web雑俳互選結果 番頭篇コメント付き あの有名キャラクターのGIFも [web雑俳]
今回は久々に『第2回言の葉落語会』メインの記事。
不肖私の選を「洒落附」「冠沓附」とも、簡単なコメント付きでご披露させていただきます。
記事のおしまいには、恒例動くイラストも!
不肖私の選を「洒落附」「冠沓附」とも、簡単なコメント付きでご披露させていただきます。
記事のおしまいには、恒例動くイラストも!
扇治「洒落附」互選結果
雑俳の互選結果発表会「開き」では噺家たちがああでもないこうでもないと茶々を入れるので、なかなか先へ進まないことがしばしば。
でも、それがまた楽しいんです。
その感じを少しでもお伝えできたらと、
・扇仮名女(おうぎのかなめ)=入船亭扇治
の選には1句ずつ雑感を添えさせていただきました。
のんびりと読み流していただけましたら幸いです。
兼題が二つある時は笠附や折句附のような「歌もの」の方が言葉遊びとしての位が高いと、小ゑん師匠から教わりました。
従いましてまずは「洒落附 寄席・落語に関する物事一切」の選を、客の一から開いてまいります。
☆客の一
効き 打ち上げの席引きまくる袖
175 トリは取っても浮気は止まぬ
亡くなったかの名人が寄席のトリをとると、必ず何日かは奥様以外のばかに親しい女性と逢瀬を楽しむ。
楽屋連中との軽い打ち上げがお開きになると仲間たちに、「いいかい、アタシはこのあとも〇時まではお前さん方と一緒だってことにするんで、口裏合わせとくれよ」。 言い残して意中のご婦人と二人、夜の街に消えていったとか。
そういうご婦人がいないトリの噺家でも、終演後の宴席に並んだ若い女性のお客さんやお囃子さんを酔った勢いで手当たりしだい口説くなんてことは日常茶飯事。
高座と打ち上げの席でのあまりにもギャップがあり過ぎるトリの立ち居振る舞いに、幻滅して途中で泣きながら帰る女性ファンもいたくらい。
☆客のニ
効き 団体入場次は大御所
103 地張るべき対応
寄席・演芸会で芸人が登場する時の出囃子に対し、曲芸や紙切りのBGMとして演奏するのが「地囃子」。
団体のお客様がお入りになる・お帰りになるなんて時は場内がザワザワしますので、落ち着くまで楽屋で地囃子を弾いてつなぎ前座が高座でお客席の様子を伺う。
これを業界用語で「地張る(地ばる)」と言います。
「告白する」→「告る」みたいな言葉の転化でしょうか。
以前の浅草演芸ホールでは毎晩夜の部仲入り後7時40分頃に、はとバス『夜のお江戸コース』のお客様がわらわらと入ってきたものです。
当然地ばって皆さんの席が定まるのを待つのですが、その直後の高座もまだまだ落ち着かない雰囲気の中でやらなくちゃいけない。
その出番をよく任されていたのが、林家ぺーさん。 どんなにざわついているお客席もどっと沸かせて、お後と交代。まさに適任でしたね。
ご当人は
「僕はね、ハトの飼育員じゃないんだからね」
楽屋でぼやいてましたが。
なお元句は「じばるべき」でしたが漢字表記の方がしまると思い、生意気なようですが斧を入れさせていただきました。
☆客の三
効き タダは並ばぬオレは家元
82 口上するなら金をくれ
web版言の葉第1回の洒落附「おめでたい物事一切」で好成績だった
表彰するなら金をくれ 古今亭駒子吟
と似ているので抜かない人多かったのでしょうか。
私はこの句を一読してすぐ、「あっこれ、談志師匠で効き付けさせてもらおう」と思いました。
ハンフリー・ボガートのお墓には、出演作『脱出』中の台詞
「俺に用があったら、口笛を吹いてくれ」
が刻み込まれているそう。カッコいいですね。
小朝師匠のくすぐりで、談志師匠の墓碑銘は
「俺に用があったら、マネージャーを通してくれ」 。
