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秋の夜長、本の世界を駆け抜けよう!~笑える読書感想文ネタも~ [日々雑感]


厳しかった残暑から、涼しさを感じる日々へ。
食欲・芸術・スポーツの秋、到来。
そして本を読むにも、最適な季節。

猫だって、読書週間


今回のテーマは、これ。
読書感想文こまち.png

こまちが今額に汗して取り組んでいるのは、
読書感想文

毎年10月下旬から11月上旬、
全国読書週間

多くの方に本に親しんでもらおうと、公益社団法人・読書推進運動協議会が開催するイベント。
令和2年は、第74回目になります。

こまちの学校でも、それに関連して秋の読書感想文コンクールを開催。
上位入賞者にはCIAOちゅ~る半年分など、豪華賞品が!
それで今、締切まぎわにねじり鉢巻きで頑張るこまち。

はたして鉛筆なめなめ、どんな文章を綴っているのでしょうか?
あとでこっそり、覗いてみましょう。

笑撃度、個人的にはNo.1!「~は偉いと思いました」


読書感想文で思い出すのが、ずいぶん以前に聴いた仲間のくすぐり。
人間国宝・柳家小三治一門の、柳家禽太夫師のマクラです。

えー、アタシの出た中学校ってのは、あんまし頭のいい生徒はいないところで。

夏休みの宿題で読書感想文が出たことがあったんですが、本なんざマンガ以外は読んだことがない連中ばっかし。

提出期限や原稿用紙何枚以上なんて決めも、守れる奴はほとんどいやぁしません。

内容も本の後ろにある解説や、人から聞いたあらすじを写しただけとか。
いや、あらすじだけでも書いてあればいい方

クラスで一番できが悪い生徒の作文 、
出だしがいきなり

「芥川龍之介『羅生門』を読んで。

僕は、羅生門という人は、
とても偉いと思いました

まるっきり読んでないのか、
お前は!

先生泣かせの感想文



私は今こうして記事書いただけで、腹を抱えて笑っています。

誰だよ、「羅 生門」って。
三国志の武将の一人か?
ああー、ツボにはまる。
仲間のギャグで、私が個人的に好きなベスト3に入る名作。

また
「~は偉いと思いました」
「僕が感動したのは~です」
の多用は、下手な感想文の常套手段

解説の引き写しも、よく使われる手。
私の中学時代、夏目漱石の『こころ』で感想文。
夏の課題で出たことが。

なんとか楽したい、児山(私の本名)お前よく本読んでるから代わりに書いてくんないか。
何人かから頼まれ、さすがに代筆は断りましたが…。

代案としてその連中に教えてあげたのが、当時新規刊行が始まったばかりの「旺文社文庫」
後発ですから文庫収録点数は少ないかわり、懇切丁寧な解説や年譜など付属資料が大充実。

新潮文庫じゃなく、そっち買うと感想文書きやすいよ。
私からそう教わった友人がこりゃいいやってんで、ほかのやつにも教えて。

あっという間に情報が広まり、クラス中かなりの数が旺文社文庫の『こころ』を購入。
地元ではすぐ売り切れて、はるばる岐阜市柳ケ瀬まで遠征した者も多かったようです。

その結果。
旺文社文庫の解説を引き写した、ほとんど同じ内容の読書感想文を…。
現代国語担任の先生は、採点する羽目になったのです。

今思えば、先生にはちょっと悪いことをしたかも。

架空・本嫌い生徒の感想文と、先生講評


①太宰治『人間失格』  
人間失格_R.JPG

「恥の多い人生を送って来ました」
第一の手記の冒頭の言葉で、僕は一気に主人公に感情移入してしまいました。

僕は今でも要領も運動神経も悪く、かといって勉強ができたり身体が大きいわけでもありません。
引っ込み思案で小さいころから、人前で恥をかいてばかりでした。

いちばん最初のはずかしい思い出は、幼稚園年中の時。
園庭の鉄棒で遊んでいて、棒に半ズボンのすそがひっかかりパンツごと脱げてしまったことが。

ひそかに好きだったお向かいの詩音ちゃんにも見られてしまい、今思い出しても顔から火が出そうです。

あまりの恥ずかしさに本を読み続けるのがつらくなり、気分転換にネットにつないでみたら。
配信サービスで、小学生のころ好きだったアニメ『銀魂』の一気見をやっているではありませんか!

落ちこんだ時はこういうのがいいと見始めたら、これが面白くて懐かしくて。
4期まで、通して見てしまいました。

気がついたら、感想文の提出期限まであと3時間しかありません。
まだ小説は、第一の手記の最初を読んだだけです。
ああ、僕はなんて意志も弱いんだろう。

これじゃあ、詩音ちゃんが僕のことを見てくれないのも当たり前です。
僕には、本当に主人公の気持ちがよくわかります。

少し読んだだけでこれだけ感動できるのだから、作者は天才だと思いました。

もう学校へ行く時間になったので、とりあえず書いたとこまでで提出します。
枚数全然足りてませんけど、一生懸命書きました。
よろしくお願いします。


~先生より~  

初めの一文だけで君の心をつかんだ、太宰治は確かに天才です。
また限られた時間で、一生懸命書いた文章ということもよく伝わってきます。

君がいろいろ子どもの頃から苦労してきたことは、よくわかりました。
でもこれは君の日記や成長記録ではなく、読書感想文なので。

それだけ感情移入できた主人公のことを、先生は君に最後まで見届けてもらいたいのです。

この作文は「読書感想文失格」ということで、いったん返却します。
あと1週間待ってあげますから、今度はアニメを見てないでちゃんと本を読んでください。





②小松左京『復活の日』
復活の日_R.JPG
すごい、すごすぎる。

作者の小松左京はタイムマシンで2020年の日本に来て、これを書いたのではないだろうか。
そう思ってしまうほど、今の新型コロナウイルスのことを50年以上前に予言していたすごいSF。

人類を絶滅させる細菌の名前が「MM-88(エムエム・エイティエイト)というのも、「AKB48」みたいで今っぽい。

最初から最後まで名シーンの連続だが、中でも僕の印象に残った場面。

・主人公・吉住の恋人が、感染症で亡くなった子どもを乗せたモーターボートで東京湾沖に漕ぎ出すところ。

・ラスト近く、アメリカ大陸を縦断して帰ってくる吉住。 世界遺産のマチュピチュを通過したり、アラスカの海でキングサーモンを生け捕りにしたりする場面にびっくり!

