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SF映画史上に残る名作にまつわる、エピソード2題 [お気に入り・おすすめ]


久々に劇場に足を運び、
大スクリーンでの映画鑑賞の魅力を再認識。

今回はあのSFホラー金字塔作品にまつわる想い出を、
イラストとともに。

おしまいには、吞気なミニアニメもありますよ!

SNS上で発見、あのキャラクター面白画像


家庭での鑑賞とはやっぱり違う、劇場での映画体験
の記事を書いてから、また映画熱が再燃している私。
今回取り上げます作品は、こちら。
宇宙遭難.png

本当のキャッチコピーは
「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」。

1979年公開のアメリカ映画 『エイリアン』
航行中の宇宙船に紛れ込んだ無敵の異星生命体と、乗組員たちの命がけの闘い。

SFとホラーを見事に融合させた、
今なお色褪せぬ名作

監督のリドリー・スコット、 主演のシガニー・ウィーバーを世に知らしめた作品でもあります。

この映画を記事にしようとしたきっかけは、Twitterに上げられている写真
ハンドルネーム「ためこ」さんが投稿なさった、この呟きに掲載されています。
https://twitter.com/00FaNGGnbiHS4oV/status/1303849012303282176

ご当人の了解を得て、URL記載させていただきました。
「ためこ」様、ご快諾ありがとうございます!

画期的だった『エイリアン』の造形・設定


いやー、私はこの画像見て
「うまいな!」 小膝を打ちました。
コメントのつけ方も、間がいいですよね。

大好きな、この映画。
作品にまつわる個人的エピソードもあるので、いつかは記事にまとめようと決意。
今回、ようやく公開の運びとなりました。

学生時代と、噺家になってからの『エイリアン』との出会い。
2題のお話を申し上げる前に、言わずもがなの蛇足をちょっぴり。


この作品がホラーSFの代表作として確たる地位を築けた要因は、まず何と言っても登場する地球外生命体の造形

スイスのデザイナー、H.R.ギーガーが産み出した、あの独特のシルエット
生物と機械が合体したような、不気味な細部。

映画に出てくる「宇宙人」と言えば、タコ型・イカ型ばかりだった時期がありました。
宇宙人と猫.png


1977年『未知との遭遇』 以降は吊り上がったアーモンド型の目が特徴的な、「グレイ」タイプの異星人が主流に。

エイリアンとツーショット.png


そんな時代に、悪夢の中から突然現れたかのごとき恐ろしいエイリアン。
映画公開までその姿は伏せられていたので、劇場で最初に観た時は本当に怖かったです。


そしてもう一つのエポックメイキングが、映画の舞台となる宇宙船「ノストロモ号」は民間の調査・輸送船であるという設定。

スーパーヒーローや鍛えられた軍人が、流線型のロケットを駆るという物語が多かった当時。
会社の待遇にぶつぶつ文句言いながら働く、宇宙船クルーたち。

「生活感あふれる船内」の描写も、後続の作品に大きな影響を与えました。

震えながら観た、初公開時


では私と『エイリアン』を巡るエピソード、
まずはその①。

高校2年の夏休みが始まって間もない、7月の終わりだったかと。
公開されたばかりのSF映画を観に、家から電車で1時間半の岐阜市柳ケ瀬にやって来ました。

超有名スターではありませんが、ひと癖ありそうな俳優たち・通好みのキャスティング

低予算ながらカルト映画と呼ばれていた怪作『ダーク・スター』の監督が、脚本を書いていること。

それ以外の予備知識はほとんどなしで、『エイリアン』の看板を掲げた劇場へと足を踏み入れます。

いったい、
どんな話なんだろう…。

ドキドキしながら、第1回目の開映を待ちます。

周りを見渡すと平日午前中ということもあってか、あまりお客さんは入っていません。
いやむしろ、ガラガラ。

この「衆楽70ミリ劇場(今思うと、けっこうすごいネーミング)」は、岐阜市内でいちばん大きな映画館。
キャパ500~600人くらいでしょうか。

その客席に、12名の観客
それ以上増えないまま、開映ブザーが鳴り幕が開きます。

表面のデコボコした構造物むき出しの、無骨なノストロモ号が漆黒の宇宙を行く。
謎の救難信号を受けて、未知の惑星にクルーが降り立つスリリングな序盤から、もう私の目は画面に釘付け。

