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夏にぴったりの壮大・爽快な一大ロマン!デュマ『モンテ・クリスト伯』 [お気に入り・おすすめ]

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木陰のハンモックで、のんびり夏の読書を楽しむ黒猫こまち。


19世紀フランスの
古びぬロマン巨編

こまちが筆者の本棚から持ち出した本は、こちら。
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『モンテ・クリスト伯』講談社文庫版・全5巻揃いのうち一冊。
実話をもとにした、アレクサンドル・デュマの一大ロマン巨編。

『椿姫』で知られる同名の息子ではなく、「大デュマ」と称される父君。
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その大デュマが1844年から2年間新聞連載しフランス全土を熱狂の渦に巻き込んだ、『三銃士』と並ぶ代表作。
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波瀾万丈の物語は21世紀の今日でも古びることなく、私は何年おきかに読み返して楽しんでいます。


不朽の名作
今さらながら、あらすじ

黒岩涙香が『巌窟王』の題名で翻案して以来、舞台やアニメ化・2018年には物語の舞台を現代日本に移した大ヒットTVドラマが作られたり。
『モンテ・クリスト伯』という物語が
無実の罪で投獄された青年の、壮大で数奇な復讐劇
であることは、現代日本でも知らない人の方が少ないのでは。
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それでも野暮を承知で、イラスト紙芝居でこの普及の名作をご紹介すると…。

時は19世紀初頭、ナポレオンがエルバ島に幽閉された頃のフランス。

マルセイユの船乗りエドモン・ダンテスは雇い主から時期船長の座を約束され、意中の女性との婚約も決まりまさに順風満帆。
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しかしそれを妬んだ同僚と恋敵の奸計により、ダンテスは政治犯の濡れ衣を着せられてしまう。
告発を受理した検事代理の思惑もあり、必死の釈明もかなわず重罪犯牢獄イフ城に送り込まれるダンテス。

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一時は餓えによる自死を試みるほど絶望したが、脱獄用の穴を掘っていた老囚人との出会いが彼の生きようという意志に再び灯をともす。
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博学な神父である囚人から様々な知識と孤島に眠る財宝の在り処を授けられたダンテスは、入牢14年後の嵐の夜に脱獄を決行。
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死者と入れ替わって布袋に入り、看守たちによって荒れ狂う海へと投げ出されたのだ!

そして九死に一生を得た脱獄囚ダンテスは密輸船に助けられ、老司祭に教えられた島で莫大な隠し財宝を発見。
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それから9年後。
「モンテ・クリスト伯」を名乗ってパリ社交界に現れたエドモン・ダンテスは、神のごとき叡知と巨万の富を使って自分に無実の罪を着せた仇敵たちへの復讐を開始するのであった!
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おすすめしたい
夏休みの一気読み

モンテ・クリスト伯の復讐は、武器を用いて直接敵を殺めたりするものではありません。
知恵・富・権力を駆使して相手に近づき、精神的・社会的に追い詰めてゆくのです。

周到に仇敵の周囲に網を張る伯爵の復讐劇は、何度読んでもハラハラドキドキ・気分爽快。

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そして狙う仇にも家族がいて、その一人ひとりにドラマがある。
多彩な登場人物にそれぞれの役割を振り自在に動かす大デュマの筆は、大部な長編を一気読みさせる力に満ちています。




私が本作を読み返したくなるのは、決まって夏の暑い盛り。

初めて講談社文庫第1巻初版を買った中学1年生の夏休み、風通しのいい座敷にひっくり返って読んだ時の記憶が今でも残っているから。

☆モンテ・クリスト伯となったダンテスが、雇い主だった船会社経営者の窮状を救う場面。
☆復讐を完遂した伯爵が愛する人とともに、海の彼方へ去っていくラスト。
そこに出て来る帆船の姿に私は、再読のたび青い海・風はらむ帆を思い描き。

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そして、未来への希望を感じるのです。

こういうところも、私が『モンテ・クリスト伯』を夏の開放的な時に読み返す理由の一つ。

あなたもぜひ、
夏休みのひと時。

この19世紀大衆小説の巨匠が紡ぐ一大ロマン巨編、一気読みなさってみてはいかがでしょう。

今でも新刊として書店で手に入れやすいのは、岩波文庫版全7巻。
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その岩波版より翻訳がこなれていると私が個人的に思う講談社文庫版は、現在電子書籍のみの取り扱い。

ほか古書店や図書館でも、気軽に手にとってて読むことができる『モンテ・クリスト伯』。
重ねて、
おすすめする次第です。
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さて無事お気に入り本をご紹介し終えたところで、ティーブレイクといたしますか。

お茶を淹れに台所に立つとそこには、呑気なリアル黒猫の姿が。
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ヨドバシカメラ通販の箱にすっぽりはまって、夏の午睡真っ最中。

巌窟王ならぬ、
「箱窟王」降臨。




※エドモン・ダンテスと同じく無実の罪で長く獄中生活を強いられながら、不屈の精神で戦い抜く男の物語
☆『緊急事態宣言再びの今こそ読みたい!「ホラーの帝王」が灯す未来への明かり

やはり夏に読むのがぴったりの一冊をご紹介した
☆『100年以上たっても古びない上質なユーモア小説で、この夏優雅に読書の川へ!~何度も読み返したい『ボートの三人男』~
も、よろしければご閲覧のほどを。

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お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

タグ:読書 猫
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