web雑俳互選結果、「笠附」番頭選より発表開始!~『第4回web版言の葉落語会』開きその①~ [web雑俳]
私が疲れている時見る、怖い夢の一つ。
完全室内暮らしのこまちが何かの弾みで脱走して、黒猫ばかりの中に紛れ込んでしまったら…。
完全室内暮らしのこまちが何かの弾みで脱走して、黒猫ばかりの中に紛れ込んでしまったら…。
この時の心境は、まさに
※江戸言葉遊び「雑俳」の記事ですが、描き下ろしイラストもありますんで。
ブログ主が精一杯付けさせていただいた、句を引き立てる「効き」とともに。投句も選句もしてないよ、という方もぜひお付き合いくださいませ。
ブログ主が精一杯付けさせていただいた、句を引き立てる「効き」とともに。投句も選句もしてないよ、という方もぜひお付き合いくださいませ。
第4回web雑俳
開きにつきまして
開きにつきまして
首都圏などへの第3次緊急事態宣言発出で、また窮屈な暮らしを強いられる期間。
そんな時こそ、お客様と芸人ご一緒に楽しく過ごしましょう!というコンセプトで展開しております、ネット雑俳『第4回web版言の葉落語会』。
緊急事態解除後に可能なら、互選会「開き」は選者噺家が集まってワイワイ言いながら開催。
それを収録・編集した動画をご視聴いただけないかと、調整進めてまいりましたが…。
東京の新規感染者数は、まだまだ楽観できぬ状況。
今噺家たちが不用意に大勢、落語協会事務局に集まるのは控えた方がいいという結論に達しました。
今噺家たちが不用意に大勢、落語協会事務局に集まるのは控えた方がいいという結論に達しました。
そういったわけでまことに残念ではございますが、開き動画配信はまた次回以降のお楽しみとさせていただきます。
少しでもお伝えしたい
”賑やかな開き”の空気感
”賑やかな開き”の空気感
しかしだからといって、従前通り各選者の互選結果をweb発表して「ハイ、おしまい!」ではちょっと寂しい。
一人が自分の選を読みあげているとほかの噺家たちが脇から茶々を入れて、それは賑やかなのが私たち雑排連衆の開き風景。
今回はその雰囲気を少しでも味わっていただければと、各噺家の選を何回かに分けてまず当ブログ記事中で発表してまいります。
最終的にまとめた互選結果は、記名地巻とともに後日公開予定。
さあ、前置きはこれくらいにして。
大変、
お待たせいたしました。
大変、
お待たせいたしました。
それでは不肖・番頭の私、扇仮名女(おうぎのかなめ)=入船亭扇治選より ご披露。
※投句一覧「地巻」は ☆https://drive.google.com/drive/folders/1_2IgtgT1UYS3nkWVuU30JnatRw-fKPav?usp=sharingにてご覧いただけます。
秀句揃いの、
客の一から五
客の一から五
今回は二つある兼題のうち、「笠附さぁことだ」を開いてまいります。
まずは惜しくも三才(天地人)には届きませんでしたが、いずれも紙一重の秀句揃い「客の一から五」までを。
☆客の一
「さぁことだ」の笠附では、けっこう噺家たちがこれの類句を詠むことが多いです。それだけ、身につまされるんでしょうね。
私も以前「さぁことだ羽織二枚で旅の空」と詠んだことがありますが、こちらの吟の方がはるかに言葉使いがきれい。
☆客の二
多くの方が経験しているであろう、「スマホカメラあるある」。
昨年から当ブログとSNS投稿用に猫の写真などたくさん撮るようになって、私の3年選手iPhoneのバッテリーは一日もたず。
また「逃した決定的瞬間の再現」を期待しても、ペットや幼い子はなかなかやってくれません。
☆客の三
これも寄席ファンの方なら、激しく膝を打って同意できる句ですね。
歌入りの高座が絶品の川柳川柳師匠、また大変にお客席に注文の多い人でもありました。「なんか覇気ないね、今日のお客は」なんて、高座から平気で言ったりする。
でもそれが、ご贔屓にはたまらない魅力になってましたね。
☆客の四
”誤送信”を詠んだ句もけっこうよく出る中でいちばんよくまとまっていると思うのと、こういう効きをつけたかったので頂戴した句。いわゆる「キキもらい」というやつですね。
具体的な名前がないと、悪口って意外と鈍感な当人気がつかなかったり。
☆客の五
よその巣の卵を自分のにすり替えて、赤の他鳥に子育てさせる「托卵」。 カッコウが有名ですが、ホトトギスもウグイスの巣でそれをやるんだそうです。
またホトトギスの卵は、ウグイスのそれと外見が瓜二つ。
カッコウはそこまで細かい詐術は使わないので、ホトトギスはその上をいく知能犯と言えるでしょう。
カッコウはそこまで細かい詐術は使わないので、ホトトギスはその上をいく知能犯と言えるでしょう。
これより三才、
天地人発表!