当時学生だった私は今は無き東横落語会で聴いて、腹を抱えて笑ったものです。
☆客の四
効き ピンで良かった落語商売
12 笑組の喧嘩
これは、大勢の方がお採りになってらっしゃいますね。
たった一音違いで、粋な芝居や講談の演目が寄席の楽屋風景に変わる。 雑俳洒落附の醍醐味。
噺家はわがままで天上天下唯我独尊タイプが多いので、コンビを組んだり相方が必須の曲芸などまず務まらない連中がほとんどでしょう。
「落語はひとりでやるから、誰かと気が合わなくてしくじることだけはない」。
当たり前のようで実は深い真理。
自分の勉強会の企画で、漫才の方に私がボケ・ツッコミ両方でからませていただくというのをやったことがあります。
いや難しかったですねぇ。 相手と息を合わせるのが、こんなに大変だったとは。
何気なく喋っているようでいて実は緻密に計算された、息ピッタリの掛け合い。
皆様今まで以上にそれを意識してお聴きになると、漫才のまた違った面白さが発見できるのでは。
☆客の五
効き それ弾けません嘆くお囃子
185 鳴り物ねだり
上方の「ハメもの」ほどではないにせよ、東京の落語にも噺の効果として三味線が入るものがいくつかあります。 怪談噺や『立ち切り』、『稽古屋』などなど。
私の師匠はいっとき昼のトリで『立ち切り』やることが多かったですね。本当に人がひとり亡くなる噺なので、夜のトリだとお客さんを陰にしたまま帰すことになる。
入れ替え無しの昼の部なら、まだあとがあるから時間のある方は夜の部も聴いて陽に戻れるからというのが持論でした。
そして師匠の『立ち切り』はお囃子さんも選ぶ演目で、若い人が立て三味線(鳴り物の責任者)だとやりませんでした。
ある程度酸いも甘いも噛み分けた大人の女性でないと、あの淡々と弾いているようで切なげな音色は出せないと。 名手だった植田ひさ師匠が立てだと、安心してうちの師匠『立ち切り』かけてましたね。
これは、楽屋仲間しかわからない効きですね。
私は学生時代3年半末廣亭でアルバイトさせてもらいまして、その時のお席亭が「杉田の女将」こと杉田恭子さん。
その杉田の女将さん切符売場の中でよくお茶を飲むのですが、なぜか事務所で淹れさせるということをしない。
必ず「ちょっと、児山くーん(私の本名)。楽屋に行って、お茶もらってきてちょうだい」。
近所の栄寿司でもらった大きな湯呑み茶碗を持って、末廣亭の半纏姿の私が楽屋まで頼みに行くんですけど…。
なぜか女将さんがお茶を飲みたくなるタイミングが、曲芸や紙切りの高座の最中が多い。
前座が鳴り物に一人かかりきりになりますから、正直忙しい楽屋に「お茶淹れてください」頼みに行きたくないのです。
でもお席亭のご所望ですからやむを得ず楽屋の戸を開けて「おはようございまーす、お忙しいところすいませんが、木戸にお茶一杯お願いしまーす」。
声をかけると「ハイ、すぐお持ちしますご苦労様です!」返事をする立て前座の、顔はにこやかだけれど目の怖いことといったら。
噺家になってから現・橘家圓太郎師に初めて会った時
でも、それがまた楽しいんです。
その感じを少しでもお伝えできたらと、
・扇仮名女(おうぎのかなめ)=入船亭扇治
の選には1句ずつ雑感を添えさせていただきました。
のんびりと読み流していただけましたら幸いです。
兼題が二つある時は笠附や折句附のような「歌もの」の方が言葉遊びとしての位が高いと、小ゑん師匠から教わりました。
従いましてまずは「洒落附 寄席・落語に関する物事一切」の選を、客の一から開いてまいります。
☆客の一
効き 打ち上げの席引きまくる袖
175 トリは取っても浮気は止まぬ
亡くなったかの名人が寄席のトリをとると、必ず何日かは奥様以外のばかに親しい女性と逢瀬を楽しむ。
