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今も続く落語協会『二ツ目勉強会』、あの名人が教えてくれた”噺の極意”~貴重な写真、「画像変化クイズ」正解もあり~ [落語情報]


やんちゃなわが家の黒猫こまちも、やっぱり年頃女子。
石焼いもはふはふ.jpg

石焼いも買って、ホクホク顔。

歩きながら食べるのは、お行儀よくないよ。


有能特派員、
今年も迅速に大活躍!

のっけからいきなり、季節はずれの石焼いもが出てきて。
「どうなってんだ、この記事は?」とご心配の諸兄。

大丈夫、ブログ主がボケたわけではありません。このあと、ちゃんと話はつながりますので。


昨年も、自粛のゴールデンウィークだったこの時期。
落語ファンの方々に少しでも寄席気分味わっていただけたらと、web雑俳選者の仲間にブログ記事のネタ提供をお願いしました。

ボイスメッセージやコメントなど、無償にもかかわらず本当によく協力してくれた皆さん。
その中で私の呼びかけにいち早く反応してくれた三遊亭金八師=頼れる特派員の有能ぶりは、今年も健在。

今回も先陣を切って、2点の画像とともにこんなメールが私の元に届きました。
お求めに寄りまして、つたない文章と関連画像出します。
あんまり古いことを知ったかぶりするよりお客様との思い出もリンクできるよう、 二つ目勉強会の話題にしぼってみました。

「私の行った時には…」と、
お客様側からの思い出が引っ張り出せるのなら何よりです。 よろしいようにお使いくださいまし。

私が頼んですぐ、打てば響くようなネタ提供。
ありがとうございます、金八師。

それでは、いつもの私の駄文は控えめに。
迅速に活躍してくれる特派員の楽しい文章へと、バトンを渡すことにいたしましょう。

おっとその前に、お客様と噺家がネットでつながる『web雑俳』の宣伝を。
3回目の緊急事態宣言もなんのその、粋な言葉遊びで楽しいゴールデンウィークに!
5月16日まで、皆様からのご投句盛大に受付中!


二つ目勉強会の思い出 その一 
~初出演で小さん師匠に~

この前、話を文字起こししたノートに、こんなチラシが挟まってました。(以下、金八師・談)
第21回二ツ目勉強会.jpg

第21回二つ目勉強会 
平成5年12月25日 
東芝銀座セブン 
入場料600円

う~ん、これは懐かしい…と、ややしばし。

1992年(平4)4月に東芝銀座セブンを会場にスタート。
1994年(平6)1月の第22回からは現在の池袋演芸場に会場を移して、毎月下席の火曜日開催。
今年2021年5月で第347回、来年は30周年を迎える、落語協会ではおなじみの落語会です。

何と言ってもこの会のウリは理事の師匠が、客席後方でお客様と同様、噺を聞いてくれて、終演後いろいろと講評してくれるという画期的な会ですから。
ほかの二つ目の兄さん方も、相当な気合で高座に臨んでいました。

そんな中、アタシはこの年の11月に二つ目になったばっかり。
二つ目昇進のご祝儀高座が終わって、すぐこの会に出演したことになります。
演目は『芋俵』。当時キャリア4年弱のアタシにとって、一番自信のある演目でした(笑)。



落語『芋俵』あらすじ
夜陰に乗じて締まりの厳重な商家に忍び込み、盗みを働こうという二人組。 ちょっと抜けている与太郎が中に潜む芋俵を担いで、その店の前までやって来る。

そこで急な用を思い出したふりの主犯二人「あとでとりに来るんで、これちょっと店先に置かせてください」店に声をかけて、与太郎入りの俵を残していったん去る。
芋俵あらすじ.jpg

店を閉める時刻になっても盗っ人たちがわざと取り来ないので、主人の言いつけで芋俵は店の中で預かることに。

夜が更けて奉公人たちが寝静まった隙を見計らい、与太郎が俵の中から抜け出して。
内から締まりを外して、表で待っている仲間を引き入れる…。
手筈だったのだが、間抜けな与太郎は俵の中でぐっすり寝込んじまってー。




この時、ほかのことは全部忘れましたが(笑)、たったひとつ かけがえのない思い出があるんです。
普段は来ない(笑)会長柳家小さん師匠が、客席に現れたのです。

・・・今、思えば小緑兄(現・花緑師)が出るので来たのでしょう。
ほほえましい「孫バカ」ですな(笑)。いいおじいちゃんだ!

