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ゆる~い商品名とパッケージイラスト、でも”山椒は小粒でぴりりと辛い”人気商品! [お気に入り・おすすめ]


女房に抱かれて、お腹全開で「バンザイ」ポーズのこまち。

捕獲でバンザイ.jpg

当猫はこの態勢、別に嫌がってはいませんので。
動物愛護団体へは、通報なさらないでくださいね。


ネーミングとイラスト、
脱力系の袋菓子

近所のスーパーで、ちょっと面白いパッケージのお菓子見つけて買ってきました。

個包装になっている中身を、ブログ共同執筆猫に検分してもらいます。

バンザイ山椒近寄る.jpg

足元に二つ並べて、アップにしてみましょう。
足元アップ.jpg

このパックが8個入りのお菓子、『バンザイ山椒』
袋全体.jpg

その名の通り、山椒パウダーを利かせた丸いあられ。

あまりに脱力系のネーミングと、パッケージのユル~いイラストを前に。
後ろのジジとともに、目が点になるこまち。

目を丸くする.jpg

コンビニ限定発、
老舗菓子舗の人気商品

生真面目な人なら、
「なんだこのふざけた菓子は!」
と怒り出しそうな『バンザイ山椒』。

いえいえ、新潟県長岡市「岩塚製菓株式会社」謹製のちゃんとした商品。

『えびカリ』『バター餅』なども人気の岩塚製菓から、2018年9月ファミリーマート限定商品として発売。

しっかりした味付けと食感・それと正反対の商品名・パッケージイラストは、当時かなりのファンを獲得。

リピーターの方々からの声に、翌年・翌々年とリバイバル販売。 最近では、いろんなスーパーで時期によって置いているようです。

ご近所で売ってないよという方、もちろん通販でも購入可能。
岩塚製菓公式ショップは、商品ラインナップ眺めるだけでも楽しいですよ。
岩塚ネットショップ

楽天市場や、ヨドバシドットコムでも取り扱いが。
通販バンザイ山椒.jpg

毎回ヨドバシ通販で買い物するたび思うのですが、276円のお菓子ひと袋だけでも送料無料って実に太っ腹


個包装のイラスト、
ざっとご紹介

こまちと一緒に写っていたパッケージのほか、イラスト違いが4・5種類あるのでしょうか。 小さいテトラパック袋の、一つにつき3面の絵柄が入っています。

個包装1.jpg
個包装2.jpg
個包装3.jpg

これを眺めたり家族で見せ合ったりしていると、笑い声とともにビールがすすむことすすむこと。


ダジャレ脱力名商品、
自分でも考えてみた!

この記事書きながら、ただ『バンザイ山椒』ご紹介するだけでなく。
おなじようなダジャレの商品名を、自分でも考えてみようと思い立ちました。

架空の食品・調味料の名前で、できたら”山椒”みたいにスパイスがらみのもの。

しばし思案投げ首・思いつくのは
「ワサビのカレーは大人向き」
「王様とカラシ」
「お前今日、掃除豆板醤」
なんてわれながら(くだらねぇなー)というネーミング。

でもこんなの考えてて、けっこう楽しかったですよ。
皆様もお時間ある時に、暇つぶしでおやりになってみてはいかがでしょう。



さて私がいろいろ捻ってみた中で、比較的いいかなと自分で思うのを二つご披露。

まず新発売の唐辛子、
『一味が万事』。

いますよね、辛いもの好き(私もです)で”マイ唐辛子”持ち歩き、お店の料理に振りかける方。

「マヨラー」「ケチャッパー」の伝でいくと、「イチマー」ということになりましょうか。

一味が万事.jpg

こまちさん、それはいくらなんでもやり過ぎだよ。
第一、猫舌の君は辛いもの大丈夫かい?