楽屋連中との軽い打ち上げがお開きになると仲間たちに、「いいかい、アタシはこのあとも〇時まではお前さん方と一緒だってことにするんで、口裏合わせとくれよ」。 言い残して意中のご婦人と二人、夜の街に消えていったとか。
そういうご婦人がいないトリの噺家でも、終演後の宴席に並んだ若い女性のお客さんやお囃子さんを酔った勢いで手当たりしだい口説くなんてことは日常茶飯事。
高座と打ち上げの席でのあまりにもギャップがあり過ぎるトリの立ち居振る舞いに、幻滅して途中で泣きながら帰る女性ファンもいたくらい。
☆客のニ
効き 団体入場次は大御所
103 地張るべき対応
寄席・演芸会で芸人が登場する時の出囃子に対し、曲芸や紙切りのBGMとして演奏するのが「地囃子」。
団体のお客様がお入りになる・お帰りになるなんて時は場内がザワザワしますので、落ち着くまで楽屋で地囃子を弾いてつなぎ前座が高座でお客席の様子を伺う。
これを業界用語で「地張る(地ばる)」と言います。
「告白する」→「告る」みたいな言葉の転化でしょうか。
以前の浅草演芸ホールでは毎晩夜の部仲入り後7時40分頃に、はとバス『夜のお江戸コース』のお客様がわらわらと入ってきたものです。
当然地ばって皆さんの席が定まるのを待つのですが、その直後の高座もまだまだ落ち着かない雰囲気の中でやらなくちゃいけない。
その出番をよく任されていたのが、林家ぺーさん。 どんなにざわついているお客席もどっと沸かせて、お後と交代。まさに適任でしたね。
ご当人は
「僕はね、ハトの飼育員じゃないんだからね」
楽屋でぼやいてましたが。
なお元句は「じばるべき」でしたが漢字表記の方がしまると思い、生意気なようですが斧を入れさせていただきました。
☆客の三
効き タダは並ばぬオレは家元
82 口上するなら金をくれ
web版言の葉第1回の洒落附「おめでたい物事一切」で好成績だった
表彰するなら金をくれ 古今亭駒子吟
と似ているので抜かない人多かったのでしょうか。
私はこの句を一読してすぐ、「あっこれ、談志師匠で効き付けさせてもらおう」と思いました。
ハンフリー・ボガートのお墓には、出演作『脱出』中の台詞
「俺に用があったら、口笛を吹いてくれ」
が刻み込まれているそう。カッコいいですね。
小朝師匠のくすぐりで、談志師匠の墓碑銘は
「俺に用があったら、マネージャーを通してくれ」 。
当時学生だった私は今は無き東横落語会で聴いて、腹を抱えて笑ったものです。
☆客の四
効き ピンで良かった落語商売
12 笑組の喧嘩
これは、大勢の方がお採りになってらっしゃいますね。
たった一音違いで、粋な芝居や講談の演目が寄席の楽屋風景に変わる。 雑俳洒落附の醍醐味。
噺家はわがままで天上天下唯我独尊タイプが多いので、コンビを組んだり相方が必須の曲芸などまず務まらない連中がほとんどでしょう。
「落語はひとりでやるから、誰かと気が合わなくてしくじることだけはない」。
当たり前のようで実は深い真理。
自分の勉強会の企画で、漫才の方に私がボケ・ツッコミ両方でからませていただくというのをやったことがあります。
いや難しかったですねぇ。 相手と息を合わせるのが、こんなに大変だったとは。
何気なく喋っているようでいて実は緻密に計算された、息ピッタリの掛け合い。
皆様今まで以上にそれを意識してお聴きになると、漫才のまた違った面白さが発見できるのでは。
☆客の五
効き それ弾けません嘆くお囃子
185 鳴り物ねだり
上方の「ハメもの」ほどではないにせよ、東京の落語にも噺の効果として三味線が入るものがいくつかあります。 怪談噺や『立ち切り』、『稽古屋』などなど。
