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久しぶりの国立演芸場、他の寄席とはひと味違う楽屋風景ご紹介。 [落語情報]


国立演芸場表.jpg
お天気のいい日曜日、三宅坂にある国立演芸場にやって来た黒猫こまち。

今日は寄席見物ではなく、代演を務める私の鞄持ちで来ているのです。
番組紹介.jpg
だから表ではなく楽屋口に回って…。
紫陽花のある楽屋口.jpg
最近の芸能界では楽屋入りの時やその日初めて顔を合わせる者どうしの挨拶は「お疲れ様です」というのが主流ですが、寄席では朝でも夜でも「おはようございます」

寄席楽屋なのに
芝居小屋テイスト

同じ敷地内にある国立大・小劇場と同時に作られた演芸場の楽屋は、ほかの寄席とはひと味違う「芝居小屋の風情」が色濃く感じられる作り。
楽屋口から中に入ってすぐ、正面にお稲荷様が勧請されていますし。
お稲荷様勧請.jpg

私たちの履物を片付けたり訪問客の相手をする「楽屋番」の方がいらっしゃるのも、芝居小屋に倣った制度。

そしてもう一つ国立演芸場が芝居小屋っぽくてカッコいいのは、これがあるから!
着到板1.jpg
「着到板(ちゃくとうばん)」。
呼称の語源は「到着」をひっくり返した楽屋の符牒。出演順に名札が並んでおり、楽屋入りしたら自分で札をひっくり返して黒字面にしておきます。
返す名札.jpg
言うなれば、楽屋のタイムカード。

国立演芸場
楽屋内はこうなっている!

右手に色物さん・噺家たちの楽屋が並ぶ廊下。
楽屋廊下.jpg
舞台明かり付の姿見があるのも、ほかの寄席では見られない楽屋設備。

噺家楽屋は、この和室が横に二つ繋がった形。
楽屋で座るこまち.jpg

昔は奥に、布団が何組か入った押入れがありました。
芝居だと昼夜興行の間に役者さんたちが仮眠をとれるよう寝具を用意してあるところが多いそうですが、寄席芸をちょいとやっただけで「あ~、疲れたー、横になろう」という者はあまりいないので、いつしか押入れは廃止に。今ではそのスペースが、荷物置き場と洋服掛けになっています。

こま正面アイコン基本形.jpg

やはり芝居楽屋の影響で、小さいながらも洗い場と湯船が別のお風呂場もあるんですよ!私は前座時代、よくお世話になったものです。
今の前座たちも、早めに楽屋入りして使ってるんじゃないかなぁ。

こま正面アイコン笑い.jpg

こちらは、「立て机」。
立て机.jpg
楽屋に詰めている前座の中で一番古株の「立て前座」がこの前に陣取り、ネタ帳をつけながら時間配分などを差配しています。
いわば寄席楽屋の「司令塔」ですが、それにしてはちょい貧相かも…。

いったん
さよなら演芸場

こんな具合に久しぶりの国立演芸場楽屋内を取材しているうちに、立て前座が私の前にネタ帳を持ってきます。
そうです、今日は出番があって来ているのでした。写真ばかり撮って喜んでいる場合じゃありません。
六月上席四日目ネタ帳.jpg
え~っと、何をやろうかな…。
ウン、今日は汗ばむような陽気だから、夏を先取りで賑やかに『たがや』にしよう!

私なりのオリジナルギャグを入れた地噺(説明が多い落語)、日曜のお客様方はよく笑ってくださいました。
ひと仕事終えた充実感を胸に、帰り支度をして着到板のところに来ると…。
こまちもいる着到板.jpg
おや、名札が一枚増えています。

こまちー、一緒に帰るよー。
名札を今度は赤に戻して楽屋を後に。
帰る時の名札.jpg

大劇場の裏手沿いに歩いてくると、こんな垂れ幕が。
さよなら国立劇場.jpg
そうです、演芸場を含む国立劇場は、2023年秋から大規模改修工事のため長期に渡り休館するのです。
国立演芸場は10月いっぱいまでここで営業し、工事期間中は代替会場を使って興行。新規オープンは2029年秋を予定。

休館前に、もう一度くらい代演で来ることがあるかな? 機会がなければ、次に三宅坂に来るのは6年後。
それまでスタッフの皆さんお元気で、また会いましょう国立演芸場!

そんな感慨を抱いて半蔵門駅に向かう途中、道の植え込みで鮮やかに花咲かせている紫陽花が目に留まりパチリ。
2道の辺の紫陽花.jpg
3道の辺の紫陽花.jpg

寄席囃子聴ひてあぢさゐ色づけり

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。よろしければまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝

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