッセイです。


世界では超少数派
桜咲く時期の年度代わり

先ほどの松茸男のうちはよほどのお大尽家庭なのか、たまたま裏に松茸山持っていたのか。
子どもの頃からそれが当たり前だったんで、別に自慢するつもりではなく普通に発言したわけですね。

個人ベースでもこういうカルチャーギャップはけっこう感じるのですから、世界規模で見たらもっと大きな習慣・文化の違いはたくさんあります。

「4月から始まる学業新年度」
というのも、その一つ。

私たちには当然のこと、しかしこの一年の区切り方をしている国は世界の中では超少数派
日本のほかには、インドのある地方やパナマなどが採用しているだけ。

それより圧倒的に多いのが、9月が学業年度の始まりという国々。
入学式は9月.jpg


日本でも江戸時代までは寺子屋や藩校は一年中入塾できるもので、特に学業年度という考え方はありませんでした。


会計年度に合わせて
学業年度も4月区切りに

わが国で4月入学・進級が正式に制定されたのは、明治19(1886)年。
この年から日本の会計年度は4月~12月と決められたことに従ったもの。

考えるアイコン.jpg

「年度」の概念が西欧から入ってきた明治初期は、まだまだ江戸時代から続く国税=年貢米という考えが主流。
その頃はまだ、稲作農家が全国の中で一番多い納税者だったのですね。

江戸時代は収穫された米を年貢として直接物納していましたが、明治政府になってからはお金に換えての納税に。
米をお金に.jpg

「農家での秋の収穫→米を換金→納税→予算編成・執行」のタイムスケジュールに余裕を持たせるため、10月・1月・7月と試行錯誤の結果。
現在の4月始まりに落ち着いたとする説が有力。

ほかにも当時一番影響を多く受けていたイギリスの会計年度に倣ったというのも、大きな理由の一つと考えられるそうです。


日本人の心情に合った
桜の下での新学期

こういった要因から定められた、わが国新学期の始まり。

寒くて雪の多い時期に受験シーズンを過ごすのは、私も経験ありますがかなり大変。

かじかむ手に息を吹きかけながら勉強しつつ
(アメリカみたいに、夏休み明けから新学期だといいのにな)
思ったこともありますが…。

厳しい冬を乗り越えるからこそ、その後に迎える春がいっそう輝きを増すのも実感しています

そういう意味では「まず会計年度ありき」で始まったわが国の学業4月区切り、世界基準では少数派なれど。
桜の上品さや潔さを愛する日本人の心情には、とてもしっくり来るものと言えるのではないでしょうか。

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私もこの春からは、長く続いたカルチャー講座を新たな教室に移して再出発。
その舞台となるJR国立駅前には柔らかい陽射しのもと、希望に満ちた桜並木が見渡せないほどに続いています。
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春、すべての命にとって新しいスタートの時。

当ブログもまた心機一転、楽しい記事お届けできるよう工夫して綴ってまいります!
今後ともよろしくご贔屓のほど、お願い申し上げます。

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お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。 ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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