私の師匠はいっとき昼のトリで『立ち切り』やることが多かったですね。本当に人がひとり亡くなる噺なので、夜のトリだとお客さんを陰にしたまま帰すことになる。
入れ替え無しの昼の部なら、まだあとがあるから時間のある方は夜の部も聴いて陽に戻れるからというのが持論でした。
そして師匠の『立ち切り』はお囃子さんも選ぶ演目で、若い人が立て三味線(鳴り物の責任者)だとやりませんでした。
ある程度酸いも甘いも噛み分けた大人の女性でないと、あの淡々と弾いているようで切なげな音色は出せないと。 名手だった植田ひさ師匠が立てだと、安心してうちの師匠『立ち切り』かけてましたね。
これは、楽屋仲間しかわからない効きですね。
私は学生時代3年半末廣亭でアルバイトさせてもらいまして、その時のお席亭が「杉田の女将」こと杉田恭子さん。
その杉田の女将さん切符売場の中でよくお茶を飲むのですが、なぜか事務所で淹れさせるということをしない。
必ず「ちょっと、児山くーん(私の本名)。楽屋に行って、お茶もらってきてちょうだい」。
近所の栄寿司でもらった大きな湯呑み茶碗を持って、末廣亭の半纏姿の私が楽屋まで頼みに行くんですけど…。
なぜか女将さんがお茶を飲みたくなるタイミングが、曲芸や紙切りの高座の最中が多い。
前座が鳴り物に一人かかりきりになりますから、正直忙しい楽屋に「お茶淹れてください」頼みに行きたくないのです。
でもお席亭のご所望ですからやむを得ず楽屋の戸を開けて「おはようございまーす、お忙しいところすいませんが、木戸にお茶一杯お願いしまーす」。
声をかけると「ハイ、すぐお持ちしますご苦労様です!」返事をする立て前座の、顔はにこやかだけれど目の怖いことといったら。
噺家になってから現・橘家圓太郎師に初めて会った時
「あっ、おめえだな!いつもいつも楽屋がクソ忙しい時にお茶もらいに来たの。俺おめえのこと女将さんの親戚かなんかだと思って辛抱してたけど、聞きゃただのアルバイトだったそうじゃねぇか。 バイトの分際で生意気な、よーしじゃああん時のお茶の分、楽屋でみっちりしごいてやるからな!」
たいそう、親身な指導を受けたものです。
これはちょと通り句(過去によく詠まれている句)っぽいかもしれませんが、新型コロナウイルス影響下にある芸人・お客様みんなの想いではないでしょうか。
寄席・落語会が軒並みお休み、外出自粛で将来への希望を失いかけていた緊急事態宣言時の日本人。 そこに
名人古今亭志ん朝のお宝エピソード
のようにお客様を・楽屋連中を・日本中を明るく照らす太陽=古今亭志ん朝がいてくれたら。
平成ウルトラマンシリーズ異色の1作『ウルトラマンガイア』のオープニングに
これはちょと通り句(過去によく詠まれている句)っぽいかもしれませんが、新型コロナウイルス影響下にある芸人・お客様みんなの想いではないでしょうか。
寄席・落語会が軒並みお休み、外出自粛で将来への希望を失いかけていた緊急事態宣言時の日本人。 そこに
名人古今亭志ん朝のお宝エピソード
のようにお客様を・楽屋連中を・日本中を明るく照らす太陽=古今亭志ん朝がいてくれたら。
平成ウルトラマンシリーズ異色の1作『ウルトラマンガイア』のオープニングに
ぎりぎりまで頑張って
ぎりぎりまで踏ん張って
どうにもこうにも どうにもならない
そんな時
ウルトラマンが、欲しい!
作詞:康珍化
というフレーズがあります。
長い自粛期間中
長い自粛期間中
ぎりぎりまでこらえて
ぎりぎりまで我慢して
どうにもこうにも どうにもならない
そんな時
志ん朝が、聴きたい!
思ったのは、私だけではないはず。
その志ん朝師匠が手塩にかけた、寄席夏の風物詩・住吉踊り。
今年も例年通り浅草演芸ホール・8月中席昼の部で開催されます。
お客様も出演者も、感染に留意しつつ夏を満喫してください!
