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ミステリアスカーテンで読み返す、ミステリ女王最後の傑作 [お気に入り・おすすめ]


またたび。
こたつ・ホットカーペット。
猫の大好きなもの。

「窓」も、その一つ。
外の風景を眺めて、花鳥風月を愛でたり。
暑い時は、風通しが良く絶好の避暑地

うららかな春。
爽やかな初夏。
涼風たつ秋。

窓際で寛ぐ猫の頬を、
優しくなでるカーテン。
出窓でお昼寝.gif

そう、
「猫とカーテン」も、
とても相性のいい取り合わせ。

カーテンの裏側から…突然!


しかし猫と同居していて目にするのは、冒頭画像のように穏やかな光景ばかりではありません。

先日私の部屋で、
世にも恐ろしいものに遭遇。

反故紙を軽くよって作ったこよりで、
軽くカーテンをこすったら。

ガブリ!
向こう側から、カーテンが噛みついてくるではありませんか!


頃しも季節はハロウィン
カーテンからこんなお化けが誕生…。
カーテンお化け.gif

したら怖いけど、
ちょっと面白かったんですがね。


小中学生時代、視聴覚室や理科実験室(ああ、『時をかける少女』!)などで。

黒いカーテンを身体に巻き付けて
「ドラキュラー」。

カーテンの隙間から覗かせた顔を、
上げたり下げたりして
「ろくろっ首~」。

なんてやる奴が、クラスに最低一人はいたものです。


話を戻しましょう。
カーテンの向こうで、
おそらくこんな形で獲物に飛びついていたこまち。
カーテン裏こまち .gif

よく遊んでくれて嬉しいのですが、連日の狩りでカーテンはすっかりボロボロ
まぁこまちにあげたものと思えば、気になりませんけどね。


新居には、まずカーテン


獣の皮を住居や部屋の入り口に下げることから始まった、カーテンのある生活。

わが国では長崎出島公館などで使われていた「窓掛け」が庶民に普及し出したのは、明治に入ってから。

昭和30年代の団地ブームで、「プライバシー」という概念が日本人の間で定着。

単なる日除けではなく、デザインや素材にこだわったカーテンが使われるように。

今では遮光・遮音・防音・断熱と、様々な機能がカーテンには織り込まれています。



若い頃には下宿と単身赴任経験があった、私の父。

大学進学で上京する時、
「引っ越したら、
まずカーテンを吊るせ」

と教えてくれました。

確かに大きな家具をどんどん置いてしまうと、窓際の作業やりづらくなりますからね。
女性にとっては、プライバシーを確保してからゆっくり荷ほどきという意味もあるでしょう。

これまでに5回経験している引っ越し、
毎回父の教え通りまずカーテンありき

私の師匠・入船亭扇橋は、自宅でカーテンを使っていませんでした。
雨戸があるから、それでいいんだと。

そのかわり別の引っ越し作法として、
「人間、食べることが大事。
だから新しい家へ越す前に、大家さんの許しがもらえるんだったら鍋とか釜を先に部屋へ入れさせてもらえ。
そうすりゃ、食いっぱぐれないからな」
教えてくれました。

この教えも、きちんと守っています。


新居への引っ越し、
荷物を運びこんでカーテンを吊って。
どれ一服という時に、
お隣さんから声がかかる。
お引越し.png

のんびりしていた時代には、
よく見かけた風景。

あれっ、こまち。
窓のすぐ向こうは、海みたいだけど。
どうやって窓から覗いてんだ?

ミステリ女王、見事な幕引き


おしまいにカーテンつながりでご紹介するのが、今年生誕130年を迎える海外ミステリ・クイーン。

アガサ・クリスティの
『カーテン ーポアロ最後の事件ー』

遺族の方々が、将来経済的に窮することがないよう。
かなり早い時期に書き上げていたこの作品は自らの没後刊行するよう、出版社に厳命していたクリスティ。

しかし読者からの熱狂的な支持に、予定変更。
クリスティの亡くなる前年クリスマスに、『カーテン』は世に出ました。

数多くの謎をともに追いかけてきた、「灰色の脳細胞」の名探偵エルキュール・ポアロ。
その最後の事件簿、私は小学6年の時予約して買いました。

子どもには手を出すのがためらわれる、ハードカバーの高価な海外ミステリ
ポアロのトレードマーク・口ひげをデザインしたお洒落なジャケット、汚さないように大切に読んだことを思い出します。


ごく簡単に、あらすじをご紹介すると…。

しばらく会っていなかった旧友ポアロからの手紙で、二人にとって最初の事件の舞台・スタイルズ荘を訪れたヘイスティングス元大尉。

彼を待っていたのは、心臓と関節炎で車椅子の生活を送るかつての名探偵。

身体は衰えても、
未だ輝きを失わぬポアロの推理力

現在スタイルズ荘に滞在する12人の中に、残忍な連続殺人犯が潜んでいることを突き止めます。

拳銃や毒薬などでなく、ある巧妙な手段で。

金銭欲や怨恨ではない、不気味な動機から。

ゲームのように罪を重ねる真犯人と、
名探偵の息詰まる頭脳戦。

はたして、ポアロは最後の勝利をおさめることができるのか?!

ラストでは、
「正義とは」
「裁きとは」
ということも考えさせられて。

シャーロック・ホームズに比肩する不世出の名探偵、タイトル通りの潔い幕引き

ポアロシリーズを事前に何冊か読んでいた方が味わいは深いですが、この作品から入ってもじゅうぶん堪能できます。

折しも、作者クリスティ生誕の節目。
公開延期になっていた『ナイルに死す』を映画化した
『ナイル殺人事件』も、令和2年12月から全国で上映開始。

読書週間・読書の秋の時期でもあります。
カーテン越しの風や光を感じながら、
ゆったり本の世界に浸ってみられてはいかがでしょう。
カーテンそよぐ窓辺.png

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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