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新型コロナが変えたスーパーのお惣菜 [日々雑感]

今だから思い出したい江戸ッ子たちの人間関係


緊急事態宣言下で大きく変わった、私たちの生活様式。
飲食店で間を開けて着席する・レジに並ぶ際前後の人と距離をとる・電車の中で声高に会話しない・・・等々。
人見知りの私には、これらの変化は嬉しいくらいのもの。


もちろん早くこの状況は収束に向かってもらいたいですが、現代人が忘れかけていた江戸ッ子たちの対人関係を思い出すいいきっかけとも言えるのでは。


狭い土地に大勢がひしめき合っていたからこそ、道を譲り合ったり隣の夫婦げんかは本当に仲裁が必要な時まで聴こえないふりをするとか。
九尺二間の棟割長屋の住人たちはみな、「いい意味での他人との距離のとり方」をわきまえていました。

新型コロナウイルス完全収束後も、江戸っ子の絶妙な人間関係には見習うところ大だと思います。




江戸言葉遊び雑俳
『第2回web版言の葉落語会』お客様の投句募集詳細は、本記事の前ページに掲載。
あ、でもすぐ見に行かれるのちょっと待ってください。
このあとそんな長い記事ではありませんし、今回も動くGIF画像ありますんで。
まあご自分でお茶でもお淹れになって、ゆっくりしてってくださいましな。

小パックで増えたバリエーション

落ち着いたら「江戸のトリビア」というジャンルを設けて書く予定ですが、江戸ッ子たちは惣菜のテイクアウトでも現代の先を行っていたかもしれないほど。
朝夕売りに来る棒手振りや煮売り屋などで買う量り売りのおかずは、庶民の時間と懐を節約してくれました。


現代では、スーパーのお惣菜がその役目を果たしています。もちろん他にもテイクアウトのお店はたくさんありますが、私が日常最も頻繁に出来合いのおかず買うのは、スーパーの惣菜売場で。


我が家は日々の買い物には本当に恵まれた立地で、すぐ裏(向こうからするとこっちが裏)が元気な商店街。
徒歩5分圏内に「ライフ」と「サミット」「まいばすけっと」、少し足を伸ばすと「ダイエー」。


この店は野菜が安い・こっちは肉の品揃えがいいなどそれぞれに特色があるスーパーを、自分ではけっこううまく使いわけているつもり。
お惣菜購入は、私はサミットファン。
うちの近所だとライフより種類が豊富で、ひと手間かけた魅力的なもの(私の好みで)が多いんです。


しかしライフも今回の巣ごもり消費増加に対応してお惣菜のバリエーションをぐっと増やし、それにサミットが対抗して新商品を出してきて買い物客からすると選択の幅が広がって実に楽しい。


そして外出自粛を受けてもう一つのスーパー惣菜トレンドは、小パックで売る品が増えたこと。
ご自宅で作る料理にもう一品とか少人数家庭、色んな味を少しずつ楽しみたい人には嬉しい対応ですね。

ネーミングにも見られる工夫

5月17日日曜、夜。
私はweb雑俳第2回の募集開始記事のアップをすませ、家内もマネージメントを担当している女性声優さんの「エアイベント」が無事終わりお互いほっとひと息。
じゃあひと区切りの祝杯をあげますかと、私は飲み物・あちらは食材と分担して買い出し。


家内が手早く食卓を整え、高3の倅と猫とでささやかながら楽しい夕餉となります。
お疲れさーん、乾杯。


乾き物をちょいとつまんだところで家内が
「お父さんお父さん、今日は私サミットのお惣菜売場久しぶりで見たら、新しくておいしそうなのいっぱいあって嬉しくなっちゃった。まずこれ食べよ!」
と出してくれたのが、こちら。

長い旨辛焼.png

値引きになってます。
コチュジャン醤油の濃いめの味付け、お酒が進むこと捗ること。
ももとうたってありますが、切り落としというか小間切れというべきか。
もも肉以外の内蔵に近い部位も色々入っていて、それぞれ食感が違って実に楽しくおいしい。


そして、商品名も凝ってます。
サミットの惣菜は今まで
奥州旨味豚の角煮
大山鳥むね肉のチキンカツ
など開示する情報は素材と調理方法のみ。後は食べればわかるでしょ、という素っ気ない態度をとっているのがほとんど。


それがここへ来て、
「噛めば噛むほど旨い!親鳥もも旨辛焼」
いきなり買い物客に、自分を激しくアピール。
コロナ禍で疲れた人間を、「これ食べて元気出せよ!」と励ましてくれてるように感じたのは私だけでしょうか。


家族の団欒を、味とそのネーミングで


「おいしいね」
「またあったらぜひ買おう」
「それにしても、長い名前だなぁ」
「テレビの2時間ドラマのサブタイトルみたい」


ひと時盛り上げてくれた
『噛めば噛むほど旨い!親どりもも旨辛焼』
うん、やっぱり一息では言えないな。

そしてもう一品は、看板と中身が…。

「次はこれで赤ワインやろ、お父さん好きでしょ」
出してくれたのが(出来合いばかりでなく、ちゃんと家内の手料理もたくさんあってのうえですからね、念のため)

小やげん軟骨.png

鳥のやげん。
鶏の胸にあるV字型の軟骨。


羽ばたくトリ.gif


羽ばたく鳥が一番使う筋肉に付いた骨、コリコリと実に歯応えがあって私の大好物。鳥貴族では、あれば絶対はずせない部位です。


うまいうまいとこちらも食べ始めたら倅が、
「あれ?これ、貼ってあるシール違ってんじゃないの?」。
え、なになにとあらためてパッケージを見ると

ミスやげん.png


小砂肝.png

それもスライス。
看板に偽りあり。でも嬉しい偽り。
だってこの量だったら、絶対薄切りの砂肝より軟骨の方が高いはず。
従業員の人が、シール貼り間違えたんですね。


「もう箸つけちゃったから、返しに行くわけにもいかないしなぁ」
「お値段違ってるはずだから差額払いますって言われても、かえって向こ うで迷惑しそうだしね」
「まあ値段が違うったって僅かなもんだろうし、今日はこのまま食べちゃっていいか」
「なんか得したね」


なんてまたひとしきり家族で会話が盛り上がったのですが、笑いの中でふと思ったのが、
「これ貼り間違えた人、ひょっとしてかなり疲れてたんじゃないかな」。

ありがとう、スーパーの皆さん

飲食店には営業短縮・休業要請が出る反面、社会を支える「エッセンシャルワーカー」の一つスーパーの従業員の方々は国や自治体から休まないでくださいと頼まれている立場。
日々感染のリスクを背負いながら、今も私たちの生活インフラを支え続けてくれています。


しかし長く続く休校で手を離せないお子さんがいるパートさんがやむを得ずお休みしていたりで、現場は人手不足が慢性化。
今回の看板違いも、そんな状況での働き過ぎから起きたのかもしれません。あくまでも想像ですが。


家族でおいしく楽しくお惣菜をつつきながら、
いつかまた以前に近い日常に戻った時。
スーパーに行ったら授業員の方に、感謝の気持ち忘れないようにしよう。
あらためて思う宵でした。

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
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噺家のちょっといいエピソード
我が家の猫言動録
など、イラストと加工写真とともにのんびり書いてます。


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またのご訪問、心よりお待ち申し上げております。
入船亭扇治拝

※記事中、砂肝焼とやげんなんこつ焼のイラストは、
『イラストAC』掲載「モモザ」さんの作品を使わせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。


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