会が終わって、小さん師匠はそのまま帰るとのことで出演者全員がエレベーターのところで並んでお見送り。

その時、小さん師匠が「金八、居るか?」とボソッと。
アタシの前に立ってたあさり兄(現・円太郎師)からちょっと怖い顔で(笑) 「ほらっ、金八っ!」と促されて前に出ると…。

「あの、芋をさわる時にナ、こんなことしちゃいけねぇ(手つき有)。このくらいでいいんだ」
と小さん師匠、
またボソッと一言。
小さん師匠芋俵指導.jpg

ここでエレベーターが来たので「お疲れ様でした!」 と、思い出はたったこれだけ(笑)。

年が明けて、この噺を池袋演芸場でやりました。
下りてきたら、ある若手真打の師匠が、バカっ話の遊び半分で
「金八ダメだよ~、あの芋をさわるところさぁ、もっとさぁ、 こうやってこう…、こんな風…」
と、まさに男性の急所そのものをまさぐる生々しい卑猥なシグサ(笑)。

なので「実は先月、二つ目勉強会で小さん師匠に一番、それやっちゃダメだって言われまして…」と言ったら
「え!?、ウソ?…オレは芸が未熟だね…うー(泣)」
と大笑いに。

小さん師匠に噺を直してもらったのは、唯一この一回。
思い出しても貴重なうれしい記憶として強く心に残っています 。今でもこの噺をやる時にはその通りにやっています。

また、うまい具合にアタシの後扇治師が『二番煎じ』じゃないですか? すっかり忘れてましたが、今回の企画にはちょうどよかった(笑)。
※注:この会で私が演じた『二番煎じ』を巡るエピソードについては、寝坊な連中決死の早起き!噺家の正月風景 扇治独演会告知もあり!に書いております。




あと、会場の東芝銀座セブンってのが懐かしい。
地図を見ると銀座ライオンビヤホールの隣りだったのね。

落語協会ではこの頃、毎週土曜日に東芝銀座セブンでの寄席から椀や寄席へと出演者が掛け持ちしてつとめてまして。
また、この椀や寄席が懐かしい!

東芝の近所にある居酒屋さんで店に高座があって、お客様がとても反応が良くってメニューもなんか落語の演題で、噺家の色紙が何枚も飾ってあって…。

ここにさん喬師に入門前の喬太郎師が店員でいて、夏の寄り合いで椀やから作務衣?を借りてきて、店長のものまねよろしく「椀や風景」として余興をやったのも、バカバカしいちょっと笑っちゃう思い出です 。



東芝~椀や寄席の存在を証明する、当時の香盤(寄席の出演者表)があったので掲げます。
平成2年7月中席.jpg

1990年(平2)七月中席です。ヨイショで「扇べい兄」の出演分を(笑)。
※注:香盤の大きさはA4なので、送ってもらった画像は当ブログでは縮小して掲載。見づらいところは、ご容赦ください。

え?、二つ目勉強会と言えば「あの師匠」のことが欠けてる?
そうですね、その思い出は~その二~で。


懐かしい「寄席香盤」
この前座は今の誰?

偉いなー、金八師は。チラシや寄席香盤など、今日まで大事にとってあるんだから。
私なんて、はしから捨てちゃってましたからね…。これからは見習って、デジタル化して保存しよう。

私も懐かしく見返した、30年前の寄席の顔ぶれ。
蛇足ながら、各番組の右側に細かい字で書いてある前座の名前。 それぞれ、今の誰なのかをご説明しておきましょう。

末廣亭 昼の部
・きく姫(今と同じ)
・さん太(三遊亭遊雀)
・さん坊(柳家喬太郎)
・いっ平(林家三平)
・金八(ご存知!)

末廣亭 夜の部
・かな文(橘家文蔵)
・たい平(説明の要なし)
・菊司(古今亭菊生)
・きく兵衛(林家彦いち)

鈴本演芸場 昼の部
・扇べい(不肖、私)
・桂助(柳家一琴)
・きく麻呂(廃業)

鈴本演芸場 夜の部
・にいがた(三遊亭白鳥)
・桂太(金原亭馬遊)
・扇たつ(入船亭扇辰)

国立演芸場
・窓樹(三遊亭萬窓)
・菊ぼう(古今亭駿菊)


感慨深いのは、下の「休席」欄に入っている芸人の少なさ。
当時は今ほど落語協会員も、そんなに多くなかったからですね。

今では寄席に出ている人より、休席(大半は強制)の方がはるかに多い現状。
寄席に使ってもらうには、昔の比ではない努力と才能が必要です。
私も、もっと頑張らなくちゃ。


「信楽狸変化クイズ」正解

金八師のエピソードに出てきた先代小さん師匠は、自他ともに認めるタヌキ似・狸好き。
そのつながりで、先日掲載の「信楽狸変化クイズ」の正解を発表。

店頭に置かれた狸の置物などが、30秒間でゆっくり変わっていく画像。 「どこがどう変化したでしょうか?」というお遊び、まだの方はぜひ街角で出会う、かわいくて剽軽な縁起物たち~信楽焼狸にまつわるトリビア・「変化画像クイズ」もあり!~ご覧のうえ、下記正解へとお進みください。


信楽狸変化クイズ 正解
大石製麺所の狸さんクイズ正解.jpg
①ショーケースの陰から、こまち登場。

②右上棚の置物が、招き猫に。


③台の上、そば猪口が一つ増える。


④立ててある傘、色が変わる。


⑤小さい狸、顔の向きが逆に。


⑥大きい狸の持つ通い帳、文字が「寿限無」に。


⑦中くらいの狸、笠の緒の色が変化。


⑧大きい狸、右目が笑う。

皆様、化かされないで見つけられましたか?

狸さんに変身.gif

蔦飾り線.png

お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

※金八師提供の貴重な写真とエピソードは、以下でもご覧いただけます。



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