”見た目はそっくり”な『うな次郎』は、高騰する鰻の後継者となるか? [日々雑感]
プラスチック容器を貫かんばかりの、鋭い眼光でこまちが見つめているのは…。
鰻の蒲焼?
罪のない会話のネタ
「最後の晩餐」
「最後の晩餐」
そんな理由から
あなたはその生涯ラストディナーに、どんな料理を選びますか?
気のおけない仲間と飲んでいる時なんかの会話ネタとして、時代と洋の東西を問わず昔から人気のテーマ。
その場にいる人数にもよりますが、いったんこの話題になったら軽く30分は座が盛り上がること間違いなし。
「最後の晩餐」
個人的最終力候補
個人的最終力候補
私が生涯最後の食卓に向かうとしたら、膳に並べたいのは順不同で
これがベストスリー。
これがベストスリー。
生涯最後なんだから、三つとも食したいのはやまやまですが…。
それでは話が進まないんで「どれか一つに絞れ」ということなら、さんざ悩んだあげく私はこの料理を選ぶでしょう。
THE 鰻。
THE 鰻。
ふっくら柔らかな関東風の鰻重・ザクザクした皮の食感が魅力の関西風の鰻丼、どちらでも可。
おっと待てよ。丼・混ぜ飯・お茶漬けと三段階の味が楽しめる、櫃まぶしもいいなぁ。
高くなる一方
鰻のお値段
鰻のお値段
鰻は食べたし、
されど鰻は高し。
されど鰻は高し。
個体数の減少により、年々高騰を続ける鰻の価格。
老舗の鰻屋さんで天然ものを食べるなんて贅沢は、弱小噺家にはそうそうできることではありません。
気前のいいお客さんか先輩がごちそうしてくれるの待ちながら、年に一度か二度スーパーで養殖蒲焼を買うのが精一杯。
そのスーパーの売り出し品でも、国産鰻は一尾1500~3000円近くします。
ごくごくたまーに、運よくこういうパックに遭遇することもありますが。
そんなにある機会ではありませんし、やはり日が経っている分若干お味は落ちています(気になるほどではない)。
”高嶺の花”鰻に
頼れる後継者出現?
頼れる後継者出現?
個体数がこのペースで減り続ければ、そんなに遠くない将来資源保護のため「鰻を食べること」自体制限される可能性もあるそう。
しかしまだまだ、「鰻の後継者です」と胸を張って言えるような味には達していないというのが現状。
やはり人間が人工的に自然界の味を再現するのには、限界があるのか?
がっかりなさった方、安心してください。
日夜研究を続ける近大チームに先駆けて
という商品が、すでに開発され。
という商品が、すでに開発され。
なんと街中のスーパーで、無造作に売られているのです!
その名『うな次郎』
新潟に本社と工場がある「一正蒲鉾株式会社」のオリジナル商品、『うな次郎』。
同名のイメージキャラクターもいて、彼にはちゃんと誕生日がありLINEスタンプまで所有。
商品説明には、こう書かれています。
まるで鰻成分を使わないで、技術だけでそれらしい味を再現・さらにはビタミンB1まで摂れる。
いいことずくめのようなこの商品・気になるお値段、会社公式の「いちまさオンラインショップ」では354円(税込)で販売。
さて
『うな次郎』の実力は?
『うな次郎』の実力は?
7月下旬・近所のスーパーで『うな次郎』を見つけた私、ブログのネタにもなるなと即購入。
翌々日夕食時、レンジで温め開封。
こちらは、本物の鰻。
『うな次郎』の方が焼き色が濃い仕上がりですが、身の肌理感などよく再現されています。
『うな次郎』の方が焼き色が濃い仕上がりですが、身の肌理感などよく再現されています。
断面もちゃんと白い身っぽくなっていて、ジューシー感も満載。
なんと裏には、皮の焼き目もつけてあるという芸の細かさ!
ここまでのところ『うな次郎』、見た目だけならじゅうぶん”鰻代理”が務まりそう。
肝心の、お味の方は…。
『うな次郎』を箸でひと切れ挟んで、口中に。
…うん。 醤油・出汁・味醂でしっかり味がつけられ、鰻のタレとほとんど遜色ありません。
しかし、食感の方が…。
魚のつみれが舌の上でほぐれていく感じ、それはそれでおいしいのですが。
上質な鰻の「口の中で、身がとろける」味わいとは似て非なるもの。
皮を模した裏のゼラチン質の膜がちょっと舌に絡まる感じがあり、私は(この部分はなくても良かったんじゃね?)という感想を抱きました。
外見に比べると鰻らしさはかなり落ち、味と食感面ではちょっと代理には役者が不足。
”鰻の影武者・五番手”といったところでしょうか。
”鰻の影武者・五番手”といったところでしょうか。
でも決して、『うな次郎』が失敗作だと言いたいわけではありません。
温かいご飯に乗っけて食べたりしたら、とてもおいしいと思います。
おそらく販売元も真剣に”鰻の後継者”を目指したのではなく、あくまで”鰻の蒲焼風・魚の練り物”をカニカマ感覚で開発したのでしょう。
ここは食べる側も、
パッケージ眺めて会話のネタにしつつ、呑気につまむのがいいと思われます。
パッケージ眺めて会話のネタにしつつ、呑気につまむのがいいと思われます。
「やっぱり本物を!」
突然の”鰻祭り”
突然の”鰻祭り”
それなりにおいしくて楽しかった『うな次郎』ですが、似たようなものでは満足できないのが鰻の魅力の奥深さ。
かえって寝た子を起こしたようなもので、無性に本物の鰻が食べたくなりました。
とうとう辛抱できず、『うな次郎』食べた翌々日、スーパーで養殖鰻を購入。
それも鹿児島県産と愛知県産、各一尾ずつの大盤振る舞い!
降ってわいたような”鰻祭り”が繰り広げられる食卓、黒猫こまちもジジと一緒におもちゃになって見物。
小心者岐阜県人の私にこんな思い切った買い物をさせる、恐るべき”うな次郎効果”と言えるのではないでしょうか。
今回は値引きではなく定価で買った鰻二種、晩酌しながら女房と半身ずつ分け合っておいしくいただきました。
ごちそうさまでーす。
『うな次郎』とリアル鰻で栄養つけて、また記事執筆頑張るぞー!
お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
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