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”見た目はそっくり”な『うな次郎』は、高騰する鰻の後継者となるか? [日々雑感]


プラスチック容器を貫かんばかりの、鋭い眼光でこまちが見つめているのは…。
うな次郎見つめる.jpg
鰻の蒲焼?


罪のない会話のネタ
「最後の晩餐」

☆明日、巨大彗星が衝突して地球がなくなってしまう…。
☆無実の罪で独裁者に捕らえられ、弁明空しく明朝極刑に処せられる…。

そんな理由から
”自分自身はいたって健康体なんだけれど、もしも今夜の夕食が最後の食事になるとしたら”。

あなたはその生涯ラストディナーに、どんな料理を選びますか?

今日最後の晩餐.jpg

気のおけない仲間と飲んでいる時なんかの会話ネタとして、時代と洋の東西を問わず昔から人気のテーマ。

その場にいる人数にもよりますが、いったんこの話題になったら軽く30分は座が盛り上がること間違いなし。


「最後の晩餐」
個人的最終力候補

私が生涯最後の食卓に向かうとしたら、膳に並べたいのは順不同で
☆鰻(蒲焼・白焼き)
☆ふぐ(刺身・鍋)
☆サンマ(焼いて生姜醤油添えたもの)
これがベストスリー。

生涯最後なんだから、三つとも食したいのはやまやまですが…。

それでは話が進まないんで「どれか一つに絞れ」ということなら、さんざ悩んだあげく私はこの料理を選ぶでしょう。

うな重お待ち.jpg
THE 鰻。

ふっくら柔らかな関東風の鰻重・ザクザクした皮の食感が魅力の関西風の鰻丼、どちらでも可。

おっと待てよ。丼・混ぜ飯・お茶漬けと三段階の味が楽しめる、櫃まぶしもいいなぁ。
ひつまぶし.jpg


高くなる一方
鰻のお値段

鰻は食べたし、
されど鰻は高し。

個体数の減少により、年々高騰を続ける鰻の価格。

老舗の鰻屋さんで天然ものを食べるなんて贅沢は、弱小噺家にはそうそうできることではありません。

気前のいいお客さんか先輩がごちそうしてくれるの待ちながら、年に一度か二度スーパーで養殖蒲焼を買うのが精一杯。


そのスーパーの売り出し品でも、国産鰻は一尾1500~3000円近くします。

ごくごくたまーに、運よくこういうパックに遭遇することもありますが。
半額の鰻.jpg

そんなにある機会ではありませんし、やはり日が経っている分若干お味は落ちています(気になるほどではない)。


”高嶺の花”鰻に
頼れる後継者出現?

個体数がこのペースで減り続ければ、そんなに遠くない将来資源保護のため「鰻を食べること」自体制限される可能性もあるそう。

そんな事態に備えて「養殖鮪」で有名になった近畿大学水産プロジェクトチームが、数年前から鯰(なまず)を品種改良して鰻に近づける研究を推進中。

しかしまだまだ、「鰻の後継者です」と胸を張って言えるような味には達していないというのが現状。




やはり人間が人工的に自然界の味を再現するのには、限界があるのか?
がっかりなさった方、安心してください。

日夜研究を続ける近大チームに先駆けて
「これならひょっとして、鰻の代理が務まるかもしれない」
という商品が、すでに開発され。

なんと街中のスーパーで、無造作に売られているのです!

パッケージうな次郎.jpg

 

その名『うな次郎』

新潟に本社と工場がある「一正蒲鉾株式会社」のオリジナル商品、『うな次郎』。

同名のイメージキャラクターもいて、彼にはちゃんと誕生日がありLINEスタンプまで所有。
うな次郎くん.jpg


商品説明には、こう書かれています。
●うなぎの蒲焼をイメージした魚のすり身で作った練り製品です。
●皮の部分にも焼き目がついて香ばしく仕上げています。
●1枚でビタミンB1の1日に必要な摂取量が摂れます。
●うなぎエキス不使用の「うなぎフリー」です。
●容器のまま電子レンジで温めることができ、温めた後も熱くなりにくい容器です。

まるで鰻成分を使わないで、技術だけでそれらしい味を再現・さらにはビタミンB1まで摂れる。

いいことずくめのようなこの商品・気になるお値段、会社公式の「いちまさオンラインショップ」では354円(税込)で販売。


さて
『うな次郎』の実力は?

7月下旬・近所のスーパーで『うな次郎』を見つけた私、ブログのネタにもなるなと即購入。

翌々日夕食時、レンジで温め開封。
正面うな次郎.jpg

こちらは、本物の鰻。
本物の鰻.jpg

『うな次郎』の方が焼き色が濃い仕上がりですが、身の肌理感などよく再現されています。

断面もちゃんと白い身っぽくなっていて、ジューシー感も満載。
切り口.jpg

なんと裏には、皮の焼き目もつけてあるという芸の細かさ!
裏の焦げ目.jpg

ここまでのところ『うな次郎』、見た目だけならじゅうぶん”鰻代理”が務まりそう。


肝心の、お味の方は…。

『うな次郎』を箸でひと切れ挟んで、口中に。

…うん。 醤油・出汁・味醂でしっかり味がつけられ、鰻のタレとほとんど遜色ありません。

しかし、食感の方が…。

魚のつみれが舌の上でほぐれていく感じ、それはそれでおいしいのですが。

上質な鰻の「口の中で、身がとろける」味わいとは似て非なるもの。

皮を模した裏のゼラチン質の膜がちょっと舌に絡まる感じがあり、私は(この部分はなくても良かったんじゃね?)という感想を抱きました。

外見に比べると鰻らしさはかなり落ち、味と食感面ではちょっと代理には役者が不足。
”鰻の影武者・五番手”といったところでしょうか。




でも決して、『うな次郎』が失敗作だと言いたいわけではありません。

温かいご飯に乗っけて食べたりしたら、とてもおいしいと思います。

おそらく販売元も真剣に”鰻の後継者”を目指したのではなく、あくまで”鰻の蒲焼風・魚の練り物”をカニカマ感覚で開発したのでしょう。

ここは食べる側も、
(へーえ、蒲鉾にしちゃ頑張ってるじゃん)。

パッケージ眺めて会話のネタにしつつ、呑気につまむのがいいと思われます。


「やっぱり本物を!」
突然の”鰻祭り”

それなりにおいしくて楽しかった『うな次郎』ですが、似たようなものでは満足できないのが鰻の魅力の奥深さ

かえって寝た子を起こしたようなもので、無性に本物の鰻が食べたくなりました。


とうとう辛抱できず、『うな次郎』食べた翌々日、スーパーで養殖鰻を購入。

それも鹿児島県産と愛知県産、各一尾ずつの大盤振る舞い!
鰻2種.jpg

降ってわいたような”鰻祭り”が繰り広げられる食卓、黒猫こまちもジジと一緒におもちゃになって見物。

2匹の鰻.jpg

小心者岐阜県人の私にこんな思い切った買い物をさせる、恐るべき”うな次郎効果”と言えるのではないでしょうか。


今回は値引きではなく定価で買った鰻二種、晩酌しながら女房と半身ずつ分け合っておいしくいただきました。

ごちそうさまでーす。

『うな次郎』とリアル鰻で栄養つけて、また記事執筆頑張るぞー!

割かるるを
知らぬ鰻の
黒光り
(扇治)

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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