暮れには『第九』と、
あったかい鍋にこの商品

ああ、前項をお読みになった方の脱力なさった顔が目に浮かぶ。

でも気を取り直して、もう一つのダジャレ商品へ行ってみましょう。せっかく思いついたんで…。

ハイ、今度の新製品はこちら。

香り高いゆずをふんだんに使った、黒猫コマチ印の特製ポン酢。

特製ゆずポン酢.jpg

その名は…
『かんきつの歌』。

この商品には、ちゃんとCMソングもあるんですよ。

さあ、皆様ご一緒に。 ベートーヴェン『第九』から「歓喜の歌」のサビ…、クラシックはサビとは言わないか。

ほらあれですよ、『新世紀エヴァンゲリオン』とかで流れる合唱の歌い出しんとこ。 あのメロディ思い浮かべて、ご唱和ください。

♪ゆずの香豊かな  
 お鍋の友だ  
 みんなで囲もう  
 しあわせの湯気  

 お肉も魚も  
 野菜も踊る  
 ポン酢はコマチの  
 かんきつの歌

かんきつの歌.jpg



こんな呑気なこと考えているうちに、今宵も「居酒屋わが家」開店時刻がやってきました。

ちょうど記事もきりのいいところ、幼少こまちのこんな姿眺めながら女房と晩酌いたしましょうか。

開きバンザイ.jpg

ビールのお供は、もちろん 『バンザイ山椒』。

蔦飾り線.png
お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことに ありがとうございます。

ぜひまた、
ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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最新技術でコスト削減、リーズナブルな味を提供!コロナ下での衛生管理にも力を入れる、人気No.1の回転寿司チェーン [お気に入り・おすすめ]


わが家から歩いていける距離に、あの大手チェーン回転寿司店舗が新規オープン!

スシロー方南町店表のこまち.jpg

開店早々、ブログ共同執筆猫こまちと下見に行ってきました。


清潔で明るく、
ゆったりした店内

地下鉄方南町駅そばに開店したのは、回転寿司チェーン売上全国1位を走る『スシロー』。
スシロー看板.jpg

方南通りに面した、マンションの1階部分。
マンションの1階.jpg

ここに住んでる人は、雨の日も濡れないでスシローに来られていいなぁ。

でも、あんまり人を羨んではいけません。人間、上を見ちゃきりがない。

これまで私が回転寿司に行こうと思ったら、片道徒歩30~40分の中野駅・新宿駅界隈へ足を延ばさなくてはいけませんでした。

それを思えばうちからドアツードアで5分ほど、じゅうぶんにありがたい立地。



店内はゆったりめのボックス席で、車椅子スペースを入れて130席ほどでしょうか。 照明も柔らかめで良い加減、できたばかりでどこもピカピカ・清潔で気持ちがいい。

おや、こまちはもうあそこに陣取ってますよ。

スシロー方南町店で待ち合わせ.jpg

初『スシロー』は、
アプリ注文の持ち帰り

こまちさん、すまないけど今日は店内でお寿司いただくんじゃないんだ。
家族揃ってうちで食べられるよう、テイクアウトするんだからね。

また今度連れてきてあげるから、ここは協力してくださいよ。

食いしん坊猫を何とか説得して、webからテイクアウトの予約をするためいったん帰宅




私は、今回スシロー初体験。

まずノートパソコン開いて、公式サイトを覗いてみます。

おお、さすがコロナ禍にあっても勝ち組の回転寿司チェーン。

スシロートップページ.jpg
トップページからして、元気はつらつ。いかにも、おいしそう。

唾を飲み込みつつネット注文しようとして、画面右下のバナーに気づきます。
”便利でお得スシローアプリ ポイントも貯まる!”

こつこつ(ちまちまとも言う)各種ポイント貯めるのが大好きな私、これを見逃す手はありません。

さっそくスマホにインストールしたアプリから来店・持ち帰り予約をすると、スタンプが貯まっていく仕組み。
スシローアプリ.jpg

スタンプ2個で50円割引など、特典がもらえるのはスマホアプリ経由のみ。
スシローファンの方なら、入れといて損はないでしょう。


都市型店舗は、
郊外店より割高だが…

今回オープンした方南町店は、「都市型店舗」という形態。

広い店内スペースと大型駐車場を確保し、なおかつコストを抑えてリーズナブルにお寿司を提供するため。 大手チェーンが主に出店してきたのは、比較的土地の値段が安い場所での「郊外店」。

それに対しスシローでは2016年の南池袋店に始まる、都市中心部・駅近という立地での店舗展開を推進。
現在の消費者のニーズに合ったのでしょう、それ以降スシローは都市型店を続々とオープンさせていきます。

ここで気をつけなくてはいけないのが、
スシローの郊外店より都市型店の方が、寿司1皿の値段が高い
ということ。

郊外店で110円(税込)の皿は、都市型店では132円(税込)。 22円の違い。

今回が初スシローの私はこれを知って、一瞬ドキッ。
でも、落ち着いて考えてみれば…。

わが家から一番近いスシロー郊外店へ行くには、最低でも片道200円の運賃がかかります。
道中が長いとせっかく買った持ち帰り寿司を、帰りの電車でひっくり返したりしないとも限りません。

