粋とユーモア、リズムに乗せて~都々逸=江戸振り小唄で楽しもう!~ [web雑俳]
七・七・七・五と言葉を紡ぐ、「都々逸」。
艶っぽい文句が多いことから「情歌」とも呼ばれるこの自由詩には、川柳や狂歌とはまた違った粋とユーモアが溢れています。
幕末の傑物作と言われる
色っぽい都々逸代表格
色っぽい都々逸代表格
最近
☆言葉の選び方で、こんなに違う!「人の気持ちを上向きにさせる、素敵な言い回し」
☆”2011年3月11日”を忘れず、コロナ禍でも前を向こう!~10年の時を超えて、呑気なイラストが力をくれる~
の記事に都々逸が続けて出てきましたので、流れで今回は本格的に特集をしてみることに。
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の記事に都々逸が続けて出てきましたので、流れで今回は本格的に特集をしてみることに。
都々逸は別名「江戸振り小唄」と言うくらいですから、当然江戸の頃から唄われていたもの。
ただその発祥は意外と新しく、江戸も末期の、19世紀半ば。
その人気から”八丁荒らし”と言われた芸人・都々逸坊扇歌が、天才的と言われた謎かけとともに寄席で披露した俗曲=「都々逸」。
だから耳馴染みが良く、三味線にも乗りやすいんですね。
冒頭にあげた”美女の様子を、花尽くしで詠んだ”文句は、現代では都々逸の域を出て一般に使われることわざ化しています。
そんな都々逸と並んで、色っぽさ全開の唄として有名なのがこちら。
高杉晋作か桂小五郎作という説もあり、落語『三枚起請』の落ちにも使われているところから多くの方がご存知なのでは。
遊女三千人御免の遊郭・花の吉原では、連夜懐のあったかいお客さんが酒とともに「台の物」と呼ばれる贅沢な料理を注文。
ずらり並んだご馳走よりもお目当ては女性とのお楽しみですから、もったいない話ですが台の物のほとんどは手つかずのまま。
遊女屋で働く者たちが夜食にちょいとつまんだあとは、表のごみ溜めに直行。
明け方の銀座や歌舞伎町のように、残飯狙いの烏がたくさん集まって朝から騒々しく鳴きかわす吉原。
お客を帰した花魁がひと時、苦界を忘れて朝寝しようとすると。
明るくなった表では、カァカァ烏の大合唱。
明るくなった表では、カァカァ烏の大合唱。
とても、
寝ちゃいられません。
寝ちゃいられません。
こまちも一緒になって鳴いてないで、静かにしてあげなさい。
オプション
「五字冠り」で
広がる都々逸の世界
「五字冠り」で
広がる都々逸の世界
前項でご紹介した都々逸以上に、落語によく登場する文句があります。
『試し酒』の久蔵でなくても、「何があったかよくわかんねぇけど、色っぽいだなぁ!」言いたくなりますよね。
江戸時代の女性にとって櫛は携帯して髪を整えるほかに、髷に差す装飾品でもありました。
その櫛が頭から離れて、落ちているんだから…。 ま、そういうことがあったんでしょ?という、意味深な都々逸。
その内容と語呂の良さで最初気づかない方も多いと思いますが、この都々逸は定型ではありません。
七・七・七・五の頭に、もう五文字付け足されています。
これもほかの俳諧にはない、都々逸独自の自由度の高さ。
さらに表現の幅が広がって、詠みやすく。
さらに表現の幅が広がって、詠みやすく。
お酒呑みを扱った噺に出て来る
だとか。
だとか。
私の師匠・扇橋は『二人旅』の中に、
という文句を入れてやっていました。
という文句を入れてやっていました。
「こりゃ都々逸なんだけど俳句にも通じる味わいがあって、僕は好きなんだ」
稽古をつけてもらった時に、師匠がそう語っていたのを思い出します。
稽古をつけてもらった時に、師匠がそう語っていたのを思い出します。
寄席の都々逸には
ユーモアも大切
ユーモアも大切
俗曲で寄席に出ている芸人は粋で色っぽい唄の合間に、いいタイミングでユーモラスな”笑える文句”を挟んできます。
私が素人の頃からよく聴いていた、二代目・柳家三亀松の高座。
「池之端の師匠」の二つ名を持ち、柳家金語楼と並び称される人気者だった初代。
その先代師匠と比べられ、音曲芸人としての評価はちょっと割を食っている感はありますが…。
前座にもとても気を使ってくれる、優しいいい方でしたよ。
先代とはまた違うとぼけた味わいも、私は好きです。
その二代目でよく聴いたのが、
「どうなったのか、未だによくわかんないんですけどね」なんてクスグリを挟んでから、「都々逸の中には、妙な文句もありまして…」とこんなのを披露。
自前の洗濯機なんて高くて買えない貧乏学生の私は、最初にこれ聴いた時は腹抱えて笑ったもの。
えっ、こまちもこの都々逸気に入ったって?
ふーん、縦型の方がピンクでかわいいからかい。
ふーん、縦型の方がピンクでかわいいからかい。
「それもあるけど中に入ってスイッチ入れたら、こっちの方が回り方が面白そう!」
おいおい、危ないよ。
洗濯槽も猫の毛だらけになって、お母さんに怒られちゃうぞ。
洗濯槽も猫の毛だらけになって、お母さんに怒られちゃうぞ。
不肖・扇治拙吟ご紹介
「洗濯機が回る→地球は回る」の連想ゲームから、篝火舎心亭宗匠の天に抜けた不肖・私の都々逸を披露させていただきます。
2009年2月5日の互選会「開き」で、こういう効きを付けて採ってもらいました。
ちなみにこの時の宗匠選、地と人の位はこちらでした。
う~ん、あらためて読み返し「うまいなぁ」と頭が下がります。
どちらも色っぽくて、都々逸としての完成度は拙吟より高いと思うのですが…。
宗匠いわく、
とのこと。
とのこと。
正直こしらえた時は、そこまで深く考えていませんでしたけどね。
でも宗匠選の天なんて、私にとっては初めて・身に余る光栄。
それ以来、色紙によく書く文句の一つに。
それ以来、色紙によく書く文句の一つに。
地球を前にした猫、
どう反応する?
どう反応する?
この都々逸から着想を得て、もう一つこまちGIFをこしらえてみました。
そしてこれを作りながらふと思い立って、子どもが学習教材で作った地球儀をリアルこまちの前に置いてみると。
おっ、なんだか興味を示しているようだぞ。
このあと地球がどうなったのかは、6月13日付Twitterに動画をあげております。
☆https://twitter.com/senjitonaraban1/status/1403980815139164161
☆https://twitter.com/senjitonaraban1/status/1403980815139164161
26文字~31文字で、気軽に詠んで楽しめる都々逸=江戸振り小唄。
2021年12月に行われた雑俳落語会に集まった都々逸、
にてご紹介しております。
そちらもぜひ、お立ち寄りください。
お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、
ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、
ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
タグ:雑俳 都々逸 GIF
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