こちらは句自体の完成度も高いうえに、コロナ効果が加わっての天とさせていただきました。
本当に長く続いた「落語ロス」の日々。 6月1日再開の末廣亭・浅草演芸ホール前には、朝早くからお客様の列ができていたそうです。
ホールや地域の落語会もいいけれど、寄席は毎日やっていてちゃんとそれなりの数お客様が入っている。
今まで当たり前に思っていたのが実は寄席ってすごいんだとあらためて認識。
定員の半分の制限でも、生はやはりいいですね。
プロ野球・サッカー・大相撲も有観客開始。
興行は演じる側と観客が同じ空間を共有して、作り出すもの。
いつかまた来るであろう満員御礼、それまではこれ以上の感染拡大ありませんように。
寄席であとの出番の芸人がまだ楽屋入りしないまま高座に上がると、「ツナギ」という形に。
どこで切ってもいい内容の高座ででお客様を喜ばせつつ袖の様子を伺い、おあとの支度ができたら即交代。
経験と腕がないとなかなか難しいので、そんな味のあるツナギの芸人を梅干しに例えて抜くこともできます。
でもここはあえて雲隠しに抜かせてもらいました。
お相手をとっかえひっかえの艶福家、次のご婦人が見つかるまでのワンポイントで母親くらいの歳の方に手を出し…。っておっと、雲をあまり自分で解説するのは粋じゃありませんね。
その志ん朝師匠が手塩にかけた、寄席夏の風物詩・住吉踊り。
今年も例年通り浅草演芸ホール・8月中席昼の部で開催されます。
お客様も出演者も、感染に留意しつつ夏を満喫してください!
こちらは句自体の完成度も高いうえに、コロナ効果が加わっての天とさせていただきました。
本当に長く続いた「落語ロス」の日々。 6月1日再開の末廣亭・浅草演芸ホール前には、朝早くからお客様の列ができていたそうです。
ホールや地域の落語会もいいけれど、寄席は毎日やっていてちゃんとそれなりの数お客様が入っている。
今まで当たり前に思っていたのが実は寄席ってすごいんだとあらためて認識。
定員の半分の制限でも、生はやはりいいですね。
プロ野球・サッカー・大相撲も有観客開始。
興行は演じる側と観客が同じ空間を共有して、作り出すもの。
いつかまた来るであろう満員御礼、それまではこれ以上の感染拡大ありませんように。
寄席であとの出番の芸人がまだ楽屋入りしないまま高座に上がると、「ツナギ」という形に。
どこで切ってもいい内容の高座ででお客様を喜ばせつつ袖の様子を伺い、おあとの支度ができたら即交代。
経験と腕がないとなかなか難しいので、そんな味のあるツナギの芸人を梅干しに例えて抜くこともできます。
でもここはあえて雲隠しに抜かせてもらいました。
お相手をとっかえひっかえの艶福家、次のご婦人が見つかるまでのワンポイントで母親くらいの歳の方に手を出し…。っておっと、雲をあまり自分で解説するのは粋じゃありませんね。
続いて「冠沓附」互選結果
☆客の一
効き 辛口のグルメ唸らすかくし味
146 タンメイ 担々麺でお店有名
辛い物大好きな私としては、「これは頂戴しなくては!」と飛びついた句。 坦々麺ってべらぼうにまずいのは少ないかわり、本当においしいものに巡り会う機会も意外と希少価値。
本格的なお店のは胡麻もたっぷり入って、身体にもいいんですよね。
血圧が低めの私にとってスパイスは何より元気の素、おいしくて目から火が出るほど辛い麺をまた探してみましょう。
☆客のニ
効き 風前の灯火ふっと消えにけり
102 シニガミ 老舗閉店告げる貼り紙
映画やテレビドラマの撮影にも使われた神保町の人気居酒屋『酔の助』さん、自粛期間中にひっそりとのれんを下ろしました。
他にも多くの飲食店さん・ライブハウス、三味線の東京和楽器さんなどが廃業を決断。
店を閉められた多くの方に共通するのは、「以前から後継者不足や経営難だったところへ、コロナが決定打となった」という点。
そんなお店の一つなんでしょう、ご主人の達筆が閉店を知らせる一枚の貼り紙。 題材の噺のサゲにからめて、「守り続けてきた灯が消える」風景を切り取ってみました。
☆客の三
効き 天下とる夢うたかたの泡となり