それを思えば1皿22円の”都市型店割増”も、手間と時間の節約とバーターということで私的にはじゅうぶん納得できます。


都市型店ならではの、
メリットも色々

都市型店はお値段が高い分、郊外店にはない魅力を出そうとスシローは頑張っています。

マグロや光物・季節の魚などの、お得な「三貫盛り」を都市型店だけで販売したり。

機械による接客の効率化・対面接触機会の低減も、都市型店ならではのサービスの一つ。

店内で飲食の方は、入り口にある自動受付機でチェックイン。
自動受付器.jpg

店内放送で呼ばれたら、発行された予約コードを自動案内機に読み取らせます。
自動案内機のパンダさん.jpg

その指示に従ってテーブルに着き、タッチパネルでどんどん注文。 普通にお寿司が回っているレーンのほかに、注文品が自分席まで直接届く「専用レーン」もあって便利。


店頭での会話・接触
一切なしで持ち帰り

取材のためお店の方に断って自動受付・案内機を撮影させてもらったので、今回私は店内に入りましたが。

本当は予約ありのテイクアウトだったら、店の中に入らず。 店員さんとも、ひと言も対面で話すことなく。 注文品を持って帰ることが、都市型店ではできるのです!

方南町店だと、正面扉入った左側にある「持ち帰りロッカー(お土産ボックス)」。
お持ち帰りロッカー.jpg

右端にある読み取り機にQRコードをかざすと、自分の頼んだ商品が入っているロッカー番号を教えてくれます。
2番ロッカー.jpg

ロック解除された当該扉を開けると、じゃーん!
開けたロッカー.jpg
家族4人分のお寿司盛り合わせと茶碗蒸し、フライドポテトが私の来店をじっと待っていてくれました。

脇にあるコーナーで、醤油・ワサビ・ガリ・割り箸を必要なだけ補給。

お寿司が片寄らないよう注意して、5分でわが家まで運搬完了。

大き目のシャリと、それなりの厚みがあるネタ。
見るからにおいしそうな盛り合わせに、こまちも思わず、舌をペロリ。
お寿司とこまち.jpg

※このあとこまちがお寿司にどう反応したかは、6月17日付扇治のTwitterに投稿しております。
https://twitter.com/senjitonaraban1/status/1405486000583839756


現代の回転寿司は
”高級寿司の代用品”にあらず

私の産まれるはるか(?)以前、1958年に大阪で第1号店がオープンした『回る元禄寿司』。

ビール工場のベルトコンベアに想を得たというレーンで、皿に乗せた寿司を回して同時に大勢のお客さんへ提供。

庶民には高嶺の花である寿司を、できるだけ経費削減してお安く召し上がってもらおう。

最初はこういうコンセプトで始まった回転寿司、今では本格的な店の代わりではない独自の食文化になっています。

食べ物がぐるぐる回るというだけで、なんだかワクワク。

お目当てのひと品とったあとで、
(さっき流れてたプリン、おいしそうだったな。あっ、フライドポテトも来た!)
なんて食事の仕方、回らないお寿司屋さんにはない楽しさ。


回転寿司は楽しい.gif

注文した品をお客さんの席まで届けるのに、新幹線型のトレーに載せてレーンを走らせたり。
お店の方も、遊び心満載。

うちの子どもたちも幼い頃から回転寿司の大ファンで、本当にお世話になってます。




ビル・ゲイツみたいなIT長者や、わが国政財界の重鎮たちにはそぐわないかもしれませんが。

リーズナブルで楽しい食体験を与えてくれる、庶民の味方・回転寿司。

これからも元気にぐるぐる、回り続けてもらいたいものです。

あっ、でも意外とMicrosoft創始者や経団連会長あたりも…。
内心、回転寿司に憧れているのかもしれませんよ。

回転寿司で乾杯.jpg


蔦飾り線.png

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入船亭扇治拝

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ミステリ好きに落語ファン、どちらも大満足間違いなし!~技巧派美文作家の、読み応えたっぷりデビュー作~ [お気に入り・おすすめ]


最近ではやり手の少なくなった寄席芸の一つ、「二人羽織」。

実際にご覧にならずとも”一枚の羽織を二人で着ての余興”というイメージは、多くの方がお持ちのはず。

二人羽織おそば.jpg


寄席芸から、
今ではパーティグッズにも


大きめに仕立てられた羽織を、
(甲)袖に手を通さず、肩から羽織る芸人
(乙)その後ろに隠れ、袖から両手を出す芸人
二人一組で冒頭イラストのようにそばを食べたり、三味線を弾いたりする。
これが、「二人羽織」。

噺家では 四代目三遊亭圓馬が得意とし、今ではその弟子である三遊亭遊三師匠一門に受け継がれています。

私ども落語協会では、粋とユーモア、リズムに乗せて~都々逸=江戸振り小唄で楽しもう!~の記事に出て来る二代目柳家三亀松師匠が、倅さんの亀太郎師と組んでたまにやってました。




