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緊急事態宣言下でも、俳句で心を豊かに [日々雑感]


在宅時間が増える今こそ、新しいことに挑戦
国の非常事態宣言対象地域にお住まいの多くの方、これからご家庭で過ごす時間が長くなります。
行動を制限されてストレスを溜めるなというのは無理な話ですが、今はとにかく感染拡大防止に皆で努める時。

ここはひとつ外出・移動等にかけていた時間と労力を他のことに振り分けられるいいきっかけと、前向きに捉えられてみてはいかがでしょう。

私は仕事が無くなり空いた時間を使って、この新しいブログを始めました。幸い覗きに来てくださる読者の方も少しずつ増え、芸人として何とか発信だけは続けられているという手応えを感じられています。

お仕事・家事の合間、これまで忙しさに紛れ手をつけられなかったことを始めてみる。新しい習い事や趣味、いろんな選択肢がある中で今日私がお薦めするのは「俳句」

初めはとにかく五七五、それだけ

思い立ったら、道具も準備も無しですぐ始められます。歳時記はあった方がいいですが、最初はネットで調べれば季語や俳句の作法についての情報は溢れていますからそれで充分。
まずは周りの風景や自分の想いを、季語を入れた五七五にまとめる、それだけ。




私の今年89歳になる母が小学生の時、国語の宿題で俳句を詠まされた時のこと。

どう作っていいのかわからない母から相談された祖父、呻吟の末ひねり出したのが
蝶ひらり猫の目ぐりりぐりりかな
という一句。

こまと蝶.jpg


幼い母は「そんなの学校で発表できない!」と泣いて厭がったと言いますが、どうでしょう。今読み返すと、そんなに悪くはないように思えます。小学生や私のような俳句初心者は、とにかく気負わないで十七文字に自分の言いたいことを込める。細かいことは、あとでまたじっくり勉強すればいいのです。
わたしの師匠と俳句の、長い付き合い

私の師匠・九代目入船亭扇橋は、『馬酔木』の同人で俳人としても生前それなりの評価を受けておりました。
その扇橋の俳句との関わりは落語より古く、青梅の実家にいた小学校3年の時に遡ります。

近所に住む俳句好きの叔父さんの影響で句を詠むようになった少年時代の師匠が、ある時東京新聞の俳句欄に投じた
五月雨に少女の雨具透き通る
この一句が当時選者だった水原秋櫻子先生の目に留まりました。
あなたはとてもいい感覚と才能をお持ちです。
ぜひ周りの方のご理解とご協力のもと、末永く俳句を続けて下さい。いつかお会いできるのを楽しみにしています。
秋櫻子
憧れの先生自らが、直筆の手紙をくれた!
自分の句が認めてもらえた!
感動した橋本光永少年(扇橋の本名)は秋櫻子先生の励ましに背中を押され、晩年まで俳句と親しみ続けました。

毎月17日(俳句の十七文字に因んで)開かれていた『東京やなぎ句会』では、永六輔さん・加藤武さん・柳家小三治師匠といった豪華メンバーと一緒に和気あいあいと。

そこでは俳句経験がいちばん長いというので師匠が宗匠格でしたが、相手はは癖もの揃いの超売れっ子たち。
師匠の方で気を使って、宗匠自ら皆にお茶を淹れたり

仲のいい小三治師匠から「オゥ橋本、俺のゲソ(履物)出してくれ」下駄箱のところで言われて「おいおいタケちゃん(小三治の本名・郡山剛蔵(たけぞう)から)、こっちはいちおう宗匠だぜ」なんてじゃれ合うのが恒例だったそうです。

本格的な俳句の世界に導いてくれた秋櫻子先生の主宰する『馬酔木』の同人に加わることができ、自分の句が複数とってもらえるようになると本当に師匠喜んでました。

鼻眼鏡越しに誌面をなめるように読み込んで、
「ほら扇べい(扇治の前座名)、見てごらん。今月は僕の句が二句、巻頭に載せてもらってるよ」。
脇で掃除をしている私にまで嬉しそうに語りかけてきた師匠の表情、今でも思い出されます。

『馬酔木』の表紙をいとおしげに手でさすりながら微笑んでいたあの顔は、草深い田舎の家に届けられた秋櫻子先生のハガキを胸にしっかり抱いた俳句少年のそれと、きっと同じだったに違いありません。
あらためて俳句をお薦め、そして次回予告


常にそばに寄り添って、扇橋というひとりの噺家の生涯を豊かにしてくれた俳句。
まだ嗜まれていない方、ぜひこの機会に始めてみませんか?

私も3年前に出身大学の先輩方がやっている俳句会に入れてもらったばかりの超素人。
毎月末の例会間際になって「あ、いけね」と慌てて句の数だけ合わせている始末ですし欠席も多いので、当然なかなか上達しません。

せいぜいこんな程度。
冬服色紙.PNG


暮れに入船亭一門の忘年会と併せてやっていた句会で、師匠に三才(天・地・人)にとってもらった句。
冬服の寄りそってゆく帰り道
うわ、我ながらベタ甘

でも、うまくなくても私は俳句を今それなりに「楽しむ」感覚が少-しだけわかりかけてきました。
その気持ちと、味のある扇橋の手蹟が皆様に伝わればと、恥ずかしながら披露させていただく次第です。

面白いですよ俳句。

今のように皆気持ちが下を向きがちな時、ぽっかり空いた時間と胸の穴を俳句が埋めてくれます。
やったことない方、始めてみましょうよ。
重ねてお薦めいたします。

蔦飾り線.png

このシリーズ次回では、師匠から教わった「俳句が少しでも上達するコツ」について書かせていただく予定です。
よろしければ、また覗いてやってください。
お付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。


※イラスト中の蝶の部分は、『イラストAC』に出品していらっしゃる「もとみ」さんの作を使用させていただきました。自分で全て書いていると大変な時間がかかるので助かります。御礼申し上げます。

入船亭扇治

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