天地人発表!
さてここから、天地人各位へと進んでまいります。
☆人の位
この効きは最初、「アトム」か「ガンダム」にしようかと。
でもあまりに精巧なメカは、部品不足だとそもそも起動しない可能性が高い。
でもあまりに精巧なメカは、部品不足だとそもそも起動しない可能性が高い。
それよりずっと構造がシンプルで頑丈そうな、昭和30年代の白黒アニメ版『鉄人28号』。
こちらなら、ネジの5・6本足んなくっても平気なのでは。
科学者の敷島博士が心配する中、正太郎君の操縦でビューンと飛んでく鉄人。
空中分解、
しないといいのですが。
空中分解、
しないといいのですが。
☆地の位
このスケールの大きさ、まさに天の位にふさわしいのですが。
後述する理由から、天にはほかの句を採らせていただきました。
後述する理由から、天にはほかの句を採らせていただきました。
それでも、剛腕巨神”アトラス”と”腕”がしびれる”という言葉の取り合わせ。雑俳の面白さ全開!という感じがします。
たとえ腕がしびれなくても、 「せっかくオレが支えてやってんのに、人間たちゃ地表で勝手し放題。もうバカバカしくって、やってらんねーよ」。
アトラスが愛想を尽かして、放り出してしまうことのないよう。
私たちはもっと、
地球を大事にしなくては。
私たちはもっと、
地球を大事にしなくては。
そしていよいよ、奥一百点。
☆天の位
軒下にできた燕の巣、鳴きかわすヒナと餌を運ぶ親鳥たち。 それを眺めて店主老夫婦、顔見合わせて苦笑い…。
普通にそういう情景を詠んだ句としても、高得点の作か思います。
普通にそういう情景を詠んだ句としても、高得点の作か思います。
今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のための、時短はじめ飲食店への強い自粛要請を背景にした効きで頂戴しました。
途絶える客足、寄る年波の経営者。子どもたちは店を継ぐ気さらさら無し。
じゃあこれを機に、
辞めちゃおう!
そういうお店、昨年から本当に増えているそうです。
じゃあこれを機に、
辞めちゃおう!
そういうお店、昨年から本当に増えているそうです。
その中にあって嬉しい”さぁことだ”を口にしつつ、前向きに頑張ろうとなさっているお店。
近くにあったらぜひ、
応援させてもらいたいもの。
近くにあったらぜひ、
応援させてもらいたいもの。
雲隠しと軸
そしてコメント募集
そしてコメント募集
三才までご披露したあとは、雑俳フルコースのデザートとコーヒーを。
まずは食後の甘味、”色っぽいな”という解釈でお採りしたのはこちらの句。
☆雲隠し
私も昨年はコロナの影響で、93日間うちにいましたからね。大して広くもないわが家、女房も気詰まりに思う時あったでしょう。
一つ屋根の下顔突き合わせる時間が長いと、お互いだんだんと相手のアラが見えてくるもの。 そんな時つい”隣の芝生は青い”で、胸に巣食う浮気の虫…。
危ない危ない。
そういうことにならないよう、しっかり女房孝行しとこう。
そういうことにならないよう、しっかり女房孝行しとこう。
そして選者詠み下ろしの、軸(自句)。
☆軸
発達した人口知能が、いずれ人間を凌駕したら?
そんなテーマのSF作品は、過去から今日まで本当にたくさん世に出ています。
賢いロボットはありがたい存在ですが、こんな態度をとられたらちょっと困りますね。
鼻で笑うのも「へへっ」のうちはまだいいのですが、これに「て」が付くと…。
私が噺の稽古してるのをそばで聴いてるAIが、圓生師匠そっくりの口調で。
こんなこと言い出したら…。
こんなこと言い出したら…。
ああ、
考えただけで怖い。
こまち、君は人間の言葉喋らないから大丈夫だよね。
考えただけで怖い。
こまち、君は人間の言葉喋らないから大丈夫だよね。
次回以降もこういった感じで、呑気に選を開いていきたいと思います。
皆様にも、のんびりとお付き合いいただけましたら幸いでございます。
そして、お開き前に一つお願い。
当ブログはスマホ版・PC版とも、記事末尾に「コメント欄」があります。
もしよろしければ”リアル開き”の感じで、「自分の句が入ってたよ!」など毎回の互選結果などへのご感想をお気軽にご記入くださいませ。
お寄せいただいたコメントには、原則ブログ主よりリプライさせていただきますので。 よろしく、お願い申し上げます。
ご精読いただきまして、
ありがとうございます。
ぜひまた、
ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
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入船亭扇治拝
タグ:雑俳 川柳 落語