今では目にする機会の減った二人羽織、実はパーティグッズとして売られているんです

こちらは、Amazon出店舗で扱っている『パーティワッショイ ニュー二人羽織』
二人羽織.jpg
お値段、税込1610円。

”ニュー”というくらいですから、従来品のバージョンアップ版なのでしょう。けっこう宴会用品として、根強い人気があるようです。


より寄席の二人羽織に近い商品は、楽天市場で売られていました。
楽天市場 二人羽織.jpg
ポリエステル製ながら、ちゃんとした羽織の体裁になっています。
それだけにお値段もちょいと嵩みまして、税込21340円。

いずれの品もコロナ禍で宴会自体ほとんどない現在、あまり需要がないのでは。

こんな呑気グッズがよく売れるような日常に、早く戻りたいものです。


流麗で精緻な、
「落語ミステリ」の名作

さてここまでマクラを振ったところで、今回のテーマ。

”司書噺家”として図書館の催しに伺う際、落語会がお開きになったあと「扇治のおすすめ本」をご紹介するコーナーを設けることがあります。

そこで”落語を扱ったミステリ”として真っ先に私がセレクトするのは、いずれ当ブログでとりあげたい
北村薫『空飛ぶ馬』以下の「円紫師匠と私」シリーズ
これが、まず一つ。


そして順不同でのもう一作は、
ミステリ界屈指の技巧派・美文家である連城三紀彦の『変調二人羽織』(同名短編集所収)。


変調二人羽織.jpg

自身の直木賞受賞・映画されては各映画賞主要部門総なめの『恋文』で、純粋ミステリ以外にも作風を広げた連城三紀彦。

数々の名作を遺した彼の、記念すべきデビュー作が『変調二人羽織』。
1978年、第3回『幻影城』新人賞を受賞。

ガラス細工のごとく精緻に組み上げられたプロットを紡ぐのは、流れるように美しい言葉の連なり。

ミステリの遊戯性と小説としての抒情性を兼ね備え、落語の世界もいきいきと描き出している。
輝ける”落語ミステリ金字塔”として、迷わず一押しできる作品です。


『変調二人羽織』あらすじ

昭和50年代、とある年の大晦日を迎えた東京。
都心にそびえる高層ホテルの広間で、一人の噺家の引退興行が行われる。

高座を務めるのは、孤高の芸人・伊呂八亭破鶴。

かつてその芸で一世を風靡しながら、傍若無人な態度と破滅的な生活で今は一時の隆盛見る影もなし。
逆風に追い打ちをかけるように喉の病に侵された破鶴は、42歳という本来なら芸人としてこれからという時期での引退・廃業を決意。

最後の独演会に招かれた破鶴かつての師匠と兄弟子・元愛人など5人のうち4人までは、全盛期の破鶴から受けた仕打ちへの恨みを持つ者たち。

そんな訳ありの客席を前に破鶴が、噺家生活を締めくくる一席として選んだのは、古典落語『盲目かんざし』



腕のいい大工・四平は失明で仕事ができなくなり、愛想尽かしをした女房・お芳は生活のため茶屋務めを始める。

女房の心が自分から離れたのは盲いた目のせいだと思う四平はある日、信心で両眼が開いたと偽りお芳のいる茶屋に上がる。

そして一緒に連れてきた大工仲間の熊八に「膳の右端に並んでるイカがうまそうだ」などと自分の目の代わりをしてもらい、目明きの芝居をしようとする四平。

ちょっと抜けている熊八のピント外れのナビゲーションで笑いを取りながら、噺は次第にすれ違った男女の葛藤を描く緊迫した展開へとなだれ込んでいく…。



この作品のために連城三紀彦が考えた、架空演目『盲目かんざし』。

それをさらに作中人物である破鶴が、喉のハンデを軽減するため極力台詞を減らそうと四平の設定を「盲目」→「事故で両腕を失う」と変更。

本来言葉で四平を助ける役の熊八が、破鶴最後の高座バージョンでは「信心したら元通り生えてきた」両腕の代わりを、二人羽織の要領で務めることに。

そのストーリーのままに後ろに潜む唯一の弟子・小鶴が使う両手に合わせ、迫真の演技を見せる不世出の破滅型噺家。

恩讐の念を忘れ、破鶴の芸に引き込まれる観客。

嫉妬に我を忘れた四平が、煌めくかんざしをお芳の首筋に突き立てんとする高座のクライマックスで…。

惨劇は起きた!