67 キシュウ 汽笛が闇に消える哀愁
青雲の志を抱いて上京した苦学生。 奮闘虚しく都会で成功すること叶わず、傷心の想いを胸に揺られる、故郷への夜汽車。
『紀州』の殿様とダブるそんな姿を想像させられました。
師匠・扇橋が末弟子の扇里師真打ち昇進披露口上で
効き 辛口のグルメ唸らすかくし味
146 タンメイ 担々麺でお店有名
辛い物大好きな私としては、「これは頂戴しなくては!」と飛びついた句。 坦々麺ってべらぼうにまずいのは少ないかわり、本当においしいものに巡り会う機会も意外と希少価値。
本格的なお店のは胡麻もたっぷり入って、身体にもいいんですよね。
血圧が低めの私にとってスパイスは何より元気の素、おいしくて目から火が出るほど辛い麺をまた探してみましょう。
☆客のニ
効き 風前の灯火ふっと消えにけり
102 シニガミ 老舗閉店告げる貼り紙
映画やテレビドラマの撮影にも使われた神保町の人気居酒屋『酔の助』さん、自粛期間中にひっそりとのれんを下ろしました。
他にも多くの飲食店さん・ライブハウス、三味線の東京和楽器さんなどが廃業を決断。
店を閉められた多くの方に共通するのは、「以前から後継者不足や経営難だったところへ、コロナが決定打となった」という点。
そんなお店の一つなんでしょう、ご主人の達筆が閉店を知らせる一枚の貼り紙。 題材の噺のサゲにからめて、「守り続けてきた灯が消える」風景を切り取ってみました。
☆客の三
効き 天下とる夢うたかたの泡となり
67 キシュウ 汽笛が闇に消える哀愁
青雲の志を抱いて上京した苦学生。 奮闘虚しく都会で成功すること叶わず、傷心の想いを胸に揺られる、故郷への夜汽車。
『紀州』の殿様とダブるそんな姿を想像させられました。
師匠・扇橋が末弟子の扇里師真打ち昇進披露口上で
「おしまいの弟子を真打ちにして師匠としてまずはひと安心という気持ちと、終列車の赤いランプを見送っているようなそこはかとない寂しさ。今は想い半ばでございます」
訥々と言っていたのも思い出します。
☆客の四
効き ハングリー力に変えてビルゲイツ
46 カタボウ 肩寄せパンを分け合う中坊
本家IT長者は幼少期から裕福な家庭だったそうですが、そのビル・ゲイツを目指して頑張っているあまり豊かでない家の中学生たちとして採らせていただきました。
私も田舎にいた時は倹約を強いられていた方で、たまに懐に余裕があると中学校の正門前にあった文房具兼雑貨屋『学生堂』(今思うと微妙なネーミング)で友だちと「酒だね入り蒸しパン」買い食いするのが楽しみだったなぁ。
☆客の五
効き 馴れ合いで中を抜きたる再委託
172 テンタク 手にした額で変わる忖度
こちらもこの時期だからさらに存在感を増した句の一つ。
忖度って、本来いかにも日本人らしい気配りを表すいい言葉なのに。
政治のセンセー方が不用意に使うので、すっかりギャグか印象の良くない語になってしまいました。
もっと「忖度」という言葉の気持ちを推し量り、配慮してあげて欲しいものです。
ポピュラーな『辰巳の辻占』を別題の『辻占』で使おうと思いつかれた時点で、この句はアドバンテージを取ったと言えるでしょう。
他の人が気づかない「めっけもん」というやつですね。
不夜城のごとく明るい盛り場から、一本裏に入ると別世界のようにひっそりとした路地が薄暗く伸びている。
そこで喧騒から切り離されたように店を張っている占い師に、ほろ酔いの勢いであの子との仲を尋ねてみようかな…。
冠沓題材の噺と占いつながり、恋の句として採らせていただきました。
ミステリマニアの私、冠沓附ではアクロバティックな言葉の配し方が好み。
地の位にいただいた『富士詣り』なら「まいり」を素直に使わず、「マ」と「イリ」をできたら離して置きたい。
フジマイリ 藤間おさめて晴れて嫁入り
のような感じ。
でもこの句は、一目見て必ず選に頂戴しようと思いました。
数えきれないほどの人命を、自らの手で見送ってきたゴルゴ13 。
その彼が仕事の合間を縫って犠牲者の墓前で手を合わす。
想像するとおかしい反面、「依頼料から莫大な額を孤児院に寄付している」等の伝説があるデューク東郷氏ならひょっとして本当にやっているかも?とも思わせます。
