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実際の距離以上に遠かった、青ヶ島への旅 [旅のアルバム]

青ヶ島へ向かう.jpg

ヘリコプター『愛らんどシャトル』が向かっているのは、青ヶ島。

伊豆諸島の中で”最も上陸が困難”と言われる東京都無番地の島に、黒猫こまちは無事たどり着くことができるでしょうか?

早朝の出発
混み合う空港

2022年11月18日~20日、学校公演で青ヶ島を訪れることになった筆者。
公演自体は19日(土)の午前中1回のみ、前後の日程は移動日です。

青ヶ島を目指すにはまず東京都心から360㎞離れた八丈島へ渡り、そこから連絡船かヘリコプターでもう60㎞移動。
所用時間は連絡船が約3時間・ヘリだと約20分、それぞれ一日に一便だけ。

島の周囲全てが切り立った断崖絶壁の青ヶ島の港には、波が少しでも高いと連絡船は接岸できず八丈島へ引き返さなければなりません。
その就航・接岸成功率、なんと年間平均50~60%。
島に暮らす方々の、
ご苦労がしのばれます。



私を含めた『わんぱく寄席』一行は、公演前日に船より確実なヘリで青ヶ島入りする行程。
9時40分発の愛らんどシャトルに連絡する飛行機は、朝7時30分羽田発。
早起きしてまだ暗い中電車を乗り継ぎ、午前6時半前に空港へ着いてみて驚きました。
3か所稼働している保安検査場が、いずれも出発のお客さんで長蛇の列
政府の旅行支援を使って旅をする方がまだまだ多いのと、1か所の検査場で探知機トラブルがあったのが原因。

私はなんとか一番空いているレーンを見つけて比較的スムーズに検査場通過、朝の日に照らされた全日空機へと乗り込みます。
早朝の出発.jpg
爽やかな朝の旅立ち、まさかその後に予想外の事態が待っていようとは…。

神ならぬ身の筆者には、
知る由もなく。

久しぶりで
窓外の景色を満喫

今回は本当に久しぶりで飛行機窓際の席に座り、好天に恵まれた空の様子を満喫させてもらいました。

窓外に見渡す限り広がる、もこもことした雲の波。
広がる雲海.jpg
太陽がだんだん高く昇り、雲海を幻想的に照らします。
日が昇る雲海.jpg

こまちが思わず 『天空の城ラピュタ』みたい! と指差した、まさに「竜の巣」のような雲の塊を抜けると…。
竜の巣.jpg
東京から360㎞の海に浮かぶ、八丈島の姿が見えてきました。
現れた八丈島.jpg

ほどなくして飛行機は定刻から20分遅れで、緑豊かな島の滑走路に無事着陸。
着陸八丈島.jpg

まさかまさかの
トラブル続き!

羽田での出発が大幅に遅れたため、われわれが八丈島へ到着したのは8時50分。
ヘリの出発時刻9時20分まで、あまり余裕がありません。
そこへもってきて、今度は預けた荷物がなかなか出てこないのです!
中型飛行機ほぼ満席のお客様がみなジリジリしながら待っているのに、荷物は積み下ろしレーンから回転台へと一つずつガッタンゴットンとのんびり出て来る。

9時を回るとヘリの運行会社・『東邦航空』の地上職員が、「受付時間過ぎてますよー!」と呼びに来ました。
事情を話してなんとか受付を延ばしてもらい遅々として進まない荷物の排出を待っていると、やっと最後に独楽の芸人さんの模擬刀と私のスクリーン用三脚が流れてきます。

それをひっつかんで愛らんどシャトルの受付に駆けつけたのは、9時15分過ぎ。
手荷物計量・体温測定・今日二度目の保安検査を経て、ようやくヘリに搭乗することができました。
ヘリコプター乗り換え.jpg

荷物のことではちょっとトラブったけど、ヘリに乗ってしまえばこっちのもの。
『わんぱく寄席』出演者一行4人・観光客の方4人、そして私たちを迎えに来てくださった青ヶ島中学校の先生がおひとりで満席のヘリコプター、正副操縦士が揃ったところで扉が閉まります。

さぁ、いよいよこれから20分の島から島への空の旅だ!
機内にて.jpg
ワクワクしながら待っていると、計器の最終チェックが済んで副操縦士がメインスイッチらしきものをパチリ。
エンジンがグオーンと音をたてローターがブルンブルン、ブぅ~ンと回り出し…のはずが…。
スイッチを入れても、
何も反応しません。

首をひねりながら何度かパチパチやっていた操縦士たち、しばらくして二人で顔を見合わせ何か相談した後。
正操縦士から
「すいません、機材トラブルが発生しました。点検と修理を行いますので、待合室でしばらくお待ちください」
とのアナウンスが!

