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新春から、楽しく江戸言葉遊び!~『雑俳寒稽古』第一夜互選結果発表~ [web雑俳]


噺家の世界では、節分まではまだまだ謹賀新年。

おめでたい楽しいことは、
長続きした方がいい。

黒猫こまちもあの言葉遊びを考えて、お正月気分を味わっていますよ。
お正月の洒落を考える.jpg

『雑俳寒稽古』
第一夜無事お開き!

粋で楽しいweb言葉遊びで、みんな一緒に素敵なお正月!で告知させていただいた、古今亭駒子師プロデュース公演『雑俳寒稽古~歌会始スピリッツ』。

お客様と噺家が一緒に、粋な江戸言葉遊びで盛り上がろうという企画。

今回は年明け早々、
3回連続での開催!

令和3年1月16日にはその第1回、感染防止に細心の注意を払いつつ無事お開きに。私も、投句と互選で参加させてもらいました。

当日の兼題は、「洒落附 新年・正月に関する物事一切」。

高座とお客席が密を避けつつ一体化し、和気あいあいと進行した互選会「開き」。

その噺家とお客様の選を、総投句一覧「地巻」と共に以下で公開中。 1月23日の会での兼題「院山寺号」の地巻も、併せて置いてあります。

『雑俳寒稽古』リンク


※30日の「立入川柳 魚の名」の分は、駒子師より提供されたら追って掲載いたします。

※「軸」は互選の際、選者が新しく詠んだ句のこと。自分の句=「自句」と、巻物の巻末=軸にその句を書くことが洒落になっています。
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よろしければ投句なさっていない皆様も、ご自分でお好きな句を選んで「バーチャル参加」していただけましたら。

余裕のある方は、元句を引き立てる七七の短句「キキ」を付けてみるのも楽しい頭の体操。

もちろん23日・30日の第2回・3回に実際にお運びいただけましたら、噺家連中大喜び!

投句なしでのご観覧だけでも充分お楽しみいただけるよう、出演者一同一生懸命相努めます。

ブログ主の互選結果・コメント

それでは拙いながらも誠心誠意付けさせていただいたキキと共に、私の互選結果コメントを。

人の位
キキ 十二年ごと嵩む貫禄
35 干支の花嫁

自分の干支の年回りに、 生涯の伴侶と結ばれた女性。

干支がひと回りするたび、奥様のお腹周りに刻まれていく十二年分の月日。家の中での存在感は、ふた回りも三回りも増して。

そんな妻を見ながら十二年おきにしみじみと、ご亭主は新婚ホヤホヤ一年目のことを思い出すのでは。

ああ、一緒になった頃はもっと~だったのになぁ…。

地の位
キキ みんなが揃うそれが幸せ
73 初湯だよ全員集合

新型コロナウイルスありきの今だからこそ、こういう光景に憧れます。

町内の銭湯、
今日が新年の営業初日。

表には小さいけれど松が飾られ、いつもより華やいだ脱衣所・浴場。

お客さんたちも新しくおろしたタオルや石鹸ご持参で、ニコニコ顔のお正月モード。

石鹸と言えば、
私が銭湯通いしていた頃。

1月2日に銭湯に行くと、干支の形をした石鹸がサービスでもらえて嬉しかったものです。

今はもう、やってないのかなぁ…。
牛乳石鹸.png

天の位
キキ 先争いし小せん扇橋
108 年頭で上野の花の噂かな


落語『長屋の花見』のマクラで使われる「銭湯で上野の花の噂かな」が本文。

その『長屋の花見』を、年明け早々から高座にかけていたのが先代小せん師匠と私の師匠・扇橋。

早いと言っても初めは節分開けくらいからだったのが、二人で先を争うようにどんどんかける時期が前倒しになり。

しまいには松がとれた8日どころか、三が日中にどちらかがやるように。



楽屋でネタ帳を見た扇橋が、

「おやおや、僕がやろうと思ったらもう先に小せん兄さんが『長屋の花見』やっちゃってるよ。

気が早いね~、まぁ兄さんはジジイで先がないからね。 じゃあ今日は、『長屋の花見』譲っとくよ」



言われた小せん師匠が、

「なんだジジイとは!  

そっちだって、たいして年変わんねぇだろう!」

仲の良かった二人が、楽屋で罪のない憎まれ口叩いてじゃれ合っている姿。

まぶたに、蘇ってくる名句でした。

雲隠し
キキ 晴れ着の下は雪灼けの肌
107 年始女性は太陽であった

出不精な私は一度もやったことがない、冬のスキー。

さらに私は寒いのと、スピードが出る乗り物なども苦手。

好き好んでお金払って遠くまで行って雪の上で滑って転ぶなんて、論外めっそうもない。

そんなことをうそぶいている私でも、「スキー場での女性は、ひと際きれいに見える」という言葉には全面的に賛成。

映画『私をスキーに連れてって』の原田知世さん、かわいかったなぁ…。

年末にスキーに行って、こんがり小麦色に灼けた娘さん。

年明けには、その肌の上に目にも鮮やかな着物をまとって。

お正月らしいとても華やかで健康的な色気を感じさせる句という解釈で、雲に採らせていただきました。

恥ずかしながら…
扇治作カミングアウト

「新年・正月の洒落」は、これまでいろんな雑俳の集まりで詠まれている題。

それだけに「通り句」=前に詠まれた句が多いので、作りやすい反面ハードルが高いとも言えます。

私は噺家でありながら、「元の文の冒頭だけ言い換える」洒落附が本当に苦手。

今回も年末から三が日、歳時記片手に無い知恵絞ってみたのですが…。 なんとかかんとかひねり出したのが、以下の10句。

書き初め郵便
年始レンジ
年玉うどん
年賀分け目の戦い
元旦には終わらない 
人日はたった一つ
御慶仕掛けのオレンジ
破魔矢おろそかにはできない
七草物語
歌留多かなた

う~ん、われながらパッとしないなぁ。

なになに、こまちはもっといいの思いついた? へーえ、偉いね。 じゃあさっそく披露してごらん。

「ウン、こういうの」

こまち回して遊びましょ

…なるほどね。 「独楽を回して~」の洒落か。

いちおう、形にはなってるけど。

雑俳では「表が立つ」と言って、洒落た方の文もちゃんと意味が通らないといけないんだよ。

えっ、そっちも大丈夫?ホントに、「こまち」を回してご覧に入れましょう?

こま回し.gif

あーら、飛んでっちゃった。

ほかの人に、拾われちゃ大変。

急いで、回収に行って来ますね。
蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、
ご訪問くださいませ。 入船亭扇治拝

タグ:落語 猫
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