季節は巡り、今年も「猫が落ちる」頃に [猫のいる風景]
陽気がよくなり、涼しい廊下でひっくり返っている黒猫こまち。
寒い冬には見られなかったこの姿に、時の流れを感じる筆者。

センス溢れる
「オリジナル猫用語」
「オリジナル猫用語」
SNS上などでいつの間にか定着している、猫に関する新しいオリジナル用語。
今はあまり使わなくなりましたが、猫のことを「ぬこ」と称するのがいっとき流行りました。
「ぬ」という文字の形が、耳を立てしっぽをくるりんとした猫に見えるところから来ているのでしょうね。


最近では「ニャンモナイト」「アンモニャイト」と呼ぶことが多いですが、ひと頃は猫がこれ以上ないほど丸まっている状態をこんな言葉で表現したものです。
美味しそうな、
「ネコワッサン」。
背中のあたりだけ、ちょっとかじらせてくんないかな。

「ネコワッサン」。
背中のあたりだけ、ちょっとかじらせてくんないかな。

猫が窓際で眼光鋭く外を監視する、「ニャルソック」。
24時間体制の本家『アルソック』に比べて、こちらは気が向いた時だけの特別警戒。けっこうすぐ飽きたりしますね。

文豪にも愛された
猫の悩殺ポーズ
猫の悩殺ポーズ
リラックスしている猫が見せる、この姿。
「香箱座り」。
文字通りお香を入れる四角い箱の形に似ているところから来たこのネーミング、最近のオリジナル猫用語のはしりと言えるかもしれません。

文字通りお香を入れる四角い箱の形に似ているところから来たこのネーミング、最近のオリジナル猫用語のはしりと言えるかもしれません。
森鴎外・芥川龍之介・尾崎紅葉らそうそうたる文豪たちもこの愛らしい仕草にハートを射抜かれたらしく、作品の中で猫の香箱について触れていたりします。
また香箱は平安時代には宮中女性の必需品だったそうですから、清少納言や紫式部あたりがこんな感想を書き記していたのかも。

ぜひ俳句の季語に!
冒頭イラストのように猫が床などに転がって全身伸ばしている様を表す言葉「猫が落ちている」。
明け方まだ薄暗い廊下でこれやられて、踏んづけそうになったことも一度や二度ではありません。




どなたが考えたのでしょう、実に言い得て妙なオリジナル語「猫が落ちる」。
また「香箱座り」に負けないくらい、味わい深い言葉だとも思います。
また「香箱座り」に負けないくらい、味わい深い言葉だとも思います。
「落ち蝉」という語は晩夏の季語になっていますから、ぜひ「落ち猫」も春から夏の季語として俳句に取り入れてもらいたい。
冒頭イラストの情景から、こんな句をひねってみたり。
※落ち蝉については、
でも綴っております。
でも綴っております。
俳人噺家の
猫を詠んだ一句
猫を詠んだ一句
筆者の拙吟を披露したあとは、お口直しに俳人でもあった師匠・扇橋の句をご紹介。
剪定の音きいてゐる猫の耳

この句についての”メイキング事情”を、私は師匠から直接聞かせてもらったことがあります。
というのが、その時の言葉。
というのが、その時の言葉。

生前特に猫が好きだったわけでもない扇橋ですが、この句は猫という生き物の愛らしさ・どこか神秘的なところがよく表れていると思います。
そんな師匠の高座名が、この秋新真打が襲名して復活。
それに先立ち九代目扇橋の直弟子のうち5人が集まる会を、池袋演芸場にて開催いたします。
それに先立ち九代目扇橋の直弟子のうち5人が集まる会を、池袋演芸場にて開催いたします。

師匠の教えを守り、それぞれが自分たちなりに言葉を大切にしているつもりの私ども弟子たち。
こうして一堂に会する機会は意外と珍しいので、よろしけば覗いてやってください!
こうして一堂に会する機会は意外と珍しいので、よろしけば覗いてやってください!

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。またのご訪問、心よりお待ち申し上げております。
入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
タグ:猫 俳句
「香箱座り」、You Tubeでは 【お手手ないない】になっているよ!
by 十一代目勤勉亭親不孝(SNSでは”しゃちょ”) (2022-04-30 20:04)