噺家たちのお宝で、心を豊かに [落語情報]
今回の記事は、『web版言の葉落語会』ご案内のすぐあと。
皆様ふるってご投句ください!
皆様ふるってご投句ください!
まだまだ出てくる、秘蔵のコレクション
上記記事で、名人志ん朝師匠からいただいた雪駄・橘家円蔵師匠袴より拝領の袴を楽しい語りの映像で披露してくれた三遊亭金八師。
時間の関係で前回は前半のみでしたが、お待たせしました。
今回は金八コレクションより、秘蔵の2品をドーンとまとめてご紹介しちゃいます!
今回は金八コレクションより、秘蔵の2品をドーンとまとめてご紹介しちゃいます!
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※動画の最後の部分、金八師の手作り感を味わっていただくためあえてカットしてありません。
時おりバックに入る子どもの声とともに、ご鑑賞ください。
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時おりバックに入る子どもの声とともに、ご鑑賞ください。
まさに珍品、夏物の袷
先代金馬師匠の絽の羽織、こちらも私初見です。
いいものを見せてくれてありがとう、金八師。
いいものを見せてくれてありがとう、金八師。
絽とは、繊維と繊維の間に隙間を大きくあける反物の織り方。
洋服でいうメッシュですね。
洋服でいうメッシュですね。
織りの間から風が入って涼しいし、見た目も爽やか軽やか。
そんな夏物にあえて裏をつけるのは大変手間もお金もかかり、何より着てる当人が暑いです。
そんな夏物にあえて裏をつけるのは大変手間もお金もかかり、何より着てる当人が暑いです。
でもそこは風流、粋の道。
多少の汗は辛抱して、羽織の表から透けて見える無双(部分的に付ける裏地)の模様をさりげなくアピール。
多少の汗は辛抱して、羽織の表から透けて見える無双(部分的に付ける裏地)の模様をさりげなくアピール。
高座ではらっと脱ぐと、「あ、馬の絵が描いてあるんだ!」初めてお客様にわかるという、芸人の気取り・見栄。
かっこいいなぁ。
金八師でも裄が足んないのか、惜しかったね。
かっこいいなぁ。
金八師でも裄が足んないのか、惜しかったね。
でもしっかり箪笥にしまっておけば、芸の守り神として三代目金馬がいつもそばにいてくれることでしょう。
二ツ目・真打の挨拶回り
入船亭扇橋祝いの短冊、これは師匠存命のうちに二ツ目・真打に昇進した噺家なら必ず持っているはず。
引っ越しの時なくしちゃったり、小遣い稼ぎにネットオークションで売りさばいたりしてない限り。
引っ越しの時なくしちゃったり、小遣い稼ぎにネットオークションで売りさばいたりしてない限り。
今は落語協会の事務所に集まった幹部連に、昇進させてもらう者が挨拶をする形式。
以前は、1軒1軒先輩方のお宅を回って「この度は昇進させていただき、ありがとうございます。披露興行よろしくお願いいたします!」頭を下げる習わしでした。
複数で昇進する者たちは大きめの車を借りて乗り合わせ、後輩に運転させて回ったものです。
もちろん全員噺家の正装、黒門付きの上下に袴姿。
もちろん全員噺家の正装、黒門付きの上下に袴姿。
黒ずくめに短めの髪型の、若い男たちがぎゅうぎゅうに乗った車。
はたから見ると、かなり怖いです。
はたから見ると、かなり怖いです。
うちの筆頭弟子・扇遊が仲間7人と真打になった時の挨拶回り。
今の柳家小三太師が運転する黒い集団を乗せたレンタルのワゴン車が、途中間違って一方通行の路地に逆走で入ってしまいました。
今の柳家小三太師が運転する黒い集団を乗せたレンタルのワゴン車が、途中間違って一方通行の路地に逆走で入ってしまいました。
今なら対抗車いないからと突っ切ろうとすると、間が悪くあとちょっとで路地を抜けるという時に向こうから乗用車が1台。
当然、向こうはクラクションをやかましく鳴らします。
運転し慣れない大型車なのでうまくバックできるか不安でうろたえている小三太師に、
「だいじょぶだ、オレにまかせとけ」。
運転し慣れない大型車なのでうまくバックできるか不安でうろたえている小三太師に、
「だいじょぶだ、オレにまかせとけ」。
腰を浮かせて車の窓を開けたのは、桂才賀師匠。
海上自衛隊出身のがっちりした体格。
積極的に行っている刑務所慰問では、受刑者から一目置かれる強面。
海上自衛隊出身のがっちりした体格。
積極的に行っている刑務所慰問では、受刑者から一目置かれる強面。
その才賀師に車中から渾身の目力で

にらまれた対向車の運転手さん。
顔を引きつらせ口の中で
「どうも、失礼しました…」
らしき言葉をごにょごにょつぶやきながら、えらい勢いで車をバックさせ去っていったそうです。
え、うちの飼い猫こまちも黒づくめだからやってみたい?
無理だと思うけどなぁ。
まぁ、やるだけやってみたら?

やはり、食い気が先にたってしまうようです。
将来ある若手たちに、俳人ならではのお祝い
そうやって先輩のうちへ伺っているとお昼時になりますから、志ん朝師匠や馬風師匠など身体ができててご自分もお好きな方は料理とお酒を用意して迎えてくれるのが恒例。
私も経験しましたが、楽屋ではかなり気難しい方だった先代の古今亭志ん馬師匠がニコニコしながらビール注いでくれたりして感激もの。
私の師匠はほとんど飲めないたちだったので、あまり飲食で迎えるということはしなかったですね。
その替わり俳句を嗜む自分ならではのお祝いの気持ちということで、動画で金八師が披露した短冊を支度して待ってました。
二ツ目や真打に昇進する当人の人となり・芸をもう一度確認して、その人の芸名の一文字を織り込んで詠んだ句をしたためた祝いの短冊。
みんな、何よりの宝物だと言ってくれます。
なくしたり売っちゃったやつ、反省しなさい。
なくしたり売っちゃったやつ、反省しなさい。
金八師のが
ああ、自分が二ツ目になった時は秋だったんだなぁ…。
想いが甦ってくる。
私がもらったのも、ご披露しましょう。
まず、平成2年に二ツ目になった時。
まず、平成2年に二ツ目になった時。

それまで「扇べい」だったのが、ぐっと噺家らしいいい名前もらえた!何度も何度も手に取って眺めたので、かなり焼けちゃってますがありがたみは変わりません。
そして、真打昇進平成13年のやはり秋の句。
落語協会ではこの春5名の真打昇進披露興行が行われる予定でしたが、コロナ禍の影響で延期を余儀なくされています。
一生に一度の晴れ舞台が、100年に一度あるかないかの災厄に当たってしまったご当人・ご贔屓のお客様方。
一生に一度の晴れ舞台が、100年に一度あるかないかの災厄に当たってしまったご当人・ご贔屓のお客様方。
なんのお力にもなれませんが、噺家として明るく前向きにこうして発信し続けることで陰ながら応援させてもらいます。
師匠の句にあるように、寄席落語会へお客様が「にぎやかに」来てくださる日を心待ちに。
お開きまでお付き合いくださいまして、まことにありがとうございます。
お時間ございましたら、ほかの記事もご回遊くださいませ。
呑気な
あたりいかがでしょう。
またのご訪問、お待ち申し上げております。
入船亭扇治
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