五人が至近距離で見つめる前で、鋭利なかんざしが左胸を貫き絶命する伊呂八亭破鶴。

その際高座に近づく者は誰もいなかったところから、警察は当初は破鶴の自殺とみて捜査を開始。

しかしほどなくして、現場のどこにも凶器が見つからないと判明。

果たして破鶴の命を奪ったのは、誰なのか?

もし本当に他殺なら衆人環視のもとどうやって、高座の破鶴を手にかけることができたのか?

そして犯人はなぜ自殺説を覆すように、凶器を隠匿したのか?

謎が深まる中、ストーリーは生き方に不器用な被害者と探偵役の人間模様も炙り出していきます。


落語ミステリらしく
最終行には「落ち」が

あらすじ紹介がちょいと長くなりましたが、文庫本59ページの中で三転四転する物語。今の私にはここまで要約するのが精一杯、どうぞご容赦ください。


私がこの作品を落語ミステリ代表作としておすすめするのは、
ミステリとしての完成度の高さ+破鶴という噺家のキャラクター・架空の噺『盲目かんざし』が、しっかり描かれている
と思うから。

そしてラストには噺家を扱ったミステリらしく、ちゃんと「落ち」がついているんです!それも『芝浜』みたいに洒落たのではなく、ベタベタの駄洒落=地口落ち。

もちろん作者自ら
”さて、下手な噺家ならここでこんな落ちをつけて得意満面となるところだが”
と断ってますから、これは確信犯ですね。

このラスト一行に至ると、私は必ずもう一度ページを繰って「伊呂八亭破鶴」という架空の噺家の半生を見返さずにはいられません。



命を懸けた急流下りのクライマックスのあと、噺家がつける落ちは

「ああ助かった、お材木(お題目)のおかげ」
という、脱力系の地口。

うまい演者がやるとよくできた舞台劇のような緊迫感を観客に与える落語『鰍沢』と、『変調二人羽織』のラスト

なんとなーく似た味わいだなと、再読するたび思います。


まるで一幅の
墨絵のような…

ミステリとしての作り込みの細やかさに加えて、”連城節”と言われる独特の美文調も『変調二人羽織』大きな魅力の一つ。

中には
「なんだかもって回ってて大仰で、あんまりあの人の文章好きじゃないなー」
という方もいらっしゃるでしょうが、そこはまぁ人それぞれ

私は行間から情景の絵が浮かび上がってくるような、連城三紀彦調の大ファン。

この作品でも、冒頭からいきなりこんな文章が。

”誤って薄墨でも滴り落ちたかのようにゆっくり夜へと滲み始めた空を、その鶴は、寒風に揺れる一片(ひとひら)の雪にも似て、白く、柔らかく、然しあくまで潔癖なひと筋の直線をひきながら、軈て何処へともなく飛び去ったのだと言うーと言ってもお伽話めいた郷愁の里での出来事ではない。”

うわー、改行と句点なしで一気にここまで書いちゃう・読ませちゃう!
私には、
とても真似できません。


さてこの鶴が飛んでいるのは、破鶴引退興行当日の夕間暮れ・東京都心の空。まるで墨絵のような連城節には及びませんが、GIFにするとしたらこんな情景でしょうか。
こまち3連アイコン.png


雪の都会舞う鶴.gif


ラストにもこの白い鳥は登場し、同じ「鶴」の名を持ちつつ生き急いだ一人の芸人の一生を締めくくります。



落語ファン・ミステリ好きどちらも満足できる、デビュー作ながら細部まで作家としての配慮が行き届いた『変調二人羽織』。
同時収録の他4作も粒揃いの、連城三紀彦初期短編集。

先に画像掲載した講談社文庫版などは、図書館やネット通販で手にすることができます。

光文社文庫版は今でも版を重ねており、新刊でも読めますよ!
変調二人羽織 (光文社文庫)

変調二人羽織 (光文社文庫)

  • 作者: 連城 三紀彦
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: Kindle版
※リンクをクリックすると、Amazonの掲載ページへ飛びます。


本の罫線.jpg

さてさて、好きな作品なんでついつい熱が入ってしまい、語りこんでいるうち『扇治のらくご的図書館』当ページは閉館時刻。

またのご来館、心よりお待ち申し上げております。

あっ、ほかのページは24時間営業中ですから。


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粋とユーモア、リズムに乗せて~都々逸=江戸振り小唄で楽しもう!~ [web雑俳]


