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「新涼」ほか当季雑詠 令和5年8月扇治拙句ご披露 [日々雑感]


残暑と呼ぶにはあまりにも厳しい日差しが照りつける下、汗を拭きふき四谷までやってきた黒猫こまち。
炎暑の四谷見附.jpg
今日・令和5年8月24日、上智大学キャンパス内で私・入船亭扇治が参加する『ソフィア俳句会』が開かれるのです。

今回の兼題は「新涼(涼新た・秋涼・秋涼し)」。
これにはかなり、苦労しました。だって処暑過ぎても東京は連日30度を超す猛暑が続いてるんですよ。なかなか「秋めいてそこかしこに涼を感じる」風景や心境を切り取るのは難しかったのですが、そこは観察眼と想像力で補いなんとか二句ひねり出してみました。

まず会代表の方の選に入ったのが、こちら。
新涼やちよつと近づく最寄り駅

口語体でちょっと川柳っぽいのでどうかなと自分では思っていたのが、俳諧味があって良いという評価を頂戴し感謝。

私は月1回文化講座を受け持っておりまして、7月にそこを務めた帰り道本当に暑くて歩いても歩いても最寄り駅が近づいて来ないような気がしたものです。
遠い最寄り駅.jpg
その時の体験を踏まえて詠んでみました。



兼題でのもう一句、
愛犬のリード踊りて涼新た

私の作業部屋は通りに面しており、朝夕は愛犬を散歩させている人の姿が窓越しによく見られます。
太陽に炙られて熱いアスファルトの道を、舌を出し首うなだれて歩いていた盛夏のワンちゃんが。涼しさが混じり始めた空気を敏感に感じ取り「早く行こうよ!」と飼い主を引っ張る勢いで駆けて行く様子を、実際に見て得た句想。
愛犬のリード踊る.jpg



兼題以外の当季雑詠、三句詠みました。
秋の蝉祈るがごとく鳴きにけり

「晩夏から初秋に鳴く蝉」→「祈り」はよくある発想で、類句も多いとは思うのですが…。
実はこれ、7月に詠んだ
無心なる念仏のごと蝉時雨
が原型。
参加予定だった句会を急きょ欠席し、お蔵入りしていたのを改作してみました。
ツワブキの上の蝉.jpg



そろそろり午睡目醒める夕化粧

夕方うちの近所で花を開かせようとしているおしろい花を目にし、歳時記で知った「夕化粧」という言葉も使ってみたくて五七五にまとめたのですが…。
うっかり「午睡」と強めに夏の季語を入れてしまい、季重なりだと句会メンバーの方からご指摘を受けることに。
いい句想や言い回しを思いつき浮かれているとこういうケアレスミスしがちなので、気をつけなくちゃ

あらためて詠み直すとしたら、
夕化粧そろり目覚めむ日は西に
なんてところでしょうか。
おしろい花赤.jpg



長尻の残暑相手に酒を酌む

景物の擬人化はうまくいくと良句を産みますが、一歩間違うと独りよがりにも陥りやすい。
この句は我ながらちょっと苦しいなとは思いつつ、あまりにも暑いこの夏の実感を込めて詠んだ作で愛着もあったりします。
残暑と酌む酒.jpg

こま正面アイコン基本形.jpg

所用で2か月ぶりの対面句会は、やはりとても楽しく勉強になりました。
次回9月例会の兼題は「萩」。いかにも俳句にふさわしい風流な季語、なんとか使いこなして詠み込んでみたいなぁ。

えっ、こまちはもうこの題で一句できたって?
早いね、偉いじゃないか。 じゃあ参考にさせてもらうから、どんな句か披露しておくれ。
こまち「がってんニャ!」

おみやげにもらって嬉し萩の月

おみやげに萩の月.jpg

入船亭扇治・記

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