楽しい「猫パズル」を巻頭に、あの名物探偵が帰って来た!~倉知淳『月下美人を待つ庭で』ご紹介~ [お気に入り・おすすめ]
カフェ店内の、自由気ままな20匹の猫。
この猫ちゃんたちに関する、ちょっと面白いパズルを扱ったミステリをご紹介。
一定の条件下で
猫の白黒を分ける
猫の白黒を分ける
体格や年齢が似通った猫が、白黒それぞれ10匹ずついる猫カフェ。
これからパズルの参加者には目隠しをし一人で、カフェの白猫・黒猫を別々のケージに分けてもらいます。
白猫が皆長毛種・黒猫は全て短毛種など、「体格が似通った」という設定を後付けで変えてはいけません。
ただし、猫たちを白黒どうしに分けるための”下準備”をすることはOKです。
さぁあなたは見事に難題をクリアし、10匹ずつの白猫と黒猫をそれぞれのケージに入れることができるでしょうか?
あの個性派キャラが
15年ぶりに帰還!
15年ぶりに帰還!
このパズルは、ミステリ短編集
中の『ねこちゃんパズル』で、探偵役の「猫丸先輩」が出題するもの。
”猫みたいに丸い目と、ふっさりした柔らかそうな前髪”が特徴の、年齢不詳・定職無しの猫丸先輩(下の名も不明)。
そんな個性派キャラが周囲を煙に巻きながら、日常の中に潜む意外な謎を解き明かしていく。
私も大ファンの「猫丸先輩」シリーズは、過去に5冊の短編集にまとめられています。
デビュー作の①が創元社からハードカバーで出たのが、1994年。講談社ノベルス版の⑤は2005年刊行。
寡作な倉知淳が産んだ名物キャラクター、実に15年ぶりの短編集での帰還。
時は経っても猫丸先輩の舌鋒と推理力(妄想力?)は衰えるどころか、いっそう研ぎ澄まされて。
収録された5編は、いずれも読者を「ええっ、そうだったの?!」というサプライズの世界に誘ってくれること間違いなし。
中でも巻末に置かれた表題作は、私の大好きな『過ぎ行く風はみどり色』『闇ニ笑フ』など他の倉知作品に通じる優しさを感じさせ、読後にふわりとした余韻を残します。
そして今回ご紹介した問題が出て来る『ねこちゃんパズル』は、巻頭作。
ここで私が解答編を書いてしまうと未読の方の興をそいでしまいますので、ぜひ皆様ご自身で頭をひねった後『月下美人を待つ庭で』をお読みになることお勧めします。
過去の「猫丸先輩」シリーズは長らく絶版が続いていましたが、2021年11月現在5点とも創元推理文庫で手に入りますよ(④と⑤は改題)。
図書館にも置いてあるところ、多いはずです。
解答編付き
もう一つの定番パズル
もう一つの定番パズル
そういったわけで『ねこちゃんパズル』のネタを割ることができなかったお詫び…というわけでもないですが、ここで別のパズルを答えと共にご紹介しましょう。
これまで他で目にした聴いたという方多いであろう、けっこう定番の問題。
ただ私自身もそうなのですが、答えがわかった時は(ああ、そうか!)と思ってもすぐ忘れてしまったりするのが、この手のパズルのお約束だったりもします。
そこで自分の復習を兼ねて以下に綴る「靴下パズル」、よろしければお付き合いください。
※この黒猫のように、何か器具を使ってはいけません。
これは簡単ですし本当に定番ですから、こまち3連アイコンの後すぐ答えを発表。
解答その①
3枚。
赤でも青でもどちらでもいから揃えばいいのなら、最短2枚で1足揃ったパターンも含め3枚取っておけば絶対間違いなし。
解答その②
8枚。
赤か青「どちらかでなければいけない!」という時は”6枚全部望みの色でなかった”という最悪のパターンを想定し、さらに2枚取ることが必要。
えっ、こまちはほかの答えを思いついたって?
解答その③
2枚。
運よく同じ色で1足揃えば、それはそれで良し。
もしそうならなくても、ものは考え様。
なるほど、猫だけに身体だけでなく頭も柔軟なこまち。
人間も見習って臨機応変に行くことも必要な時、けっこうあるかもね。
お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
入船亭扇治拝
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