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外出自粛要請続く中、噺家の珍しい音源は如何? [落語情報]


入船亭一門会ボイスメッセージ カーテンコール


 残念ながら4月4・5日も外出自粛要請は継続。 他の娯楽施設・劇場とともに、寄席も先週と同じくお休み。
落語ロスいや増すばかりという演芸ファンの方と、落語好きでなくてもコロナ禍でお疲れの全ての皆様に。


ご好評いただいた「入船亭一門会ボイスメッセージ」、新音源をお送りします。
少し企画が当たったから、馬鹿の一つ覚えで2匹目のドジョウ狙いというわけではございません。

会の出演者とサプライズゲスト計5名の挨拶に続いて、この人の声があれば締まるだろうなという構想は当初からありました。
まあでも飽きられては逆効果、あまり引っ張るのも野暮かなととりあえずシリーズとしてはお開きとしました。


過去のボイスメッセージは以下で聴くことができます。





しかしこれ以上の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、国内・都内での週末・夜間の外出自粛は少なくとも4月12日までは続くことになっています。
皆様がご自宅でお過ごしの時間を、少しでも豊かなものにする一助になれば。 また今回お届けする音源の内容は、今この時の日本人全ての方に聴いていただくにふさわしいと思います。


そんな思いから再開する一門会からのご挨拶、どうぞまたお付き合いくださいませ。 今回の声の主は…。

九代目・入船亭扇橋登場


2015年夏に他界した、私どもの師匠。
爆笑派ではありませんが、嗜む俳句が高座での言葉遣いと間ににじむ独特の芸風。ご存知ない方は、下記Wikipediaの記事などご覧ください。


師匠 楽屋 色紙.JPG

「富士落語会」の楽屋で、色紙を書く扇橋。
目の前に立てかけてあるのは、大ファンだった島倉千代子さんのブロマイド。


私はよく人から師匠の印象を聞かれると、「蒸しパンみたい」と答えるのが常でした。 柔らかくて、ふわふわしていて、優しくてどこか懐かしい。
師匠自身はそれを聞いて、「おれはアンパンマンかよ」なんて言ってましたが…。


その師匠に大トリで登場願うとして、考えたのがどんな音源が使えるかということ。 市販のCD・DVD使用はかなり難しい。
使用料を納めて著作権等クリアしたとしても、皆様が普通に聴ける音源ではボイスメッセージの意味がないでしょう。


落語ファンの方も聴いたことがない扇橋の音声で、個人使用が可能なものということで探し出してまいりしたのが…。

扇治見習い時代の稽古テープ


 昭和61年(1986)入門してひと月めの私に、師匠が初めて教えてくれた『寿限無』。 繰り返し聴いて憶えるようにと、録音が許されておりました。当時はもちろんカセットテープ


その音を使おうと思いたちましたが、やはり気をつけなくてはいけなのが権利関係。
落語の本筋の部分は噺家・扇橋の芸そのものですから、私が勝手にwebで公開することはできません。
では1席語り終えたあとの、私に「どう演じるべきか」を教えてくれている説明の箇所はどうか。


ネットで調べたり人に聞いたりしてわかった範囲では、日常の会話を録音したものには著作権は発生しないとのこと。スナップ写真と同じという解釈ですね。
これで噺家としての師匠の権利を侵害する危険性については、とりあえずクリアとさせていただきました。

今この状況だからこそ、お届けしたい言葉


 あとは、芸人としての倫理・仲間うちの仁義の問題です。
「師匠をネタにして、自分をアピールしている」とのお叱りを受けるのではないか。
稽古の時点ではそれが世に出るなんて師匠は思いもしていませんから、それを弟子が勝手にどうこうしていいものか。


無い知恵を絞って熟考した結果、予定通り当ブログにて公開させていただくことにしました。
先に申し上げたようにこの『寿限無』の稽古中の扇橋の言葉は、ひとりでも多くの今この状況にある皆様にお届けしたいのです。


編集のため30年以上ぶりに聴き返しました。
優しくかんで含めるような扇橋の口調と、話の内容。
当面仕事も寄席の高座もなく、これからの暮らしの先行きもわからない。 不安でいっぱいの私の心を、時を越えて師匠は励ましてくれました。


まあそんな大仰なものでなくても、ちょっと変わった落語の音源を聴いたという話のタネになればということでお気軽に耳を傾けていただければ。
冒頭の導入部に1席終わったあとの解説をつなげた、10分以上の語り。
今回は最初の2分15秒(660Kbモノラル)をお聴きいただきます。 


まことに勝手ながら、音声ファイルをダウンロードして複製・配布・二次創作にお使いになることは、ご遠慮ください。
ご理解とご協力、お願い申し上げます。


落語以外で来てくださった読者の方にはお愛想がありませんので、うまくはありませんがデジタルイラストを彩りに1点。 ストックの内から、今年の年賀状用に作ったもの。
ネズミ ブログ用.jpg


ネズミが目指している雲の上のお城によく似た、日本では浦安にある「夢と希望の王国」。 あちらも今、お休み中。
無事に再開できる日を、頑張りやのネズ君も心待ちにしています。


おしまいまでご拝読賜りまして、まことにありがとうございます。
入船亭扇治

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