リドリー・スコット監督のお家芸・スモーク越しの映像が、さらに恐怖心をかきたてます。

船内の配管が壊れていて、
「ぴちゃん ぴちゃん」
滴る水音。

ひとり、また一人。
エイリアンの犠牲になる乗組員。

「早く、早く終わって!」
観ている最中、真剣にそう願いました。

それくらい、怖かった

そして凍えるように、寒かった

観客が少ないのに、館内はこれでもかと言わんばかりに冷房が効いています。
途中でノースリーブ姿の若い女性が、両腕をさすりながら寒さに耐え切れず出て行ったほど。
映画館寒い.png


ハラハラドキドキの1時間57分が終わって、ほっと一息。
明るくなった客席には、私を入れて観客9名
冷え切ってた中座した女性は、結局戻らなかったようです。

開映30分ほど過ぎてから、
『スター・ウォーズ』みたいな話じゃないんだ」
ささやきながら席を立ったカップルもいました。

計3人が減って、『エイリアン』第1回目を「つ離れ」しない状況で観た。
考えようによっては、大変贅沢な鑑賞体験と言えるかも。

それにしても、寒かったな…。

師匠から「よかったら、お前も一緒に…」


『エイリアン』逸話その②は、
噺家の前座時代もおしまいの頃。
師匠・扇橋と二人きりで、旅に行った時のことです。

場所は、憶えていません。
富山だったかな…。

落語会が終わってビジネスホテルにチェックインしたのが、午後9時過ぎ
休日で早めの開演時刻、楽屋のお弁当で夕食も済んでいました。

部屋はそれぞれシングルですが、弟子はまず師匠の部屋に一緒に行きます。
いろいろ、身の周りの用がありますから。

ユニットバスにお湯を張りながら、
鞄を開けて師匠の着物を干したり荷物の整理をしたり。

師匠の方は、部屋に入ってすぐ丸首シャツとステテコ姿に。

寛いで煙草を一服しながら、テレビをつけます。
ちょうど、映画劇場をやっているチャンネルが映りました。
今夜の演し物は、 『エイリアン』

「へえ、懐かしいな」
用足しをしながら横目で見ると、師匠は初めての『エイリアン』けっこう気に入ったんでし
ょう。
画面を食い入るように、眺めています。

15分ほど荷物を片付けているうち、お風呂の湯が適量になりました。

浴室から出て
「師匠、お湯の支度ができました」
私が声をかけると、真剣にテレビを観ていた師匠がびっくりしたように振り返って
「あ、ああ。ご苦労さん」。

「ほかにご用がなければ、ここで失礼してもよろしいでしょうか」
伺いをたてる私に、師匠は。

「う、うん…。 まぁ、用は今、とりたててないんだけど。
お前さ、この映画知ってるか?
『エイリアン』てんだけど、なかなか面白そうだぞ。
これからいいとこだから、お前よかったらそこ(ベッドを指差し)座って、一緒に観ていくか?」。

テレビでは、『エイリアン』の食堂での「あの有名なシーン」が展開されています。
確かに、ここから物語は畳みかけて面白くなるところ。

師匠は続きを観たいんだけれど、一人だとちょっと怖くなったのかも。
それで私を誘ったんでしょうが…。

ホテルで『エイリアン』.gif


こちらがベッドの端に腰かけて、狭い部屋で師匠と肩を並べて『エイリアン』を鑑賞する。
想像したらなんだか妙な形に思えたので、丁重にお断りして自分の部屋に引き取らせてもらいました。

今思うと、
一緒に観た方が師匠孝行だったかな?

さておしまいは、『エイリアン』ネタの吞気なアニメもどきご覧ください。


蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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