・命がけの任務におもむく吉住と、南極ノルウェー隊のオリビア・ハッセー(きれい!美しい!布施明うらやましい!)が結ばれるシーン。

そして何よりこの作品がすごいのは、史上最高の製作費でハリウッドスターが大挙出演。

チリ海軍の全面協力により、ミニチュアやセットではなく本物の潜水艦が登場。
いやその迫力といったら、ぜひ劇場の大スクリーンで観たくなり
(以下、略)


~先生より~
君はなかなか、文章を書き慣れていますね。
段落のつけ方・改行のしかたもこなれていて、読みやすい。

何より今の時期にこの作品を題材に選んだのは、とてもいい着眼点だと思います。
ただ、先生が皆さんに書いてもらいたいのは「読書」感想文なので。

おそらく君は小松左京の『復活の日』手にとったはいいが、中学生にはちょっと難解なところもあって途中で挫折したのではありませんか?

今からほかの本を選んで読み直す時間も惜しいので、角川事務所製作の映画の方を配信かレンタルビデオとかで観たのですね。
先生も、あの映画は観たことがあるからわかります。

君があげた印象に残る場面は残念ながら、いずれも原作にはないところばかりです。

また途中で君自身が興奮して、登場人物名でなく演じた女優の名前になってしまっていますよ。
その先はもう、完全に映画の解説になってきていますし。

これだけいい文章が書けるのですから、頑張って小説の方も読破してみましょう。
難しいところは、飛ばし読みでもかまいませんから。

あともう10日提出期限延ばしてあげますので、ぜひいい感想文にしてください。
期待しています。

あとオリビア・ハッセーがとにかくきれいに撮れていたという感想には、先生も全面的に賛同します。


おしまいに、こまちの感想文も


③夏目漱石『吾輩は猫である』
吾輩は猫である_R.JPG
こまちは、この本に出てくるねこは、とてもえらいと思いました。
どうしてかというと、むずかしいかん字を、いっぱい使っているからです。

こまちは人間のことばはわかりますが、かん字はまだかけないのが多いです。

こまちと同じ手がグーなのに、このねこはこんなに四かくくてまっ黒な字をたくさんかけるので、すごいと思います。

お話のとう場じん物も、くしゃみやめい亭とかかん月、ふだんきかないような名まえでおもしろいです。

 「亭」というかん字は、お父さんの仕ごとの名まえに入っているので、おぼえました。

お話はおもしろいし、かいたねこはすごいと思いますが、このねこはちょっとりこうではないなというところもあります。

どこがりこうではないかというと、まずこのねこは一ばんはじめにじぶんで「吾はいはねこである」と言っています。
つまり、このねこは「吾はい」とう名まえのはずです。

それなのに、その次に「名まえはまだない」と言います。
どっちが、本当なのでしょうか。
こまちは、とても気になります。

このねこがおりこうでないわけは、もう一つあります。
こんなかしこいねこなのに、お話のおしまいでお酒をなめて水がめにおちてしんでしまうからです。

うちのお父さんもお酒が大すきで、この間もよっぱらっておふろのそうじをしようとして、ゆかにしりもちをついてけがをしました。

お酒は、こわいものです。
こまちはにおいも大きらいなので、おとなになってもきっとお酒はのまないと思います。


~先生より~
よく書けていますね。

こまちさんがぎ問に思っていることを、せつ明します。
このねこがだい名と文しょうのはじめで言っている「吾輩」は、自分の名前のことではありません。

「わたし」「ぼく」ということばの、むかしの言い方なんです。
テレビの時代げきに出てくる人が「せっしゃ」とか「みども」、「あちき」なんて言っているの、聞いたことありませんか?

「吾輩」もそれと同じで、このねこは「自分はねこだよ・名前はまだついてないんだよ…」と言っているんです。

このねこも長生きして、こまちさんみたいにかわいい名前をつけてもらえたらよかったですね。


令和2年、読書週間標語とポスター


10月27日から始まる読書週間、
2000通を超す公募から選ばれた標語は

「ラストページまで駆け抜けて」。

入選の、野呂美由紀さんの作。

「駆け抜ける」に躍動感があって、とてもいい標語だと思います。

この言葉通り、こまちが本の表紙から背表紙まで。
一気に走り抜ける動画作ろうかとも考えたのですが、今回は時間切れ。
後日作成して掲載できたら、Twitterでお知らせする予定。

ここは公式ページにて、
読書週間ポスター公募入選作をご覧ください。

大賞に輝いたなかいかおりさんの作品のほか様々な「本を駆け抜ける」イメージに、胸がわくわくしますよ!
公益社団法人 読書推進運動協議会

さあ、これからだんだん存在感を増していく夜の時間。
秋の夜長にじっくりと読書三昧、いかがでしょうか。

蔦飾り線.png

お開きまでお付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝    

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