小ゑん師匠から互選のコツで
☆客の四
効き ハングリー力に変えてビルゲイツ
46 カタボウ 肩寄せパンを分け合う中坊
本家IT長者は幼少期から裕福な家庭だったそうですが、そのビル・ゲイツを目指して頑張っているあまり豊かでない家の中学生たちとして採らせていただきました。
私も田舎にいた時は倹約を強いられていた方で、たまに懐に余裕があると中学校の正門前にあった文房具兼雑貨屋『学生堂』(今思うと微妙なネーミング)で友だちと「酒だね入り蒸しパン」買い食いするのが楽しみだったなぁ。
☆客の五
効き 馴れ合いで中を抜きたる再委託
172 テンタク 手にした額で変わる忖度
こちらもこの時期だからさらに存在感を増した句の一つ。
忖度って、本来いかにも日本人らしい気配りを表すいい言葉なのに。
政治のセンセー方が不用意に使うので、すっかりギャグか印象の良くない語になってしまいました。
もっと「忖度」という言葉の気持ちを推し量り、配慮してあげて欲しいものです。
ポピュラーな『辰巳の辻占』を別題の『辻占』で使おうと思いつかれた時点で、この句はアドバンテージを取ったと言えるでしょう。
他の人が気づかない「めっけもん」というやつですね。
不夜城のごとく明るい盛り場から、一本裏に入ると別世界のようにひっそりとした路地が薄暗く伸びている。
そこで喧騒から切り離されたように店を張っている占い師に、ほろ酔いの勢いであの子との仲を尋ねてみようかな…。
冠沓題材の噺と占いつながり、恋の句として採らせていただきました。
ミステリマニアの私、冠沓附ではアクロバティックな言葉の配し方が好み。
地の位にいただいた『富士詣り』なら「まいり」を素直に使わず、「マ」と「イリ」をできたら離して置きたい。
フジマイリ 藤間おさめて晴れて嫁入り
のような感じ。
でもこの句は、一目見て必ず選に頂戴しようと思いました。
数えきれないほどの人命を、自らの手で見送ってきたゴルゴ13 。
その彼が仕事の合間を縫って犠牲者の墓前で手を合わす。
想像するとおかしい反面、「依頼料から莫大な額を孤児院に寄付している」等の伝説があるデューク東郷氏ならひょっとして本当にやっているかも?とも思わせます。
小ゑん師匠から互選のコツで
「一番うまいこと言うな・気が利いてるなという句は、地に採るもの。
天はさらにスケールが大きいとか視野が広い・おめでたいなどの要素があるものを選ぶ」
と教わりました。
ゴルゴの墓参りは私的には最もツボにはまったので地に頂戴したら、当の小ゑん師匠吟だったというのも何かの巡り合わせでしょうか。
この句からインスピレーションも受けまして、黒猫こまちではないGIFを作ってみました。 記事のおしまいの方で動いてます。
この句を天にいただいたのは、個人的な思い入れもあります。
3ヶ月中断していた国立のカルチャー講座が7月から再開、その時のテーマが「江戸の碁将棋」演じる落語が『笠碁』。
自粛明け最初の、まとまった噺を喋る機会。
そういうネタなので私の目にこの句はひと際まぶしく映り、とにかく三才にはいただくつもりでした。
私はさしかけた傘がきっかけでゴールインした仲のよろしいご夫婦の句として採らせてもらいましたが、『笠碁』の幼なじみ碁仲間が知り合ったのも案外傘の貸し借りだったりするかもしれません。
何にしても相合傘、今は感染予防のため表立ってはできないでしょうね。
コロナ以前は自分の前を一つ傘に身を寄せ頬っぺたおっつけっこしながら歩いている男女を見ると、無性に後ろから蹴りを入れたくなったものですが。
平時に戻れたらもう少し寛大な目で見てあげようと思います。
これもコロナ対策に右往左往するばかりの現政権とそのまま採らせていただくこともできますが、あまりにもお粗末な官邸の動きにせめて洒落の材料くらいにはなれよという気持ちの「雲」。
こんな政権ですが、世間が落ち着いたらまた支持率上がるのかな。
ほかに任せられる政党がないという人が多いかもしれませんが、
伸びろ選挙の投票率 web雑俳互選も追加!