立てば芍薬
座れば牡丹
歩く姿は百合の花

七・七・七・五と言葉を紡ぐ、「都々逸」。

艶っぽい文句が多いことから「情歌」とも呼ばれるこの自由詩には、川柳や狂歌とはまた違った粋とユーモアが溢れています。


幕末の傑物作と言われる
色っぽい都々逸代表格



都々逸は別名「江戸振り小唄」と言うくらいですから、当然江戸の頃から唄われていたもの。
ただその発祥は意外と新しく、江戸も末期の、19世紀半ば。

その人気から”八丁荒らし”と言われた芸人・都々逸坊扇歌が、天才的と言われた謎かけとともに寄席で披露した俗曲=「都々逸」。

甚句や民謡・里謡などを原型に、日本人の好む七と五の音数律でできています。

だから耳馴染みが良く、三味線にも乗りやすいんですね。



冒頭にあげた”美女の様子を、花尽くしで詠んだ”文句は、現代では都々逸の域を出て一般に使われることわざ化しています。

そんな都々逸と並んで、色っぽさ全開の唄として有名なのがこちら。

三千世界の烏を殺し
主と朝寝がしてみたい

高杉晋作か桂小五郎作という説もあり、落語『三枚起請』の落ちにも使われているところから多くの方がご存知なのでは。



遊女三千人御免の遊郭・花の吉原では、連夜懐のあったかいお客さんが酒とともに「台の物」と呼ばれる贅沢な料理を注文。

ずらり並んだご馳走よりもお目当ては女性とのお楽しみですから、もったいない話ですが台の物のほとんどは手つかずのまま。

遊女屋で働く者たちが夜食にちょいとつまんだあとは、表のごみ溜めに直行。

明け方の銀座や歌舞伎町のように、残飯狙いの烏がたくさん集まって朝から騒々しく鳴きかわす吉原。

お客を帰した花魁がひと時、苦界を忘れて朝寝しようとすると。
明るくなった表では、カァカァ烏の大合唱。

とても、
寝ちゃいられません。

烏と朝寝.jpg

こまちも一緒になって鳴いてないで、静かにしてあげなさい。


オプション
「五字冠り」で
広がる都々逸の世界

前項でご紹介した都々逸以上に、落語によく登場する文句があります。
明けの鐘 
ゴンと鳴る頃
三日月形の
櫛が落ちてる
四畳半

『試し酒』の久蔵でなくても、「何があったかよくわかんねぇけど、色っぽいだなぁ!」言いたくなりますよね。
櫛が落ちてる四畳半.jpg

江戸時代の女性にとって櫛は携帯して髪を整えるほかに、髷に差す装飾品でもありました。

その櫛が頭から離れて、落ちているんだから…。 ま、そういうことがあったんでしょ?という、意味深な都々逸。




その内容と語呂の良さで最初気づかない方も多いと思いますが、この都々逸は定型ではありません。
七・七・七・五の頭に、もう五文字付け足されています。

「五字冠り(かぶり)」と言い、 「定型に収まりきらない時は、もう一つ文句を足していいよ!」と太っ腹のルール。

これもほかの俳諧にはない、都々逸独自の自由度の高さ。
さらに表現の幅が広がって、詠みやすく。

お酒呑みを扱った噺に出て来る
この酒を
止めちゃいやだよ
呑ませておくれ
まさか素面じゃ
言われまい
だとか。

私の師匠・扇橋は『二人旅』の中に、
朝顔の
つぼみによく似た
あの筆先で
書いた色文
今朝開く
という文句を入れてやっていました。

「こりゃ都々逸なんだけど俳句にも通じる味わいがあって、僕は好きなんだ」
稽古をつけてもらった時に、師匠がそう語っていたのを思い出します。

朝顔の都々逸.jpg


寄席の都々逸には
ユーモアも大切

俗曲で寄席に出ている芸人は粋で色っぽい唄の合間に、いいタイミングでユーモラスな”笑える文句”を挟んできます。

私が素人の頃からよく聴いていた、二代目・柳家三亀松の高座。

「池之端の師匠」の二つ名を持ち、柳家金語楼と並び称される人気者だった初代。

その先代師匠と比べられ、音曲芸人としての評価はちょっと割を食っている感はありますが…。

前座にもとても気を使ってくれる、優しいいい方でしたよ。

先代とはまた違うとぼけた味わいも、私は好きです。

その二代目でよく聴いたのが、
私が悪けりゃ
謝りますが
あなたが悪けりゃ
どうするの

「どうなったのか、未だによくわかんないんですけどね」なんてクスグリを挟んでから、「都々逸の中には、妙な文句もありまして…」とこんなのを披露。

なんにも知らずに
くるくる回る
月賦払いの洗濯機

自前の洗濯機なんて高くて買えない貧乏学生の私は、最初にこれ聴いた時は腹抱えて笑ったもの。



えっ、こまちもこの都々逸気に入ったって?
