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ニャルソック猫と、名作『裏窓』 [お気に入り・おすすめ]


「ニャルソック」。
窓際に陣取り、外を凝視する猫。
その様子はさながら我が家を外敵から守る、 万全の監視体制…。

に見えるところからついた、
楽しい猫用語の一つ。

ショーウインドウにいる、
お店の招き猫のような姿を街で見かけたり。
ムギちゃん遠景.jpg

「猫と窓」のエピソード、
探すといくらでも見つかります。

こまち、岩合光昭氏が乗り移る


窓際で戯れるスズメに
興味津々のこまち。

高性能一眼レフカメラに望遠レンズ、
万全の態勢でシャッターチャンスを。
裏窓カメラ構える.png

興味の向いている方向は、
少し違うようですが。

名作映画とその原作に捧ぐ、猫イラスト

このイラストは
窓の外の世界は、リアルじゃない?完全室内生活で、猫はじゅうぶん満足
記事掲載の物と2枚セットで、
ある小説とその映画化作品へのオマージュ

ウィリアム・アイリッシュの短編
『裏窓』
アルフレッド・ヒッチコック監督が、
1954年に映画化しています。

映画『裏窓』あらすじ

ある事情で部屋の中から動けない、カメラマンのジェフ。
退屈を紛らわすため、自室の裏窓から望遠レンズ付きカメラで隣のアパートの住人たちを観察。

※いい子は、真似してはいけません。

各部屋で繰り広げられる、様々な人間模様。

そのうちの一つ、仲の良くない中年夫婦。
ある日を境に、その妻の姿が見えなくなる。
残された夫の、不審な行動

事件の匂いを嗅ぎつけたジェフは友人の刑事に相談するも、初めはまともに受けあってもらえず。

ならば自分たちで証拠をつかもうと、恋人とともに調査を開始するジェフ。

果たして、隣家のアパートで本当に事件は起きているのか?
独自の捜査が進むに従って明らかになっていく真相、ジェフと恋人に迫りくる危機…。

アイリッシュの小説と映画の大きな違いの一つが、主人公の職業

映画では腕のいいカメラマンだから、隣を監視するのに望遠機器を持ち出しても違和感がありません。

うまい設定だと思います。
クライマックスでは、カメラの思わぬ使い方も。


小説『裏窓』では、特に主人公が何をしている人なのかの記述はありません。
かなり昔に警察関係者だったのかもと、匂わせるような描写があるだけ。

隣を覗くために持ち出すのは、以前ヨット遊びをした時使った望遠鏡

ですから10月20日付記事内のイラストでは、こまちに双眼鏡を持たせたのです。

今回は映画版ジェフになぞらえて、
高性能カメラを装備。

それにしてもこまち、 いいの持ってるな。
お父さんは写真撮る機械、スマホだけ。
羨ましいな。
今度、ちょっと貸して。

ハイいいですよ。
レンタル料、1回50ニャン。
※猫世界の通貨「ニャン」については、
第2回web雑俳・大御所の互選発表/「正義の黒猫仮面」GIF
後半部分をご覧ください。


狭い舞台に、観客の目を釘付け


小説も映画も『裏窓』のストーリーは、
ほとんどジェフの部屋の中だけで進行します。

この作品に先立つ
『救命艇』
『ロープ』
でも、ヒッチコックは閉鎖空間での作劇を演出。

ことに『ロープ』は全編が一つのシーンだけで構成(厳密には演出・編集上の技法で、1シーンのように見せる)され、劇中と現実の時間経過が一致するという凝りよう。

あまりに実験的すぎて評価が微妙な2作の轍を踏まぬよう、『裏窓』の脚本と演出は細部まで考え抜かれています。

「アパートのひと部屋だけで話が進む」
凡手だったらとても2時間近くもたせられないストーリーを、さすがスリルとサスペンスの職人・ヒッチコック。

隣家アパートの住人の一人、寂しいオールドミスの「ロンリーハート」嬢を巡るエピソード。

姿の見えない女性の夫ソーワルドが飼っていた犬は、庭で何をしていたのか?

絶妙のストーリーテリングと、様々な工夫。

アパートの一室の中を、まるで壁や仕切りがないかのように動くカメラワーク

そのために同じ部屋でありながら複数のセットを組んで、アングルを変えているのですね。

よく練れた脚本と演出は、観客の目をスクリーンに釘付けにして離しません。


また、ジェフが隣家を覗くのが「裏」窓というのが効いています。
さんさんと日が当たる、開放的な窓でなく。
ちょっと怪しげな雰囲気が漂う、
リア・ウインドウ

我が家の近所でも、こうやって北向きの小窓からずっと表の様子を伺っている人が。
窓から覗くキティちゃん.jpg

中野通り沿いにある居酒屋さん、
Totanyane To Ame No Oto 2階の風景。

そしてあの美人女優も、リスペクト


そしてさらにこの映画の、
大きな見どころの一つ

ジェフの恋人・リザを演じる グレース・ケリーの、ため息が出るほどの美しさ

「『裏窓』は、彼女のためのプロモーションビデオだ」
という意見、大納得。

大富豪の娘で、売れっ子ファッションモデルという設定のリザ。
彼女は、小説には出てきません。

ジェフが、
「君が、同じ服を2度着ているのをみたことがない」
感心するのも必定。

有名デザイナーであるイーディス・ヘッド女史の手になる毎回違う衣装を身にまとって、恋人の部屋を訪れるリザ。

「裕福なモデル」だから、それがまるで不自然ではない。
これも「目で楽しませる」映画のための、オリジナル設定


そんな後のモナコ王妃が演じるリザの、
ゴージャスなお色直し

及ばずながら、
こまちに再現してもらいましょう。
衣装持ちこまち .gif


今でも色褪せぬこの名作、映画は配信・DVDで。

小説は創元推理文庫・『アイリッシュ短編集3』などで。
小説『裏窓』.JPG


気軽に、観たり読んだりできます。
活字と映像、どちらも違った味わいで楽しめる『裏窓』。

秋の夜長に、
鑑賞なさってみてはいかがでしょう。

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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