の記事で書きましたように選挙の投票だけはしっかり行っておきたいものです。
ゴルゴの墓参りは私的には最もツボにはまったので地に頂戴したら、当の小ゑん師匠吟だったというのも何かの巡り合わせでしょうか。
この句からインスピレーションも受けまして、黒猫こまちではないGIFを作ってみました。 記事のおしまいの方で動いてます。
この句を天にいただいたのは、個人的な思い入れもあります。
3ヶ月中断していた国立のカルチャー講座が7月から再開、その時のテーマが「江戸の碁将棋」演じる落語が『笠碁』。
自粛明け最初の、まとまった噺を喋る機会。
そういうネタなので私の目にこの句はひと際まぶしく映り、とにかく三才にはいただくつもりでした。
私はさしかけた傘がきっかけでゴールインした仲のよろしいご夫婦の句として採らせてもらいましたが、『笠碁』の幼なじみ碁仲間が知り合ったのも案外傘の貸し借りだったりするかもしれません。
何にしても相合傘、今は感染予防のため表立ってはできないでしょうね。
コロナ以前は自分の前を一つ傘に身を寄せ頬っぺたおっつけっこしながら歩いている男女を見ると、無性に後ろから蹴りを入れたくなったものですが。
平時に戻れたらもう少し寛大な目で見てあげようと思います。
これもコロナ対策に右往左往するばかりの現政権とそのまま採らせていただくこともできますが、あまりにもお粗末な官邸の動きにせめて洒落の材料くらいにはなれよという気持ちの「雲」。
こんな政権ですが、世間が落ち着いたらまた支持率上がるのかな。
ほかに任せられる政党がないという人が多いかもしれませんが、
伸びろ選挙の投票率 web雑俳互選も追加!
の記事で書きましたように選挙の投票だけはしっかり行っておきたいものです。
今回の動くGIFは、超A級スナイパー!
上で披露させていただいた私の選(自句含む)を加えた噺家互選結果は
第2回冠沓附噺家互選
第2回洒落附噺家互選
でご覧いただけます。
選に入られた皆様、おめでとうございます!
第2回冠沓附噺家互選
第2回洒落附噺家互選
でご覧いただけます。
選に入られた皆様、おめでとうございます!
私も効きを付けていて、本当に楽しかったです。
さあそれでは黒猫こまちに続いて、小ゑん師匠の冠沓から思いついたGIF画像見ていただきましょうか。
実はこの句を詠む以前から、「ゴルゴ13が持続化給付金を申請したら」という話を晩酌の折り女房としてました。
バズーカ砲でも破砕できない分厚い防弾ガラスの向こうにいるターゲットを、一箇所をピンポイントで狙撃し続けることによってガラスに穴を開け愛銃アーマライトで見事仕留める。
そんな離れ業を数多く成し遂げてきた凄腕スナイパーも、これだけ人が表に出てこない自粛期間は思うように仕事ができなかったはず。
ゴルゴの出自は日本人「芹沢五郎」という説も有力なので、持続化給付金を申請することもないとは言えないでしょう。
でも私が思いつくくらいなので既に色んなところで発信されているネタだろうと思っていたら、これが意外と目につくところには出てませんでした。
じゃあということで、超A級スナイパーを三流噺家が動かしてみたのが、こちら。
さあそれでは黒猫こまちに続いて、小ゑん師匠の冠沓から思いついたGIF画像見ていただきましょうか。
実はこの句を詠む以前から、「ゴルゴ13が持続化給付金を申請したら」という話を晩酌の折り女房としてました。
バズーカ砲でも破砕できない分厚い防弾ガラスの向こうにいるターゲットを、一箇所をピンポイントで狙撃し続けることによってガラスに穴を開け愛銃アーマライトで見事仕留める。
そんな離れ業を数多く成し遂げてきた凄腕スナイパーも、これだけ人が表に出てこない自粛期間は思うように仕事ができなかったはず。
ゴルゴの出自は日本人「芹沢五郎」という説も有力なので、持続化給付金を申請することもないとは言えないでしょう。
でも私が思いつくくらいなので既に色んなところで発信されているネタだろうと思っていたら、これが意外と目につくところには出てませんでした。
じゃあということで、超A級スナイパーを三流噺家が動かしてみたのが、こちら。
買い物にはちゃんとマイバッグ持参で、地球環境にも優しいデューク東郷氏でした。
『言の葉落語会』web・リアルコラボ企画のこともお知らせしたかったのですが、ここまででかなり文字数を費やしてしまいました。
7月16日以降できるだけ早く告知させていただきますので、どうぞお楽しみに!
お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