洗濯機2台とこまち.jpg

ふーん、縦型の方がピンクでかわいいからかい。

「それもあるけど中に入ってスイッチ入れたら、こっちの方が回り方が面白そう!」

洗濯機回る.gif

おいおい、危ないよ。
洗濯槽も猫の毛だらけになって、お母さんに怒られちゃうぞ。


不肖・扇治拙吟ご紹介

「洗濯機が回る→地球は回る」の連想ゲームから、篝火舎心亭宗匠の天に抜けた不肖・私の都々逸を披露させていただきます。

2009年2月5日の互選会「開き」で、こういう効きを付けて採ってもらいました。

都々逸キキ.jpg
都々逸 天.jpg

キキ
喧嘩分け目の
馬鹿な争い

平らに見えても
地球は丸い
人がいるから角が立つ


ちなみにこの時の宗匠選、地と人の位はこちらでした。

人の位
キキ
今さらどこへ
行く宛もなし

喧嘩ばっかり
していたけれど
二人また聞く除夜の鐘

根室蝦夷前(三遊亭金八)

地の位
キキ 
この頃馴れてきた
使い分け

恋は成金
浮気は坊や
世帯はあなたのような人

三三時雨(柳家三三)

う~ん、あらためて読み返し「うまいなぁ」と頭が下がります。

どちらも色っぽくて、都々逸としての完成度は拙吟より高いと思うのですが…。

宗匠いわく、
「市井の言葉遊びでありながら、”世界平和”に通じる志が感じられる。 こういった視野が広い・スケールの大きい作は、”位の高い句”として高評価を得られます」
とのこと。

正直こしらえた時は、そこまで深く考えていませんでしたけどね。

でも宗匠選の天なんて、私にとっては初めて・身に余る光栄。
それ以来、色紙によく書く文句の一つに。


地球を前にした猫、
どう反応する?

この都々逸から着想を得て、もう一つこまちGIFをこしらえてみました。

地球を回す.gif

そしてこれを作りながらふと思い立って、子どもが学習教材で作った地球儀をリアルこまちの前に置いてみると。


地球とこまち.jpg

おっ、なんだか興味を示しているようだぞ。

このあと地球がどうなったのかは、6月13日付Twitterに動画をあげております。
https://twitter.com/senjitonaraban1/status/1403980815139164161


26文字~31文字で、気軽に詠んで楽しめる都々逸=江戸振り小唄。
2021年12月に行われた雑俳落語会に集まった都々逸、
☆『下町の風情ある神社で、粋な都々逸~『お歳暮スピリッツ』その④互選結果・前編~
☆『都々逸名人の秀逸な効きでの選と、過去の名作披露~『お歳暮スピリッツ』その④互選結果・後編~
にてご紹介しております。
そちらもぜひ、お立ち寄りください。


蔦飾り線.png
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入船亭扇治拝

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”2011年3月11日”を忘れず、コロナ禍でも前を向こう!~10年の時を超えて、呑気なイラストが力をくれる~ [日々雑感]


同居猫が見せる、かわいい姿や仕草。
「おっ、シャッターチャンス!」とカメラを構えたとたん、そっぽ向いたり動きが止まってしまったり。

SNSコメント等でよく見る、”猫あるある”の一つ。


進んでカメラ目線を
くれたのだけれど…

そんなマイペース猫が、今日は珍しく自ら進んでこちらに視線を向けて「はい、ポーズ」。

正面カメラ目線.jpg

う~ん、協力してくれるのは嬉しいんだけど…。
ごめんね、今回はこまちが主役じゃないんだよ。

なにっ! それじゃ後ろにいる、ジジやキティちゃんを撮ってるの?!
てっきりアタシだと思って、おすまししたのに…。


が~ん。
アタシじゃないの.jpg

動揺のあまり、顔にパースがかかってしまったこまち。


10年前の、
懐かしいイラスト

まぁまぁ、
こまちさん落ち着いて。

あなたのかわいい写真は、またたっぷり撮らせてもらいます。

ここは共同執筆猫らしく、今日のテーマ・この箱ティッシュを紹介してくださいよ。
こまち確認.jpg

「え~、ティッシュは食べらんないよー?」
いやいやあとでごほうびに、CIAOちゅ~る鶏ささみ味あげるから。

「えっ、そう!」
だったら気を取り直し、謹んでご紹介を。
「皆様ご覧ください!」
こちらが台詞入り.jpg
10年前の台詞入り.jpg
作品でございます台詞入り.jpg