青ヶ島を目前にして、
まさかの足止めです。
いったん降りる.jpg

呑気に待っていると…

待合室へ逆戻りした愛らんどシャトルの乗客9人は、だだをこねているこまち以外はいたって落ち着いたもの。
4人連れ観光客の方は余裕を持たせた日程らしく、最悪今日青ヶ島に渡れなくても八丈島で泊まればいいやという乗りで話してらっしゃいます。

私たち芸人も交通機関や天候の関係で仕事の予定が変更になったなんてことは、これまで何度も経験していますし。
それこそ待てば海路の日和ありと、仲間どうし過去に「こんなんで足止めくったことがあってさー」という体験談を語り合いながら呑気に東邦航空からの案内を待っていると…。

待合室に戻ってから40分ほどたった頃、地上職員の方が申し訳なさそうに
「すいませ~ん、機体トラブルが直りませんので今日は欠航ですー」
と言いに来ました。

そうか、ダメだったか。

迎えの先生に伺うと、船ほどでの頻度ではないにせよ天候・今回のような機材トラブルでのヘリ欠航は日常的にあることだそうです。
ましてやその日私たちが乗るはずだった機体は近年老朽化が進み、来月には後継機との交代が予定されているのだとも。

島民の方の大事な翼として長年飛び続けてきたシコルスキー型ヘリ、老体に鞭打って羽ばたこうとしてくれたけれど今日はたまたま体調が悪かったんだね。
謝るヘリコプター.gif

いいよいいよ、
今日のところはゆっくりお休み。

明日からはまた元気になって、新しい機体に後を譲るまではこれまで通り青ヶ島と八丈島を結ぶ大事な架け橋の役を果たし続けておくれ。

日程変更かなわず
島からのトンボ帰り

こういう状況になって、今さらジタバタしても仕方ありません。
呑気な芸人連中は今後の対応を学校公演の事務所に託し、もうオープンしている空港レストラン奥の席に陣取ります。

島と言えば、地の焼酎。
島のお酒.jpg
どう転んでもこの日はもう公演はないわけですから、午前10時30分からもう呑み始める出演者たち。

一座の雷門小助六師とともに名物明日葉ビール(美味!)を何杯もお代わりしたり、おまかせ焼酎2種セットもいろいろ試してみたり。
明日葉ビール.jpg

お酒抜きで同席してくださった青ヶ島中学校のK先生(ご自宅は高円寺だそうです)から島の暮らしについての興味深いお話を伺ったりしているうち、事務所から公演についての最終決定の連絡が来ました。
結果は、
今回のわんぱく寄席は一旦完全中止。

明日の早朝ヘリの臨時便を出してもらうか、連絡船の時刻に合わせて公演の開始時間を送らせるか。
その2案でギリギリまで事務所と村役場での折衝が続いたそうですが、諸事情によりどちらも実現不可能ということで公演中止のやむなきに至ったとか。

みんなが一生懸命やってこの結果なら、天命として受け入れるほかありません。
不安定な交通機関のもとに成り立っている青ヶ島の暮らしの現状を、少しでも体感できたことは今回私にとっては収穫でもあります。

学校公演事務所からほどなくして送られた来た東京への帰りの便は、13時40分発。
8時50分の到着からあまりにも早い、滞在時間4時間50分での八丈島からのトンボ帰り・強制送還。

ぜひまた、
I shall return!

へべれけというほどではないけれど、レストランで短時間にけっこう聞こし召した私たち。
本日三回目の保安検査を済ませて、ANA機上の人となります。

来る時と違って、機内はガラガラ。
ふと気がつくと、さっきまで日が射していたのに窓が雨で濡れている。
名残の雨.jpg
青ヶ島上陸が叶わなかった私への、天からの名残り涙でしょうか。

酔ってセンチメンタルになった目で通路を挟んだ向かい側を見れば、窓際席でにこやかにVサインの小助六師。
二度目に期待.jpg
「おいおい、この状況でVサインやピースはないだろ?」とツッコむとすかさず小助六師、
「いえいえこれは、”ぜひまた戻ってきますよ、二度目は絶対公演成功させますよ!”ってお守りです!」

おぉさすがに噺家、
うまいこと言うねぇ~。

こま正面アイコン笑い.jpg

小助六師が決めてくれたおかげで、短時間ながら波瀾万丈の青ヶ島ツアーも無事お開きに。

いい心持ちでうちに帰れば、キョトンとした顔で出迎える黒猫。
もう帰ってきたの.jpg
おいおい、ご挨拶だねぇ。
お父さんは早く帰ってきてこまちに会えて、嬉しいよ。

そうだ、これお土産にあげよう。八丈島空港ロビーの外に咲いていた、小ぶりだけれど目に鮮やかなハイビスカス。
空港のハイビスカス.jpg

黒に赤、
きっとお似合いだよ。
ハイビスカスとこまち.jpg

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
またのご訪問、心よりお待ち申し上げております。
入船亭扇治拝

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