箱ティッシュにコラージュされた、たくさんのメッセージ。
そのうちの一つが不肖・私10年前のイラスト。
ティッシュイラスト.jpg

まだデジタルをほとんど使いこなせなかった頃の、懐かしい手書きのドラゴンです。

ただこまちも私の作品紹介してくれたのはいいんだけど、寝そべったままってのはいかがなものかなー。


震災復興への祈り、
都々逸に乗せて

このメッセージ入りティッシュは、”東日本大震災から1年”に向けた『東京新聞』『中日新聞』『福島民報』合同企画。

読者から寄せられた復興応援メッセージのすべてを、2012年3月11日の3紙上に掲載。
そのうちのいくつかがこうして箱絵になったボックスティッシュは、福島県内の飲食店や観光施設に寄贈されました。


女房の実家がいわき市という縁もあり、少しでも現地の震災復興気運にご協力できればと。
わが家では家族4人がこの企画に応募、運よく私の作品が採用されたのです。

干支にあたる年の色紙用に、あらかじめ描いてあったドラゴン。それに手を入れて「明日に立つ(辰)」のコメントと、噺家らしく都々逸を添えました。

ちょっと光が入って、見づらいかもしれませんが…。
ティッシュ斜め.jpg


鮒もメダカも
流れに向かい
意地を通せば
滝のぼる

”昇りきった魚は、さらに天へ上がって大きな龍になる”という含みを持たせた、七七七五の江戸振り小唄=都々逸。

(震災復興に都々逸なんて、不謹慎だと思われないかな)
若干の不安も抱えて応募したのですが、幸い企画事務局は好意的に受けとってくださったようです。


”あの頃”に想いを馳せ
今を乗り切る力に

2011年3月11日以降しばらくは、直接の震災被害はなかった地域にも甚大な影響が影を落とし続けました。

食料品や飲料水、紙製品や乾電池などが全国で品薄に。

各地のイベントも多くが中止になり、私もほとんど仕事のない時期が数カ月。

被災地以外でのそういった状況は、その年の夏ごろから好転に向かいましたが。
被害に遭われた地域の復興は、10年を過ぎた今でもまだまだ途上というところが多い現状。

2011.3/11の後にも熊本での大きな地震被害、西日本では記録的豪雨による水害なども発生。そういった方々の暮らしも、未だすべてが元に戻ったわけではありません。

そこへ今回の、新型コロナウイルス禍。
今まで何事もなかった私なんかでも、自粛のあおりをもろにくらって生活が激変。

復興への道を歩まれている皆様の中には、私の比ではないご苦労を強いられている方も多いことでしょう。

それを思えば、噺家なんて呑気な商売やらせてもらっている自分が。
「コロナで仕事ないよー、大変だよー。」
愚痴や泣き言をもらすのは、了見違いというもの。

人からいただける高座機会が少ないのなら、できる範囲で自ら会を主催したり。
当ブログを含め、こちらからの積極的な発信をもっと心がけたり。

自分で前を向かなきゃ、
何も始まらない。



今の状況は私の噺家生活史上、間違いなく最大の逆風です。

そんな時だからこそ、やはり「こんな商売、続けていかれんのかな」壁に突き当たった2011年3月11日の自身に想いを馳せ。

「あん時なんとかなったんだから、今度も前向いて行こうぜ!」
自分を激励するための力になればと、復興メッセージ採用記念として新聞社からいただいた箱ティッシュ。

今日まで大事にとってあったうちの一つを、こうして開封・皆様のお目にかけた次第です。


平成イラストと令和GIF
新旧ドラゴン揃い踏み

そんな経緯のある、箱に描かれたドラゴンとメッセージ。
いま一度、画像をご覧ください。

…って、おやおや。復興応援ティッシュの説明しているうちに共同執筆猫さん。

すっかり、
くたびれてしまったようです。
疲れた台詞入り.jpg
寝ていいですか台詞入り.jpg

しっかりしなよ、こまち。
このあとおやつ食べたら、好きなだけ寝てかまわないから。

終わりよければすべて良し、記事の締めだけはしゃっきり起きててくんなきゃ。

ハイ、わかりました!
目がまんまる.jpg
一生懸命、
眠い目を見開くこまち。

ご苦労様。
今から私のドラゴンが、迎えに行くよ。
こまち3連アイコン.png

こまちを乗せて飛ぶドラゴン.gif

GIFに登場する令和版ドラゴンは、
黒猫、再び強敵に立ち向かう~チャレンジャー猫の愉快な冒険(後編)
でも活躍しております。

未読の方はぜひ、既読の方もよろしければもう一度。覗いていただけましたら嬉しいです。

蔦飾り線.png
お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことに ありがとうございます。

ぜひまた、
ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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